もずの独り言・goo版

半蔵ともず、gooでも独り言です。『もずの独り言』はこれからも戦い続けます。

【みんな生きている】統一部訪問編

2010-04-30 13:26:40 | 日記
家族会・救う会訪韓団の第2報です。北朝鮮は、韓国に対しても拉致問題の「部分解決」を働きかけてきた兆候が感知されたとのことです。



■朝鮮戦争休戦後の拉致被害者は508人
-韓国政府認定(訪韓報告2)-

家族会・救う会訪韓団は28日午前、韓国統一部を訪問して韓国政府の拉致政策に関して説明を受けた。
午後には自由北朝鮮放送スタジオで同放送の「西岡の拉致の話」番組の特別版として2時間の拉致特集の録音を行った。録音にはタイの拉致家族であるバンジョン・パンジョイさんと海老原智治・北朝鮮に拉致された人々を救援する会チェンマイ代表も参加した。
統一部では統一政策室離散家族課の具炳杉(ク・ビョンサム)書記官と面会し、韓国政府の拉致問題に関する基本的立場に関して説明を聞き、日本における拉致問題の現況と国際連帯の方途などについて話し合った。
具書記官は、韓国政府の拉致問題政策について次のように話した。

・拉致問題は国政課題であり、対北朝鮮政策の優先課題である。
・しかし、北朝鮮は拉致被害者の存在を否定し、自らの意志で北朝鮮に入った者(自進越北者)としている。
・そのためもあって、過去の(韓国)政権は離散家族の枠の中で扱ってきた。
・現政権は、根本的な問題解決が必要だと考えている。
・南北関係(協議)が再会すれば取り上げる。
・朝鮮戦争休戦後の拉致被害者は現在、508人が認定されている。2007年に戦後拉致被被害者と家族などに対する支援法が制定され、家族へ慰労金、8人の帰還被害者へ定着金、家族団体へ支援が与えられている。
・朝鮮戦争中には10万人以上拉致されたと推定されている。今年3月に、戦中拉致に関する法律が制定され、同法に従い真相究明と名誉回復が政府レベルで実施される。
・韓国政府は、実質的な解決法を取っている。北朝鮮との協議を通じて根本的解決を計ることだ。
・日本をはじめとする国際社会との協力は、実質的解決に助けになる範囲で行う。



◆北朝鮮、韓国にも「部分解決」働きかけ

なお、李明博(イ・ミョンバク)大統領は昨年、南北首脳会談に含まれるべき内容として

(1)核問題
(2)人道問題としての残留韓国軍捕虜問題と拉致問題
が進展しなければならないと明らかにしている。
玄仁沢(ヒョン・インテク)統一部長官も今年1月8日『朝鮮日報』紙に掲載されたインタビューで同じことを再確認している。
訪韓団が4月27日に面談した李美一(イ・ミイル)・朝鮮戦争拉致家族会理事長によると、昨年秋以降、韓国政府は北朝鮮と南北首脳会談開催に向けた水面下の交渉を続けてきたが、その中で、数人の拉致被害者と韓国軍捕虜を帰還させて問題を実質的に終わりにして、大規模の対北朝鮮支援を行うという取引が行われていた兆候が、関係者の発言などから感知されたという。
李理事長は訪韓団に
「日本でも2002年に一部の被害者だけを帰還させて問題を終わりにしようとしたことがあった。北朝鮮が考えることは共通している。
韓国家族会はショー的な少数帰還には強く反対する。
韓国海軍哨戒艇・天安の爆破沈没は心が痛むが、あの犠牲がなければ今年前半に拉致問題を終結させようとするびっくりショーが行われた可能性が高かった」
と警告した。
李明博政権が拉致問題を過去とは異なり、離散家族の枠の中ではなく、北朝鮮との協議により進展させるとしている点は、李理事長の指摘と平仄が合っている。
今後も韓国家族会と緊密な情報交換をしつつ、韓国政府の拉致政策を注視していきたい。

