創作小説屋

創作小説置き場。BL・R18あるのでご注意を。

月の女王-31

2014年09月29日 21時00分00秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
 香の頭上にイズミ、右手側に白龍、足元にアーサー、ミロクをはさんで左手側にクリス。
 忍の言うままに移動する。

「四神の配置、だな」
「皆さんの力を最大限に引き出せるはずです。・・・・・・ではお願いします」

 忍の合図で、4人は一斉にオーラを放出した。
 天井に向かって光が集まっていく。

(わあっ進んだ!)
(え、これ天井当たらない? すり抜けるの?! 大丈夫?!)

 白龍とイズミの元に、香とミロクの声が聞こえてくる。

「どうなんだ?」
「上手くいっているようです」

 天井を見上げながら白龍が言う。香たちの声を聞くことのできないクリスには不安しかない。ひたすら上に向かってオーラを放出させるだけだ。

「何て言ってる?」
「その月のようなものに近づいていっているようです・・・・・・え?」
「香?!」

 イズミが叫んだ。

「香!! 大丈夫か!」
「姫?!」
「どうした?!」

 顔を見合わせる白龍とイズミに、クリスががなりたてる。

「なんなんだよ?!」
「通信が・・・・・・途絶えた」
「え?!」
「届かない、月が消えた・・・・・・と」
「なに?!」

 顔面蒼白になる。ベッドの上の二人はピクリとも動かない。

「香!香!おい!戻ってこい!香!」
「香!」

 クリスとイズミの必死の叫びがこだまする。

 近づいてきたと思われたその月に似通った<何か>は姿を消していた。
 部屋の中は通常の月明かりのみの薄暗さに戻っている。

「香・・・・・・っ」
「う・・・・・・・・・」

 何度目かの叫びで、香の瞼が微妙に動いた。

「香?!」
「ん・・・・・・」

 ゆっくりと瞳を開ける香。一瞬クリスの方を向いたが、すっと視線をそらした。
 え?と驚いたクリスには構いもせず、何かを探すように視線を泳がせると、白龍の後ろにいた忍の姿を見つけ、手を伸ばした。

「忍兄さま」
「え」

 一同目を剥く。

「僕・・・・・・もう少しでお月さまに行けそうだったんだけど・・・・・・あれ?声が変?」
「香・・・・・・」

 はっとして、クリスがミロクの体を見下ろす。まさか・・・・・・

「ん・・・・・・・・・」

 ミロクがゆっくりと目を開け、身を起した。

「あれ・・・私・・・・・・どうしたんだっけ・・・」
「まさか・・・・・・香・・・・・・か?」

 クリスがベッドに腰掛け、ミロクの両頬を囲み自分の方に向かせた。
 ミロクがかあっと赤くなって、思い切りその手をはじき返す。

「な、なにするのよっ」
「お前・・・・・・香だな?」
「はあ?! 何言って・・・・・・、あれ?声が・・・ん?手が・・・・・・」
「あれ・・・・・・僕?」
「え?」

 ミロクと香がお互いを見つめあい・・・・・・

「えーーーーーーー!!」
 部屋中に響き渡る悲鳴を上げた。

***


「もう少しで月に手が届くってところだったんだけど・・・・・・」

 説明を促され、香の姿をしたミロクが、懸命に思い出しながら話している。

「下からくる光が足りなかったんだよ。で、届かないーーってバタバタしてたら、いきなり月が消えちゃって・・・・・・で、わーーーって落ちてきて・・・・・・」
「入る体間違えちゃった、と・・・・・・? ドジだなーーーー」

 呆れたように言うクリスに、ミロクの姿をした香がムッとして言う。

「だいたいあんたが悪いんじゃないのよ。あんな風にわーわー呼ばれたらそっち目指しちゃうでしょ!なんで私の隣にいなかったのよ!」
「いや、それは、四神の配置といって・・・・・・。ごめん」

 素直にシュンッと謝られ、拍子抜けし、逆に凹んでしまう。

「ごめん八つ当たり・・・・・・間違えたのは私だし・・・・・・」
「ううん。僕も忍兄さまの気配を頼りに下りちゃったから・・・・・・」

 香の姿をしたミロクもしゅーんとしている。

「なぜ・・・・・・失敗したのでしょう?」
 白龍が忍を振り返る。忍は真田に合図を送ると、

「検証してみましょう。映像があります」
「は?!映像?!」

 驚く一同の前に、ガラガラとモニターが運ばれてくる。

「無断で申し訳ありませんが、ずっとこの部屋の様子を撮影させていただいていました」
「・・・・・・・・・ホントに」

 手の平で転がされてるんだな、オレ達・・・。とクリスがポツリとつぶやいた。


***


 映像は12時からはじまった。
 香が手を組み、オーラを放出させはじめると、ミロクの体からふわりと白い物体が浮きあがってきたのが確認できた。
 その後、香自身もイズミの腕の中に倒れ、白い物体となって宙に浮かびはじめる。

「月の姫の第二の予言の能力とはこのことだったのでしょうか・・・」
「おそらく・・・・・・そういうことになりますね・・・・・・」

 用心深く忍が肯く。

「すごい。これ特殊なカメラなのか? オーラが写るなんて・・・・・・」
「いえ、普通のカメラです」

 クリスの質問に真田が気真面目に返答する。

「あいにく私には皆様の姿しか見えません」
「えっそうなんだっ」

 驚くクリスに、香(ミロクの姿)がふと気がついたように、

「あれ? そういえば、あんたもオーラ見えない人じゃなかったっけ? リンクスって人のオーラ見えてなかったよね? あれ? でも私たちのオーラは見えてるよね?」
「ああ、それは・・・・・・」

 ムーっとした顔でクリスが答える。

「テーミス側のはわりと見えるんだよ。デュール側のはよーく集中しないと見えない。あ、でも、最近前よりは見えるようになってきた」
「なんで?」
「お前の影響だと思うけど?」
「私?」
「・・・・・・・・・」

 なぜか盛大にため息をつくクリス。

「なによ?」
「お前さー・・・・・・元に戻れるよな? その顔で私、とか言われるとなんか・・・・・・」
「悪かったわねーだ」

 香(ミロクの姿)がイーっとしてみせる。
 それに対し、クリスはまた、はああ・・・とため息をつき、

「10歳に手出したら何とか条例に引っかかるし・・・・・・」
「何の話よ!!」

 香(ミロクの姿)が真っ赤になって、言い返した、その時。

「はじまりました」
 ピシャリとした声で白龍が言い、部屋がシンッとなった。

 モニターの中では、ベッドを取り囲んだ4人からオーラが立ち上り、天井へと道を作っている。


「あ・・・・・・」

 異変には、その場にいた真田以外の全員がすぐに気がついた。
 こうして客観的に見ると一つだけ、オーラの種類が違うことに気が付ける。
 オーラの色ではなく輝きの種類が違うのだ。3つはキラキラと光り輝き外に外に光を放出しているが、1つは鈍い光をうちに秘めてしまっている。ビデオカメラを通すことによって、それが顕著にでてしまったようだ。実際の場では誰も気がつかなかったくらいの差である。

