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(BL小説)風のゆくえには~R18・受攻変更?!

2017年01月07日 07時21分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ R18・読切


浩介先生27才のお誕生日(2001年9月10日)の前日のお話です。


桜井浩介:高校教師。身長177cm
渋谷慶:研修医。超美形。天使のような外見を裏切る男らしい性格。浩介の高校時代からの親友兼恋人。身長164cm。


7月上旬、教え子の男子生徒を庇って交通事故にあい、肋骨を骨折した浩介。
その教え子から「自分は彼よりも背が高いから抱いてもらえない……」と悩みを打ち明けられ、「身長差は関係ない。自分達は両方してる」とついつい嘘をついてしまいました。(本当は、浩介×慶で固定です)

真面目な浩介先生、嘘をついたことがどうにもこうにも気になってしまい……
で、「そうだ!嘘を本当にすればいいんだ!」と思いついちゃいました。

かーらーのー、以下、浩介視点。単なる下ネタ。


----



 誕生日前日の夜、仕事終わりの慶がオレのアパートに来てくれた。明日の月曜日、オレは仕事だけど、慶は夕方まで休みなので、泊まってくれるという。

「で? 誕生日プレゼント決めたか?」
「うん」

 食事が終わり、慶が買ってきてくれた誕生日ケーキを食べながら、毎年恒例の会話をする。今回は付き合いはじめてからちょうど10回目の誕生日だ。

「慶が欲しい」
「…………。だからお前、それ毎年言うけど……」

「あ、ちがくて。本当に慶が欲しいの」
「………………は?」

 綺麗な眉をひそめた慶。ああ、その額に口づけたい。けど、話が進まなくなるから我慢我慢……

「あのね、前に話したお友達に片思いしてた男の子がね、晴れて両想いになったんだって」
「おお!そりゃ良かったな!……って、それで……」
「それでー……」

 最後の一口のケーキを口の中に放り込み、コーヒーを飲み干す。

「その子ね、相手の子より自分の方が背が高いから、抱いてもらえないって悩んでて……」
「…………」

「それでつい、身長差は関係ないよ、おれは両方してるよって言っちゃって……」
「…………え」

 慶のフォークを持つ手が空中で止まってしまった。

 え、もしかして怒った……?

「あの……慶」
「お前……自分の生徒に言って大丈夫なのか?」
「あ」

 それか。そうか。そういえばそうだった。

「ごめん……慶のことも言っちゃった……」
「え」

 は? という顔をした慶にブンブン手を振る。

「でもでも、信頼できる子だし、話したのはお互い様というか……」
「…………」
「………勝手にごめんなさい」

 頭を下げると、慶は「いや、それは別にいいんだけど」と言ってフォークを皿の上に置いた。

「じゃ、欲しいって……」
「あ……、うん。嘘ついてるの嫌だなって思って。だったらホントにそういうことにすればいいんじゃないかなって……」
「………………」

 慶は、ものすごく真面目な顔でおれを見返してきた。

「体調はどうなんだ?」
「え、あ、肋骨のこと?」
「痛みは?」
「大丈夫だよ。もう、二ヶ月だよ?」

 主治医の先生からは、少し前から軽度な運動はしてもいいと言われている。なのに、過保護な慶は、いくら大丈夫だといっても、この二ヶ月の間、一度もやらせてくれなかった。(まあ、抜きあいっこはしたけど……)
 夏の旅行も、大丈夫っていったのに、キャンセルするし、ホント過保護……。それだけ心配してくれてるってことだけど………

「だから、お願い」
「……………」
「今日は慶がしてくれませんか?」

 言うと、慶は真面目な顔を崩さず、残りのケーキを食べきってから、コーヒーカップに手を伸ばした。

「…………慶?」
「…………あー……」
「?」

 飲み終わってしまうのがもったいないかのように、慶はカップに口をつけては離し、を繰り返してから、ボソッと言った。

「おれ、自信ないんだよなー……」
「? 何が?」

「するのが」

 え?

「慶……」
「前にしたとき、お前スゲー痛がったし……」
「それは……」
「それにおれ、途中で萎えちゃったし」
「…………」

 それ、気にしてたんだ……

「でも慶、それ、8年も前の話だよ」
「あー……まあなあ……」

 うーんと唸った慶。

「でも、絶対、お前みたいに上手くできねえぞ?」
「……っっ」

 嬉しい発言に、鼻血が出そうになる。
 小首を傾げた慶を今すぐ押し倒したい。けど、今日は我慢我慢……

「………そんなこと言って、おれ達、慶が主導権握ってること多いじゃん。騎乗位の時なんか完全に慶でおれ何もさせてもらえないし」
「あー……」
「あの感じですればいいんじゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか?」
「あー……」

 慶は、あー、とか、うー、とか言った挙げ句、観念したようにうなずいた。

「………誕生日だしな」
「うん!」

 誕生日プレゼントは慶で、お願いしますっ!


***


 とは言ったものの……

 おれの方がものすごく不安だ。
 一応、この数日間、いつも使っているジェルを自分の指にまとわせて、自分でしてみたら、二本までは何とかなるようになった。けど、それ以上は怖くてできなくて……

「まあ……するの自体、久しぶりだからな。すぐ臨戦態勢だな」
「臨戦態勢……」

 確かに……
 少ししごいただけで、慶のものはすぐに力強く芯を持った。そこにジェルを塗りつけてあげる。……指二本の倍以上あるよな……ホントに入るのかな……

「正常位は体に負担かかるだろ。やっぱバックにするか」
「う………うん」

 覚悟を決めて枕を抱え込んでうつ伏せになる。と、

(うわわわわっっ)

 慶の細い指が、するりと中に進入してきた。探るように、中をえぐってくる。こ、これは……っ

「け……慶っ!?」
「あ、悪い。つい……」
「って!?」
「直腸診っていって、大腸ガンとか大腸ポリープとかを……」
「けーいー!!」

 なんでここで医者モード入ってんのーー!!

「真面目にやってよ!」
「あー、悪い悪い」

  あはは、と笑いながら、今度はたぶん指の数を増やして様子をみてる感じ……。そんな時間かけられても耐えられない。緊張度が上がるだけだ。

「慶……」

 さっさとやって、というのを遠回しにいうには何と言えばいいだろうか。

「あの……」
「まあ、やってみるか」
「…………」

 慶はあっさりというと、熱いものを入り口にあてがった。

「はじめが入ればあとは何とかなるだろ」
「う……うん」

 こういうとこ、ホント慶は男らしい………………、と!

「…………!!!!」

 うっと声が出そうになるのを何とかこらえる。8年前のあの異物感がよみがえってくる。

「……ちょ、浩介、力抜け」
「………う」

 そ、そんなこと言われても……っ

「息止めんな。吐け」
「…………」
 ふーふー、と息を吐き出しお腹から力を抜く。

 慶がぐりぐりと中に進入してきて……ぐっと奥まで入りきった感じがした。

 なんとか出来た………!?

「…………きっつ」
「…………」

 苦笑気味にいった慶。
 そして、しっかりと腰をおさえられ、ゆっくりと律動がはじまる。

「………っっ」

 声を上げないのがやっとだ。ものすごい異物感。こんなんで「一つになれた」なんて喜びを感じることなんてできるわけがない。

(早く終わって……っ)

 申し訳ないけど、そんなことを思ってしまう。

(この感じ、なんかに似てる……)

 なんだろう……、と思って、はっ!と気がついた。

(あれだ、あれ。胃カメラだ)

 数ヵ月前、実家でのストレスからか、胃痛がひどくて病院に行ったら、念のため胃カメラを飲まされたのだ。喉の部分のみ麻酔をしただけなので、カメラが自分の中に入っていく感じがありありと分かり……

(そっくりだ。早く抜いてくれ、終わってくれって感じが……)

 もしかしたら、正常位でして、慶の感じている顔を見ながらだったら、また違うのかもしれないけれど、バックだから何も分からない。
 異物感は確かに続いているので、8年前と違って萎えていないことは喜ぶべきなんだろう。でも、でも……

(早く終わって……)

 ほとんど泣きそうな気持ちでそう思っていたところ……

「浩…っ、ちょ、もう、我慢できねえ」
「…………っ」

 わずかな息づかいしかしていなかった慶が、突然、腰を押し付けるようにして言ってきた。

「…………うん。イって?」

 それは願ったり叶ったりだ!と思って言うと、慶は小さく「違うっ」と否定した。

(違うって、まだイかないの!?)

