創作小説屋

創作小説置き場。BL・R18あるのでご注意を。

月の女王-21

2014年08月30日 21時00分00秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)

今回こそは要約で。
なんか説明回になっちゃいそうで嫌だけど・・・・・・しょうがないか。


-----------------


 香達は、千葉にある夕子の祖母が営む民宿に滞在することになった。

 誕生日以前の状態にまで能力が封印されてしまった香が、敵に場所を知られている自宅で暮らすのは危険と判断したためだった。今の状態で香とクリス達とが離れ離れになることが一番怖い。香の母も人質に取られると困るので一緒に行くことになる。

 ホテルに泊まる?いや、ホテルは足がつく、ともめていたところに、夕子が遊びにきたのでその話をしたところ、祖母の民宿に泊まりにいく?と提案してくれたのだ。せっかくなので夕子も一緒に行くという。

 大急ぎで支度をし、高村の車で千葉に向かう。

 民宿に着く前に、近くの海を通りかかって、クリス・白龍・イズミは驚きのあまり言葉を失う。
 その海辺の風景が、十年前から夢にでてきている景色とソックリだったのだ。


 夕日が沈む浜辺。一人佇む少女・・・・・・。

 
 小さい頃に、ここに来たことはないか?と香と香母に聞くと、

 香母が、自分の実家がこの付近にあり(今は取り壊されていて無い)、香が小学校2年生の時に一度だけ来たことがある。その時に香は祖母にここで会った、と答える。
 香はほとんど覚えていない、と言う。

 驚いた、そういうことだったのか、としきりと感心したように言う、クリス・白龍・イズミの3人に、香はムッとして、いい加減、自分にも本当のことを教えてほしい、と言う。

 夕子・香母・高村は先に民宿に向かい、残された香とクリス・白龍・イズミ・アーサーの5人は砂浜入口の石段に腰掛ける。

 能力が完全に封印されてしまった今、隠すことももはや意味がないだろう、という白龍の意見により、夕暮れの浜辺で白龍が話し出す。(ただし全部を話す気はない、ということを暗にクリスには伝えている)


 テーミス王家に伝わる月の姫の予言。
 月の姫とは新世界への扉を開く者である。
 月の姫が8歳になったときに、封印せし者が姫の能力を封印する。
 18歳になった時に、封印は解かれ、月の姫を守るために4人の月の戦士も出現する。
 その10日後に新世界への扉が開かれる。

 
 おそらく、小学校2年生の時に会ったという祖母が、能力を封印したのでしょう、と言う白龍に、以前香母から話を聞いていたイズミが深く肯き、香とクリスが顔を見合わせる。

「もしかして、急に心の声が聞こえなくなったのって・・・・・・」

 香の言葉にクリスも肯く。白龍・イズミ・アーサーが「?」という顔をしたのに対し、香は「小さい頃人の心の声が聞こえていたけど、急に聞こえなくなったの」とさらっと答える。今まで誰にも話してこなかったけれども、一度クリスに話したことで話すハードルが低くなったようだ。

「私は自分が月の姫だっていう自覚がまったくないけれど、みんなはどうして私が月の姫だって分かるの?」

 もっともな疑問に白龍が淡々と答える。

 18年前の7月14日、テーミス王家お抱えの能力者たちによって、どこかで月の姫が生まれたということは探知された。
 でも、テーミスの血筋の女の子ということ以外、どこの誰かということまでは分からなかった。
 そこでテーミス王家では、同日に生まれた子供達にこっそりと見張りをつけた。予言の詳細はテーミス王家に近しい者しか知らず、混乱や悪用に備えて大々的に月の姫が生まれたということを発表することは避けられていた。そもそも予言の詳細も皆は知らない。

 18歳の誕生日を迎えたのと同時に、体を包む金のオーラが発現したので、香が月の姫であることが判明。

 ちなみに香につけられていた見張りは、長谷川広樹の両親だった。広樹自身はずっと予言のことを知らずに同じ学校に通っていて、香18才の誕生日の夜に親から教えられて、翌日香に話しかけにいった、というわけだった。

 白龍達は、香が月の姫であろうことは、誕生日前から予想がついていた、という。
 テーミス王家から入手した月の姫候補の写真の中で、夢で見た女の子と香が一番よく似ていたから、という。

