「スク殿、浮かれているときではありませぬ。決してあなどってはなりませぬ」
モノブは何度も気をしきしめるようにいうのだが、
「わかっている。モノブ殿は心配のしすぎだ」
「いいすぎると、若い者は心もとなくなりましょう。それともやっぱりモノブ殿はおくびょう風に吹かれましたかな」
などと皮肉をいわれるのだった。前夜スクは、前祝に酒をのもう、といいだす始末で、これにはさすがにモノブも腹にすえかねてやめさせた。
そしてついにいくさの日になった。シカの皮がはられた太鼓が朝から打ちならされている。人々の気持ちはいやが応でも高まっていく。
モノブは何度も気をしきしめるようにいうのだが、
「わかっている。モノブ殿は心配のしすぎだ」
「いいすぎると、若い者は心もとなくなりましょう。それともやっぱりモノブ殿はおくびょう風に吹かれましたかな」
などと皮肉をいわれるのだった。前夜スクは、前祝に酒をのもう、といいだす始末で、これにはさすがにモノブも腹にすえかねてやめさせた。
そしてついにいくさの日になった。シカの皮がはられた太鼓が朝から打ちならされている。人々の気持ちはいやが応でも高まっていく。
(あらしの夜明け…66)に続く…