 うわ、もう無理だよ……っと、絶望的な気持ちになったところで、

「え?」

 急に体が楽になった。慶が引き抜いたのだ。でも、まだまだ戦闘態勢なのに……

「慶? どうし……」
「だから、我慢できねって」
「え?」

 次の瞬間、乱暴気味に枕を取られ、仰向けに寝かせられた。そしてその綺麗な顔が近づいてきて、おもむろに唇を重ねられる。

「!?」

 激しく吸い込まれ、息が苦しくなる。同時に下も温かい手で握られ、しごかれ、あっという間に固くなってしまった。

「け、慶……?」
「考えてみたら、二ヶ月以上ご無沙汰だった」
「え」
「お前が欲しくてケツの穴がウズウズして我慢できねえ」
「…………っ」

 わ、そんな、直接的な表現、珍し……っっ

「……っ」
 雑にジェルを塗られ、慶の入り口にあてがわれる。

「慶……っ」
「お前の、くれ」
「あ……、んんんんんっ」

 ズズズと入っていく感触。捕らえて離さない熱さ。慶の中が蠢いていて………

「慶……慶っ」
「病人は動くな。じっとしてろ」
「もう病人じゃ……、んんんっ」

 あとはもう、何も考えられなかった。
 慶の中は熱くてきつくて、慶の白い喉が、息づかいが色っぽくて、快楽の頂点に確実に連れていってくれて……

「慶、イっちゃう……っ」
「待て……っあとちょっと……っ」
「ん……あっ」

 抜ける寸前まて腰をあげてから、グッと深く押し入れられる、というのを何度もされ、もう限界が……っ

「慶……っ」
 握っていた手に更に力を入れて、その愛おしい瞳を見上げると、 

「浩介」
「………っ」
 ふっと優しく名前を呼ばれ、心臓が鷲掴みされたようになる。

「慶……」

 ああ、おれは愛されてる。
 そして、何よりもこの人を愛してる。

「慶……っ」
「ん」

 身を起こし、抱きしめる。抱きしめられる。キスをする。全てが繋がる。一つになる……。

「大好き慶」
「……ん」

 このままずっと、一つでいたい。ずっとずっと、一つでいたい……。
 

***
 

「あ、しまった。今日はおれがするんだった」

 終わってから、狭いお風呂に無理やり一緒に入っている最中に、慶が今更なことを言い出した。

「もう一回するか?」
「…………う」

 もう勘弁願いたい………

 そう思っていたら、慶がケケケと笑った。

「もう二度とごめんだって顔してる」
「え?! そ、そんなことは……っ」

「じゃあ、するか?」
「…………」

 黙ってしまったら、慶はくくくと笑って、オレの頬にチュッとキスしてくれた。

「誕生日おめでとう」
「え」

「12時過ぎた」
「あ、ホントだ」

 デジタル時計が0時を過ぎたことを示している。

「プレゼントは……」
「もう充分です……」
「そうか」

 慶は引き続き、くくくと笑い続けている。

 愛する方法なんてどっちでもいい。こうして、一緒にいて、笑ってくれていれば、もう充分だよ。

「慶。来年も再来年も、ずっとずっと一緒にいてね?」
「当たり前だ」

 にっと笑って、今度は唇にキスをくれた慶。

 あなたがいてくれれば他には何もいらない。



---


お読みくださりありがとうございました!

ちなみに、この誕生日の一年後が「その瞳に1」になります。
ということは、「来年」は一緒にいますが「再来年」は別々ですな……

あ、さらにちなみに。8年前に慶が萎えちゃったという話は、2015年5月に書いた「受攻試行・慶視点」「受攻試行・浩介視点」になります。初めての挿入!編です。浩介が大学1年なのでまだ身長が176センチです。


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(BL小説)風のゆくえには~R18・脳内変換推奨

2016年06月28日 18時00分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ R18・読切
「風のゆくえには」シリーズ目次 → こちら


高校2年生のクリスマス前日から晴れて恋人同士となった慶と浩介。
それから1年9ヶ月。ちゃんとエッチするのは8回目、の二人の話。

渋谷慶……浪人生。身長164センチ。中性的で美しい容姿。でも性格は男らしい。
桜井浩介……大学一年生。身長176センチ。外面明るく、内面病んでる。慶の親友兼恋人。




------------------

『風のゆくえには~脳内変換推奨』




 ラブホテルに持ち込んだ弁当を食べて、お茶も飲んで、トイレにいって戻ってきたところで……

(………げ)

 なぜか、テレビでAVがかかっていた。画面の中では今まさにコトがはじまったばかりのようだ。社長室風の部屋のソファーに押し倒された社長秘書?が、タイトスカートをめくられ、社長風親父に下着を剥ぎ取られるところが映っている。よく見えないけれど、なんとなく美人な雰囲気のある女優だ。

 ソファーに座った浩介、真面目ーな顔をしてテレビを見ている……

「……何みてんだお前?」
「うん……」

 浩介、上の空だ。とりあえず隣に座る。
 そんな中、女優の喘ぎ声がはじまり、いたたまれなくなってきた。かといって見てるのに消すのもなあ……と思って消すに消せない。

(もしかして、はじめてみる、とか……?)

 おれは中学の頃、部活の先輩の家とかで上映会があったので、何本か見たことはある。でも、多少興奮はするものの、何というか……遠い世界の話、って感じで現実味を持つことができなかった。今思うと、やっぱり自分の性の対象は女性ではなかったってことなんだろうなって感じだけど……

(浩介……)

 元々浩介は男が好きだったわけではない。おれを好きになってくれる前は、女子バスケ部の先輩に片思いしていたくらいだ。女にだって興味はあるはず……

(………)

 真剣な様子の浩介……。血の気が引いてくる。
 浩介が本当は女を抱いてみたいと思っていたって何の不思議もない……

 ドッドッドッと自分の心臓の音が耳に響いてくる。どうしよう……どうしよう……

(!)

 一際大きい喘ぎ声に驚いて、背けていた目を画面に移し……

「………っ」

 耐えられなくて、テーブルの上にあったリモコンを取り、電源を消した。手が、震える……
 だって、だって……この女優……恍惚の表情を浮かべていた女……

(……美幸さん)

 美幸さんに、似ていた。浩介が好きだった女……


「あー見てたのにー」
「!」

 浩介が呑気な声で文句をいって、リモコンをおれから取ろうとしたので、とっさにリモコンを後ろのベットの方に投げつけた。ベッドからバウンドして下に落ちたらしく、ガタンッと大きな音がしたがそんなの知ったことではない。

「慶?」
「………っ」

 ぎゅうっと浩介の首に手を回し抱きつく。

「慶? どうしたの? もしかして嫌だった?」
「………」

 強がって首を振ると、浩介は腰に手を回して、キュッと抱きしめてくれた。けど……。……どう思ってるんだろう。おれは女みたいに柔らかくない。抱きしめても……

「慶ってこういうの見ない? あ、でもこないだAVかよーとか言ってたよね」
「……中学の時、バスケ部の先輩の家で見たりした」
「あはは。おれも高1の時バスケ部の先輩の家ではじめて見たー」

 楽しそうに言う浩介……

(そのときどう思った? 女抱いてみたいって思った? 今も思ってる?)

 聞きたいけど……聞けない。

 そのままジッとしていたら、 

「あ、じゃあ、慶、ちょっといい?」
「え?」

 浩介がおれを剥がして立ち上がった。そして、

「えーと……」
「わっ」

 いきなり座っているおれの右足首を掴んで引っ張りあげた。な、なんだなんだ?!