 浜辺に佇む一人の少女・・・。
 その浜辺はまさしくここだった。

「それじゃ、自分達が月の戦士だということは、10年も前から分かっていたということ・・・?」

 コックリと肯く4人。唖然とする香。

「でも実は、月の戦士かどうかということは自己申告制だから、この中の誰かが偽物である可能性もある」

 白龍の爆弾発言にぎょっとするクリス。確かに、と肯くイズミ。ニコニコしたままのアーサー。アーサーはイマイチ話の内容が分かっていないような様子。

「・・・・・・偽物なの?」
「本物だよっ」

 香の問いに即答するクリス。でも、確かに月の戦士だという証拠はどこにもない。


 テーミス王家からは、自らが月の戦士だという者は報告するように、とお達しが出ていたのだが・・・。

「報告したの?」
「するわけねーだろ」

 クリスの答えにうんうんと肯くイズミ。
 なぜ?と聞いた香に、すみません、と白龍が手で制する。そして突然、早口の英語で話しだした。


『今まで僕達はこの話題を避けてきたけれど、きちんと意思の確認をすべきだと思う』
『意思って?』
『月の姫をテーミス王家に引き渡すかどうか、だ』
『そんなの・・・・・・っ』
 決まってるじゃないか、月の姫を守るのが月の戦士の使命だ。あいつらに渡したら最後、姫の意思は無視され、利用されるだけだ!
 興奮した様子で英語でまくしたてるクリスを、香はビックリして見上げる。その横で静かにイズミが手を挙げ、流暢な英語で話しだす。
『私も同意見だ。クリスト・・・クリスの前で言うのは憚られるが、ホワイト家につかまったら、姫が利用されることは目に見えている。だいたい<新世界>が何なのかも正確なところはいまだに分かっていないんだし、十日後の予言の日を無事に迎えてから、その後のことは考えてもいいと思う』
『・・・・・・アーサーさんはどうお考えですか?』
 白龍が石段の最上部にいるアーサーに視線を向ける。白龍的には、クリスとイズミの返答は予想できていたので、アーサーの意思を確認したい、というのが一番の目的だった。
『あ・・・・・・いや、驚いたよ』
 アーサーが少し肩をすくめて答える。
『君たちは本当にホワイト家に逆らう気だったんだね。僕はそんなこと思いもしなかった』
『!!』
 思わず、クリスとイズミが立ち上がる。白龍が二人に落ち着け、というように手を伸ばす。だがクリスはもう戦闘態勢だ。
『お前、本当に月の戦士なのか?!あの夢を見て、姫を守ることを一番に考えようと思わないなんてありえない!』
『そう言われても・・・・・・』
 アーサーが困ったように苦笑する。あ、とクリスが思い当たってアーサーに詰め寄る。
『もしかして、カトリシアやジーンにオレ達の居場所を教えたのもお前か?!』
『ああ、聞かれたから答えたが・・・』
『お前・・・・・・っ』
 クリスがアーサーの襟繰りを掴む。
『クリス、落ち着け』
 白龍の制止も耳に入らないクリス。
『お前のせいで香が・・・・・・っ』
「ちょっと!なんでケンカになってるのっ」
 見かねた香がクリスの腕をグッと掴み、下ろさせる。
「今、香って言ったわよね?私のことでケンカしてるの?」
「・・・・・・」
 クリスが自分を落ち着かせようと大きく息を吐き、その場にしゃがみこんだ。
「ケンカなんかしてない」
「だって・・・・・・」
「ちょっとした意見の相違です」
 白龍が冷静に言うと、アーサーの方を振り返った。
『あなたは今後もホワイト家の命に従うつもりですか? それならば我々は別行動をとることになります』
『あーーーーーいや、君達に従うよ』
 ニッコリとアーサーが笑顔を作る。
『別にホワイト家に恩があるわけでもないし。ただ処世術として従っていただけなんだ。日本のことわざにもあるだろう<長いものに巻かれろ>って』
『・・・・・・長いもの』
 クリスが眉を寄せる。白龍が訝しげにアーサーを見上げる。
『ホワイト家より僕達のほうが<長いもの>だと?』
『君達三人が姫を渡さないと言う限り、君達の方が<長い>。それに僕は新世界を見てみたいんだ』
 アーサーの笑顔はつかみどころがない。
 クリスは釈然としなかったが、不承不承アーサーに頭を下げた。
『ムキになって悪かった』
『いや、こちらの方こそ悪かった。意思疎通ができていなくて』
 軽く握手を交わすと、アーサーはまたニコリとした。
『それにしても君は本当に姫のことを愛しているんだね』
『な・・・・・・っ』
 言い返しそうになったクリスだが、ふと香に視線をうつし、またすぐに視線を外した。
『オレはこの十年、ずっと姫に会える日が来るのを待っていたんだ』
『十年前というと、君は6歳くらい?イズミは7歳? そこらへんにも温度差の理由があるのかもしれないな。僕はもう9歳だったから、予言のことはわりと冷静に受け止めていたんだよ』
『・・・・・・違う。それだけじゃない』
 クリスが苦い顔をしてうつむく。イズミは海に視線をうつしたまま口をへの字に曲げている。
『白龍は8歳。半々な感じかな? クリスやイズミのように純粋に姫を守りたいという気持ちと・・・・・・』
『それだけですよ』
 アーサーの言葉を白龍がバッサリと冷たく切る。
『僕も姫を守りたいだけです』
 それ以上何か言ったら承知しない、という視線を向けられ、アーサーは肩をすくめて口をつぐんだ。
 白龍があらたまった調子で皆に言う。
『とにかく今は、姫の封印を解くことが先決です。このままの状態で第二の予言の日がきてしまったら・・・』