以上



※離散家族については過去の【みんな生きている】をご覧下さい。

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【みんな生きている】横田めぐみさん

2010-04-30 05:28:56 | 日記
北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさん(拉致被害時13歳)の小・中学校時代の同級生によるチャリティーコンサートが4月29日、新潟市中央区の県民会館で開かれました。
このコンサートはめぐみさんが通った新潟小学校・寄居中学校の同級生が企画し、小学校の校長だった馬場吉衛さん(88歳)の他市民約300人が訪れました。



※下校途中の女子中学生を袋詰めにして拉致するなんて、北朝鮮はろくなことをしない。

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【みんな生きている】西岡 力編(1)

2010-04-29 19:21:55 | 日記
下記は、3月31日に開催した「東京連続集会52」の報告です。
鳩山政権に対する朝鮮総連の政治工作が激化しています。総連が作成した内部文書には「日本の世論を北朝鮮に有利になるように変える」、「地方議員などの北朝鮮訪問事業を推進する」等の今年度の方針が明記されています。
「地方議員を訪朝させよ-総連の政治工作激化」というタイトルで開催された連続集会では、西岡 力・救う会会長が基調報告を行い、梅原克彦・前仙台市長、武藤政春・上尾市議(97年から救出運動参加)に報告を行なっていただきました。



■北朝鮮の世論工作-連続集会報告

西岡 力(救う会会長)