「それで、肩に……」
「こ、浩介?」

 真面目な顔をしておれの足をあーでもないこーでもないと引っ張ってくる浩介……いったい何を……

「お前、何やって……」
「え、だから、さっきのビデオの体勢」
「……は?」

 浩介は、んーーと唸ると「やっぱりよく分かんないなあ……」と言って、おれから手を離した。ぽかーんとしてしまう。

「さっきのビデオの体勢……?」
「うん。こう、足を肩に担ぐみたいにしてたでしょ? あれどうやってんのかなあと思って」
「え……」
「もしあれで慶が気持ち良くなるんだったらやってみようかと思ったけど、やっぱり体勢的にキツイ感じがするんだよねえ。どう思う?」
「どう思うって……」

 どう思うって……

「お前、一生懸命みてたのって、それ……」
「あ、うん。でも、結局よく分かんなかった」

 でも、でも……

「でも、お前、初めからすげー真剣に……」
「初め? あ、うん。どうやったらあんなスムーズに洋服脱がせられるのかなあと思って。おれいつもモタモタしててかっこ悪いからさ」
「………」
「でもやっぱりそれもよく分かんなかったや。んー難しいねえ」
「………浩介っ」

 バカっっ!バカバカバカバカバカバカっ

 たまらなくなって、立っている浩介に飛びつくみたいに抱きついた。

「わわわっ慶?!」

 びっくりした声をあげたことにも構わず、体をグイグイおして、ベッドまで連れて行き押し倒す。ぎゅうううっと抱きついていると、浩介がちょっと笑いながらおれの頭をなでてくれた。

「どうしたの?」
「……どうもしない」
「あ、わかった」

 並んで寝そべる体勢に変えて、ちゅっとキスを落としてくれてから、こつんとおでこを合わせてくれる。

「刺激受けて早くやりたくなっちゃった?」
「…………ちげーよ」

 なに呑気なこと言ってんだ。ばか。って言葉は飲み込んで、おでこをグリグリ押し返す。

「お前があんまり真面目に見てるから、ああいう女が好みなのかなーとか思っただけだ」

 美幸さんのことは思いださせたくなくて、名前は出さないで言う。

「結構美人だったし」
「あ、そうなの? 全然顔見てなかった」
「………」

 見てなかったって……

「………。たぶん好みだったと思うぞ」

 我ながら自虐的だと思いながら言うと、浩介は「でもさあ……」といいながら、すりすりすりすりおれの頬をなで回してから首をかしげた。

「慶に似てるAV女優なんて、いたらすっごい人気になってて、こんなとこで無料で見れるわけなくない?」
「………は?」

 おれに似てる?

「何の話だ?」
「え、だから慶に似てたんでしょ?」
「は? 似てねーよ」

 何を言ってるんだこいつは。
 頭の中ハテナハテナのまま、眉を寄せると、浩介も同じように眉を寄せた。

「じゃあ、好みじゃないじゃん」
「は?」

 え?

 浩介、「意味わかんないんだけど」と首をかしげて、おれの鼻筋を人差し指でツーッと辿ってきた。

「前も言ったでしょ? おれの好みは慶だよ? なのに似てなかったら好みじゃないじゃん」

 何言ってるの? と言う浩介……

「あ………」

 おれは………おれは。

「こーすけ……」
「ん?」
「お前……」

 言いかけたところで、鼻筋を辿ってきた指が唇を割って入ってきた。背筋に快感が走る。歯を撫でられ舌に触れられた時点で、我慢できなくてその指をしゃぶると、

「んんん……慶っ」

 自分から仕掛けてきたくせに、浩介が戸惑ったように身もだえた。

「慶、色っぽい……」
「…………」

 浩介を上目遣いで見ながら指をしゃぶり続け、ベルトに手をかける。すでに大きくなりはじめていた浩介のものを取りだし、ゆっくりと扱きはじめると、浩介が慌てたようにおれの口から手を引き抜いた。   

「慶、もう、無理……っ」
「? 何が?」

 掴んだまま、浩介を見上げる。浩介の唇……欲しい。その思いのまま、軽く唇を合わせると、手の中のものが反応して更に大きくなった。……かわいい。

「ああ、もう、慶、無理だって……」
「何が」

 もう一度言う浩介の顎に、首筋に唇でふれる。すると、浩介が大きくため息をついた。

「あ、もう、ほんとに無理……」
「だから何が」
「視覚的に……」

 視覚的?

「おれ、慶のこと見てるだけでイク自信ある……」
「……なんだそりゃ」
「だって、見てるだけでもう……」

 浩介のものがおれの手の中でビクビクと成長していく。

「慶……」
「………」

 重ねられる唇。

「浩介……」

 こんなに素直な反応を見せてくれているのに、それでも不安になってしまうのは、美幸さんの影がちらついてしまうからだ。どうしても、どうしても不安が消えない……

「慶?」
「うん……」

 おれの不安がうつったのか、浩介までも不安そうな瞳になり、手の中のものも勢いがなくなってしまった。

「慶……」
 コツンとおでこを合わせて、浩介が心配そうに言う。

「ごめんね。おれ変? 呆れちゃった?」
「……違う」

 そんなことあるわけがない。

「じゃあ、どうしたの?」
「………ただ」

 浩介の唇にそっと唇を重ねる。伝ってくる愛しさ……

「お前が女とやりたくなったんじゃないかって心配になっただけだ」
「……なにそれ」
「だってすっげー真面目にAV見てたから……」
「だからそれは体位の研究で……」

 うん。分かってる。分かってるよ。でも……

「慶……」
「ん」

 再び唇を重ねる。大好きな浩介……

「おれ……慶としかできないよ?」
「………」

 浩介が真面目な顔で言ってくる。

「AV見ても勃たないし」
「え」

 勃たない?

「慶の顔と体に脳内変換すれば勃つのかなあ? って思って変換してみるんだけど、やっぱり見てる最中は無理なんだよね。見終わってからあらためて頭の中で色々修正かけてからじゃないと……」
「え、え、え?」

 何の話だ? って……

「あの……お前って、AV、そんなに見……」
「あ、うん。西崎の部屋でグループ発表の打ち合わせすると必ず最後は見させられるから」
「…………」

 西崎というのは浩介の大学の同級生で、人妻と不倫をしていて、浩介に色々と下ネタ情報を流してくる奴で……

「でも、西崎の好きな女優さんのシリーズって、どれもたいして変わり映えないんだよ」
「…………」
「だから今日のは見ててちょっと面白かった」
「…………」

 なんか色々ツッコミどころ満載なセリフの数々だ……

「慶? って、あ! もしかして怒ってる?!」

 おれが黙っていたら、浩介は慌てたように起き上がり、脱げかかっていた下着とズボンをさっと履き直して、ベッドの上で正座になった。

「あー、西崎に怒られるから言うなって言われてたの忘れてた」
「…………」
「あの………ごめんなさい……」

 深々と頭を下げてくる浩介………
 なんだそりゃ……

「何がごめん、だ?」
「えーと………、なんだろう?」
「あほかっ」

 おれも起き上がり、正座をする。

「別に怒ってねーし。つーか、色々謎が解けた」
「謎?」

 キョトンとした浩介にこっくりとうなずく。
 そう、今まで不思議に思っていたんだ。回を重ねるごとに、色々なことを仕掛けてきたり、上手くなってきたりしている浩介。何かしら情報があるんだとは薄々思っていたけれど、そういうことだったのか……

 例えば、今日のこれだって……

「あ、ちょ、慶……っ」

 戸惑った浩介に構わず、浩介の手を取り、指にしゃぶりつく。指の股を舌で強く舐めあげると、浩介が、我慢できない、というようにおれを抱きすくめ、首筋に顔をうずめながら押し倒してきた。

「慶……っ」
 耳元で聞こえる浩介の興奮したような声に、思わず笑ってしまう。

「お前、指舐めさせるのもビデオで見たんだろー?」
「…………」

 ピタッと動作が止まった浩介……
 図星、だな。

「あははははっやっぱりなー」
「笑わないでよっ」
「だってお前……」
「もう意地悪っ」

 笑い続けていたら、浩介が起き上がり、ぷーっと頬を膨らませたまま、おれのシャツのボタンを外しはじめた。

「じゃあ今日はたくさん慶の顔と体見る」
「は?」
「それで脳内変換の参考にする」

 すーっと肩をなでられゾクゾクしてしまう。

「……するなよ」
「何を?」
「脳内変換。するな」
「どうして?」
「どうしてって……」

 キスをせがむように顎をあげると、ちゅっと唇が下りてきた。微笑む浩介がかわいくてたまらない。

「変換しなくても、おれとやればいいだろ」
「それは、ビデオ見ちゃダメって話?」
「いや? ビデオ見て、情報仕入れるのはいいけど、その場で女優におれを当てはめるなって言ってんだよ」
「うん。でも……」
「………っ」