『そのことについてなんだが』
 イズミが、香の母親から聞きだしたことと、今までの香の話を総合して考えるに一つの結論にいたった、と言う。
 能力がある=友達に嫌われる、の図式が彼女の中で根付いていて、そのせいで能力を開花させないよう、自分で自分に封印をかけてしまっているのではないか?と。
『オレもそう思う』
 クリスも肯く。

 英語の会話をまったく理解できず、ムッとした表情のまま頬杖をついていた香だが、急に4人がチラチラとこちらに視線を向けはじめたのを感じ、頬杖を外した。
「何?何の話してるの?」
「ヒメのハナシですよ」
 ニッコリとアーサーに笑顔を向けられ、香がぱっと赤面する。
「すこしハマベをあるきませんか?」
「そうだな。行こう、香」
 イズミとアーサーに言われ、海に向かって歩き出す香。

 三人の後ろ姿を見ながら、クリスが白龍に愚痴めいて言う。
「アーサーってさ・・・日本語と英語でキャラ違いすぎじゃね?」
「日本語が上手に話せないって話だったけれど、聞き取ることには不自由してないんじゃないか?」
 自分達のことをよく観察している、と内心面白くなく白龍は思う。

 そこへ夕子が香達を呼びにやってきた。
 バーベキューの用意ができた、という。

 夕子とはしゃぐ香を見ていて、

「封印を解く鍵は夕子ちゃんかもしれないな・・・・・・」

と、クリスがつぶやく。



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ふう。説明回終わり。
要約、要約、と思っていても、ついつい、セリフやシーンを書いてしまった。
 
書きたかったシーン第二弾を早く書きたいな~次の次くらいに書けるかな・・・


----

次回更新は5日金曜日夜9時です。
毎週土曜更新でしたが、ピッチあげたいので次回から週2に変更します。
よろしくお願いいたします。


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月の女王-20

2014年08月23日 21時00分00秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)

