言葉って面白い!

この日本語、英語でなんていうの?その奥に深い文化の違いが見えてきませんか。

憲法の言葉って難しいですか?

2006年05月03日 | 歴史の話し
年に一度しかない憲法記念日なので、日常ではほとんど見ることのない憲法の条文をちらちらと眺めていました。

学校で憲法を習った子供のころは、何が書いてあるんだかさっぱり分かりませんでしたが、よくよく眺めてみるとそんなに難しい言葉が使われているわけではありませんよね。
実は、憲法が今の形になるまでの歴史をひもとくと、一歩間違えたらえらく難しい文語体になっていたかもしれないって知っていました?

今の日本国憲法は、様々な経緯を経て作られましたが、大雑把にいえば、46年の2月に作られたGHQ草案が基になっているといえます。
この段階では、日本語バージョンはまだ文語でした。
例えばこんな感じです。

皇帝ハ国家ノ象徴ニシテ又人民ノ統一ノ象徴タルヘシ彼ハ其ノ地位ヲ人民ノ主権意思ヨリ承ケ之ヲ他ノ如何ナル源泉ヨリモ承ケス

うーん。
これでは読む気にはなりませんよねえ。

そこで登場するのが「国民の国語運動」(代表・安藤正次)という団体です。
日本語を平易にしようという運動を続けていたこの団体が、「法令の書き方についての建議」という意見書を国に提出します。
文語にしとっちゃ誰も読みませんぜ、というわけです。

これがきっかけで、ひらがな口語化の作業が極秘に進められます。
作家の山本有三や、入江俊郎法制局長官ら法制局の人たちの手によって、46年の4月に素案が作られました。
もちろんその後の調整はありましたが、私が思うに、憲法の内容もさることながら、憲法がここまで読みやすい言葉で作られていることの影響は大変大きいのではないでしょうか。

比べてみましょう。

皇帝ハ国家ノ象徴ニシテ又人民ノ統一ノ象徴タルヘシ彼ハ其ノ地位ヲ人民ノ主権意思ヨリ承ケ之ヲ他ノ如何ナル源泉ヨリモ承ケス

天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

細かい文法ももちろんですが、カタカナが平仮名になるだけでもずいぶん読みやすくなるものです。
今、憲法が国民にどれくらい親しまれているかはさておき、少なくとも文語で制定されていたら、今よりもはるかに遠い存在になっていたでしょうね。


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