「どういうことだ?」
「どういうこと?」

 皆は一斉にそちらに目を向けた。

「アーサーさん?」

 香(ミロクの姿)が恐れるようにアーサーを見上げると、アーサーはニッコリとあの優しい笑顔を向けた。

 しかし・・・・・・

「困りましたね。文明の利器というものは恐ろしい」

 いつもの片言の日本語ではない。流暢な発音。目が笑っていない。

「アーサーさん・・・・・・?」
「さ、では姫、参りましょうか」
「え? どこに?」

 ふっとアーサーは冷たい笑みを浮かべた。

「王のところにですよ」
「・・・・・・王?」
「お前何言って・・・・・・」

 クリスが言うよりも早く、アーサーが手をふりあげた。

「香!」
 とっさにクリスが香(ミロクの姿)を抱えこんだ。
 同時に、ガシャーンッと音がする。天井の窓が割れたのだ。
 バラバラバラッと破片が落ちてくる。イズミが即座にバリアーを張る。

「ミロクは?!」
 クリスが身を伏せたままミロク(香の姿)を探す。ミロクたちは、白龍に庇われて無事のようだ。
 ホッとして、香(ミロクの姿)をイズミに任せると、クリスは猛然と立ちあがった。

「アーサーッてめえ裏切る気かっ」
「裏切る?」

 アーサーがふっと笑う。

「裏切ったんじゃない。表返ったんだよ」
「表って、マーティンの・・・・・・」
「ああ、違う違う」

 テーミス当主マーティン=ホワイトの名を聞き、アーサーがひらひらと手を振る。

「あんな腰ぬけの元に下るわけがない。私の主は・・・・・・」
「・・・・・・・・・っ」

 割れた天井から何かが投げ込まれた。煙が立ち込める。
 視界が白い。とっさに口をふさいだが遅かった。咳が止まらない。

「香・・・・・・」
 悔しげにクリスは喉元を押さえると、香の方に手を伸ばしたまま床に倒れた。

「クリス・・・・・・ッ」
 香が立ち上がりかけるのを、イズミが止める。
 バリアーから出てしまったら、自分たちまで煙の餌食だ。

 しかし、そのバリアーもアーサーの指に触れられ、
「バリアーが・・・・・・っ」
 ドロドロと溶けていく。溶けていく先から煙が侵入してくる。

「アーサーさんっ」
 咳き込みながら、香がなぜ・・・・・・っと目を向けると、アーサーは悠然と微笑んだ。 

「私の主は織田将。世界の王となる人です。さあ、姫、参りましょう・・・・・・」
 腕を掴まれたところで、香は意識を失った。



-----------------------


ようやく~~~~~
アーサーさんが正体あらわしたーーー!

そういえば、ここまでちゃんと書くつもりなかったので、
アーサーの人物紹介のところに、思いっきり、実は織田将の部下、
とかネタばれ書いてしまってたんだけど、こないだ気がついて消しときました^^;

あ、ミロク君が月の王子だということも消しておきました^^;


さーーーー。これで本当に高校の時の私が細かく考えた設定のとこまでは終わってしまいました。
これから・・・・・・どうしよっか^^;
まあ雑把には決まっているので、ボチボチ書いてきます。
様子をみて要約したりね。臨機応変にね。


次回は10月1日水曜日夜9時にアップします。
よろしくお願いいたします。

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月の女王-30

2014年09月26日 21時00分00秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
「忍様、12時を過ぎました」

 真田の静かな声で、部屋の中がシンッとなる。

「香・・・・・・何か変化は?」
「ううん・・・・・・なにも・・・・・・」

 クリスに問われ、自分の両手を開いたり閉じたりしてみたが何もない。

「第二の封印が解け、月の姫の力が解き放たれる・・・・・・というのが予言にあるのですが」

 白龍が香とイズミの両方を見ながら言う。
 もし、第一の封印が解けずにこの日を迎えてしまった場合は、白龍とイズミが月の姫を支えるつもりであった。でも、もう第一の封印は解けているし、その必要はないはず・・・・・・。

「オーラを出してみるとか?」
「うん・・・・・・」

 イズミの提案にのり、香は、手を組み目をつむり、祈るようなポーズをしながら、自分の内なるパワーを放出させた。今朝方よりパワーが格段に上がっている。金色の光が部屋中に広がり、温かく包みこんでいく。

(すごい・・・・・・)
(綺麗・・・・・・)
(これが・・・・・・月の姫)

 それぞれの思考が香の中に入ってくる。それは驚きや感嘆・・・・・・。

(やっぱり香のオーラってキレイだよなー金色にキラキラ光ってて)
 ひときわ大きく聞こえてくるクリスの心の声。

(真剣な顔も一生懸命な感じしてホントかわいいよなー。月の王子があんなガキってことは、決められた男ってのはそういう意味じゃないってことだよな? だったらオレが香とつき合ってもいいってことだよな? この予言の話が終わったら、ちゃんと告白しよう。うーん、告白、どこでしようかな。やっぱりあの海かな。でもあそこに行くのに高村に車出してもらうっていうのもカッコ悪いよなあ・・・・・・)

「あの・・・・・・」

 香がすっとクリスに向かって、制するように手の平を向けた。困ったような気まずいような恥ずかしいような表情をしている。

「ごめん。全部聞こえてる。集中できないから・・・・・・」
「・・・・・・あ」

 頭を抱えるクリス。

「ごめん」
「別に謝ることは・・・・・・、え?」

 ふと香が上を見上げた。何かを探すようにキョロキョロしている。

「どうした?」
「ミロク君が・・・・・・」
「ミロクならベッドに・・・・・・香?!」

 ふいに香の体の力が抜け、隣にいたイズミがあわてて抱きかかえる。

「予言がはじまったのでしょう」
 忍の声にも興奮の色が隠せない。

「香さんをこちらへ・・・・・・」
 忍が寝ているミロクを少し横にずらし、ベッドの横にスペースを空ける。
 そこへイズミがゆっくりと香を横たわらせた。

「香・・・・・・」
 取り囲むように、クリス・白龍・アーサー・イズミの4人がベッドの周りに立ち尽くす。
 香とミロクは眠っているようである。

 しばらくの沈黙の後・・・

「あれは・・・・・・」
 一番初めに気がついたのは白龍だった。

「見てください、あれ」
 ガラス張りの天井を指差す。

「月が・・・・・・落ちてくる」


***


「別に謝ることは・・・・・・、え?」

(香さん、香さん、こっちこっち!)

 上からミロクの声は聞こえてきた気がして、香は上を探したのだった。

「どうした?」
 クリスの心配そうな声に、
「ミロク君が・・・・・・」
 いいかけたその時だった。

 ジェットコースターの落下の瞬間、のような感じ。
 体は落ちて、意識は上に引き上げられる、といったような・・・・・・

(なに?!)

 気がついた時には、宙に浮いていた。
 自分の体が、イズミによって運ばれて行くのが見える。

(私、死んじゃったの?!)

