文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
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でも「自分を強い」と思い込むのは北朝鮮型なんですね。 「私は最強だ」「アメリカなんか弱い」―どうかしている

2017年08月05日 12時15分26秒 | 日記

以下は前章の続きである。

人権無視の経済成長のツケ

福島 

でも、習近平嫌いの人もいるわけです。

昔の胡耀邦派のような人たち。

彼らは、習近平は党内で孤立している、共産党政権の中で彼を支えようという人はいない、そんな状況で中国共産党の大所帯を率いるなどできない、というようなことを言う。 

結局どっちを信じるか。

色々な人に聞いていたら、結局みんな自分の期待を述べるだけで、本当のことはわかってないんだよなと思う。

じゃあ私は、五輪ジンクスに賭けるかみたいな(笑)。

矢板 

確かに習近平周辺の人は、現政権は強いと言いますね。

権力を掌握していると。

でも「自分を強い」と思い込むのは北朝鮮型なんですね。

「私は最強だ」「アメリカなんか弱い」―どうかしている(笑)。 

政治家の評価は業績、経済が全てなんです。

生活がよくなるという希望があればみなついていく。

ところが中国は、経済がよくなくなった時に、国を支配するもう一つの方法を使う。

国民をだますんですね。

「今は苦しいけれど、やがて幸福になる」と。

宗教のように洗脳していくのが常套手段です。

毛沢東がかつてやり、北朝鮮もやってきたことです。

でも、今これだけ情報がオープンになっているわけですし、文化大革命であれだけの悪夢を見て、被害者がまだたくさん生きている中では洗脳などムリでしょう。 

もう一つは経済。

世界から見て、中国に魅力があるとすれば経済だけですが、明らかに失速し始めている。

中国経済がなぜ成長できたか。

一つは人権を無視してきたからですね。

過酷な労働条件で伸ばしてきた。

日本の経営者は社員にちゃんと休みを与えなければいけない。

昇給し、ボーナスも払い、保険もかけなければならない。

中国はそれをすべて無視できたのです。

でもいまでは、国内で年間二十万件以上といわれるデモ、暴動騒乱が起きている。

人権の抑圧からみんな立ち上がった。 

さらに環境問題を棚上げしてきたツケが表面化してきた。

北京の大気汚染は世界中を呆れさせました。

私は日本に帰ってきて「東京の空気はいいね」と言っていたら、頭がおかしいんじゃないかと言われた(笑)。

この政権下で、今後さらに十年、二十年も成長し続けることはあり得ないと思う。

福島 

政治的に大転換するという時期に来ているのだと思います。

鄧小平が棚上げにしていた政治改革に、誰かが取り組まねばならない。

しかし、江沢民も胡錦濤もできなかったから、次世代に送ってきた。 

しかし、習近平は後継者を育てていませんし、自分でやる力量もない。

そこで、宿題の政治改革を放り出して、鄧小平路線をひっくりかえして毛沢東路線にもどろう、というふうに舵をきりはじめた。

鄧小平路線というのは、経済発展を執政党としての正当性にしてきた。

共産党が中国を経済的に発展させる、人民を豊かにする、だから共産党についてこい、ということです。 

しかし一党独裁体制下での資本主義、自由主義の限界に突き当たって、そろそろ政治改革をしなければ次の経済発展のチャンス、ワンランク上の自由経済の段階にいけない。

でも、習近平は中国が民主化、法治化すれば、共産党体制は崩壊すると考えて、政治改革は断固拒否。

経済発展を放り投げている。

そして共産党の執政党としての求心力、権威を統制強化という締め付けで守ろうとしている。


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