「・・・・・・・・・」
 ぼんやりと目を覚まし、周りを見渡して、そこがクリスのうちのリビングだと気がついた。
「・・・・・・大丈夫か?」
 心配そうな青い瞳にのぞきこまれ、小さく肯く。
「私・・・・・・」
「気を失ってたんだよ。・・・・・・なんか飲むか?」
「うん・・・・・・」
 ゆっくりと起き上がり、かけられていたタオルケットを折りたたむ。
「イズミくんと白龍君は?」
「見張りと結界張り」
「そう・・・。ありがとう」
 紅茶のカップをうけとり、一口飲み、ほっと溜息をついた。
「おいしい・・・」
「インスタントだけどな」
 すっと横にクリスが座る。いつもはお喋りなクリスも何もいわない。
 しばらく無言のままでいたが、ポツリ、と香がいった。
「ごめんね」
「何が?」
「迷惑かけて」
「いや?」
 クリスは肩をすくめた。
「高村が車で迎えにきてたからすぐに車に乗ったし。それに駐車場からここまで、せっかくオレがお姫様抱っこで運んでやろーと思ったのに、イズミの奴が、それやったら絶対にお前が怒るから自分が運ぶってきかなくてさ。結局イズミのお姫様抱っこでここまできたんだぜ、お前」
「イズミくんが・・・・・・」
 そのやり取りを想像しているうちに、香は屋上でのイズミの様子を思い出した。
「そういえば・・・イズミくんと知り合いだったの?親戚ってことになるのよね?考えてみたら、昨日のカトリシアさんもイズミくんに何か話しかけてたよね?英語だったから何言ってるのかわからなかったんだけど」
「ああ・・・・・・」
 クリスは決まり悪そうに頭をかいた。
「イズミの父親は叔父の系列会社の社長でさ、ガキのころ、イズミは歳の離れた姉さんと一緒に、オレのうちによくきてたんだよ。その関係でジーンの兄貴とイズミの姉さんが知り合って結婚したってわけ」
「だったらそういえば良かったのに・・・・・・」
「まあ、色々あるんだよ。ただの親戚ってわけじゃないからさ・・・・・・」
 クリスが言い淀む。「クリストファー様」とイズミが「様」付けをしたのも、そこらへんからくるのだろうか、と香は考えたが、追求するのはやめておいた。
「みんな色々あるんだね・・・・・・」
 クッションを抱えこみ、香はひとり言のようにつぶやいた。
「あのね・・・・・・ここだけの話、していい?」
「ここだけの話?」
 聞き返したクリスにコクリと肯くと、香は小さく続けた。
「私ね・・・小さい頃、人の心の声が聞こえちゃったの」
「心の声・・・・・・・・・?」
「私はそれが普通のことだと思ってたんだけど、違ったんだよね。幼稚園に入る前にお母さんから『口から出てくる言葉だけを聞くように』って言われて・・・。でもそれが結構難しくてね・・・」
「・・・・・・・・・」
「みんなから『変な子』って言われて避けられて・・・。でも小学校に入るころには、だいぶ本当の声と心の声の聞き分けができるようになってたから、はじめは普通に過ごせてたんだけど・・・・・・」
 香はクッションに顔をうずめ、震える声で続けた。
「ヒトミちゃんがみんなに・・・・・・」
「香・・・・・・」
 そっとクリスが香の頭に手をおいた。
「無理に話すことないぞ」
「うん・・・・・・」
 ゆっくりと身を起し、ふうっと大きく息をはく。
「小学校二年生の夏に、急に心の声が聞こえなくなって楽になったんだけどね。でも、小学校は行くのがつらかったなあ・・・。だからいっぱい勉強して、中学受験して、今の高校の付属中学に入学したの。同じ小学校の人一人もいなかったし、学校の近くに引っ越したから、小学校時代の人に会うことも今までなかったからさ。今日はちょっとビックリしたっていうか・・・・・」
 しばらくの沈黙のあと、ふと、思い出したように、香がクリスを見上げて言った。
「いつから超能力使えた?イズミくんは十年前って言ってたけど」
「ああ、オレは生まれつき」
 クリスがピッとクッキーを指差すと、一枚フワフワとこちらに飛んできた。
「昔はこういういわゆるサイコキネシスってやつしかできなかったんだけど」
「しかって・・・・・・」
 香の目が点になる。
「じゅうぶんすごいんだけど」
「別にすごくねえよ。こんなの手で取ったほうが早いし」
 クリスは空中に浮いたクッキーを手で取って口に入れた。
「オレのうち、能力者が生まれる家系なんだよ。オレの弟もサイコキネシス使えるし、ジーンは催眠誘導が得意だし」
「へええ・・・・・・」
 もう一枚フワフワと飛んできたのを今度は香が取る。香が、ふふっと笑ったのを見て、内心ほっとして、話を続ける。
「で、十年前から、オーラが使えるようになったんだ」
「おばあさんの夢、見た?」
「・・・・・・・・・イズミから聞いたのか?」
「うん」
 イズミはどこまで話したのだろう?と思ったが、おそらく詳しくは話していないとみた。
 クリスはふっと優しい笑みを浮かべた。
「見たよ。十年前から今まで、何度も見た」
「何度も?おばあさん何度も出てきたの?」
「いや、おばあさんが出てきたのは何回かだけ。あとは・・・・・・」
 海辺の少女。
 長い黒髪をなびかせて・・・
 さみしそうな黒い瞳に涙を浮かべて・・・
「あとは?」
「あとは・・・・・・、お、帰ってきた」
 クリスが詰まったところで、タイミング良く、イズミと白龍が戻ってきた。
「香、もう大丈夫なのか?」
「うん。ありがとう」
 心配そうなイズミに香が肯く。
「アーサーがきたから見張り代わってもらったよ」
「そっか。お前らも紅茶飲む?」
「ああ、私がやるから大丈夫」
 クリスとイズミのやり取りを冷静に見ていると、二人の間に流れる変な緊張感が伝わってくる。言葉は横柄でありながら、イズミはクリスに対して一歩下がった対応をしている。そこがちぐはぐでなんだか気持ち悪い。
 その微妙な空気を打ち消すように、香が白龍に明るく話しかけた。
「今、夢の話を聞いてたの。十年前の夢、白龍君は見た?」
「見ましたよ。もちろん。それから能力が開花しましたから」
 白龍がすっと手のひらを上に向ける。それを見て、クリスが「おっ」と目を輝かせた。
「それさ、どこまで凝縮できるかとかやらなかった?」
「やったやった」
 クリスの言葉に、白龍が苦笑した。
「今の限界はこのくらいかな」
「おっすげっ。オレそこまで小さくできないっちくしょーっやってやるーっ」
「小さくするだけじゃなくて、凝縮、だからな」
「わあってるってっ」
 二人の様子を見て、紅茶を運んできたイズミがやれやれと肩をすくめる。
「こういうところ、男子だな~と思うな。負けず嫌いというかなんというか」
「・・・・・・・・・」
「香?」
 眉を寄せている香の目の前をイズミが手を振る。
「どうかした?」
「イズミくん・・・・・・」
 香は眉を寄せたまま、つぶやいた。
「二人は・・・何をしているの・・・?」
「え?」
 香の言葉にクリスと白龍も振り返る。
「香・・・・・・」
「まさか・・・・・・」
 クリスが手のひらを上に向けたまま、香の目の前につき出す。
「これが・・・・・・見えないのか?」
「・・・・・・手?」
 きょとんと香が言う。クリス・白龍・イズミは一斉に青ざめた。
「封印が・・・・・・」
「かかってしまったのか・・・・・・」