 とっさに思ったが、自分の体は寝ているだけのようだったので、

(幽体離脱・・・・・・ってやつかしら)

 ちょっとホッとする。
 自分の体を客観的に見られるとは不思議な現象である。

(私ってあんな顔してるんだな・・・・・・)
 わりと冷静にそんなことを思っていたところに、

(香さーん)
 フワフワと浮きながら、ミロクがこちらに泳ぐようにやってこようとしている。

(ミロク君!)
 手を伸ばし、両手をしっかりと繋ぎ合う。

 すると・・・・・・繋いだ手が・・・・・・交わってきた。

 自然に、解けていくように、香とミロクが重なっていく・・・。

(香さん・・・・・・?)
(ミロク君・・・・・・)

 お互いの名前を呼ぶ。
 自分の中に相手がいる。相手の中に自分がいる。

(合体・・・・・・って感じ?)
(だね・・・・・・)

 これが交わる、ということだったのか。
 自分の意識とミロクの意識はハッキリと分かれているが、生命体としてのエネルギーは倍になった感じがする。
 エネルギーが上へ上へと立ち上っていく。

 二人はすぐに異変に気がついた。

(見て見て! ほら、月が・・・・・・)
(月・・・・・・)

 迫ってきている。
 いや、あれは月ではない。月によく似ている、丸い物体・・・・・・。

(新世界への扉・・・・・・?)

 これが予言の扉なのか。

(行ってみよう!)

 一つに交わった二人が、月のようなそれにむかって手を伸ばす。

 が・・・・・・・・・。

(す、進まない・・・・・・)

 普通さ、こういう時ってグーンと飛んで行ったりできるもんじゃないの?!

 二人でぶーぶー文句を言いながら、手を平泳ぎのようにかいてみたり、バタ足してみたりするが、ちっとも進まない。
(なんなのよーーー!!)

 そんな時、下にいるクリス達が話しているのが聞こえてきた。

「で、オレ達は何をすればいいんだ?」
「いえ、この先については何も・・・・・・」

(ちょっとーーー!!)

 香とミロクは思いっきりクリス達に向かって叫んでみた。
 すると、ビックリしたように白龍とイズミが上を向いた。

「何? どうした?」
「今・・・・・・姫の声が」

 上を向いた二人に向かって、香が大きく叫ぶ。
(今、上に行こうとしてるんだけど、進めないのよ!)

「進めない・・・? でもこれ以上予言には何も・・・・・・」
「いえ」

 白龍の言葉に重なるように、忍が言う。

「いえ、あります」
「え?」

 一同の視線を受け、忍はゆっくりと肯いた。

「祖父が入手した、イーティルの予言にはこの先があるのです」
「イーティルって・・・・・・っ」

 クリスが驚いたように叫ぶ。白龍とイズミは眉間に皺を寄せる。

「イーティル?」
「イーティルとは何です?」

「もう一つの星です。歴史から消し去られたもう一つの・・・・・・」

 忍の澄んだ声があたりに響き渡る。

「月の戦士の光が、月の姫と月の王子を<月の女王>の元へと誘う」

「月の・・・・・・女王?」

 え? と皆が忍を見る。忍は再び肯くと、

「詳細は後ほど。とりあえず、月の戦士の皆さん。試してはみませんか? この予言を」



-----------------------


ようやく・・・・・・・・・ここまできたーーーー!!!

感無量・・・・・・。

ようやく、題名「月の女王」という言葉を出すことができました。


当時高校生だった私には辿りつけなかった場所。
うーん。やっぱり文明の利器って素晴らしい。
パソコン万歳。

当時高校生だった私はノートにひたすら書いていたのです。
誰に見せるでもなく、自分が楽しむために。
でも、だから、途中で書くのをやめて放置した。
せっかくお話は考えてあったのにね。
そんな風に放置した小説が山ほどありました。

今、このブログという場を得て、息を吹き返しました。
私の中でだけいた香がクリスが、勝手に動き出し、
こうしてお話を進められることが、何より幸せ。

幸せだけど、最近どっぷりはまりすぎてまずい。
日常生活に支障をきたしはじめました^^;


次回は9月29日(月)夜9時更新予定です。

次回で5章終わるかな?どうかな?
最近どうもズルズル書いちゃっていかんね^^;
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月の女王-29

2014年09月24日 21時00分00秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
「ミロク様」

 真田がそっとベッドの横に行き、かしずいた。

「こちらの方々は・・・・・・」
「ねえ、真田! 僕、前に言ったでしょう? 最近毎日夢に出てくる女の人がいるって。ビックリした。本当にいたんだね。もしかして探して連れてきてくれたの?」

 少年は興奮気味に言うと、元気よくベッドから飛び降り、香たちの元に走り寄った。
 色白の綺麗な顔立ちの少年。忍に少し似ている。

「皆さん、こんばんは!」
「こ・・・こんばんは」
 それぞれが微妙に返事をする。ミロクはニコニコと香を見上げると、
「僕、織田ミロクっていいます。お姉さんは?」
「あ・・・・・・斉藤、香、です」
「香さん、香さんね! 香さんも僕の夢みたの?」
「う、うん・・・・・・。今日の昼間に・・・」
「お昼寝してたの? そっかそっかー。ねえ、ちょっと来て!」

 とまどう香にはおかまいなしに、ミロクは香の手を引っ張るとベッドまで連れて行き、

「ここ座って! ここからが一番よく月が見えるんだよ!」
「・・・・・・・・・」

 香が困ったようにクリスを見ると、クリスもクリスで眉を寄せている。同じように眉を寄せて香はミロクの横に腰を下ろした。

「月・・・・・・」
「夢の中とまったく同じ!わあ嬉しいなあ。本当になった!」

 うふふ、とミロクが笑う。香は、ん?と首をかしげ、

「まったく同じ? 私はちょっと違ったよ? 私が見たのは月じゃなかった」
「え、そうなの?」
「んー、でも君とこうして並ぶ感じは同じかな・・・・・・」
 二人並んで座っていると姉弟のようだ。


「お前・・・・・・もしかして知ってたのか?」
 クリスはつと白龍の横に移動して、こっそりと言う。白龍が妙に落ち着いているのが気になったのだ。イズミも心配そうに香を見ながら白龍のそばにきた。アーサーは壁沿いの椅子に腰かけて香とミロクの様子を興味深そうに眺めている。
 白龍は軽く肯くと、
「桔梗さんから聞いたときは半信半疑だったんだが・・・・・・本当だったんだな」
「聞いたって・・・いつ?」
「今日、桔梗さんに会ってすぐ」
「はーーーなるほど」
 ようやく合点がいった。妙に迷いがなかった白龍。その迷いのなさは、織田ミロクの存在だったのだ。
「教えてくれればよかったのに・・・・・・」
「すまない。確証が得られるまでは話せなかった。でももうこれは決定だな」
「あのガキが・・・・・・」
「月の王子」