 浩介の手が、おれのズボンを引き下ろし、優しく包み込んでくれる。

「おれ、女優さんを慶に変換するばっかりじゃないよ。逆に参考にしたりもするよ」
「参考?」
「どう触ってるのかなあとか、どう舐めてるのかなあ、とか」
「………っ」

 浩介が素早く体をずらし、おれのものを口に含みはじめた。

「こないだ見たのはね」
「わ、浩、ちょ……っ」
「こうやって先の方だけ……」
「んん……っ」

 快楽に体が支配され、腰のあたりがビクビクっとなる。

「気持ちいい?」
「ん……っ、お前、にも、同じこと、してやる」
「うん!」

 にこーっと浩介が笑った。

「やっぱり男同士っていいよねー」
「んん?」
「どこが気持ちいいとか分かるじゃん」
「あ……んんっ」

 呑気な言い方とは裏腹に、手と舌と唇で激しく責め立ててくる浩介。

「慶……慶、だから、たくさん、しようね?」
「ん……あ、こう、もう、イク……っ」
「ん。いいよ」
「だからイクって……っ離せ……っ」
「やだ」

 拒否され、そのまま扱かれ、舌を絡めて吸い続けられ……

「……んんんっ、あぁっ」

 我慢できずに浩介の口内に吐きだすと、浩介は満足したように喉を鳴らして飲みこみ、丁寧に丁寧に舌で舐めとってきた。その様子が恥ずかしくていたたまれなくて、わあわあと悪態をついてしまう。

「バカっ飲むなよ恥ずかしいっAVかよっ」
「だから、AVでやってたんだって」

 笑いながら浩介が言う。

「でも、慶は飲まないでね?」
「ああ?」
「慶は……こっちで飲んで?」
「!」

 スルリと後ろをまさぐられて、のけぞってしまう。

「変態っ」
「ごめん」

 クスクスクスクス笑う浩介。
 ああ、もう、いいよ。もう、なんでもいい。

「……浩介」
「慶」

 ぎゅううっと抱きつくと、ぎゅううっと抱きしめ返してくれる。

「さっきの、やる」
「わ……慶……っ」

 優しく包み込み、先の方だけしゃぶると浩介が震えた。

「慶……」
「……ん」
「気持ち良すぎる」
「……ん」
「想像以上どころの騒ぎじゃない……」
「……ばーか」

 なんでもいい。浩介が全部をおれに変換してくれるんだったら、それでいい。

 


---------------

お読みくださりありがとうございました!

前回、同窓会後の話を……と予告させていただいていたのですが、一回では絶対に書き終わらない構成になりそうなため、書くことを躊躇してしまい……
そんな中、ふと上記の話が下りてきてしまったため、先に書いてしまいました。

勉強家で真面目な浩介は、ビデオとか見て体位の研究とかしてるに違いない!って話から^^;
そしてこの頃の慶は、自分が1年以上片思いしてたこととか、浩介が女性を好きだったこととか、そういうコンプレックスからまだまだ抜けきれない時期なのでした。ちょっとかわいい慶。

次回こそは、現在の話…かも。もしお時間ございましたら、どうぞよろしくお願いいたします!!

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BL小説・風のゆくえには~R18読切・3つの理由

2016年04月08日 07時21分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ R18・読切


 慶が浪人生、浩介が大学一年生時代のお話になります。
 連載中の作品では、まだ慶の片想いでしかなかったので、ここですでに恋人である二人の話を途中で載せるのはマズイだろう……と載せずに保存しておりました。
 でも、前回、扱き合いっこもしたわけだし!解禁でいいよね!ということで……

 アホみたいな話です。すみません。
 エッチな意味でのR18というより、リアルな下ネタ的にR18って感じです。苦手な方、ご注意ください……

 浩介視点でお送りします。



---------


『R18・3つの理由』



 同じ大学に西崎という男がいる。
 三浪しているので、3つ年上。でも敬語は使うなというので名前も苗字呼びつけで呼んでいる。
 とにかく下ネタが大好き。現在人妻と付き合っているらしい。

 グループ発表の班が同じなので、西崎含めた男5人でよく集まるのだけれども、いつも最後には西崎のせいで下ネタ話になってしまう。
 でも、役に立つこと(人目につかないラブホテルの場所とか、潤滑ジェルの売り場とか)の情報も提供してくれるので、感謝はしていたりする……


 そんな西崎が今回言い出したのがこれ。

「マンネリ化したエッチに刺激がほしければケツの穴に入れろ」

 他三人は「ありえねー!」と叫んだけれど、そこでしかしたことのないおれはグッと詰まってしまった。でも普通の顔をしてふんふんと肯いてやる。
 でも、西崎の話を聞くうちに、え?そうなの?と身を乗り出してしまい、皆から「桜井乗り気じゃーん!」とからかわれる羽目になったわけだけれども……


***


 その数日後。いつも行くラブホテルにて……


「だから指ですんなって言ってんだろ!」
「痛っ」

 思いきり肩のあたりを蹴られた。慶は、エッチしてるときは攻撃的になってるのか、いつもよりも蹴る力に容赦なくて本当に痛いっ。

「もー蹴らないでよっ」
「お前がしつこいからだっ」
「だって……」

 こうして体を重ねるのも、もう10回目になる。(慶には言えないけど、数えてるおれ……)

 今までずっと、ほとんどの場合、潤滑ジェルをたっぷりつけてはいるものの、指で慣らしたりしないでいきなり挿入してしまっていた。
 でも、西崎の話だと、それではいけないらしい。

「本当はちゃんと指で少しずつ押し広げないといけないんだって!」
「はああ? 何言ってんのお前?」

 ガシガシとまだ蹴ってくる慶。こんなに綺麗な顔してるくせに本当に乱暴だ……

「だからー」
 足を掴んでとめて、真面目に答える。

「急に入れたりするのはダメなんだって。中が傷ついたりするし、痛いし」
「痛くねーし」
「…………」

 そうなんだよな……慶、痛くないっていうんだよな……
 初めての頃はあんなに痛がっていたのに、今ではほとんど痛がらなくなったのだ。

 慶はムッとしたまま続けた。

「つか、むしろ、指の方が痛い。爪切ってあるっていってもなんか爪が擦れてる感じするからヤダ」
「そ……そっか……」
「それにお前、指冷たいしな」
「あ……ごめん」

 そうなのだ。おれは常に手先が冷たい。慶はいつでも温かいのに……
 おれの心の闇がおれの手を冷たくしているようで、この冷たさを感じる度に後ろ暗い気持ちになる……

「あ、いや、それは別にいいんだ」
 おれが黙ると、慶は慌てたように否定して、おれの両手をギュッと掴んで包んでくれた。

「お前の手は、おれがいつでも温めてやるから、な?」
「慶……」

 泣きそうになってしまう。慶は本当に優しい……

「浩介」

 ぎゅうっと抱きしめてくれる慶……
 そして、耳元で囁いてくれた。

「お前の、いれて」
「……っ」

 反応してドクンッとものが固くなる。

「お前の、熱くて、固くて、気持ちいいから」
「慶……」

 そんなこと言われたら……もう、指でなんてしていられない。
 ジェルをたっぷりとつけ、ゆっくり、ゆっくり、慶の中に押し入る……そしておれ達は一つになる……

「あ……」
「………」

 慶の指がギュウッと背中に食いこんでくる。

「きもちー……」

 ため息まじりに耳元でささやかれる。

 ああ……幸せだ……




***


 後日……

「やっぱり、彼女痛がってだめだったぞー」
「げっお前挑戦したのかよ!!」

 再び、グループ発表の班で集まった際に、またその話になった。一人の彼女持ちの奴が挑戦してみたらしく……

「桜井! お前はどうだった?」
「え?!」

 いきなりふられて飛び上がってしまう。

「こないだやけに食いついて聞いてたじゃん。やったんだろ?」
「あー……まあ……」

 みんなには、恋人がいることは言ってある。まさか男だとは思ってないだろうけど。

「彼女、痛がってただろ?!」
「いや………」
「じゃ、そうとう指で丁寧にならしたのか?」
「あ、ううん……なんか、指でするほうがヤダっていわれて……」
「で?」

 西崎をのぞく三人に詰め寄られタジタジになってしまう。

「入れられたのか?!」
「う………うん」
「いきなり?」
「う……ん、そういうことになるのかな……」
「………」

 へえええ………。三人は一斉に肯いてから、西崎を振り返った。

「西崎センセーこれはどういうことかなー?」
「お前こないだあんだけ偉そうに講釈垂れてたくせに、桜井の彼女は大丈夫だったってよー」
「まあ……そういうこともあるだろうなあ」

