徘徊オヤジの日々是ざれごと

還暦退職者が、現在の生活と心情、そしてちょっとした趣味について綴ります。

星のしるしの勇者・・・15

2018-06-29 08:00:51 | ・星のしるしの勇者
 テミーの気持ちは固まった。ほかの奴隷たちも賛成してくれた。

「でもぼくたちがいなくなったことを知ったら、おじさんたちどんな目にあわされるか‥‥」

「わしらのことは心配するな。わしらもテトにひどいことをしたんだ。これでおあいこだ。なあに、わしらがいるから船づくりもできるんだ。ご主人だって金づるを殺してしまうことはないだろう」

 サマナとテミーは奴隷たちに深く感謝した。

「南に向かうのだ。そうすれば日にちはかかっても、必ず別の島にたどりつくはずだ」

 組がしらの一言で進路は南にきまった。

 舟に取り付けるための木材とわずかばかりの食料と水の入ったかめを積んで、3人を乗せた小舟はやみにまぎれてするすると出航した。

(星のしるしの勇者…16)に続く…

北海道の里山をあるく・・・174

2018-06-25 07:35:24 | 北海道の里山をあるく
江別市・北海道育種場

 以前野幌森林公園からの帰りにこの近くを通り、とてもきれいなところだったので、今度はこの場所を目当てに行ってきました。

 そもそも北海道育種場とは、林木育種に関する国立の研究施設で、同様の施設は東北・関西・九州にもあるようです。また試験林内は自由に散策でき、旧庁舎は昭和2年に建てられた、とても趣きのある建物だといいます。

 試験林内の木々の多くには名札がつけられ、またカラスアゲハやヒョウモンチョウなどのチョウたちが飛び交っていました。


育種場へいたる道


遺伝資源保存林(と書かれていました)


タンポポモドキとコウリンタンポポの群落


北海道林木育種場旧庁舎


←2万5千分の1地形図「野幌」より

←このあたり

星のしるしの勇者・・・14

2018-06-22 08:26:53 | ・星のしるしの勇者
「ご主人は『本当のことをいうまで許さない』といっていたわ。テトはこのままだと殺されてしまうわ」

 テミーの声は引きつっていた。張りつめた沈黙のなかで波の音だけがひびいている。

「にげ出すんだ。もうそれしかない」

 サマナが低い声でいった。

「どうやって? ご主人の証明がないと、どこへ行ったってつかまってしまうわ」

「舟だ。あの小舟で別の島に行くんだ。ぼくもいっしょに行く」

「むりよ、そんな」

「大丈夫、ぼくに考えがある」とサマナはいった。「小舟でもうで木と帆をつけて、手入れをすれば、立派な外海用のカヌーになる。材料はここにいくらでもある。舟につんで沖に出てから取り付ければいい。成功するとは限らない。だがここにいたらテトは本当に死んでしまう」

(星のしるしの勇者…15)に続く…

北海道の里山をあるく・・・173

2018-06-18 07:46:41 | 北海道の里山をあるく
札幌市・小林峠

 藻岩山東の小林峠には昨年2月に長大なトンネルができましたが、古い道もそのまま残されています。私はトンネルが完成したころこの旧道を歩いて、とても快適だったので、また行ってみることにしました。またここは格好のサイクリングコースとなっているようで、たくさんの自転車が行き交っていた記憶があります。

 この日はうす曇でとても歩きやすく、やはり同様にたくさんの自転車が行き来し、ランニングの人も見られました。また小林峠の駐車場にはたくさんの車が停まっており、砥石山や藻岩山へ登山する人(下山した人)の姿もありました。


小林峠


トンネル入口


←北海道地図KK出版2万5千分の1地形図「札幌・支笏周辺の山々」より

←このあたり

星のしるしの勇者・・・13

2018-06-15 07:13:30 | ・星のしるしの勇者
 そのとき突然1人の男がひざまづいて、2人に深く頭を下げた。

「許してくれ、おれのせいだ。たまたまご主人の家にいただけで、最初おれが疑われたんだ。恐ろしくなってつい、『テトが食べるところを見た』といってしまったんだ」

「何てことを! テトならなぐられてもいいっていうの」

「子どもだったらそんなにひどい目にあわされないと思ったんだ。許してくれ。おれだって何もしていないんだ。本当だ、信じてくれ」

 男の胸ぐらをつかんでいかりをあらわにするテミーを、奴隷たちがおしとどめた。

 この男はうそはつかない。だが本当のことをいっても、主人は信用してくれないだろう。今度はこの男がどんな目にあわされることか。だれもがそう考えていた。

(星のしるしの勇者…14)に続く…