 4人4様の視線の先では、香とミロクがすっかり打ち解けて話しこんでいる。
「え、明日、誕生日なの?」
「そうなんだ~だから今日は特別12時過ぎまで起きてていいって、忍兄さまが」
 足をプラプラさせながら嬉しそうにミロクが言う。
「いくつになるの?」
「10歳。僕ね、12時過ぎてすぐ生まれたんだって。だからホントのホントに、明日になったらすぐに10歳!」
 10歳にしては幼いな、と内心では思いつつ、香はニッコリと言う。
「おめでとう」
「ありがと~。香さんはいくつ?」
「この前18歳になったばかりよ」
「ってことは、僕が生まれたときは8歳か~」
 ニコニコとミロクが香に笑いかけてくる。香も思わずつられ笑いしてしまう人懐っこい笑顔。


「10歳・・・・・・」
 話を聞いて、ポツリとクリスがつぶやく。
「ってことは・・・・・・交わるって話・・・・・・なしだよな?」
「いや、僕も、早熟な10歳なら有り得ない話ではない、と思っていたが・・・・・・」
「ないな・・・・・・これはないな・・・・・・」
 ぎゅううっと拳を握りしめ、小さくガッツポーズを作るクリス。
「よしっよしよしっ」
「クリス、うるさい」
 白龍に冷たく言われたが、笑いが止まらない。
「これはないっ。だいたい10歳に手出したら、何とか条例に引っかかるって」
「だからうるさい」
 小さく小突かれたのと同時に、扉が開いた。
 風間忍が桔梗を従え入ってきたのだ。

「忍兄さま!」
 笑顔全開でミロクが忍に手を振る。
「前に話したでしょう? 夢に出てくる女の人。本当にいたよ!」
「ああ・・・・・・」
 穏やかに微笑みながら、忍がベッド脇までやってきた。
「それでね、香さんも僕の夢みたんだって」
「そうなんですか?」
「え、はい・・・・・・」
 美青年にまっすぐ視線を向けられ、ドギマギしてしまう香。
「僕は月の夢だったけど、香さんは違うんだって」
「違う?違うとは?」
「違うっていうか・・・・・・月に似ている、人工的な・・・大きな丸い・・・」
「・・・・・・なるほど」
 忍は肯くと、優しく微笑んだ。
「まだ時間もあることですし、少し皆さんでお話をしませんか?」
「話?」
「ええ。予言の本当の意味について・・・・・・」
 月に照らされる忍の姿は幻想的で、彼こそが月の王子なのではないかと思わせるものであった。

***

 真田と桔梗により、一人一人に飲み物が配られる。
 小さなテーブルが持ってこられ、そこに市松模様の一口サイズのクッキーが並べられると、こんな状況にもかかわらず、香が「かわいい!」と思わずつぶやき、桔梗に勧められるまま一つ口にいれ「おいしい!」と目を輝かせ口に手をあてる。
 そして、こんな状況にもかかわらず、クリスがそんな香をみて(かわいいな~)とデレデレになり、それに気がついた白龍があきれた視線をクリスに送っている。

 クリスにしてみれば、香には「決められた男」がいるからと、今まで必死に自分の想いを封印しようとしてきたが、相手が10歳の少年であり、どうも話が違ってきたと分かって、気持ちのたかが外れてしまったのだろう。香を見る瞳の色が今までにも増して恋愛感情あふれるものになっている。

「予言については諸説ありますが・・・・・・」
 忍の涼しげな声がドーム状の部屋に響く。
「私はデュール側、テーミス側、両方に複数の予言者がいたという説を支持しています」
「同感です」
 白龍が静かに同意する。
「若干、予言に整合性のないところがあるのは、後々にその複数の予言をつなぎ合わせた結果なのではないかと・・・・・・」

「あの・・・・・・」
 遠慮がちに香が手を挙げる。
「前々から聞こうと思いながら聞けてなかったんだけど・・・・・・そもそもその、テーミスとかデュールとかって・・・・・・何?」

「星の名前だよ!」
 ミロクが香の横で得意げに言う。
「元々僕たちがいた星のことだよ」
「・・・・・・・・・星?」
 訝しげに香が聞き返すと、ミロクはうんうんと肯き、
「三千年くらい前に、デュール星とテーミス星で大きな戦争があって、星がもう住めない状態になっちゃったから、みんなで地球に引っ越してきたんだって」

「そんな・・・・・・」
 そんな作り話みたいなこと・・・・・・と言いかけて、香は口をつぐんだ。みな神妙な顔をしている。「ホントなの?」と言いたげな視線をクリスに送ると、クリスはゆっくりと肯いた。
「本当だよ。そのテーミス王家の末裔が今のホワイト家、デュール王家の末裔が織田家だ」
「・・・・・・・・・え」
 ってことは、みんな宇宙人? というか、私も宇宙人?!
 えええええっと頬に手をあてる。

「何しろ3千年という長い月日が流れていますので、地球人との混血もすすんでしまい、血が入っていながらもその存在を知らない者も多いですが、王家や王家に近い者は地球人との血を極力混ぜないよう婚姻を結んできています」
 淡々と忍が説明をする。
「我々に共通しているのは、地球人とは違う特殊能力。この3千年の間に生まれた特殊能力の持ち主・・・それは超能力者だけではなく、指導者であったり研究者であったり音楽家であったり様々ですが・・・その者たちの中には、デュール家かテーミス家の血筋を引いている者が数多く存在します」
「はあ・・・・・・」
 突飛すぎて、頭がついていかない。説明しているのが忍でなく、クリスあたりであったら「またそんな冗談いって!」と、どついていたところであろう。

「この3千年の間に語り継がれているのが『月の姫』の予言です」
 忍が振り返ると、すっと真田が古びた書物のようなものをテーブルの脇に並べた。
「現物はほとんど残っておらず、これもレプリカなのですが・・・・・・」
 香が破れそうなページを恐る恐るめくってみたが、アルファベットに似たような文字が並んでいるだけで、何が書いてあるのかちっともわからない。

「ものによって書いてあることが少しずつ違ったり、解釈によって捉え方が変わったりで、なかなか本当のところが分からないのですが、共通していることはあります」
 忍が香とミロクに肯きかける。
「月の姫の18歳の誕生日に月の姫の封印が解ける。その10日後に、月の姫と月の王子により、新世界の扉が開かれる」

「新世界の扉・・・・・・」
 って、何? と言いたいところをぐっとこらえる香。あまりにも自分ばかりが、何?何?というのに気が引けたのだ。
 その表情を読みとってか、忍はふっと微笑んだ。

「私は『月』にヒントがあると思っています」
「月?」
「そもそも、なぜ、「月の姫」「月の王子」というのか? 意味なく「月」と言っているわけではないでしょう」
「確かに・・・・・・」

「先ほど香さんは、月に似ている人工的な大きな丸いものを見たとおっしゃいましたね?」
「え、ええ・・・・・・夢で、ですけど・・・」

「宇宙船、とは思いませんでしたか?」
「宇宙船?!」

 その場にいた全員が忍の発言に驚いて声をあげた。

「宇宙船って・・・・・・」
「いや、その説は数十年前に一度発表されたが、結局立ち消えたはず・・・・・・」
 白龍が言うと、忍は感心したように、
「あなたは良く勉強なさっていますね。そうです。一度発表されたその説は、私の母方の祖父が唱えたものです」
「ああ・・・そういえば、日本の研究者でしたね・・・・・・」

