全国医学部長病院長会議(AJMC)は2018年10月16日、緊急記者会見を開いた。18年10月13日に大学医学部入学試験制度検討小委員会を設置したことを受けてのもの。検討小委員会の委員長には嘉山孝正山形大学医学部参与が就き、1カ月以内にアドミッションポリシー(大学入学者の受け入れ方針)の基準を示し、文部科学省と連携しながら入試の透明化を目指す。
18年7月に東京医科大学での入試不正が問題になった後、文科省は全国の医学部を対象に入試の状況を調査。昭和大学でも多浪生に対して不利に、また同窓生の子に対して有利になるよう操作をしていたことが明らかになった。
これを受けてAJMCは小委員会を設置し、性別や浪人の回数、内部進学、地域枠など、様々な属性を持つ受験生の入試での公平性の担保について検討していく。13日に開催された初回の委員会では、それぞれの属性に関する問題を誰が担当するかについて議論されたという。
委員長の嘉山氏は記者会見の席上、「入試の一番の眼目は国民にとっていい医療人になりうる人材を見いだすこと」と強調。「受験生から見てアンフェアという選抜方法は募集要項に示すべきだ」とした。
また、嘉山氏は「一部の人が私腹を肥やすような入試は認めないし、アドミッションポリシーの行き過ぎは許されない」と明言する一方で、目指すのは「イーブンではなく、フェアな試験規定」(嘉山氏)で、女性や多浪生の扱いについては、東京女子医科大学で女性のみが入学していることが社会的に認められていることや、過去の高齢の医学部受験者のことを例に引きながら、「今後小委員会で議論する」として言及を避けた。明示すれば許容されるかも含めて、今後改めて議論することになる。
試験基準を1カ月以内に示した後、文科省と連携してさらに議論を進め、各大学への順守を求めていく。ただし、既に来春の入試については入試要項が発表されているため、次年度以降の入試に当該基準を反映させることを求める。
なお、小委員会の委員長の指名はAJMC会長の専権事項。嘉山氏が着任したことについて、AJMC会長の山下英俊山形大学医学部長は、「嘉山氏は、スチューデントドクター制度を作ったり、医学教育に対してリーダーシップを取ってきた。AJMCの教育委員会の委員でもあり、その見識をもって選んだ」と話した。