 西崎は批判をものともせず、ニヤリと笑った。

「理由は3つ考えられる」
「3つ?」

 4人で素直に西崎センセーの講義を聞く体勢になる。

「1つは、彼女がすごくリラックスした状態で、変に力が入ってなかったと思われること。これはまあ、桜井の前戯が上手いって証拠だな」
「おおおっ」
「やるじゃん桜井っ」

 小突きまわされ照れてしまう。本当にそうだとしたら……ものすごく嬉しい!

「次に……」

 持ちあげておいて、落とすのもなんだけど、と西崎は前置きをして、コホンと咳をしてから言った。


「桜井のものが、大きくないってことだな」
「…………」

 グサッと刺さる。

「予想するに……その体型と一緒で、細長い、とかそんな感じだろ?」

 グサグサグサッ

 ひ、否定できない……というか、肯定するしかない……

「さ、桜井、ドンマイ」

 胸を押さえて、うううっと言っているおれに、みんなが声をかけてくれる。
 言った本人である西崎はあっけらかんと、

「まあ、いいじゃねえか。大きさはテクニックでカバーしろ。こう……抉るような腰使いがオススメだ」
「………」

 さ、参考にさせていただきます……


「で、3つ目は?」
「あー3つ目は……真偽のほどは定かじゃないし、聞きたくない話かもしれないんだよなあ……」
「なんだよ教えろよっ」

 西崎がもったいぶるのを、みんなで詰め寄って聞かせてもらったんだけど……

「………聞きたくなかった」

 聞いたら聞いたで、3人とも一斉にブーブー言い出した。
 おれは……、うん。慶ならありうる。というか、そうに違いない。と思った。

 その3つ目の理由とは……


***


 それからまた数日後。

 今日は付き合って2周年記念日。
 12月23日の祝日だけれども、慶は朝から予備校があった。受験生には祝日もクリスマスもないってことらしい。

 夜も予備校があるそうで、日中の数時間だけ一緒に過ごしてくれることになった。そうしてやりくりしてでも一緒にいようとしてくれることが本当に嬉しい。

「やった~!食べ放題!ありがとな~!」
「どういたしまして」

 この日のために、慶の好きそうな店を調べて予約しておいたのだ。せっかくの2周年。特別に過ごしたい。でも…… 

「慶、あんまり食べ過ぎちゃダメだよ? 夜の授業にさしつかえるよ?」
「わかったわかった」

 わかった、といいながら、慶はやっぱりおれの倍は食べて、「食べ過ぎたー苦しいー」と言いはじめた。案の定だ……

「もう、慶……」
「苦しいからホテルいって休むー」

 ケロリと言った慶。

「え」

 え、いいの? 夜授業なのに? いいの? いいの? いいの?

「お前、にやけ過ぎ」

 おれの額をピンッとはじくと、慶は時計を見て立ち上がった。

「制限時間まだだよな? ちょっとトイレ行ってくる」
「はーい」

 少し残っているピザとアイスコーヒーで時間を潰す。たぶん慶、しばらく戻ってこない。


 西崎の言っていた3つ目の理由……それは。

「毎日快便で、でかいクソしてる女は道筋できてるから痛くない、という説がある。真偽のほどは定かじゃないけどな」
「…………」

 みんなが、聞きたくなかった!オレの彼女はクソなんかしねえ!とか色々言っている中、おれは妙に納得してしまった。

 慶は良く食べる。食べるくせに全然太らない。鍛えてるっていうのもあるんだろうけど、それだけでは説明できないくらい、食べるのだ。

(出るものもキチンと出てるんだろうな……) 

 西崎の話を聞いた翌日、駅で電車を待っている間にそれとなく聞いてみたら、

「え!? 誰でも毎朝出るもんじゃないのか!?」

と、驚かれた。世の中そんな健康的な人間ばかりなわけがない。

 慶はキチンと毎朝出るし、食べ過ぎたりした場合もすぐに出るそうだ。なんて健康的……。

 おれなんて、あれだけ完璧にバランスの考えられた食事を毎日食べさせられているのに、毎朝快便、なんて経験したことがない。家にいると、いつでも何となくお腹の調子が悪くて………まあ、ストレス性のものなんだろうけど……。



「おまたせー。もう行くか」
 慶がスッキリした顔をして戻ってきた。

「大きいの出た?」
「おお」

 軽くうなずきながらカバンとコートを取った慶に更に聞く。

「どのくらいの大きさ?」
「えーと、このくらい……って!」

 手で形を作ろうとした慶がゲラゲラ笑いだした。

「何言わせんだお前」
「いや、なんとなく………」

 このくらい………
 慶が作った手の大きさを思い浮かべ、うっと詰まる。

(おれのより大きい……)

 いや、適当にやっただけで、本当にその大きさかどうかは分からないし……

 ても………でも、でも、でも。


「慶」
「あ?」

 会計を終え、外に出たところで、真剣に告げる。

「おれ………頑張るから」
「は?」

 何を? と、眉を寄せた慶の耳元に顔を近づけ、囁く。

「だから、セック……痛っ」

 言い終わる前にはたかれた……。

「お前、真っ昼間から何言ってんだよっ」
「だってこれから行くんでしょ?」
「行くけど……っ」

 慶、真っ赤。

「行くけど、するとは言ってない!」
「…………」

 ………確かに。

 しばらくの無言の後、
 
「……わかった」

 おれが無表情に言うと、「え?」と、慶の瞳が不安そうに揺れた。

(……かわいいなあ)

 慶って普段は強気なのに、時々こういう顔をする時がある。たぶんおれにしか見せない顔……おれのことが好きだからする顔。

「浩介、あの……」
「うん。だからわかったって」
「ちがくて、だから……って!お前!」

 耳にキスすると、慶が再び真っ赤になった。

「何して……っ」
「『行くけど、するとは言ってない』」
「え?」

 眉をよせた慶にニッコリとする。

「だから、する気にさせろってことでしょ?」
「…………」

 慶は呆気にとられた顔をしていたが……

「……ばかじゃねーの」

 言うとクルリと背を向け歩きだしてしまった。慌てて追いかけ、顔をのぞきこむ。

「慶くーん?」
「うるせーばか」

 慶は拳でおれの額を押しのけると、シュッとダッフルコートの帽子をかぶって、おれの腕にしがみついてきた。こうしていると、身長差と色白で中性的な慶の面差しのおかげで男女のカップルに見える(たぶん)ので、ホテルに行くときにはいつもこうしている。

 慶はうつむきながら、ボソボソと、

「もう、する気になった。時間ないし一番近いとこ入る」
「…………」

 ………やばい。かわいすぎる。我慢できない。早く行きたい。

「じゃ、こっちの道のが近いから」
「……。なんで詳しいんだよ」
「西崎が教えてくれた」
「また西崎か……」

 そうだ。西崎センセーに言われたんだ。テクニックでカバーしろって。
 あ、いや、でも、今日はこのあと予備校なんだから、無理させちゃいけない。今日はあまり激しくはしないで、慶の気持ち良いことだけ…………

