前回掲載した「6/10国民大行進への家族の思い」に続いて行われた質疑応答を掲載します。
重要な論点として、なぜ鳩山政権は「厳格な法執行」を方針から外したのかについての仮説が出されました。
◆「厳格な法執行」がなされていなかった
Q・朝鮮総連の件で、中井大臣に厳重な申し入れをしてほしい。
西岡/朝鮮総連については、まず、違法行為を厳しく取り締まること。もう一つは破防法を適用して団体の解散命令を出すことです。この2段階があると言われます
安倍政権の時に作った「拉致問題に対する日本政府の方針」があります。6項目ありますが、その一つに「現行法規を厳格に適用する」とわざわざ書いてあります。
法治国家ですから法律を適用するのは当り前なので、これはおかしなことですが、いままでちゃんと適用していなかったということなのです。
日本は民主国家、法治国家ですから、誰かにだけ法律を適用してはいけないのです。なぜ「厳格に」と書いてあるかというと、あまりにもおかしいことがあったからです。
脱税の問題です。
◆総連と国税庁との5項目合意
-脱税で送金-
西岡/1976年に、朝鮮総連が国税庁と5項目の合意を結んだと自分たちのパンフレットに堂々と書いています。鴻池(祥肇)議員が国会でそのことを取り上げたところ、その日の朝に国税庁が来て「やらないでください」と言った。その直前に全国の税務署に国税庁が通知を出して、「おかしなことは今までもなかった。今後もしないように」と。
なぜ通知を出さなければいけないのか。ちゃんと適用しているなら必要ないのです。
実態を聞くと、朝鮮総連系のパチンコ屋とか地上げ屋とかサラ金などの書類を、税理士資格のない総連の商工会に持っていくと、商工会が書類を作ってくれるのです。そして商工会がハンコを押す。代理で持っていくと別扱いになって結果として税金が安くなるということがあったのです。
それをやっていたのが拉致にも関係した張龍雲(チャン・ヨンウン)です。田中 実さん拉致についても証言しました。
北朝鮮の地下組織の洛東江というのがあり、1996年12月に『文芸春秋』で様々な活動を暴露しました。
その人が洛東江で何をしていたかというと、税務署に乗り込んで机を叩いて大喧嘩をして税金を負けさせる(減額させる)担当だったのです。負けさせた分を洛東江に寄付させて、韓国の地下運動に送っていたのです。
韓国でテロなどをやっていた組織にお金を送っていた、と書いています。私は1回会いました。その後、総連と喧嘩したり本を書いたりするのですが、ある時、「今、ある反総連運動をやっているのです」と言うのです。「何ですか」と聞いたら、「私が昔面倒をみていた総連系のパチンコ屋などに、総連に世話になるな、私に世話になりなさい。私が同じくらい安くしてあげるから総連に献金するのをやめなさい」という運動をしているとのことでした。
それを応援していいのかどうか迷ったのですが、総連にお金を払わないというのはいいことですが、日本に税金を払わないというのはどうかと思いました。
もう一つは朝銀信用組合に対する公的資金導入です。朝銀信用組合が破綻しましたが、企業融資を守るためということで公的資金がどんどん導入され、合計1兆4千億円になりました。
善意の預金者を保護するということはありうるわけですが、意図的に、返ってこないと思われるところにまで融資をして、焦げ付いてしまい破綻しました。破綻すると預金者保護ということで公的資金が導入されたのです。
これは『AERA』などが報じたことですが、何百万円とか何千万円という単位で総連の信用組合からお金を借りている人がいるのです。行ってみたら6畳一間で裸電球だけというところ。「借りてません」と言う。どうなるかというとその人が破産するわけです。しかも、(どう見ても)その融資を使ったとは思えないのです。どこに行ったのか。その分が補填されて、朝銀信用組合にお金がくる。
そういうことをやっていた時に、「厳格な法執行」となり、脱税については、京都と北海道と兵庫で朝鮮総連の商工会が税理士法違反で捕まっています。税理士の資格がないのに書類を作った。京都は野中(広務)さん(元官房長官)の地元のすぐ近くです。
朝鮮総連への不正融資については1兆4千億円の内、628億円を返還要求しています。そして破産したペーパーカンパニーとなっていますが、実態は朝鮮総連が借りたものとして裁判をしました。取引上の名義は違うが、実態は朝鮮総連だということです。
そして一審で勝ちました。勝った後、総連の財産を差し押さえて「返せ」となるわけです。全国の総連の中で、今担保に入っていないのは中央本部だけです。だから中央本部を差し押さえると言ったら、公安調査庁の元長官が出てきて、名義を変えるという話になったわけです。