 香が恐る恐るまた手を挙げる。
「あの・・・・・・、じゃ、今晩、私とミロク君で、UFO呼んじゃう、みたいな話なんでしょうか?」
「何らかの交信が行われるのではないか、と思っています」
「はあ・・・・・・」
 何か壮大なドッキリに仕掛けられている気分になってきた香である。

「新世界・・・というのは、新たな星のことか、もしくは、デュール星とテーミス星が3千年の時を経て浄化され、また住居が可能になったのではないかと」
「なるほど・・・・・・」
 みんな真面目な顔をして肯いている。一人ついていっていないのは自分だけだ、と香は頭を抱えたくなった。

「最近主流になっていた説は、生物兵器説ですが・・・・・・」
「『月の姫を手に入れたものが世界を手に入れる』という一節からきているんですよね。月の姫の能力を武力として使おうということでしょう。我が兄、菅原司もその説を支持しているようです」
「・・・・・・・・・」

 ぞっとしたように香が自分の両腕を抱く。その香を心配そうに見つめるクリスとイズミ。
「そういえば・・・・・・先ほど菅原司がくる、と言っていましたよね?」
「私が月の姫たちをかくまったのではないか、と。お疑いなら全部の部屋を好きにお調べください、と言ったら出て行きましたが」

「え! 私、一階のあのお部屋に、ドレスとアクセサリー置いてきちゃった!」
 香が驚いて叫ぶと、桔梗が「大丈夫です」と軽く手を挙げた。
「それでしたらこちらに持ってきてありますので。もしお気に召したようでしたらお持ち帰りなさったらいかがででしょう?」
「あ・・・・・・あはは」
 力なく笑う香。そんなドレスいつ着るというのだ。
 というか、私、無事に家に帰れるのだろうか・・・・・・?

「ずいぶん手回しがいいんだな」
 今日、桔梗と会って以来のもやもやをクリスが口にする。
「まるで香が司につかまることも、オレ達があんたを頼ることも分かっていたみたいだ」
「そうですね・・・・・・」
 忍がふとミロクの方に目をやった。ミロクは眠くなってきたのか、うつらうつらしている。
「ミロクが月の王子であろうことは少し前から分かっていましたから、二人が出会うことになるという確信はありました。そうなるための道筋をいくつか想定していましたので・・・・・・」
「想定してんじゃなくて、道筋をそっちで立ててたんじゃね?」
「いえ、そんな・・・・・・」
 忍が悠然と微笑む。
 けっタヌキが・・・と内心毒づくクリス。手の上で転がされているようで気に入らない。
「結果的にこうして無事姫と王子が会えたんだからいいじゃないか」
 白龍が割って入る。クリスはふと思いつき、
「そういや、お前もお前らしくなかったんだよな。会ったばかりの桔梗さんの言葉を信じて・・・・・・」
「そ、それは・・・・・・」
 白龍が痛いところをつかれてグッとつまる。そこへ、桔梗が紅茶のお代わりを注ぎながらニッコリと言う。
「会ったばかり、ではないですよ。以前2度ほどお会いしてお話ししたことがあります」
「聞いてねーーーー!」
 ガックリとクリスが頭を下げる。
「なんだよー。そういうことかよー」
「あ、ああ・・・・・・黙ってて・・・」
「なーんだかなー」
 やっぱり転がされてるんだ、オレ達・・・・・・とクリスが盛大にため息をついたのと同時に、
「ミロク君?」
 こてんっとミロクの頭が香の膝に落ちてきた。寝てしまったようだ。

「まだ日が変わるまで時間がありますね。どうぞおくつろぎください」
 忍は言うと、真田に命じミロクをベッドに移動させた。

 各々「おくつろぎ」はじめる。
 忍と白龍は、予言の考察を続け、香、クリス、イズミの三人はクッキーをつまみながら、お互いが離れていた時間の報告をしあい、アーサーは部屋の隅で腕組みをしながら眠ってしまっていた。

 そんな妙に穏やかな時間が過ぎ・・・・・・、気がついたら12時を回っていた。
 予言の日がやってきたのだ。


------------------------------

とりあえず、ここで切りますか。

さて。
実は、私が高校生の時に細かく決めた設定はもうすぐ終わってしまいます。
シュレッターかけちゃったからうろ覚えだったんだけど、大まかこんな感じでした。

で、その続きからは、ホントに雑把にしか決められてなくて・・・。
だから、その雑把なところを要約して終わりにしようかとも思っていたんだけど、
やっぱり、これで終わるのさみしいのでもうちょっとだけちゃんと書こうかなーと思います。

もう少しお付き合いくださいませ。


次回更新は9月26日(金)夜9時になります。
よろしくお願いいたします。

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月の女王-28

2014年09月22日 21時00分00秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
 話は香が連れ去られたころに遡る。

 香とイズミとマンション前で別れ、クリスと白龍も自分たちのマンションに戻り、荷物を置いたところだった。
 白龍が真っ先に異変に気がつく。イズミの気が一瞬上がり、すぐ消えたのだ。

「クリス!様子がおかしい!」

 二人はベランダから飛び降り、香のマンションに向かおうとする。

 二人の視界に急発進した黒いワゴン車がうつる。香の気配が遠のいていく・・・・・・。

 クリスはすぐに駐車場に引き返した。高村がまだ駐車場にいるはずだった。

「高村!車を・・・・・・」
「あ、きたきたー」

 茶髪の少年がボンネットに腰掛けている。
 高村は気を失っているのかぐったりと壁に寄り掛かっている。

「貴様・・・高村に何をした!?」
「大丈夫。気絶してもらっただけだよ。それよりさーあんたのうちの車ってどれ?わかんないからとりあえずここにある車全部パンクさせちゃったんだけど、まずかったかなー?」