「………何考えてる?」
「え?」

 妄想中の本人からの問いかけに、緩んだ頬を引き締めようとしたけど無理だった。

「お前、今、すっげーやらしい顔してるぞ?」
「だってやらしいこと考えてるもん」
「…………変な奴」

 ボソッと言われた。
 そういえば高校で初めて会った時も「変な奴」って言われたなあ……なんてことを思い出した。
 あれからもう3年半以上経つのか……

「なあ……」
 ふいに慶がいった。下を向いたままだから、どんな顔をしているのか分からない。

「ん?」
「来年もさ……」

 掴まれた腕の手に力を入れられる。

「来年も一緒にいような?」
「……………」

 来年。

「…………うん」
 慶の手を上からぎゅっと握る。

「来年も、再来年も、ずっとずっと一緒にいようね」
「ん」

 去年も約束した。そして今年も一緒にいる。来年も再来年もその先も、ずっとずっと一緒にいる。
 
「だから、頑張るね」
「何を?」
「だから、セ………」
「もーそれやめろって!」

 慶は怒ってから……クスクス笑いだした。おれも笑ってしまう。慶と一緒にいると笑ってばかりだ。

 こうやって、ずっとずっと笑って、ずっとずっと一緒に生きていきたい。

 



----------------------------------------


お読みくださりありがとうございました!
浩介大学一年生、慶浪人生、のお話でございました。
この「来年」にあたるのが「自由への道」編になります。

「3つの理由」の内容については、実は「風のゆくえには」シリーズを再開したころ(1年半くらい前?)に、そういった行為について調べまくった時期からずっと考えておりました。今回こうして具体的に書けてなんだかスッキリ^^


次は本編。高校2年生の終わりの二人に戻ります。
明後日更新予定です。次回もどうぞよろしくお願いいたします!

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(BL小説)風のゆくえには~R18・聖夜に啼く

2015年10月29日 11時59分23秒 | BL小説・風のゆくえには~ R18・読切
注:具体的性表現入ります。苦手な方ご注意ください。

桜井浩介:教師。身長177cm。物腰やわらかな平均的男性。内面は病んでる。
渋谷慶:小児科医。身長164cm。超美形。中性的な顔立ちに反して性格は男らしい。

二人はずっと東南アジア某国で暮らしていましたが、ようやく日本に帰ってきました。
今日は、クリスマスイブイブ。二人が付き合いはじめた記念日でもあります。
(「あいじょうのかたち」がはじまる直前の話になります)

慶の妹南ちゃんが、横浜みなとみらい地区にあるとあるホテルの予約を譲ってくれました。
久しぶりの日本!久しぶりの横浜の夜景!これはもう盛り上がるしかないでしょ~~。
浩介視点でいきます。

----



『風のゆくえには~R18・聖夜に啼く』



 久しぶりの日本。久しぶりのみなとみらい。色々と変わっていたので、慶と一緒に間違い探しをしながら方々歩き回った。

 今は、観覧車が見えるホテルの一室にいる。
 慶の妹の南ちゃんが、旦那さんと来るはずだったのが急に都合が悪くなったそうで、予約を譲ってくれたのだ。そうでなければ、クリスマスイブ前日にこんな良いホテル、予約なんて取れるわけがない。
 無駄に広いベッド。窓から観覧車が見える浴室。これ一泊何万するんだろう……。

「帰国祝いのプレゼントだってよ。有り難く受け取ろうぜ」

 慶はご機嫌で鼻歌なんか歌ってる。慶が鼻歌なんて、すごく珍しい。

 歌っているのは、恋人がサンタクロース。

 散策している最中に、おれたちが日本を離れていた間にできた新しい商業施設の中で、聖歌隊の子供たちのステージをみたのだ。
 ツリーの前に人だかりができているのを不思議に思って近づいていき、そのままそこで二人釘付けになってしまった。

 なんて澄んだ綺麗な声!

 クリスマスソングからはじまり、途中で日本のポップスの曲も入り、今年大流行したディズニー映画の歌まで歌ってくれた。
 
「日本に帰ってきたんだな……」

 ポップス曲を聴きながら慶がポツンとつぶやいたのを聞いて、胸が締め付けられた。おれのせいでずっと帰ってこられなかったんだもんな……。

「慶……あの」
「おれこの曲好き」
「え」

 暗い気持ちに沈みそうになったところ、いきなり手を掴まれ、その手を慶の手ごとダウンジャケットのポケットに入れられた。ポケットの中でつながる手。みんなステージに目を奪われているから、慶がおれのポケットに手を入れてるなんて気がつかないだろう。

 ギュッとポケットの中で手を握ってくれる慶……。愛おしい……。

 最後はきよしこの夜を皆さんで歌いましょう、と言われ、2人して真面目に歌ってみた。
 子供たちの穢れのない歌声に皆が包まれていく。

 キリスト教徒でもなんでもないのに、今、神様に感謝したい。と心から思った。

 神様、感謝します。慶と出会わせてくれて、慶と一緒にいさせてくれて。これからも愛しいこの人と共に生きていけますように………



「これ、観覧車から見えてねえのかなあ」

 ふと鼻歌をやめて、つぶやいた慶。湯船に浸かりながら大きな窓から外を見つめている。煌びやかな夜景をバックに、完璧な裸体が揺蕩っていて、まるで映画のワンシーンのようだ。

「んーよっぽど窓に近づかない限り大丈夫なんじゃない?」
 いいながら、慶の背中の方から足を入れる。

「夜景、綺麗だね。空に浮いてるみたい」
「キラキラしてるな」

 キラキラしてるのは慶も同じだけどね……。
 思いながら、湯船の中で背中からぎゅうっと抱きしめると、

「……こういうの、すっげー久しぶりだな」
 慶が絞り出すようなため息と共に言った。

「うん。やっぱりお風呂はいいね」
 夜景を見ながら、空の向こうに思いを馳せる。
 とうとう、日本に帰ってきてしまった……。

 でも、大丈夫……おれの腕の中には慶がいる……。

「慶……さっき歌聴いてる時さ…」

 慶の細い指を湯船の中で探し出し、絡ませて繋ぐ。

「手、繋いでくれたの、すごく嬉しかった」
「ああ……」

 慶がおれの手を取り、指を噛むように口づけてくれる。

「なんかどうしても手繋ぎたくなったんだよ」

 嬉しい。慶が照れたようにうつむいたので、白いうなじが晒された。

「手だけ?」
 その色っぽいうなじに唇を添わせると、慶がピクリと震えた。

「んん……っ」
 慶のこらえるような声。
 慶は声を抑えることが癖になってしまったようだ。この8年、外に漏れ聞こえることを心配して、夜の生活の音は極力しないように心掛けていた影響だろう。

「ねえ、慶……声、聞かせて?」
「ん……っ」

 お湯の中で慶のものを優しく掴む。もうすでに固くなっていた。

「慶の声、聞きたい」
「……んなこと言われても」

 熱い吐息を吐きながらも慶が冷静に言う。

「声なんか出そうと思ってでるもんじゃねえだろ」
「なんで。日本にいたころはいつもイイ声で喘いで……」
「ああ?」

 あ、しまった。慶の眉間にシワが寄った。

「何だって?」
「あー……あの……」

 おれが答えるよりも早く、慶はざばっとおれの手から離れ、立ち上がった。

 怒らせてしまった……?

