東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

麦の肥料効果の確認、陸稲と水稲の違いについて

2013年05月15日 | 麦,穀類,雑穀

 去年陸稲を栽培した時、思っていたよりも収量が上らず雑草だらけになりました。いくら雑草を取って日当たりを良くしてもさっぱり陸稲は成長してくれません。その同じ畑に秋、小麦をまいてみました。そして、肥料を施さなかったり、時期を変えて施してみました。すると、劇的な施肥の違いが出ました。もともとこの畑は肥料分が少ないため、しばらくは堆肥を施したりして畑を肥やす必要がありそうです。
 下の麦はオートミール(裸性燕麦)です。左下の丸は1月頃に施肥しました。次の丸は、今まで全く肥料を施していません。そして、その次の丸は一か月前の4月だけ肥料を施したものです。肥料を施すと、オートミールの背の高さと葉色に明らかな違いが出ました。さらに、肥料を施す時期も大切であることが分かります。

      肥料を施したり施さなかったり、肥料を施す時期を変えてみたオートミール


 これらの施肥の効果は、農業する人には当たり前のことです。5年前にも肥料の効果を確かめましたが、山口県に帰ってから我家の畑の貧相な状況を確認しました。特に麦は肥料の効果があるようです。ある本に「麦は肥料で取る。」と書いてありましたが、まさのその通りのようです。
 その点、水田は肥料をやらなくてもそれなりの収穫があります。これまで、東京で10年以上水田でお米を作りましたが肥料を施したことがありません。毎年無肥料で楽しくそれなりの稲刈りをして子供達にも収穫を楽しませることができました。傍の森から落ちる大量の落ち葉や上流から流れる来る何らかの栄養が稲を育てているようです。古代から水田で熱心にお米を作る意味が良く分かります。

大学生の田植え体験(3年前、東京八王子市で私が主に管理していた田んぼで)


 下は小麦です。1月頃に薄く全体に肥料を施した後の追肥の効果を測りました。左の丸は3月中旬に追肥した小麦、隣りの丸は追肥を全くしなかった小麦、右の丸は4月中旬に追肥した小麦です。やはり、追肥しないと葉色が薄いことが分かります。少なくとも我家の畑では、12~1月に施肥して、3月頃に追肥することが適切のようです。

        左から、追肥を3月にた小麦、追肥しない小麦、4月に追肥した小麦


 去年から今年にかけて、陸稲と水稲の違いを体験しました。陸稲は除草,日照り,そして防鳥対策の三つの対策が必須です。さらに施肥や連作障害も考慮する必要があります。去年の夏、陸稲を栽培していて一番苦労したのは除草です。暑い炎天下の草取り作業は過酷です。このため、雑草を手刈りするのではなく、ある程度機械刈りを考慮した畝構成にすることが必要です。去年雑草に負けてしまい収穫を諦めた陸稲畑がありました。また日照り対策が陸稲にとって必要です。少なくとも緊急に水が施せるタンクやホースは必要だと思いました。防鳥対策も侮れません。

 一方、八王子市の水田で稲を栽培していて一番大変だったのは防鳥でした。夏に防網を張るのは汗だくで大変でした。また使った網を次年のために仕舞うのも大変でした。しかし、雑草対策はほとんどしなくても済みました。水田では、水深を10cm以上に保っておけばそれほど雑草に注意する必要がありません。強いて言えば、コナギとヒエに気をつけるくらいのものです。さらに川が近くにあれば日照り対策も全く必要ありません。さらに水田は、施肥しなくてもある程度収穫でき、連作障害は全くありません。収量も水稲の方が良いです。古来より陸稲ではなく水稲が盛んになった理由がよく分かります。

      毎年大変だった、真夏の防鳥網を張る作業(撮影2010.8.28)


 しかし、我家には畑しかないので今は陸稲を作るしかありません。苦労の連続の陸稲作りですが、なんとか効率的に栽培を続けようと思います。苦労して作った陸稲の白米、とても美味しく感じます。我家だけの美味しいお米の味です。

   1月に一度だけ施肥した小麦、葉色が薄いもののそれなりに育って一安心

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