 茶髪の少年、スタン=ウェーバーがのほほんと言う。

「うちのはこれとそこの2台だけだ!ってそんなことはどうでもいい!!」

 どうもスタンと話していると調子が狂う。

「香をどこに連れて行った!」
「だから司のところだよー」
「本宅ですか?目黒の?」

 白龍の冷静な問いに、スタンは、んーーーと首をかしげ、

「オレ司んち目黒のしか知らない」
「じゃ、目黒だな?」

 ふつふつとクリスのオーラが高まっていく。

「今すぐ助けに行く」
「待て、クリス」
「待てないっ」

 走り出そうとするクリスの腕を白龍が力いっぱい引っ張る。

「冷静になれ。やみくもに突っ込んでも・・・」
「冷静になんかなれない!今すぐ菅原司をぶっ殺す!」
「こわー」

 足をぶらぶらさせながら呑気に言うスタンに、クリスは空いている方の手で思いっきりオーラを投げつけた。

「うわわわわっ」
 あわてて避けるスタン。

「なんだよー。そんなムキになんなくても・・・取って食うわけでもあるまいし」
「取って食われるんだよ!!」

 クリスのオーラで地面がビリビリと振動する。

「え?どういうこと?」
 きょとん、と聞き返したスタンに、白龍が冷たい目を向ける。

「君は予言の内容を知らないんですか?」
「予言って、月の姫を手に入れた男が・・・・・・なんだっけ?」

「その先です。『月の姫と月の王子が交わった時に、新世界の扉が開く』」
「交わった時・・・・・・って?」

 クリスのオーラがしゅんっとしぼむ。白龍がようやく手を離す。

「え・・・・・・そういうこと?」
「真相は分かりませんが、そういう意味だと解釈されることが多い」
「え・・・・・・」

 スタンは頭に手を置き、「え、え、え・・・」とブツブツいったかと思ったら、

「あーーーーー!!!」

 突然叫んだ。さすがの白龍もビックリして後ろずさる。

「そういえば言ってた!司が、月の姫は自分の妻になるとかなんとか・・・・・・」
「・・・・・・何が妻だ」

 クリスが吐き捨てるように言う。

「え、それってそういう意味だったの? え、それ、まずくない? 無理やり連れて行って、無理やりしちゃうってこと? それって犯罪じゃない?」
「犯罪だよ!!」

 クリスがスタンに近寄り、胸ぐらを掴みあげた。

「まずいって思うなら今すぐやめさせろ!」
「やめさせろって言われても無理だよー」

 降参のポーズのスタン。

「オレ、何にもできないもん。今日もここであんたんちの車パンクさせろって言われただけで、このあとどうするかなんて知らないもん」
「クソ使えねえ奴だな!!」

「・・・・・・・・・クリス」
 白龍がふと語調をあらためた。
 
「少し時間をくれないか?ちょっと試したいことがある」
「でも・・・・・・」
「姫は今日の夜までは無事のはずだ。今のうちに高村さんの手当てとイズミさんの様子を・・・」
「・・・・・・・・・」

 ギリッと歯ぎしりをしてスタンから手を離す。
 
「お前、そこで待ってろ! 高村が気がついたら、一緒に他のパンクさせた車のうち全部に謝りにいけ!」
「えーーーー」
「えーじゃない! 一般市民巻き込むな! 警察に突き出さないだけ有難いと思え!」

 怒鳴り散らしているクリスを置いて、白龍は急いでマンションに戻る。

 うまくいくかどうかは分からないが、やってみる価値はある。
 菅原司の弟、風間忍を味方につけるのだ。

***

 白龍は、唯一分かる連絡先、忍が社長をしている輸入会社に電話をして、一か八か社長に取り次ぎを願ってみた。するとあっさりと繋がった。部下の桔梗に、である。
 桔梗は、もし白龍から連絡があった場合は必ず自分に取り次ぐよう手配していたそうだ。

 事情を話したところ、会って話したいと言われ、それから1時間後、桔梗がやってきた。
 しばらく桔梗と二人で話したのち、他の3人と引き合わせ、伝える。

 忍は香救出に協力すると言っている、と・・・・・・。

 クリスとイズミは、胡散臭い、罠ではないか、と懐疑的であったが、白龍から、司と忍の確執は有名、絶対に悪いようにはならない、と説得され、作戦に乗ることにする。アーサーはあいかわらず、決まったことに従う、というスタンスらしい。


 桔梗が手配したデリバリーのトラックに隠れ、忍邸に入るクリス・白龍・アーサー・イズミの4人。
 用意されていた黒ずくめの洋服に着替える。何もかもがお膳立てされていて気持ちが悪いが、とりあえず香を司から引き離すためなら背に腹は代えられない。

 クリスと白龍が救出部隊。アーサーとイズミが陽動部隊。夜9時に桔梗が司邸の電源を落とすのを合図に行動開始。

 作戦は見事成功し、香を無事救出できたわけだが・・・・・・

 クリスは何だかモヤモヤしていた。
 何もかもがうまくいきすぎている。手の上で転がされているような・・・・・・

 その気持ちは、風間忍に出会って確信に変わっていく。
 全部この人の脚本通りだったんだな、と・・・・・・。

***

 桔梗に連れられ、香、クリス、白龍、アーサー、イズミ、の5人は、風間忍邸の書斎に通された。
 そこに佇んでいたのは、美しい、という形容詞がよく似合う青年だった。
 何もかも見透かしているような瞳。落ち着いた声。見る者をハッとさせる美貌。
 司とは違うタイプの、上に立つものの資質を備えている。

 優しい笑みを浮かべながら一人一人に丁寧に挨拶をする忍の様子に、香もほや~~としてしまっていたが、あわただしく入ってきたメガネの男性の言葉に血の気が引く。

「司様が、もうじきこちらに」

 香は反射的にクリスのことを振り仰いだ。クリスが安心させるように香の肩を抱く。

「真田、皆様を月光の間に」

 忍の言葉に、メガネの男性が従順に頭を下げ、書斎の一つの本棚をスライドさせた。そこに小さなドアが現れる。隠し扉だ。
「皆様、こちらに。お早く」
 真田の後について進む5人。しばらく人一人通れる程度の広さの通路を進み、またドアに辿りついた。

 ドアから出てみると、そこは小さな部屋になっていた。
 ドーム型の天井は全面ガラス張りになっていて、ちょうど月が見えている。木の作りの温かい印象の部屋。壁沿いに木の長椅子が部屋を囲むように設置されている。
 部屋の中央には子供用のベッドがポツンとおいてあり、その横に一人掛けの椅子が一つあるだけで他には何もない。

「忍兄さま・・・・・・?」

 ベッドの中がモゾモゾと動き・・・・・・顔を出したのは、小さな少年。

「あれ・・・・・・?」
「あ・・・・・・・・・」

 少年が香を見て、香が少年を見て、お互い指をさす。

「夢に出てきたお姉さん?」
「夢に出てきた男の子!」

 ついに・・・予言通り・・・・・・月の姫と月の王子が出会ったのであった。


-----------------


ようやく会えた~~!!!


はあ・・・長かったような短かったような・・・。
いや、20年以上かかってるんだから長かったのか^^;

うーん今回要約しまくったので淡々としてますね。

今だったら、白龍と桔梗、サッとアドレス交換したんだろうな。
昔って不便だけどそれが普通だったんだよなー。

あーそろそろ終わっちゃうな。さみしいな・・・・・・。
終わりといわず、ズルズル書いちゃおうかな・・・・・・。


------

次回は9月24日水曜日夜9時に更新いたします。
よろしくお願いいたします。

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月の女王-27

2014年09月19日 21時00分00秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
途中まで要約。途中から普通?に書く。
書きたかったあのシーンがようやく書ける。

---

 香・クリス・白龍の三人は、桔梗に導かれて風間忍邸の裏口から中に入る。

 桔梗のことは白龍から「司の弟・忍の部下で、こちらの味方」と紹介される。
 こちらの味方ってどういうことだろう?と疑問に思った香だが、全員そろってから忍を紹介する、と言われ、クリスも異存がないようなので追求することはやめた。

 イズミとアーサーの到着を待つ間、桔梗に香の着替えや靴も用意してもらう。
 香は客室を借りて着替えをしようとしたが、一人でいるのが怖かったため、クリスに目隠しをして一緒に部屋に入ってもらうことにした。白龍は廊下で見張りをしているという。