 慶はそのまま行ってしまうのかと思いきや、くるりとこちらを向き、心配して慶を見上げていたおれの方へ身をかがめた。

「え……」
 慶の柔らかい唇が下りてくる。味わうように唇を吸い込んでくる慶……。
 でも、舌を絡めたくて、そちらに割り入ろうとしたところで、すっと身を引かれてしまった。

「慶……っ」
 つんのめりながら慶の腕をつかんだが、慶はスルリと湯船から出ていってしまった。

(ああ、せっかくの夜景が見えるお風呂。もっとここでイチャイチャしてたかった……)

 内心グルグルしていたら、慶がバスロープをはおって戻ってきた。

「慶?」
 慶は浴槽から窓まで続いているスペースに身軽にのぼると、そこにあった石鹸やタオルを横によけて、こちらをむいて腰をかけた。

「お前、そんなこと言うならな……」
 そして、湯船にいるおれの肩に片足をのせ、ジッとおれのことを見つめてくる。

 吸い込まれそうな瞳。目が離せない。

 慶の足がすいっと動いた。足の指で頬をなでられゾクゾクする。

「そんなこと言うなら……」

 慶は挑発的な瞳で、ささやくように続けた。

「イイ声で啼かせてみろよ?」
「………」

 夜景を背にした美しい姿……空に浮いているみたいだ。白いバスロープのせいで余計に天使のように見える。おれだけの天使。

 足の指に口づける。慶は足の指まで美しい。長くて細くて……舌を使ってしゃぶると、ビクビクっと慶が震えた。
 そのままふくらはぎ……膝の後ろ……太腿……と唇を上に這わせていく。
 バスロープの前をはだけさせ、足を押し広げる。のけぞった慶の白いあごが、窓にうつる……

「慶……」
 そっと陰嚢を包み込む。慶から滴が垂れはじめているけれど、わざとそこには触らず、まわりにだけ舌を這わせる。

「……んっ」
 小さく慶がうめいた。腰が浮いているのに気が付かないフリで、太腿にキスを続けていると、

「こう……っ、じらすな……っ」
「んー」

 慶の文句に内心嬉しくなって、わざと足の指に唇を下ろす。

「んん……っこう……っ」
「うん………あ」

 急に窓の外が明るくなったのに驚いて唇を離した。観覧車のイルミネーションがはじまったのだ。15分ごとに花火のようなイルミネーションが見られるのだが、毎時00分は5分間あるらしい。

「ほらほら、慶、さっきはすぐ終わっちゃったけど、今回は5分あるからたくさん見れるよ」
「あ……ほんとだ」

 慶が観覧車を見るために、窓の方に体をむけた。その白い頬にイルミネーションが映りこむ。ああ、なんて綺麗な……

「慶……」
「ん………っ」

 腰を掴み、四つん這いにさせると、慶の引き締まった尻の間の無防備な場所が、おれの前にさらけ出された。
 イルミネーションに照らされるそのあられもない姿にどうしようもない興奮がかきたてられる。ここに自分の欲望を突っ込みたい。奥まで突きあげたい。……自制がきかなくなりそうだ。

 少し冷静になり、後ろから手を回して、慶の滴を指でのばす。

「あ………っ」
 慶がのけぞる。
 滴で湿らせた指をうしろから差し込むと、慶はさらに仰け反った。

「こう……っ、指なんかでするな……っ」
「ダメ?」
「んんんっ」

 指を奥まで入れてかき回しながら、前もゆっくり扱きはじめる。

「観覧車、綺麗だね。でも、こんな窓に近づいてたらさすがにあっちからも見えちゃうかな」
「ん………っ」

 慶が観覧車から顔を背けようと体をねじった。その動きを利用して仰向けにさせる。

「でも慶は観覧車よりずっと綺麗」
「あ…………っ、んんっ」

 慶の足を押し開き、慶の大きくなったものを口に含む。苦いような甘いような慶の味を舌で味わいながら、右手は後ろに入れたまま、左手は陰嚢を優しく揉む。

「あ………っ、こう……っ」
「声、聞かせて?」

 しゃぶりながら、慶にいったが、慶はなぜかぶんぶん首をふった。

「いや……だっ」
「なんで。意地悪だなあ慶は」
「意地悪は、お前だろ……っ」

 おれの指に突きあげられながら、慶が涙目でいう。

「お前のを入れろよ…っ。指なんかじゃイヤだ。声なんか絶対に出さねえ…っ」
「………慶」
「お前のが、ほしい…っ」
「………っ」

 その目、その言葉だけで、イってしまいそうになる。破壊力全開だ……。

 なんとか正気を保ちつつ、指を入れたまま慶の耳元に口を寄せる。

「じゃあ、入れたら声聞かせてくれる?」
「それはお前次第だろっ」
「……厳しいなあ」

 軽くこめかみにキスをしてから、ゆっくりと引き抜く。ブルッと震えた慶……
 ああ、かわいすぎる……

「なんかすごいプレッシャーなんだけど」
「なに今さら言ってんだよ」
「だって、これで慶が無言だったらさあ……。あ、終わっちゃった」

 もう5分すぎたらしい。イルミネーションが通常の時計の秒針のみの点灯に変わってしまった。さっきまで眩しかったせいか、浴室の中が妙に暗く感じる。

「続きベットでする?」
「ここでいい」
「でも」
「さっさとしろ」
「…………」

 いつもながらムードのない言葉。
 ああ、さっきまでの盛り上がりは、イルミネーションの魔法だったんだろうか……

 ブツブツ思いながら、こっそり浴室に持ち込んでいた潤滑ジェルの蓋を開ける。
 この8年、南ちゃんが差し入れの荷物の中に毎回忍ばせてくれていたのだ。あちらでも売ってはいたのだけれども、相手もいないのに何買ってるんだ?と突っ込まれたら返答のしようもないので買えずにいたから、本当に助かった。

「お前、用意いいな」
「だって、観覧車のイルミネーションみながらしたかった……、んんっ」

 慶がおれから容器を奪い取り、おれのものをぬるぬるとしたジェルで包んでくれる。萎えかけていたものが途端に固く大きくなっていく。

「だったらさっきなんで指でしてたんだよ?」
「んー、興奮しすぎて自制がきかなくなりそうだったから」
「なんだそりゃ」

 慶は容器の蓋をしめると、自分の手についたジェルをバシャバシャと湯船で洗い、再び湯船横のスペースに腰をかけた。

「自制なんかするなよ? おれを満足させろ」
「だからそれがプレッシャーだっていうのに……」
「何言ってんだよ。いつもみたいにやりゃいいんだよ」
「いつもみたいに……」

 ってことは、いつも満足してるってこと?
 
 うわ……嬉しい。

「じゃ、遠慮なく……」
「ん……っ」

 慶の白い脚を押し広げ、体の真ん中に自分の欲望を押し込める。指で慣らしてあった上に、ジェルのぬめりも手伝って、抵抗もなくズブズブと中に入っていく。慶は中まで熱くて引き締まっていて、おれを捉えて離さない。

「あ……っ」
 慶の完璧に整った顔に苦痛の表情が浮かぶ。でも、これがすぐに快楽のゆがみに変わることをおれはよく知っている。

「慶……綺麗」
「あ……んん、夜景……?」
「夜景もだけど、夜景に浮かぶ慶がね……天使みたい」
「なに………んっ」

 慶の太腿を強めに掴み、体を裂くように突き上げる。突き上げながら、慶がいつも一番感じるところを探しあてる。慶がいつも感じてくれるのは……

「……あっ」

 慶の表情が変わった。ここだ。そのままそのポイントを外さないように突き上げ続ける。

「あ……っ、浩介……っ」
 慶がイヤイヤというように首を振りながら、バスロープの端をぎゅうっと握った。かわいすぎる。

「慶……声、聞かせて?」
「んん……っ」
「慶………」

 腰を動かし続けつつ、滴が浮かんでいる慶のものの先をなで、ゆっくりと扱きはじめると、

「あ………っ」

 あああああ……っ

 ようやく、堰を切ったように、慶の声があふれでた。

 慶の、声……。
 ようやく聞けた。慶の声。いつもの慶からは想像できない、色っぽくて、切ない、かすれた声。
 興奮をかきたてられて、慶の中のおれがはちきれんばかりになってくる。

