以下は前章の続きである。
朝日新聞の「ふんぞり返り」慰安婦記事訂正は笑止だ
「北朝鮮は地上の楽園」キャンペーンをいい訳したのと同じ手法
大新聞の「威光」に挑んだ産経
新聞は誤報をする。
犯人Aと被害者Bをうっかり取り違って「犯人B」とやってしまうようなケースだ。
そんな時は訂正し謝罪するのが新聞の形だ。
中には名前の間違いとかでなく、記事まるごと嘘でしたという嘘みたいなケースもある。
昭和25年9月、朝日新聞に載った「伊藤律と会見」記事だ。
神戸支局の記者が月下の宝塚山で伊藤に会い潜行生活を語らせた。その全文が嘘だった。
朝日はお詫びし、記事を削除した。
まだ朝日に善悪の区別がついていたころの話だが、やがてそれが怪しくなる。
昭和59年10月の紙面は「日本軍が毒ガスを使った現場」と称して真っ黒な煙もくもくの写真を載せた。
藤原彰・一橋大教授が「そうです。これが毒ガスです」とお墨付きをつけていた。
しかし、産経新聞の記者がその写真の原版を知っていた。
湖南省の渡河作戦の光景で、もくもくは煙幕だと。
「他紙を誹謗しない」が当時の新聞界のルールで、まして新聞界に君臨する朝日を云々するのは最大のタブーだった。
しかし嘘は許せない。
当時デスクだった筆者が「朝日は煙幕を毒ガスと偽って日本を貶めた」とする記事を載せた。
早速、朝日のお偉方が怒鳴り込んできた。
産経側は編集担当取締役も編集局長も急に腹痛を起こし、社会部長も急用が出来て姿を消した。
朝日の威光はそれほどだったということだが、いくら脅されても、もう記事になっちゃった。
だいたい毒ガスが真っ黒でもくもく天に上ると思う方が間違いだと教えてやった。
この稿続く。