◆2002年に金正日(キム・ジョンイル)政権はなぜ部分的に拉致問題を認めたのか

まず、救う会が入手した「2002年小泉訪朝時の北朝鮮権力中枢部の動き」について報告します。これは3月28日の家族会・救う会合同会議で報告したものです。
2002年に金正日政権はなぜ部分的に拉致問題を認めたのか。これまで、このことについて色々な話を連続集会で話しましたし、色々な人が分析もしていますが、実際当時、平壌にいて、権力中枢部にいた人たちが少しずつ、今ソウルに来ています。今韓国には約2万人の脱北者がいますが、その中には権力中枢部にいた人たちも混じっています。
12月の国際会議の準備も含め、これまでずっと情報収集をしてきたのですが、今の段階で公開の席で言えることは以下のことです。
日本側は2002年の小泉訪朝前の実務者交渉で、「国交正常化すれば100億ドル以上の支援をする」と約束していました。これについては、櫻井よしこさんが一昨年の国際会議を踏まえて『週刊新潮』に書いたものに対し、小泉総理は「そんな約束はしていない」と抗議されましたが、当時北朝鮮にいた4人の元幹部(朝鮮労働党統一戦線事業部元幹部・同35号室元幹部・人民武力部幹部・貿易省元幹部)が当時、「100億ドルと聞いていた」と言っています。
安倍さん(晋三元総理)からは、「平壌での会談ではそういう話は出なかった」と聞いています。しかし、それ以前の実務協議の中で何が話されたのか。それに関する一部の資料が残っていません。安倍さんはそれを見られる立場になって、「持って来いと言ったら、なかった」と言っていました。
北朝鮮では「100億ドル以上」提供されるという話が日本側からあったとされていたそうです。ただし現金ではなく、プロジェクトへの資金提供という形であったといいます。そこで金正日が、国家計画委員会などに「プロジェクトを作れ」と命令したそうです。
国家計画委員会が作ったプロジェクトの中には、全国の鉄道複線化があり、一方、金正日の妹の金敬姫(キム・ギョンヒ)・朝鮮労働党軽工業部長は「平壌の百貨店に日本製品を積み上げよう」というプロジェクトを作った。
そのカネを取るために、金正日は北朝鮮の外務省に「小泉首相を平壌に連れて来い」という命令を出した。しかし、日本側が「拉致を認めなければだめ」と言っているとして、北朝鮮の外務省は「拉致を一部認める」という進言をした。統一戦線部という工作機関は「金正日の権威に関わる」と部分認定に反対した。しかし、金正日は部分認定をするという決断をした、とのことです。
この流れを見ると、北朝鮮は本当におカネが欲しかったということです。しかし、「拉致したのは13人だけで、5人を返すが8人は死んでいる」という、我々が問題にしているシナリオは誰が書いたのか。
外務省ではないと思われます。拉致被害者に関する秘密の具体的な情報にタッチできないからです。統一戦線部は反対したので関わっていない。とすると35号室か対外連絡部ではないか。
我々の目標は、嘘のシナリオを書いた人間が、「お前のやり方は間違っていた」、「5人返せばカネが来ると言ったけど来ないじゃないか」と金正日から追求され、責任者を更迭させることです。そして、別の部署や別の人間に「8人死亡」以外の新たなシナリオを作れと、金正日が命令を下すようにすることができるかどうかです。
金正日の決裁をもらった人は必死で、「日本人はこれで騙されます」、「世論は絶対静まります」、「だから5人だけ返せばカネを取れます」と言った筈です。
ところがカネは来なかった。彼らの国で左遷されるということは、もしかしたら物理的生命にも関わることです。
