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三菱商事など優先交渉権 カタール淡水化プラント…日経新聞10月9日7面より

2011年10月09日 17時14分21秒 | 日記
総工費600億円

中東カタールが計画している同国最大級の海水淡水化プラント建設で、三菱商事などの企業グループが2012年前半の正式受注に向けた優先交渉権を獲得したことが明らかになった。

総工費は約600億円で、中核設備は日立造船が建設する。正式契約に向けて日本政府もカタール当局への働きかけを強める方針で、官民を挙げて海外攻略を狙っている水インフラ受注に弾みをつけたい考えだ。

優先交渉権は9月下旬に締め切られた入札で得た。建設するプラントはカタール政府系発電水道会社(QEWC)の「ラス・アブ・フォンタス2」計画向け。首都ドーハ南方で既存の造水・発電施設に併設。

発電所で生じる熱を利用し海水を蒸発させて淡水にする。1日あたり造水能力は約7千万ガロン(約32万立方メートル)で、15年完成を目指す。

三菱商事が現地当局などとの交渉窓口となり、日立造船が淡水化設備の設計や機器調達、施工を担当。東洋エンジニアリングのタイ関連会社トーヨー・タイも参画する。

ペルシャ湾岸の産油国で主流の蒸発式プラントは、韓国勢などとの価格競争が激化。日本勢による本格的な建設受注は過去5年以上ほとんどない。

経済成長が続くカタールでは工業・生活用水の安定供給が急務。湾岸諸国で約40基の建設実績を持つ日立造船を軸に、技術面で信頼性の高い日系連合へ発注することを内定したもようだ。

今後は正式契約に向け関連企業が担当する業務範囲など詰めの交渉に入ると見られる。経済産業省など日本政府も韓国勢の強力な売り込みに流されないよう、政府間の意思疎通を強める方針だ。

カタールは世界最大の液化天然ガス(LNG)輸出国で、日本の発電用ガスの調達でも重要性が高まっている。日本は社会インフラ分野の協力をテコに関係強化を加速させたい考えで、両国はこのほど都内で開いた閣僚級合同経済委員会の共同声明で、淡水化プロジェクトに日本が積極参加していくことを明記。カタール側も日本企業が先端技術を生かして参画することに期待を表明した。

世界の水ビジネスの市場規模は25年に87兆円と07年の2・4倍に拡大する見込み。水資源が乏しく経済成長が進む中東にあって、最近は排水処理分野で干代田化工建設がサウジアラビアの工業団地向け事業化調査を受注したほか、日本政府も9月にサウジ水電力省と上下水分野の協力で包括的な覚書を交わしたばかり。

今回の造水分野での協力進展で水インフラの商機開拓が進みそうだ。

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