-----------------------


あの~~
要約っていいながら、全然要約しないで、普通に書いちゃったよ^^;
これじゃいつまでたっても終わらないじゃん!!

でも書きたかったんだもん~~~っ。
楽しいんだもん~~っ。

今まではノートに書いてあったから、それみてまとめようってできたんだけど・・・・・・。

いやいや、要約要約・・・次は要約で・・・

----

次回更新はまた来週の土曜日夜9時です。
よろしくお願いいたします。



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月の女王-19

2014年08月16日 21時00分00秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
 物入れの中に隠れていた松村明美を救い出し、帰路に着く香たち。
 妙子は鈴木君たち5人と寄るところがあるというので途中で別れた。

 明美から、今日の3校対抗の水泳大会にでてほしいと頼まれるイズミ。
 駅の近くで、水泳部の西田英子とも偶然遭遇し、断りきれず出場することになる。

 水泳大会はイズミの活躍で優勝。
 有名人であるイズミのまわりに人だかりができるが、そっけなく対応して着替えにいくイズミ。

 出待ちしているイズミファンに見つからないよう、香が誘導して裏門から出て行ったのだが、そこにいた女子高生の群れの一人から「香ちゃん!」と声をかけられる。


↓↓↓


「え・・・・・・・・・」
 振り返り・・・・・・香の表情が固まった。
「ヒトミちゃん・・・・・・」
 派手な茶色の髪をした女子高生が、キャアッと声をあげる。
「やっぱり香ちゃん!久しぶり~!小学校の卒業式以来だよね!」
「う・・・うん」
 ぎこちなくうなずく香。
「すごーい。香ちゃんって古沢イズミと友達なの?!」
「う・・・ん」
「わあ~~、私、香ちゃんの小学校のときの友達の秋元仁美です~。よろしく~」
「・・・・・・」
 言われたイズミは眉を寄せたまま軽く頭を下げた。それだけで、周りにいた女子高生達がわあっと歓声をあげる。「仁美すごーい」の声に、秋元仁美が得意げに香に近寄って、
「ねえねえ、香ちゃん。今から私達合コンするんだけど香ちゃん達もこない?! 古沢イズミが来てくれたらすごい自慢なんだけど!」
 イズミ自身はムッとしたように口を結んだまま、香の対応を待っている。
「いいでしょ~?香ちゃ~ん」
「あの・・・・・・」
 香がなんとか声を絞り出そうとした、その時、
「かーおり」
 ポンッと温かい手が頭にのせられた。
「・・・・・・」
 見上げると、青い瞳が安心させるような光をたたえてこちらを見ている。
「遅いと思ったらこんなところにいたのかよ」
「きゃああっさっき会場にいた男の子たち~~」
 イズミの時以上の歓声がおこる。やはり金髪碧眼美少年のクリスと長身美形の白龍のコンビは相当目立っていたようである。
「か、香ちゃんっ、と、友達なの?」
「え・・・・・・う・・・・・・」
「違うよ」
 戸惑う香の横で、クリスがケロリと言う。
「オレ、香の彼氏」
「えーーーーー!!」
 悲鳴にも似た声が上がる。すごーい!うらやましー!の歓声の中、仁美だけが引きつった笑顔で、
「うそ~、ほんとに~?」
「う・・・・・・」
「ホントだよ~。だから合コンとか無しね。オレすごい嫉妬深いんだ」
 ひらひらとクリスは仁美に手をふると、
「じゃ、そういうことで。行こうぜ、香、イズミ」
 背中を押され、香も歩き出したが、その背中に仁美が声をかける。
「香ちゃん、キョウコちゃんが今イギリスにいるって知ってた?」
「え・・・・・・」
 ギギギギギ・・・・・・と機械仕掛けの人形のように香が振り返る。
「昨年、お父さんの転勤についていったんだよ。それでこないだイギリス人の彼氏ができたって手紙がきたの。香ちゃんとキョウコちゃんって仲良かったけど、外国人の彼氏ができるってとこまで同じなんて、なんかちょっと笑えるね」
「・・・・・・・・・」
 香は口の端を少しあげて、なんとか笑顔らしいものを作ると、再び背を向けた。そこから一歩一歩と歩こうとするが、足が自分のものではないようでうまく歩けない。
「香?」
 振り返ったクリスに、香は泣きそうな笑顔のまま、小さくつぶやいた。
「足が・・・・・・」
「・・・・・・大丈夫だよ」
 左手を掴まれ、右腰をぎゅっと抱き寄せられる。
 きゃあっと黄色い歓声が上がったが、そんなことも気にしていられなかった。
 呼吸がうまくできない。息が苦しい。支えられてなんとか歩いていく。
「香ちゃーん、またねー」
 仁美の声が再び聞こえた瞬間に、意識を失った。