金正日は拉致を認めた後、朝鮮労働党中央の幹部に内部資料が配られた。そこでは「金正日将軍様の決断に小泉が膝を屈して100億ドル以上の賠償金を約束した。ただし、日本が韓国から再要求出ると困ると何回も頼んだので、韓国を孤立させ日本を包摂する次元で受容し、戦争賠償金という表現を削除した。多くの幹部らが拉致認定について将軍様の権威を心配した。しかし、将軍様は『千里眼の叡智』『白頭山の胆力』で果敢に認定された。それによって小泉が無限感動し尊敬を表示した」ということが書いてあったそうです。当時それを読んだ人の証言です。
ところが、国交交渉は進まず、拉致問題ばかりになってしまった。金正日は「外務省ではだめだ」ということになり、統一戦線部に「お前たちの言ったことが正しかった。拉致を認めない方がよかった。外交も工作だ」と言ったのです。それで、統一戦線部が対日政策を担当するようになった。
統一戦線部では「横田早紀江の影響力が問題だ。早紀江の影響力をこれ以上拡大しないよう、早紀江が純粋に娘を求める母親ではなく、“政治的な人物だ”としてキャンペーンをしよう」としたそうです。
ところが履歴を調べると政治的な経歴が何もない。しょうがないので、「右翼に利用されている愚かな母親」というイメージで宣伝することになったそうです。
ここまでのことが複数の情報筋から伝えられましたので、ほぼ間違いないと思っています。
以上のことから言えることは、「100億ドル以上の資金というのは、金正日にとって、拉致の部分譲歩を行うほど魅力的だった」ということです。北朝鮮は2002年に比べれば、今もっと経済が苦しくなっていますので、「100億ドル以上の資金」というのはもっと魅力的だろうと思われます。
そして今度は統一戦線部など工作機関を使ってくるだろうと思われます。彼等は2002年の段階で、「世論が問題だ。世論の中心は家族会で、家族会の中心に横田早紀江がいる」と分析しています。従って、家族会攻撃、また「サポーターの救う会は右翼だ」という攻撃をしてくる、あるいは横田家に対する様々な工作をかける可能性がかなり高いと思われます。
これは既に国会で議論になったことなので申し上げますが、衆議院の拉致問題特別委員長の城島さんという民主党議員が12月に横田家に来られて、キム・ヘギョンさん(めぐみさんの娘)に会いに行くという問題で、「どういう考えをもっているか」と聞いています。また、1月には横田さんに有名なブローカーがヘギョンさんのことに関する手紙を出しています。
蓮池 透さんは昨年、全国を廻って「横田さんたちを平壌に送ればよかった」と言っています。これらの横田家攻撃の背後に北朝鮮の工作がある可能性は高い。
しかし、そういう工作を我々が撥ね返すことができれば、金正日にとって100億ドル以上のおカネは大変魅力的ですから、「8人死亡のシナリオではだめだ。世論が動かない。新たなシナリオを書け」ということが、金正日政権の間に起こる可能性もゼロではない。金正日は今病気なので、あるいは金正日が急死した後の後継政権が「100億ドル以上のお金が来るのであれば全員返そう」ということになる可能性はより高い。
しかし、彼らにとって一番いいシナリオは、日本が「8人死亡、それ以外の被害者なし」を呑むこと、そしてお金が来ることです。2002年のシナリオです。対日世論工作で、どちらが勝つかによって今後の展開が変わってきます。今後金正日政権は、日本に激しく工作を仕掛けてくるだろうということが、現在の分析の結論です。



