危険なプロレス技

2006年05月23日 | 格闘技
プロレス技は派手でなければならない。そして投げ技では投げられる側がいかにきれいに投げられるか、逆にダメージを受けないように受けられるか、”受け”が重要だ。これはジャンボ鶴田の巻でも述べたが、いくら日頃鍛えている頑丈な彼らでも危険なものは危険なのである。

最近東京スポーツの格闘技欄にWWE21世紀の必殺技という特集が組まれている。        
パワーボムやバックドロップ系の技は受ける側の頭や首にかなり負担がかかり、どんなに受け身を上手く取ってもダメージが蓄積されていくらしい。早死にするプロレスラーが多いのはステロイド等の影響ばかりでなく、過激な技の後遺症のよるものも多いのである。
     
     =====ダイビングヘッドバット=====

今回は受ける側ではなく、仕掛ける側の負担が大きいのがダイビングヘッドバットである。古くはタイガーマスクとの抗争で有名であったダイナマイト・キッドが有名である。彼は後遺症で頸椎を痛め現在車イス生活を送っている。四年前に自伝を出版したらしいが是非読んでみたい。

それよりも大先輩である元NWA王者ハリー・レイスは昨年自伝本を出して、この技を使い続ける事が非常に危険であることを訴えている。

そして現役で使い続けているWWEのクリス・ベノワの首はすでにボロボロの状態らしい。しかし彼はこの技にこだわっていて、ダイビングヘッドをやめる時はレスラーをやめる時と決めており、さらに使い続けるつもりだと言う。確かに彼のように小
柄な身体でWWEのトップを張って行くにはこのような捨て身の他にレスラーの出来ない事をやっていくしかいくしかないのかもしれない。彼は以前新日本プロレスでペガサス・キッドとして活躍、先日亡くなったエディー・ゲレロも二代目ブラックタイガーとして新日マットに上がっていたが、彼の二の舞にならないように気をつけて欲しい。悲しいニュースはたくさんだ。

総合格闘技もかなり危険であるが、これでプロレスラーもマジで身体を張ってリングに上がっていることが解るであろう。

      =====ムーンサルトプレス=====

今度は頭ではなくヒザであるが、現在全日本プロレス社長、武藤敬司を代表とされるムーンサルトプレスは彼の選手寿命を脅かすものとなった。彼のヒザは数年前からすでにボロボロである。新日プロ時代にシャイニングウイザードという新技を開発してムーンサルトを封印、ここぞというビッグマッチ以外は出さなくなった。

ノアの絶対王者、小橋健太は以前全日プロ時代にこぶしを握りしめてからのムーンサルトを乱発していた。その後遺症で両ヒザの手術を余儀なくされ、長期欠場に追い込まれた。武藤も小橋は日本人レスラーとしてはかなり大型、110kgを越える体重があるためヒザの負担はジュニア戦士の比ではないだろう。

新日の天山広吉は両方の使い手。ムーンサルトは下手くそなため相手に怪我させる事も多いのと、多分ヒザ温存のため最近はやらなくなった。ダイビングヘッドは彼のキャラクターからしてきっとやめるわけにいかないだろう。プロレスラーはボクシングやキック等の打撃系や総合格闘技から比べ選手寿命が長いが、身体を張っているという意味ではそれ以上かもしれない。

私はPride発足以来総合格闘技にハマっている。それとは両極であるデスマッチ王であったカリスマプロレスラー、大仁田厚は彼らとはまた違う意味で身体を張っていた。1000針のキズはそれを物語っている。あそこまでやった彼を誰が否定できるであろうか?日本一のバカではあるが...
現在は大日本プロレスで大仁田の残したデスマッチというプロレス文化が引き継がれ、蛍光灯マッチ等の新しいアイディアが盛り込まれ机イスは当たり前、流血が無い会場はないのである。総合格闘技ファンから見ればホントばかばかしいかも知れないが、私は彼らをリスペクトする。昔プロレスラーはとにかくでかい人、というイメージであったが、素人に絶対出来ないことを身体を張って見せる勇者(馬鹿者)たちなのだ。

そこには勝敗を越えた感動がある。