ところが裁判所は、中央本部の所有者は朝鮮総連ではなく株式会社のものだから差し押さえることはできない、などと言って未だに差し押さえることができないのですが、一審は政府が勝ちました。二審になり、最高裁まで行けば、日本政府が総連を相手に民事訴訟を起こして総連の財産を全部差し押さえるということを今やっています。ここまでは安倍政権の時です。
◆鳩山政権は「厳格な法執行」を引き継がず
西岡/心配なのは、この「厳格な法執行」が鳩山政権に引き継がれていないことです。
6項目の方針を廃止してしまった。そして新たな方針を政府は出していない。では「厳格な法執行」をやめるのかどうか。
今年3月の総連と商工会の納税はどうだったのか。取締りが緩んだのかどうか。
裁判所は、「示談にしなさい」と言っています。民事裁判はお金を払えなければ示談になるわけです。日本政府は「示談にしない」と言って、中央本部を没収しようとしているのですが、鳩山政権はそれを続けるのか。「厳格な法執行」を続けるのか。
攻めの方法としては破防法(破壊活動防止法)がありますが、破防法はかなりハードルが高いものです。オウムにもかけられなかったのですから。監視の対象にはなっていますが、解散命令を出すのはハードルが高いのです。
それよりも、日本人と同じようにきちんと法律を守らせることです。それがこの4年くらいでやっとできるようになったのですが、それが(安倍政権以前に)戻っているかもしれない。そういうことについて厳しく監視していかなければなりません。
中井大臣が6項目方針をやめてしまったことについては大変不安を覚えています。しかし、中井さん自身は総連に対して厳しいことを言っていますから、ご質問の通り、中井さんに会う度に、こういうことについて問題提起をしています。
しかし、中井さんでない人があの席(拉致担当大臣・国家公安委員長)に座ったらもっとひどいことになるかもしれません。
総連からすれば、中井さんでない人、拉致議連系でない人があの席にいることがいいわけです。そういう微妙な、脱税の問題、朝銀の不正融資の問題をきちんと政府が、安倍政権のような形できちんと貫けるかどうかが焦点です。
その意味では石井 一さんとか、小沢一郎さんなど旧田中派、あるいは金丸派系(旧経世会)の人たちがいた時は「厳格な法執行」ができなかったのです。その人たちは今与党になってしまったということは、総連にとっては思う壺です。
石井さんが総連の大会に参加したという話でしたが、あの人は親朝派の代表みたいな人ですから、厳しく監視しないと元に戻ってしまうかもしれない。
(2)に続く
重要な論点として、なぜ鳩山政権は「厳格な法執行」を方針から外したのかについての仮説が出されました。
◆「厳格な法執行」がなされていなかった
Q・朝鮮総連の件で、中井大臣に厳重な申し入れをしてほしい。
西岡/朝鮮総連については、まず、違法行為を厳しく取り締まること。もう一つは破防法を適用して団体の解散命令を出すことです。この2段階があると言われます
安倍政権の時に作った「拉致問題に対する日本政府の方針」があります。6項目ありますが、その一つに「現行法規を厳格に適用する」とわざわざ書いてあります。
法治国家ですから法律を適用するのは当り前なので、これはおかしなことですが、いままでちゃんと適用していなかったということなのです。
日本は民主国家、法治国家ですから、誰かにだけ法律を適用してはいけないのです。なぜ「厳格に」と書いてあるかというと、あまりにもおかしいことがあったからです。
脱税の問題です。
◆総連と国税庁との5項目合意
-脱税で送金-
西岡/1976年に、朝鮮総連が国税庁と5項目の合意を結んだと自分たちのパンフレットに堂々と書いています。鴻池(祥肇)議員が国会でそのことを取り上げたところ、その日の朝に国税庁が来て「やらないでください」と言った。その直前に全国の税務署に国税庁が通知を出して、「おかしなことは今までもなかった。今後もしないように」と。
なぜ通知を出さなければいけないのか。ちゃんと適用しているなら必要ないのです。
実態を聞くと、朝鮮総連系のパチンコ屋とか地上げ屋とかサラ金などの書類を、税理士資格のない総連の商工会に持っていくと、商工会が書類を作ってくれるのです。そして商工会がハンコを押す。代理で持っていくと別扱いになって結果として税金が安くなるということがあったのです。
それをやっていたのが拉致にも関係した張龍雲(チャン・ヨンウン)です。田中 実さん拉致についても証言しました。
北朝鮮の地下組織の洛東江というのがあり、1996年12月に『文芸春秋』で様々な活動を暴露しました。
その人が洛東江で何をしていたかというと、税務署に乗り込んで机を叩いて大喧嘩をして税金を負けさせる(減額させる)担当だったのです。負けさせた分を洛東江に寄付させて、韓国の地下運動に送っていたのです。
