…前章続き。
『樹滴』は、原爆で崩壊した家族の長い戦後と正面から向き合った長編小説だ。
老いて死にゆく父母の魂に寄り添う日々を描き、鎮魂の思いに満ちている。
長い休筆期間を経て小説の刊行は40年ぶりになる。
樹滴という題名は、ニューギニアから復員した父が廃虚の長崎で、焼けこげた樹から、未来の光のようにしたたる樹液を見た話にちなむ。
母の無念をはらそうと、1971年に初めて書いた小説「刻を曳く」で文芸賞を受け、芥川賞候補になった。
…後略。
『樹滴』は、原爆で崩壊した家族の長い戦後と正面から向き合った長編小説だ。
老いて死にゆく父母の魂に寄り添う日々を描き、鎮魂の思いに満ちている。
長い休筆期間を経て小説の刊行は40年ぶりになる。
樹滴という題名は、ニューギニアから復員した父が廃虚の長崎で、焼けこげた樹から、未来の光のようにしたたる樹液を見た話にちなむ。
母の無念をはらそうと、1971年に初めて書いた小説「刻を曳く」で文芸賞を受け、芥川賞候補になった。
…後略。