大谷君騒動で思う事。

　大谷翔平君が巻き込まれた騒動については、私がわざわざ話題にすることではないので、今まで書かなかったのだが、ただ、古い話でちょっと思い出したことがあった。
　大谷選手が人間的にも素晴らしい事は十分分かっていたことなので、彼が何かしらやましい事をしたとは思わなかったが、信頼する水原さんの裏切りが信じられなかった。お金よりも何よりも、その事の方がきつかったろうと思う。
　ただ、昔々嘘つきって信じられないような嘘をつくんだという事を経験したことがあるので、水原さんの嘘があまりにもまことしやかだったことも十分頷けた。
　私は詐欺にあったこともないし、そもそも狙われるほどお金もないのだが、学生時代仲が良かったと思っていた友人の嘘に驚いたことがある。
　彼女は聞きもしないのに色々と自分の恋愛話やその他の話をしてくる子だった。別に自慢話でもなく普通の話で女子にはよくあることで気にはならなかった。
　甘えることも上手で、
　「すずの〇〇が食べたいな。」
と言われれば作ることもあった。
　しかし、ある日を境に何となく周囲の友人が私に感じ悪いなと思う事が増えた。ところが、とにかく勘の鈍い私は気のせいだろうかと思っていた。
　そんなある日、その友人たちに話しかけられた。私と違って勘の鋭い彼女たちは、その子の話の違和感に気づき、すり合わせに来たのだ。
　そこで分かった事は、私には「私好み」のストーリーを、他の人には違うストーリーを話していたこと。そして、
　「食べたいな。」
と言われて作っていた料理は、
　「まずい物を恩着せがましく食べさせる。」
と彼女たちに言っていたと言う。
　今思えば、そうやって違う自分を演じることで、誰とも何となくうまくやってきた子なのかもしれない。決別してしまった時も、どんな話をしていたのか、親まで出てきて嫌みを言われた。嫌みを言われる私の前で彼女がしたことは、可哀想な娘の役で、健気に怒る母親を止める役柄だった。
　後にも先にもこんな嘘つきには出くわしたことが無い。けれど、詐欺でなくてもお金が絡んでなくてもこんな信じられないような嘘は存在する。ましてや、大金が絡んでいるのだから、さもありなんと思う。
　ちなみに、私は少ない預金通帳もせっせと記帳して家計簿をつけるが、年金暮らしのお年寄りでも、特に日々の暮らしに問題がなければ、年単位で記帳しない人は存在する。だから、いくつも通帳を持っていて、引き落としできませんでしたよ～みたいな通知がない限り、残高を気にしない人はいるだろうと思う。
　今頃彼女も家庭に納まっているだろうし、子供もいるかもしれない。嘘つきが治っていればいいけど・・・。


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