おれはじまんの大アゴをふり上げた。そのときまたしても腹とうしろ足に痛みが走って、思わず顔をゆがめた。ガシイはそれを見のがさなかった。
「おや、サガメ様、お腹にけがをされているではありませんか。無理をなさらない方がよろしいですぜ」
「何をいうか、これしきのけが!」
おれはもうぜんとガシイに向かっていった。おれのアゴとガシイのアゴがぶつかって鈍い音をたてた。あの日の記憶がよみがえってきた。あの日、おれはこの大アゴでもってガシイの体を高々ともち上げ、地面にたたきつけたのだった。
だが今は、けがのために十分に力がでない。反対にガシイは、あのときよりもっと力をつけ、腕を上げていた。突きつけるアゴはことごとくかわされ、とても胸につかみかかるどころでない。おれはしだいにうしろに下がっていった。
「おや、サガメ様、お腹にけがをされているではありませんか。無理をなさらない方がよろしいですぜ」
「何をいうか、これしきのけが!」
おれはもうぜんとガシイに向かっていった。おれのアゴとガシイのアゴがぶつかって鈍い音をたてた。あの日の記憶がよみがえってきた。あの日、おれはこの大アゴでもってガシイの体を高々ともち上げ、地面にたたきつけたのだった。
だが今は、けがのために十分に力がでない。反対にガシイは、あのときよりもっと力をつけ、腕を上げていた。突きつけるアゴはことごとくかわされ、とても胸につかみかかるどころでない。おれはしだいにうしろに下がっていった。
(クワガタムシのかしらとスイカ…19)に続く…