徘徊オヤジの日々是ざれごと

還暦退職者が、現在の生活と心情、そしてちょっとした趣味について綴ります。

星のしるしの勇者・・・2

2018-02-26 11:26:12 | ・星のしるしの勇者
 島の人々はみな信仰にあつかった。人々が最も大切にしていたのは、ムマイと呼ばれる村の守り神だ。それは人の姿をかたどった巨大な石像で、荒々しい海から村を守るように、海辺に何体も並べられていた。

「ムマイは山の岩をけずって作るんだ」とサマナの父はいう。「わしが若いころは、切り出した丸太の上にのせ、村人総出で海辺まで引っ張ってきたものだ。だが今はとてもそんな余裕はない。食うだけで精一杯だ。これもみんな西の村のやつらのせいだ」

 サマナの父は東の村の村おさだったが、その声はいかりにふるえていた。

(星のしるしの勇者…3)に続く…

北海道の里山をあるく・・・162

2018-02-22 14:02:38 | 北海道の里山をあるく
札幌市・農試公園

 西区にある農試公園は、農林省北海道農業試験場跡に作られた、運動のための公園ですが、SLが展示されているなど、いろんな施設があります。

 中心施設のツインキャップは全天候型のスポーツ施設で、外壁が緑におおわれ、『緑の環境デザイン賞』も受賞しているといいます。今は緑の季節ではありませんが、行ってみました。

 この日は風もなく陽もあたって暑いくらいでした。農試公園は運動公園という割には、大木も多く、なかなかよい雰囲気でした。

 ツインキャップは建物全体が写真のような円形となっていると思っていたのですが、正面のごく一部だけでした。またSLは全体に覆いがかけられて、見られませんでした。


公園内の道


ツインキャップ


公園に沿った琴似発寒川


←昭文社発行1万分の1札幌便利情報地図より

←このあたり

星のしるしの勇者・・・1

2018-02-18 08:24:15 | ・星のしるしの勇者
星のしるしの勇者

1998年とかぷち児童文学研究会編「とかぷち第13号」掲載作品
2018年一部改変


 南の海に、まわりの島々からかけはなれて一つだけ小さな島があった。サンゴにかこまれた島のまわりをカヌーでめぐると、まる1日で元のところへもどってこられるくらいの大きさだった。

 この島に人が住みつくようになったのはいつのころだろう。人々はここをイース島と呼び、内陸の丘ではタロイモを栽培し、サンゴの海にもぐって魚をモリで刺してとっていた。

 村の若者たちはもっと沖合いまでカヌーをすすめ、クジラやウミガメをとった。クジラは干し肉とされ、ほかの島との大事な交易の品となる。

 交易船は2ヶ月に1度、片道5日かけて少し離れたアース島に向かう。干し肉はそこで、モリ先の刃やオノなどの鉄でできた品々、それから布やロープなどさまざまな日用品と交換された。

(星のしるしの勇者…2)に続く…

北海道の里山をあるく・・・161

2018-02-14 11:54:06 | 北海道の里山をあるく
札幌市・信濃神社と旧馬場農場

 札幌の開拓は一地域からの移住者によるのではなく、地区ごとにいろんな地域からの人々が入植して拓かれたのでしょう、そこかしこに当時を思わせる名称が残っています。厚別地区は長野県からの移住者によって開拓されたといい、今でも近くの小中学校には信濃の文字が冠せられています。

 この日はJR厚別駅に降りたち、大木に囲まれた信濃神社内を通り、さらに旧馬場農場のサイロを見て地下鉄ひばりが丘駅にいたりました。

 またこの日はうっかり地図を忘れて出かけたのですが、記憶を頼りにどうにか行き着くことができました。


信濃神社


途中で見かけた樹林に囲まれた中央公園


旧馬場農場サイロ


←昭文社発行1万分の1札幌便利情報地図より

←このあたり

あ ざ・・・12

2018-02-08 08:19:16 | ・あ ざ
「じゃあ、加代って人はそのあとどうなったの?」

「首のあざもよくなって、村の若者といっしょになり、子どもももうけて長生きしとるという話じゃ」

「近くに住んでいるの?」

「ああ住んでおる」

「どこ、どこにいるの?」

「目の前におるがな」

 こういっておばあちゃんは、ゆっくりと首にまいている手ぬぐいをはずした。そこにはまるで花びらのような赤いあざがくっきりとついていた。ぼくはおばあちゃんが加代子という名前だったことをようやく思い出した。

(あ ざ…終)