 目隠しをして後ろを向いたまま立っているクリス。
「月の王子って知ってる?」
 香に問われ、動揺する。
「な、なんでそれを?」

「妙子さんが言ってた。あの司って人が月の王子だって。ほんと?」
「・・・・・・いや、それはまだ分からない」

「分からないのに、妙子さんは月の王子って言ったってこと?」
「まあ、そういうことになるな」
「・・・・・・変なの」

 ふーん。と香がつぶやく。
 香も黒ずくめの洋服に着替え、後はアクセサリーと髪留めを取るだけだ。

「目隠しとっていいよ」
 香の言葉にクリスは目隠しを取り、鏡台の前の丸椅子に座りネックレスを取ろうと四苦八苦している香に気がつき、すっと後ろに立った。

「外すよ」
 器用にネックレスを外してくれるクリスに、香は再びふーんとつぶやき、

「なんか手慣れてるね。しょっちゅう女の子につけてあげたりとってあげたりしてるんでしょ?」
「してねーよ」

 クリスはムッとした表情でネックレスを鏡台に置き、今度は髪留めを器用に取りはじめた。

(こっちはもう十年もお前に片思いしてんだよ。そんなことやってる余裕ないっつーの)

「・・・・・・っ」
 一気に香の顔が真っ赤になる。
 そのことに気がつき、あ、とクリスも赤面する。

「お前・・・・・・また読んだ?」
「ご・・・・・・ごめん。ブロックするブロック・・・・・・」

 ぶつぶつ言いながら香がふーっと息をはく。

 髪留めを全部取り終えたが、今まで結っていたせいで、髪全体がぼわんっとふくらんでいる。

「なんか・・・髪の毛変」
「とりあえず梳かしてみるか」

 クリスが鏡台の引き出しから櫛をとりだした。

「これ、なんかで固めただろ?整髪料が残ってて櫛が通りにくそうだ。痛かったら言えよ?」
「うん・・・・・・」

 優しく優しく、クリスが髪を梳かしてくれる。
 こんなに甘やかされていていいのだろうか、と不安になる。

 今も私を助けるためにみんな危険な目にあっている。私はこんなにしてもらうほどの価値のある人間なんだろうか。私は本当に予言を成就させるのだろうか・・・・・・。

「みんなは予言を成就させたいんだよね?そのために助けに来てくれたんだよね?」
「うーん・・・・・・」

 クリスは手を動かしたまま、ポツリと言った。

「オレは・・・こういっちゃなんだが予言はどうでもいい。お前が無事なら」
「・・・・・・・・・」

 その言葉に胸がぎゅっとなる。だって・・・予言には・・・・・・

「月の王子と交わる時・・・ってさ」
「・・・・・・・・・」

 鏡越しに目が合う。クリスの手が止まる。

「やっぱり・・・そういうことよね?」

 しばらくの沈黙の後、クリスは再び手を動かした。

「いや、本当のところは分からないんだよ」

 二つにわけ、器用に頭の上の方から編み込みをしている。編み込みお下げにするつもりのようだ。

「研究者によって意見が食い違ってる。そういう意味じゃないって言ってる研究者も少数だがいる」
「研究者って?」
「予言を研究する学者がいるんだよ。皆それぞれ考えが違っていて・・・。例えば、ある学者は、月の王子は特定の人物ではなく、予言の日に、月の姫とその・・・交わった男が、月の王子になる、と言っている」
「じゃあさ・・・」

 鏡越しに香がクリスを見上げる。
「月の戦士のうちの誰かが月の王子になる可能性もあるってこと?」
「いや・・・・・・」

 クリスの視線は香の髪のままだ。右側の三つ編みが終わり、左側の三つ編みに取りかかっている。

「白龍が言うには、予言の時に、月の姫・月の王子・月の戦士の六人がそろっていることは予言にかかれているから、それはないだろうって」
「なーんだ・・・・・・」

「なーんだ?」

 え?と顔をあげたクリスに、わたわたと香が手を振る。

「いや、だってね、予言の日って明日なんでしょ? 明日までに、私がそんなことをする人と巡り合うとは到底思えないのよね・・・。そうなると、さっきみたいに無理やりって話に・・・・・・」

「え?!さっきみたい?!」
 サーっとクリスの顔色が白くなる。香は再び慌てて手を振った。

「あ、ううん、さっきは大丈夫。何もされてない。される前に飛び降りたから」
「・・・・・・・・・びっくりさせんなよー」

 盛大なため息をつくクリス。香は、うん、と一つ肯いてから、

「でもやっぱり、無理やり、みたいな話になるのかな?って思うのよね・・・・・・」
「そんなことになったら、オレがまた助け出してどこまででも一緒に逃げるぞ?」
「・・・・・・ありがと」

 ふっと香は優しく笑う。心を読まなくても、クリスの本心だと分かる。

「でも・・・・・・、やっぱり予言っていうくらいだから、どこまで逃げても、そういうことになるのかなあ?って思うのよね・・・・・・」
「だから・・・・・・」
「あ、うん。なんか全然現実味ないから話せてる話」

 だから気にしないで、と鏡越しに手をふると、クリスは大きく息をついて、再び香の髪の毛に目を向けた。
 香はそのクリスの指先を鏡越しにみながら、ぽつりと言葉を継いだ。

「だからね・・・・・・そんな見ず知らずの人とするくらいなら、せめて・・・・・・」
「ああ、さっきの『なーんだ』は、せめてアーサーが月の王子だったらなあってことか?」

 ぎゅっぎゅっとゴムで髪を結びながらクリスが無表情を装っていう。

 赤面して怒りだすかと思いきや、香はうーん、と上を向いてうなり、

「うーん・・・アーサーさんかあ・・・想像つかないなあ」
「白龍は?」
「もっと想像つかない」

 ぷっと吹き出す香。

「はい。できた。これでどうだ?」
「おおっすごいっありがとう~」

 きれいに編み込みのお下げが出来上がっている。

「なんでこんなに上手にできるの?」
「昔よくカトリシアの髪を結うのをやらされたんだよ」
「へえ~そうなんだ~上手~編み込みかわい~」

 鏡に髪を写しながらニコニコしていたが、ふと正面を向いて眉を寄せる。

「あーお化粧も取りたい・・・。口紅濃すぎ・・・。化粧落としあるかな・・・」
 鏡台の引き出しをあけて中身を確認していたが、クリスからの視線に気がつき顔をあげた。

「なに?どうかした?」
「・・・・・・オレは?」

 真剣な顔をしてクリスが鏡越しに問うてくる。

「オレとだったら・・・想像できる?」
「・・・・・・・・・」

 ゆっくりと大きく瞬きをする。数秒の間のあと、香は答える。

「想像できない」
「そっか・・・・・・」
「うん」

 香は椅子の回転を利用してクリスの正面に向いた。

「ていうか、誰とも想像できないよ。だって、私、男の人と付き合ったことないもん。ファーストキスだってまだなんだよ?」
「・・・・・・・・・」
「だから、余計に明日、見ず知らずの誰かとが初めてになるなんて、嫌だなあって思うのよね。だったらそうなる前に・・・・・・」

 言葉を止め、クリスを見上げる。クリスの手がそっと香の頬に触れたのだ。

「・・・・・・なに?」
「・・・・・・オレでもいいか?」
「え?」

 透き通った青の瞳。

「オレが初めてじゃ、ダメか?」
「え・・・・・・、私・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「そんなつもりじゃ・・・・・・」

 ・・・・・・否、そんなつもりだった。

 香は自分に問いかける。
 そんなつもりだったよね?私?
 クリスの気持ちを知っていて、誘導したよね?