-----------------

これ、書きたかったシーン第一弾。

えてして、イジメた方は覚えていなかったり、大したことないって思ってたり、
もう時効だよねって勝手に思っていたりするけれども、
イジメられた方は心の奥底まで傷ついて傷ついて傷ついて覚えていて、
何かの拍子にフラッシュバックがおこったりするものなんですよね。

で。
クリスが「大丈夫だよ」って腰を抱き寄せるシーンを書きたかったんです。はい。


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次回更新はまた来週の土曜日夜9時です。
よろしくお願いいたします。



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月の女王-18

2014年08月11日 12時42分15秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
『月の女王』8冊目のノートから、抜粋。



 一方、ジーンを追いかけたイズミは中二階の階段の途中にいた彼を上から呼びとめた。
「ジーンッ」
「おや?どうしたのかナ?主に忠実なイズミさん」
「・・・・・・聞きたいことがある」
 イズミはからかい調子のジーンの横に飛び降りると、無表情を装ったまま彼を見上げた。
「姉さんは、元気か?」
「ああ、もちろん。元気だヨ」
 ジーンの方はニコニコとしたままだ。
「あいかわらず料理上手だヨ。行くたびにケーキを焼いてくれる」
「そうか・・・・・・なっ」
 ホッと息をついたところを、いきなり後ろから抱きしめられた。
「何を?!」
 もがくがふりほどけない。いかに男勝りのイズミといえども、腕力ではかなわない。
「ジーン・・・・・・!」
「安心していいよ。アヤカには絶対に危害を加えない」
「?!」
 ふりむこうとするが、強くおさえつけられた。耳元でジーンの低いささやくような声がする。
「ボクは初めからその気はないし、叔父上にしても、ワルター家の財力は分かっているはずだ。だからアヤカについては安心していい。だけど古沢のうちは・・・・・・」
「わかっている。だが、さっきも言ったが、両親を盾にしたところで私の意思は変わらない。月の姫をホワイト家の言うなりにさせる気はない」
「そう。わかったよ・・・」
 ゆっくりと束縛が解かれた。ふりかえると、ジーンはニコッとウインクをして、
「今日は会えてうれしかったヨ」
「・・・・・・!」
 イズミは驚いて飛び離れた。一瞬の隙にすばやく頬にキスをされたのだ。
「ジ、ジーン!!」
「マアマア、あいさつだヨ、あいさつ」
 けらけらと笑いながらジーンは階段を下りて行く。
「あんの野郎・・・・・・!!」
 残されたイズミはこぶしを震わせ、その場に立ち尽くしたのだった。


