Larry Graham&Graham Central Station

2006年05月29日 | FUNK
====Larry Graham&Graham Central Station/My Radio Sure Sounds Good To Me====

以前5枚めまでのアルバムを紹介したが、メンバーも変わりグループ名もLarry Grahamを冠につけてリニューアルしたGCSである。この6thアルバムは商業的にはR&B#18とまずまずであったが、正直内容的には2nd~5thには全く及ばない。日本ではA-1を飾る"Pow"に人気が集中した。当時の日本のBassistはこれを聞いて度肝抜かしたものだ。はじけると言うのはこの事をいうのであろう、超強烈なBassラインである。Larryの右手はもちろん凄いが、実は左手にそのGrooveの秘密があるのだ。曲中にはオペラ風、バロック風、カントリーFUNK風とコミカルな場面もあり、新メンバーNathanのSynthソロに続きLarryのBassソロになるが、特別なことは一切やっていないがかっちょ良すぎる!この曲だけでもこのアルバムを聞く価値があるだろう。

A-2はアカペラ始まりのポップなナンバーLarryの奥方TinaのCuteなヴォイスをフューチャーした"My Radio Sure Sounds Good To Me"はかなりポップな仕上がり。

A-3はこのアルバムから新参加のGemi TaylorのEarnie Isley風Guitarをフューチャーしたバラード "Is It Love"。正直曲としては並以下かな?Gemiは日本に在住(今もいると思う)、10年ちょっと前にセッションしたことがある。小柄で気さくな人だった。Soul Trainで見たことを言うと『その話はやめてくれ』と照れていた。Guitarを置いてLarryと踊っていたがどうやら無理やりやらされたようだ。多分派手な衣装も恥ずかしかったのかな?

A-4の"Boogie Whatcha Baby"はミディアムどFUNK曲。ボーカルがオクターブユニゾンで歌われるかっちょいい曲である。

B-1めはコミカルなインディアン風FUNK "It's The Engine Me"。このBassラインもシンプルながらも簡単ではない、Fuzz Bassも健在。
B-2はBassソロから始まるミディアムFUNK "Turn It Out"。最初のBassソロの拍のとり方が当時話題になったかっちょいい曲。ちょっとSlyの "Africa Talks To You..." を思い起こさせる曲だが、それはGuitarのフレーズであろうか。畳み掛けるようなアレンジはかっちょ良すぎる!Powとならぶ好FUNKだ。

B-3の"Mr Friends" ちょっとGospel風のナンバーであるが、今までのLarryならA-2やこのような曲ではこんなにSlapを強調しなかったのに... このあたりがこのアルバムが良くない要因ですな。 

アルバムラストは "Are You Happy?" 楽しげな曲である。SamのOrganはシンプルだがいいねえ、こういうプレイを生かす場が少ないのが残念である。

     ========= Star Walk ==========

このアルバムがGCS最後のアルバムである。チャート的にもR&B#44と不調に終わっている。内容も前作よりさらに不調である。LPしか持っていないため現在聞けない状態である。

A-1は "Foxy Lady" でこのアルバムの中では一番良い出来である。シングルカットされR&B#37まで上っている。4thアルバム収録の"Entrow"を思わせるGroove、Sly時代の盟友Jerry MartiniとPhilly SoulのKeyb.&アレンジャーRon KerseyのHornアレンジがまたかっちょ良い。以前Jerryが結成した"Rubicon"を紹介したが、1st収録の "Cheatin' にHornアレンジがそっくり!

A-2のタイトル曲"Star Walk"、Marvin Gayeの"Got To Give It Up"に触発されたのか、Larryはファルセットリード、Anarog Synthを使用したテクノFUNKに仕上がっている。GCSもディスコの波に押されどんどんつまらなくなっていった。

悲しいかな70's終盤はFUNKバンドにとってヘビーな時代であった。しかしLarryはしたたかであった。この後ソロに転向、甘~いバラードナンバー"One In A Million You" がR&B#1/Pop#9まで上る大ヒットになる。Sam Deesと言う知る人ぞ知る名作曲家の作品。南部出身のSamはSingerでもあり数枚のアルバムも出している。

今年還暦を迎えるLarry Graham、数年前に元PRINCEのプロデュースで “ GCS 2000 "を発表、タイトル曲だけであるがSlyのオリジナルメンバーCynthia Robinson(Tp.)、Jerry Martini(Sax)、BabyfaceことGaile Muldrow(g&vo.)、Robert Sam、GCSの末期メンバーWilton Rabb(g)を迎え、新GCSとしてレコーディングしている。PRINCEのツアーに参加したりまだまだ元気なところを見せてくれたが、これからもそのGrooveでしびれさせて欲しいものだ。