「香・・・・・・」

 ゆっくりとクリスの瞳が近づいてくる。
 思わず身を縮めた香の頬に、やさしく唇が落ちてくる。

「・・・・・・クリス」

 怯えた色をたたえた瞳にも、やさしく落ちてくる。

「ごめん。ずるいよね、私。あなたの気持ち知ってて・・・・・・」
「・・・・・・香」

 大好きだよ、とささやかれ、ふっと緊張が解けた。

「・・・・・・うん。知ってる」

 笑みを浮かべた香の唇にも、やさしくやさしく落ちてくる。

 クリスのことを好きかどうかなんて分からない。
 でも、クリスが自分のことをどれだけ好きでいてくれるかは知っている。

 明日、知らない誰かとどうにかなるのなら、せめて初めては、自分を本当に愛してくれている人と・・・・・・。

「大好きだよ」
 軽く触れるだけの、優しい接吻。震える心。

「・・・・・・・・・あの」
「・・・・・・・・・」

 何か言いかけた香の唇に、今度は深く覆いかぶさってくる。
 柔らかい感触を確かめるように何度も重ねる。

「あ・・・・・・」

 心臓がぎゅうっと締め付けられる。
 重ねた唇から、絡めた指先から、苦しいほど伝わってくる。

(大好きだよ・・・・・・)

 流れ出てくるクリスの気持ち。
 こんなにも愛されているのだと実感できる。

「香」

 一度唇を離し、瞳を合わせる。恥ずかしそうな香に、愛おしくてたまらない、というように、クリスがコツンとおでこを合わせる。
 もう一度・・・・・・と、唇を寄せようとした、そのときだった。


 コンコンコンッとやや大きめにドアがノックされた。
 我に返る二人。あわててドアの方へ行くクリス。

「イズミさんが戻ってきました。斉藤さん、着替え終わりましたか?」

 白龍の声に、クリスが、おお、と返事をしてドアを開くと、クリスには見向きもせずイズミが慌てて入ってきた。
 香の姿を見てホッと息をつくイズミ。

「よかった、香。無事で・・・・・・」
「イズミくん・・・・・・」

 ごめんね、と小さく言うと、イズミはゆっくりと首をふった。

「ごめんは私の方だ。私が油断していたせいで香を危険な目に合わせてしまって・・・」
「イズミくん・・・・・・」

 そういえば、イズミと二人きりだったところを狙われたんだった、と思い出す。

「何か探し物?」
 鏡台の引き出しが出しっぱなしのことに気がついてイズミが言う。

「そうそう。お化粧落としたくて・・・」
「んーーー、これじゃないか?」
「え?これ?そうなの?どうすればいいの?」
「コットンに落して・・・・・・はじめに目元から取ろう」
「えーイズミくん詳しい・・・・・・普段お化粧しないよね?」
「ああ、撮影の時にされることがあって・・・・・・」
「へ~すごーい。芸能人みたい」

 危機感のないのんきな会話を繰り広げている女子二人。それを少し離れたところからボーっと見ているクリスのそばに、白龍がすっと立った。

「クリス」
「ああ?・・・・・・なに?」

 おもむろにティッシュを差し出され、怪訝な顔をして振り返ると、白龍が恐ろしいほど冷静に、

「口紅がついてる」
「!!!!」

 とっさに口元を押さえる。

「あ、あの、こ、これは・・・・・・」
「とりあえず出よう」

 促され、部屋からでる。
 ドアを閉めたところで、白龍が大きくため息をついた。

「あ、あの・・・白龍さん・・・」

 恐る恐るクリスが見上げると、白龍は軽く頭を振った。

「いや、姫の気持ちも君の気持も分かるから、別に文句をいったりするつもりはない」
「気持ちって・・・・・・もしかして」
「ああ。全部聞いてた」
「げっ」

 ドアが薄いのか、今、香とイズミがしゃべっている声もかすかに聞こえてくる。

「邪魔しちゃ悪いと思ったんだが、イズミさんが戻ってきたから教えた方がいいと思ってね。イズミさんに知られたら面倒かな、と」

 イズミの冷たい視線を思い出し、激しく肯くクリス。
「確かに。ありがとな。イズミのやつ香のこととなると人が変わるからな」
「ああ・・・・・・。しかし・・・・・・やはり・・・・・・」

 白龍が目をつむり考えこむ。
「あの奥手の姫が、昨日今日あった男と・・・とは考えにくい」
「・・・・・・・・・」
「やはり、交わる、の解釈が違うのかもしれないな」
「そう願いたい」
 吐き捨てるようにクリスが言う。
「ったくなんなんだよ。なんで香がそんな目に合わなくちゃいけないんだよ」
「予言を成就するためだ」
 ピシャリと白龍が言ってのける。クリスがムッとして言葉を継ごうとしたときに、廊下の向こうから桔梗とアーサーが歩いてくるのが見えた。

「さ、行こう。風間忍のところに」
 白龍の言葉に興奮のようなものが含まれていることに、クリスは不思議に思う。

(なんか・・・・・・白龍らしくないんだよな・・・・・・)

 まあ、考えても仕方がない。もう走りだしてしまっているのだ。

「コンコーン。お姫さま方~終わったか~?もう行くぞ~、と」
 ドアをノックして顔を出したのと同時に、香がイズミを従えて出てきた。

「ああ、やっぱり、すっぴんのがいいな」
「そう?」

 見上げる香と、見下ろすクリス。
 3秒ほど見つめあったあと、香は口元をぎゅっと結びうなずいた。
 そして、クリスの横をすり抜けると、
「行きましょう」
 覚悟を決めたように言い放った。


----------------------

はああああ。幸せな回だった・・・・・・。
きっと高校生の時だったら、こうは書かなかっただろうな。
ラブシーンなんてこっぱずかしくて、あっさり書いてただろうな~。
企画から20年以上たち・・・・・・、
年齢と経験を重ねて、妄想力が増えた分、羞恥心をどっかに置いてきちゃってね。


ちなみに、書きたかったシーンその5は、


白龍の

「口紅がついてる」


というセリフでした。(そこ?!)


クリスは基本、尽くす男なんだよね。
お兄ちゃんだしね。弟と従妹いるしね。

ただ高村の前でだけは甘え放題甘えてるけど。
でもこれはマザコンこじらせてる結果の甘えで・・・・・・。
そういえば最近、高村さん地味だな・・・。
まあそのうち出てきます。
いや、今も出てるんだけど、要約でセリフ端折られちゃってるのよね。


さて次回は。22日月曜日9時に更新いたします。
よろしくお願いいたします。

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