「こ、これ・・・どういうことよ?!」
「催眠が解けたってことじゃないですか?」
 外では妙子と白龍が顔を見合わせていた。
 それもそのはず、突然、操られていた高校生達がバッタリと皆一様に倒れてしまったのだ。
「でも・・・・・・起きないじゃない・・・・・・」
「ええ。これはかけた本人が・・・・・・あ」
「ヤアヤア、みなさん。お疲れ様でした。もう結構ですヨ」
 明るい声とともに、くすんだ金髪の長身の男性が現れた。
「あなたは・・・・・・」
「ハジメマシテ。ジーン=マイルズ=ワルターです。辻白龍くんですネ? そして、こちらのかわいらしいお嬢さんは・・・?」
「・・・・・・・・・」
 妙子はにらみつけただけで返事をしようとしない。それに対し、ジーンはやれやれと肩をすくめると、
「いけませんネ・・・かわいいお顔が台無しですヨ・・・。まぁ、とりあえず、皆さんお引き取りください。この人たちの催眠をときますので」
「どういうつもりですか? 何のためにこんな中途半端な攻撃をしかけたのですか?」
「・・・・・・中途半端とはひどいナ」
 白龍の言葉にジーンは少なからず傷ついたようである。
「ボクにしてみれば精一杯の・・・」
「あなたにしてみればそうかもしれない。でもマーティン=ホワイトのやり方にしてはあまりにも甘すぎる。あなたは彼の指示を受けてきたのでしょう?」
「そうだけど、今のは違うヨ。ボクの単独行動。叔父上の命で戦う前に一度、クリスティに会っておきたかったものでネ。それに月の姫にも。あの子、おもしろいネ。あんなに揺るがない瞳をみたのは久しぶりだ」
「・・・・・・やはり、ホワイト家は姫のことを・・・・・・」


---------------------------------


ノートはここで終わってます^^;
なんでしょう、この尻切れっぷりは^^;

こないだ読み返してて、

は?!え?!これで終わり?!

と思わず声に出して言ってしまいました^^;


さて。詳しい制作ノートはすでにシュレッター済みなため、
あとは私の記憶を頼りに書くしかないのですが・・・
ぼちぼちと書いていこうと思います。

ちゃんとは無理なので、
こんな感じで、ストーリーの流れが分かる程度の要約
(今までよりもかなり端折ると思われます)と
書きたかったシーンの抜粋って感じで・・・

よって、今までよりも更新スピードは遅くなると思います。
色々やらなくちゃいけないことあるのに全部放置してたしね。

そういうわけで・・・

今後は、週に一回、土曜日の夜9時に更新します。たぶん。希望的観測。


現在、うちの小学校高学年の息子が扁桃腺炎で41℃の熱出してます。
皆様も体調管理にはくれぐれもお気をつけくださいませ。
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月の女王-17

2014年08月10日 10時16分50秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
『月の女王』8冊目のノートから、抜粋。