韓国でテロなどをやっていた組織にお金を送っていた、と書いています。私は1回会いました。その後、総連と喧嘩したり本を書いたりするのですが、ある時、「今、ある反総連運動をやっているのです」と言うのです。「何ですか」と聞いたら、「私が昔面倒をみていた総連系のパチンコ屋などに、総連に世話になるな、私に世話になりなさい。私が同じくらい安くしてあげるから総連に献金するのをやめなさい」という運動をしているとのことでした。
それを応援していいのかどうか迷ったのですが、総連にお金を払わないというのはいいことですが、日本に税金を払わないというのはどうかと思いました。
もう一つは朝銀信用組合に対する公的資金導入です。朝銀信用組合が破綻しましたが、企業融資を守るためということで公的資金がどんどん導入され、合計1兆4千億円になりました。
善意の預金者を保護するということはありうるわけですが、意図的に、返ってこないと思われるところにまで融資をして、焦げ付いてしまい破綻しました。破綻すると預金者保護ということで公的資金が導入されたのです。
これは『AERA』などが報じたことですが、何百万円とか何千万円という単位で総連の信用組合からお金を借りている人がいるのです。行ってみたら6畳一間で裸電球だけというところ。「借りてません」と言う。どうなるかというとその人が破産するわけです。しかも、(どう見ても)その融資を使ったとは思えないのです。どこに行ったのか。その分が補填されて、朝銀信用組合にお金がくる。
そういうことをやっていた時に、「厳格な法執行」となり、脱税については、京都と北海道と兵庫で朝鮮総連の商工会が税理士法違反で捕まっています。税理士の資格がないのに書類を作った。京都は野中(広務)さん(元官房長官)の地元のすぐ近くです。
朝鮮総連への不正融資については1兆4千億円の内、628億円を返還要求しています。そして破産したペーパーカンパニーとなっていますが、実態は朝鮮総連が借りたものとして裁判をしました。取引上の名義は違うが、実態は朝鮮総連だということです。
そして一審で勝ちました。勝った後、総連の財産を差し押さえて「返せ」となるわけです。全国の総連の中で、今担保に入っていないのは中央本部だけです。だから中央本部を差し押さえると言ったら、公安調査庁の元長官が出てきて、名義を変えるという話になったわけです。
ところが裁判所は、中央本部の所有者は朝鮮総連ではなく株式会社のものだから差し押さえることはできない、などと言って未だに差し押さえることができないのですが、一審は政府が勝ちました。二審になり、最高裁まで行けば、日本政府が総連を相手に民事訴訟を起こして総連の財産を全部差し押さえるということを今やっています。ここまでは安倍政権の時です。
◆鳩山政権は「厳格な法執行」を引き継がず
西岡/心配なのは、この「厳格な法執行」が鳩山政権に引き継がれていないことです。
6項目の方針を廃止してしまった。そして新たな方針を政府は出していない。では「厳格な法執行」をやめるのかどうか。
今年3月の総連と商工会の納税はどうだったのか。取締りが緩んだのかどうか。
裁判所は、「示談にしなさい」と言っています。民事裁判はお金を払えなければ示談になるわけです。日本政府は「示談にしない」と言って、中央本部を没収しようとしているのですが、鳩山政権はそれを続けるのか。「厳格な法執行」を続けるのか。
攻めの方法としては破防法(破壊活動防止法)がありますが、破防法はかなりハードルが高いものです。オウムにもかけられなかったのですから。監視の対象にはなっていますが、解散命令を出すのはハードルが高いのです。
それよりも、日本人と同じようにきちんと法律を守らせることです。それがこの4年くらいでやっとできるようになったのですが、それが(安倍政権以前に)戻っているかもしれない。そういうことについて厳しく監視していかなければなりません。
中井大臣が6項目方針をやめてしまったことについては大変不安を覚えています。しかし、中井さん自身は総連に対して厳しいことを言っていますから、ご質問の通り、中井さんに会う度に、こういうことについて問題提起をしています。
しかし、中井さんでない人があの席(拉致担当大臣・国家公安委員長)に座ったらもっとひどいことになるかもしれません。
総連からすれば、中井さんでない人、拉致議連系でない人があの席にいることがいいわけです。そういう微妙な、脱税の問題、朝銀の不正融資の問題をきちんと政府が、安倍政権のような形できちんと貫けるかどうかが焦点です。
その意味では石井 一さんとか、小沢一郎さんなど旧田中派、あるいは金丸派系(旧経世会)の人たちがいた時は「厳格な法執行」ができなかったのです。その人たちは今与党になってしまったということは、総連にとっては思う壺です。
石井さんが総連の大会に参加したという話でしたが、あの人は親朝派の代表みたいな人ですから、厳しく監視しないと元に戻ってしまうかもしれない。
(2)に続く