(2)に続く。

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【みんな生きている】西岡 力編(2)

2010-04-29 19:19:24 | 日記
◆北朝鮮が総連を通じ民主党政権工作、日本の世論工作を指示

次に、朝鮮総連に対する北朝鮮の指令について報告します。これは『産経新聞』にも何回か報じられたことですが、私も同じ情報を入手しています。
昨年7月、総選挙の2ヶ月くらい前ですが、北朝鮮は朝鮮総連に対し民主党政権ができるだろうとの前提で、「民主党に対する工作活動を活発化せよ」という指令を出しています。
特に、「労働組合を通じた工作をせよ」という指令が出て、9月の朝鮮総連の全体会議で許宗萬(ホ・ジョンマン)責任副議長がその趣旨の報告をしています。
そして9月17日、これは北朝鮮が拉致を認めた日ですが、この日に朝鮮総連の青年組織のメンバー50人が国会議員会館前に現われて、制裁解除の街頭行動をしています。
2002年9月17日に金正日が拉致を認めた時は、朝鮮総連はパニックになり謝罪を出しましたが、7年経った昨年には拉致のことを一切言わずに、「制裁は非人道的」というキャンペーンをし、「早く国交正常化すべき」とを国会前にまで出てきて堂々と訴えている。
10月には1,000人規模の集会を日教組の会館である一ツ橋ホールで行いました。それに対し我々は反対の意思表示を示すアピールを道路の反対側で行いました。許宗萬が偉そうに車から降りてくるところを見ました。よく見ると、動員されていたのは朝鮮学校の学生が大部分でした。朝鮮学校の高校生は青年同盟という政治組織に入ります。政治活動をするのです。そういう高校に税金で支援をしていいのかという問題があります。
そして12月28日に、朝鮮総連は、「総連の2009年事業総括、2010年主力課業について」という文書を出しました。これを救う会は独自に入手しました。様々なことが書いてありますが、その中で、民主党に対する政治工作について書いてある部分を翻訳しました。
2009年事業総括では、「日本当局が共和国敵視政策と不当な『制裁』で万景峰-92号の入港を禁止」してきたと「不当」と言っています。拉致問題も理由で制裁をしているのに、彼らにとっては今の制裁を「不当」と言っているのです。
また、「在日同胞短期祖国訪問実施30周年を迎えた2009年に本部と支部、団体の代表団、訪問団として2,446名の活動家と同胞、青年学生」が北朝鮮に行ったと書いています。これは在日朝鮮人2,446名が北朝鮮に行ったということです。
今日本政府は、朝鮮総連の幹部6人だけに北朝鮮に行けないような制裁をかけていますが、それ以外の人は自由に行けるということです。そして、「祖国を訪問した活動家と同胞は敬愛する将軍様の現地指導の場所を大きな感動の中で参観し、祖国人民の英雄的な思想精神世界と奇跡的創造物に接して偉大な将軍様がいらっしゃる限り必ず勝つという信念と強盛大国建設勝利は確定的だという確信があふれた」とあります。
次に日本について総連は「日本の政権が交代された新しい状況に対応して民主党の中央と地方の有力人士、与野党の国会議員との事業を進め、朝・日平壌宣言に従って国交正常化を促し、共和国(北朝鮮のこと)に対する“不当な制裁”を撤回させる社会的世論を造成し、朝・日民間交流事業としては40の訪朝団が共和国を訪問した」と書いています。「事業」というのは工作のことです。彼らは昨年、民主党の議員等に工作し40の訪朝団を送ったと自賛しているのです。
さらに、「中央と各地方自治体では政界と言論界、労働団体をはじめとする各界に親朝勢力を再構築・拡大させ、日本当局の反共和国・反総連策動と在日同胞に対する反人倫的行為を反対糾弾していき、総連本部と支部、学校では地域密着の対外行事を多様に組織して朝・日有効の雰囲気を造成した」とあり、「学校」とはっきり書いてあります。彼らの民族学校は政治活動の主体なのです。
このような工作を民主党政権になってからやったと書いてあるのです。そして拉致のことは何も書かず、「制裁は不当」と言っています。拉致と核・ミサイルが理由で国際社会は制裁をかけています。その理由をなくせば制裁は解除されます。そのことを一切書かないで「反人倫的」等と言っています。
そして今年の主力課業ではこう言っています。「総連は日本の連立政権が対朝鮮政策を転換し、我が国に対する“不当な制裁措置”を撤回して朝・日平壌宣言に従い、過去の清算に基づく国交正常化に本格的に乗り出すように積極的に事業を行う。総連は日本の社会世論を共和国に有利なように変えていくための対外政治宣伝事業と学界・言論界の有力人士との事業を展開する」と。言論界、すなわちマスコミにも工作すると言っています。
さらに、「中央と地方に展開する親朝団体・連帯性団体をより幅広く影響力のある組織に強化し、執権与党の支持母体となっている労組組織と社会団体との連帯をより深めていく」。執権与党とは民主党のことです。
「各政党と議員連盟、地方自治体議員等政界をはじめとする各階層別代表と様々な親朝団体の我が国訪問事業を積極的に組織・推進する」。去年は40の訪朝団を組織したが、今年も多くの訪朝団を組織するということです。特に、訪朝団に組織する対象として「地方自治体議員」とはっきり書いてあります。
「総連各組織は地方ごとに地域密着の対外活動をより活発に展開し、多様な朝・日友好行事を各地で旺盛に組織・進行させる」。こういうことを言いながら拉致のことには一切触れていません。「拉致は解決済み」として「日朝国交正常化を進めて各地で制裁を解除する世論作りをせよ」という指令が総連に来ているということです。
我々は、「それは通じない」ということを各地で北朝鮮に知らせなければならないのです。こちらの政策を変えるか、向こうの政策を変えるかは日本の世論がどちらに動くかにかかっています。
私は、このことを家族会・救う会の合同会議で報告しました。だからこそ毅然たる態度で制裁の強化を求め、家族の人たちと一緒にデモ行進をすること等を決めました。
では次に梅原克彦・前仙台市長にお願いします。
梅原前市長は市長になる前は中央官庁の公務員でしたが、その頃から様々なことで助けていただきました。