 どっとクリスの体が青いオーラに包まれた。
「そう・・・・・・やれやれだネ。ひとまずここは退散するヨ。タイムリミットだからネ」
 ひらひらと手を振ったジーンをクリスが睨みつける。
「逃がすかよ」
「ああ、やめたほうがいいヨ。今、ボクにけがでもさせたら下にいる連中、一生あのままだヨ。一般市民に迷惑かけたくないでしょ?お互いネ」
「・・・・・・」
 シュンッと音をたててオーラが吸収される。その横をジーンは悠々と通りすぎると、
「叔父さんに報告しておくヨ。クリスティはテーミス王位継承権を放棄しましたってネ。そうなると第一王位継承者がカトリシアで、第二位がボクになるネ」
「バカをいうな。第二はアリスだ」
「バカはキミだヨ。死人に王位は継承できない」
「な・・・・・・っ」
 青ざめて振り返ったクリスにジーンはニッと笑いかけ、
「なんてネ。冗談冗談。今はまだ冗談だョ」
「・・・・・・!」
 するどくにらみつけたが、一向に介さないようにジーンの足音が階下におりていく。
「・・・・・・」
 イズミがクリスに少し頭を下げ、ジーンの後ろ姿を追いかけて行った。途中で追いついたようで、話し声が小さく屋上にまで響いてきている。
「・・・・・・」
 屋上に残されたクリスと香を雲の隙間から伸びる明るい光が照らしはじめた。
「・・・・・・ね」
「ん・・・・・・?」
 香のつぶやくような声にクリスが振り向く。
「香・・・・・・?」
 青い瞳に優しい光がともる。
「・・・・・・・・・」
「香・・・・・・」
 ようやく会えた。月の姫。
 あなたに会うことだけを心の支えに生きてきた。
 ずっとあなたに触れたかった。
 さみしい光を湛えたその瞳を抱きしめたかった。
 ずっとずっとあなたに・・・・・・
「・・・・・・香」
 ゆっくりとクリスは、香のその瞳に唇を寄せようとした、が、
「王位継承権って何のこと?」
「・・・・・・お前な」
 がっくりと頭を下げ、クリスは大きくため息をつき、
「王位継承権っていうのは、王の位を継承する権利だろ。そんなことも知らねえのか?」
「そんなこと知ってるわよっ。私が聞いてるのは・・・ちょっと、その前に手っ。手、離してよっ。さっきから痛いじゃないのよっ。あ、ほら、赤くなってるっ」
「あーもーうるせえなっ。そんくらいなんともねえだろっ」
「何言ってるのよっ。嫁入り前の女の子に傷でもついたらどうしてくれんのよ?!」
「そしたら、責任とって嫁にもらってやるよ」
「・・・・・・ばっばかっ。誰が・・・・・・っ」
 かあっと香が赤くなる。クリスはしばらくケケケといたずらそうに笑っていたが、ふいに表情をあらためた。
「悪かったな。オレのせいでこんなことになって・・・」
「あんたのせい・・・?」
 眉をよせ、香は考えこむようにしていたが、
「私、なんだかよくわからないけど、やっとわかってきた気がするの」
「何が?」
「ようするに私は狙われているのよね?こないだのスタンくんとリンクスっていう人なんかのグループと、さっきのジーンっていう人なんかのグループに。そうでしょ?」
「まぁ・・・そういうことになるかな・・・」
「それでたまたま、あんたとあのジーンがいとこだったってことでしょ?そうしたらそんなのあんたのせいでもなんでもないじゃない。なのに謝ることなんかないわよ」
「そうだな・・・・・・たまたまいとこだったんだよな・・・・・・」
 空を仰ぎ、クリスは繰り返した。
「そうだよな・・・・・・」
「で? 王位継承権って何のこと? それに『月の姫』っていったわよね?あれって何?なんでみんなして私のことを『姫』っていうの?アーサーさんだってそうだし、あ、リンクスっていう人もそう言ってたわよね。さっきのジーンって人も。ねぇ、どういうこと?」
「・・・・・・海外ではね、かわいい日本人の女の子のことを『月の姫』っていうんだよ」
 クリスはあくまでも真面目な顔で答えると、ぽんっと香の肩をたたき、
「よかったなっお前みんなにかわいいって思われてんだよっ」
「・・・・・・そんなウソが通用すると思う?」
「思う思う」
 いうと、クリスはすっとひざまずき、香に手をさしだした。
「・・・・・・なに、この手は?」
「お手をどうぞ、お姫さま。いざ下までまいりましょう」
「な・・・・・・」
 香はぐっと詰まった。下から見上げてくるクリスの整った顔、吸い込まれるほどきれいな青い瞳、映画のワンシーンのような仕草に、一瞬ドキッとしてしまい、そんな自分を全力で否定したくなったのだ。
「香?」
「なーーーにカッコつけてんのよ!!」
「いてっ」
 ばちんっと勢いよくその手をたたかれたクリスが悲鳴をあげる。香はそれに見向きもせずに階段をおりはじめた。
「ったく、乱暴な奴だなっそんなんじゃ嫁のもらい手がなくなるぞっ」
「あら?もらってくれるんじゃなかったの?」
 振り返る香。ニッと笑うクリス。
「あら?きてくださるの?香さん」
「・・・・・・冗談っ」
 香は再び差し出されたクリスの手を、再び思い切りひっぱたき、
「だーれーがーっあんたなんかっ」
 一人で怒りながら足音をたてておりていく。
「・・・・・・でも、お姫さまには決められた男がいるのでした」
 ぽつりとつぶやき、クリスは頭をガンガンふると、香の後を追いかけていった。



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残りあと一回でノート記入分は終了です。さみしいなあ。

クリスと香の距離がだんだん近づいてきてワクワクしてきた。

高校の時、クリスいいなー私もクリス欲しーって思ってたけど、
今冷静に考えてみると、クリスって結構重くて、つきあったりしたら大変かも・・・。

あ、そうそう・・・
そのうち書こうと思っているのですが・・・

たぶん、高校受験の最中?かな?くらいから、
気晴らしに、ノート1~5枚程度の短い小話をいくつも書いてて、
そのノートが7冊あるんですよ(^^;
だいたい1冊10話くらい?だから70話くらいあるの?え、そんなに?
で、それもボチボチ処分しないとなんだけど・・・

その中にいくつか、クリスと香の話が書いてあったはずなので、
それは、要点&抜粋が終わったら、せっかくだから書こうかな・・・と。

そんな感じです。
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