以下は前章の続きである。
立憲主義―現憲法は法に非ず
自衛隊という交戦可能な戦力は文句なしに現憲法の9条第2項(非武装・不交戦)に違反している。
その存在を93%も肯定しつつ、その条項の改正に70%が反対しているというような国民は、統合失調でないとしたら痴呆症を病んでいる。
甘くみても無思考の悪癖に染まっている。
立憲主義なる埃だらけの用語が明治・大正の用語集の古倉庫から(自衛隊の海外派兵を阻止するために)取り出されている。
だが、「悪法は法に非ず」とみなして「良い憲法を作ろう」という姿勢がないばかりか、「悪い憲法にしがみつこう」などという立憲主義の合唱は聞けた代物ではない。
まず、わざわざ改憲しなくても、既存の憲法文章を(日本の伝統精神に根差す)良識にもとづいて解釈し直すこと、次にそれですまないようなら、そんな文章は死文として無視するか反故として打ち捨てればよいのである。
そもそも現憲法の文章なんか、特定の時期(米軍の日本占領初期の硝煙消えやらぬ時期)に特定の能力しか持たない人間たち(米軍の公法について何の見識もない若い軍人たち)が特定の事情(日本のアメリカヘの属国化)の下に特定の目論見(非武装世界の実現という夢想)に駆られて特定の期間(6日間程度)で特定の思想(ニューディーラーというソフト・ソーシャリズム)の持ち主が書き散らかしたものを2日2晩で急いで翻訳した代物にすぎない。
そんなものを不磨の大典と崇めるのは、活字という物にたいするフェティシズム(物神崇拝)という病理以外の何物でもない。
この稿続く。