梅原克彦編に続く。

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【みんな生きている】梅原克彦編

2010-04-29 19:16:53 | 日記
◆金剛山歌劇団を拒否できない自治体の現状

梅原克彦・前仙台市長

平成17年8月から昨年8月まで、人口100万人の宮城県仙台市の市長をしていました。
自治体の首長の立場からすると、「北朝鮮がこういうことをやっているんだなあ」と改めて思います。日本の地方自治体は市が700以上あり、市町村全部合わせると約1,700あります。朝鮮総連はこの自治体にいろいろな形で攻勢をかけています。それを首長として体験したことをお話します。
これまで救う会には直接・間接的にいろいろなお手伝いをしてきましたが、市長として何が出来るかを自分に問うてみました。拉致問題は極めて深刻な人権侵害であり、また日本国の国家主権に対する極めて重大な侵害です。それに対して、自治体の首長として出来ることがあります。
朝鮮総連には、文化交流を担う部局があります。そして、金剛山歌劇団というのが日本の至る所で1年中公演をしています。仙台市にも毎年1回、金剛山歌劇団がやって来ます。
仙台市民会館は市民の税金で作られており、市長が市民からお預かりした税金で運営している施設ですが、残念ながら現状では金剛山歌劇団から使用申請があると貸さざるを得ない状況です。
市長当時、申請があり窓口の職員がマニュアル通り使用許可を出しました。その報告が上がってきたので、私は「直ちに使用許可を取り消せ」と言いました。職員も私が言っていることは理解しますが、「だけど市長、これを取り消すとなると裁判沙汰になります」と。
私が「ならば裁判をやってみよう」と言ったら、「実は数年前岡山県で似たような事案があり、高等裁判所まで争って負け、使用許可を出さざるを得なかった」と言うのです。それで判決(判例)を取り寄せて読んでみました。(裁判に勝つのは)そう簡単ではない、と思いました。
日本国憲法第21条に「表現の自由」というのがあります。主催者が誰であろうと、どういう目的であろうと、文化交流という文化的表現の場合、使用を許可しないわけにはいかないのです。
使用許可を取り消すという仙台市の処分に関して、「取り消しを取り消せ」、つまり「使わせろ」という仮処分の申請がなされました。
仙台地裁と高裁で争いましたが、仙台市の主張は認められず、今日に至るまで使わせざるを得ないことになっています。
北朝鮮と違って日本は民主主義の国です。けれどもどこかおかしい。
本末転倒だと思いませんか?
チケットを売った代金や寄付が、何らかの形で組織的に北朝鮮に送金され、それが工作機関等の資金源や核開発に使われる。国はいろいろな制裁措置をかけていますが、このように地方からおカネが流れています。
次に、市民やマスコミがどういう反応を示したか。
地元紙は県内版で「人権を無視した市長」と報じました。
北朝鮮の工作機関にさらわれた若者や中学生(横田めぐみさん)は重大な人権侵害をされました。あらゆる手段で救い出すべきです。私も市長として出来る限りのことをしようと考えました。
苦しいけれど、いろいろな法律論を組み立てて裁判所で争いました。岡山では負けたかも知れないけれど、仙台では勝つかも知れない。それでやってみました。
その努力をしている仙台市長に対して、「人権を無視した市長」と書いたのです。この記事は大事に取ってあり、額縁に入れて保存しています。いつの日か拉致問題が全て解決した日に問題提起しようと思っています。
また、外国人地方参政権法案には私は反対です。それはそれ、これはこれで、参政権は国家の基本に関わる問題です。地方自治体では、首長でも議員でも朝鮮総連からいろいろな攻勢をかけられて、ごく常識的なまっとうな反応をした途端に次の矢が飛んで来ます。仙台だけが特別ではないようです。
インターネットで見ると、札幌市では金剛山歌劇団の団長や俳優が市長室を訪問しています。これには驚きました。これが残念ながら実態です。
仙台では毎年8月6日から8月8日まで七夕祭りがあります。飯塚代表も、横田さんも、増元さんも、有本さんも来て下さっています。私も一緒になって竹竿に短冊を付けます。
すると観光客の方々が、「飯塚さん頑張って下さい」「横田さん頑張って下さい」と声をかけます。ありがたいことですが、私は心の中で叫んでいました。「頑張って下さい」はその通りですが、拉致問題は「頑張って下さい」ではなく、みなさんお一人お一人の問題で、日本人全体の問題なのです。私たち一人一人が、拉致被害者の救出のために何をやるか。あらゆる手段を通してやっていこうではありませんか。
また、お住まいの自治体で首長や議員さんが拉致問題で何をやって来たか、じっくり見ていただいて(統一地方選挙で)選んで欲しいと思います。



武藤政春編に続く。

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