「慶……っ」
「んんん……っあ、浩介……っ」

 涙目の慶が切なげにこちらを見つめ返してくる。

「慶、もう、限界……っ」
「一緒に……」

 慶がおれの太腿に掴まりながら、足をシッカリと腰に巻き付けてくる。これじゃ外せないじゃないか……っ

「慶、そんなことしたら」
「中で出していい」
「でも」
「いいから……っ」

 慶のあごが上がり、夜景に照らしだされる。白くて美しい……天使のようだ。
 その天使の中に、欲望を吐きだすなんて……なんて冒涜。なんて魅力的な冒涜……

「ああ……慶……っ」
「あ……んんんっ、こう……っ」

 浴室の中に喘ぎ声が響き渡る。お互いを呼ぶ声が交差してそして……

「ん……っ」
「慶……っ」

 おれの手の中の慶が熱い熱を吐きだしたのと同時に、おれも必死にこらえていた欲望を一気に吐き出した。ドクンドクンと慶の中に吐き出されていく……。

「まだ」
「え」

 あわてて抜こうとしたが、慶に絡めた足の力を強められ、動けなくなった。

「まだ。まだ繋がってたい」
「慶………、あ」

 慶のかわいいセリフに胸が締め付けられたところで、再び外が明るくなった。15分のイルミネーションのはじまりだ。

「……綺麗だな」
「慶の方が綺麗だよ」

 照らし出される慶の白い頬。本当に綺麗……

「ばーか」

 慶が優しく笑ってくれる。少し枯れてる声。
 ああ、本当に、日本に帰ってきたんだな……

 頭の中で、聖歌隊の子供たちのクリスマスソングが鳴り響く。
 一日早い聖なる夜に切に願う。どうか、どうか、この人とずっと一緒にいられますように……



-------------


以上です。

風のゆくえにはシリーズ目次→こちら

になっております。ご参考までに……


最後までお読みくださりありがとうございました!
朝からこんなエッチなシーンを真面目な顔して打っている私はそうとうおかしい…
と思いながら打ってましたが、もう昼ですね。。。

書きたかったシーンは、

・聖歌隊の歌を聴きながらポケットの中で手を繋ぐ
・夜景をバックに「イイ声で啼かせてみろよ?」という慶

でした。この二つを書くためになぜこんなに長くなる……
最近R18もの書いてなかったので、ついつい楽しくて……

ということで。次回は本編に戻ります。よろしければ、お願いいたします!

---

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感謝の気持ちでいっぱいでございます。
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ご新規の方も、よろしければ、どうぞよろしくお願いいたします。

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(BL小説)風のゆくえには~R18・嫉妬と苦痛と快楽と

2015年09月25日 15時11分32秒 | BL小説・風のゆくえには~ R18・読切
注:具体的性表現あります。大丈夫な方だけお願いします。

イチャイチャしてるところを書きたくて我慢できなくなったので、R18読切で書きました。

前回、あいじょうのかたち23で「月が綺麗ですね」なんてプラトニックな感じのこと書いた反動でしょうか。


登場人物

桜井浩介:フリースクール教師。身長177cm。ごくごく普通の容姿。先日、慶の愛情をようやく本当の意味で受け入れることができたところ。

渋谷慶:小児科医。身長164cm。誰もが振り返る美形。職場で男の恋人がいるとカミングアウトをしてから10日。現在、そのストレスで精神的にキツイ日々。


「月が綺麗ですね」は、5月26日(火)の上弦の月の夜。今回は29日金曜日のお話。


--------------



風のゆくえには~R18・嫉妬と苦痛と快楽と



『渋谷慶医師には男の恋人がいる』

と、2度も大手口コミ掲示板に書かれてしまい、職場でカミングアウトすることになった慶。

 あまり話してはくれないけれども、そのストレスは計り知れない。普段は外のストレスは家に持ち帰ってこない慶が、今回ばかりは帰ってきてからも、疲れたようにボーっとしていることが増えた。

 気分転換にスポーツジムに行く?と言いたいところだけれども、あいにく金曜日は定休日…。
 晩御飯も言葉少なにモソモソと食べていたし、一緒にしている洗い物も、心ここにあらずで……。これは早く休ませてあげたほうがよさそうだ。食器の片付けがあらかた終わったところで、声をかける。

「慶、あとはやっておくからいいよ? お風呂入ってくれば?」
「ん……さんきゅー……」

 ふらっと台所から出ていった慶。大丈夫かな……。

 肉じゃがの残りを皿に移して、ラップをかけて冷蔵庫に入れたところで、

「………慶?」
 風呂に行ったと思っていた慶が、いつのまに後ろに立っていた。おれのシャツの裾を掴んで、うつむいている。小さい子みたいでなんかすごく可愛い。

「どうしたの?」
「うん………」

 慶、うつむいたままだ。どうしたんだろう……?

「お風呂入らないの?」
「入る。入るけど……」

 慶は言いにくそうに、言葉をついだ。

「お前……おれが風呂入ってる間……携帯見る?」
「え?」

 携帯?

 なんの話だ? おれが慶の携帯を内緒でチェックするとかそういう話?

「見ないよ? どうして? 何? おれに見られると困るメールでもあるの?」

 茶化し気味に言ったのだけれど、慶はニコリともせずに、

「そうじゃなくて……、ああ、いい。何でもない」
「慶?」

 ふいっと行ってしまった。なんなんだろう?

 そのうち、シャワーの音が聞こえてきこえてきた。入ったようだ。何がいいたかったのか分からないけれども、とりあえず、ご飯の残りを小分けにして冷凍庫に入れて、炊飯器の内釜を洗い物の残りの水で浸す作業まで終わらせてから、リビングに戻る。


 リビングに戻ると、自分の携帯に着信を知らせるランプが付いていることに気が付いた。

 二週間ほど前、慶に『携帯を触ってる時間が増えた』と指摘されて以来、慶がいるときには携帯を見ないことにしている。それなので、今みたいに慶がお風呂に入っている間にまとめてチェックをして……

「……あ」

 携帯に手を伸ばしかけて気が付いた。

『おれが風呂入ってる間……携帯見る?』

 さっきの慶の言葉………

 おれが、おれの携帯を見るかどうかってことだったのか!

 おれのシャツ、慶が掴んでいたあたりが皺になっている。言いにくかったんだろうな。そうだよな……

(ごめん。ごめんね慶)


 速攻で風呂の前に行き、すりガラスをコンコンと叩く。

「慶?」
「………なんだ?」

 そっと戸を開けると、慶はもう湯船に浸かっていた。妙にシンとしている。

「おれも入っていい?」
「………え」

 目を見開いた慶。

「なにを……」
「すぐ入るから。上がらないでね?」
「…………」

 慶が何か言いたげに口を開きかけたけれど、言われる前に戸をしめる。

 どうして気がついてあげられなかったんだ。今、慶は普通の状態じゃない。偏見や好奇の目にさらされて神経をすり減らしている。

 誰のせいで? おれのせいで。おれと付き合ってるから。一緒に暮らしてるから。だから。

 でも、それはただ、おれ達が一緒にいたいからなだけで。それは譲れなくて。

 でも、それを許せない人達もいて、おかしなことだという人達もいて。

 だからこそ、おれは今、慶だけを見つめて、慶を唯一無二の愛で包むべきなんだ。

 まわりの人間になんと言われようと、おれと一緒にいることを選んでくれたことを後悔させないために。



 湯船の中、慶は引き続きボーっとしている。大急ぎで体を洗って、慶の背中と湯船の間に足を入れる。

「……狭い」
「いいからいいから」

 文句を言っている慶を無理矢理膝で押して少し前に行かせ、後ろに座る。勢いよくお湯が湯船からあふれでた。

「あーもったいない」
「いいのいいの」

 慶の引き締まった肢体を後ろから腿で挟み込み、腰に手を回しぎゅうっと抱きしめる。
 慶の背中に思いっきり、おれの大きくなったものが当たっているけれど、それはもうごめんなさいって感じで……。

「慶……」
「ん……」

 後ろから頬をすり寄せる。愛おしさがつのって耳元にささやく。

「大好きだよ」
「……知ってる」

 ぼそっという慶。そして、コンとおれの肩に頭を預けた。

「ダメだな、おれ。想像以上にキツイ」
「慶……」

 負けず嫌いの慶が弱音を吐くなんて………

「大丈夫……?」
「…………」

 しばらくの沈黙の後………ゆっくり慶がうなずいた。

「大丈夫。お前がいるから」
「………慶」

 ぎゅうっと慶を抱きしめる。

「うん。いるよ」
「ん」

 うなじに口づけると、慶がくすぐったそうに首をすくめた。かわいい。

 慶がまたポツリと言う。

「………おれさ」
「うん」
「今おれ、やっぱり変なんだよ。余裕がない。お前が他の奴と仲良くしてるのとか、本当にダメ。ムカついてしょうがない」
「うん」

 慶の指がおれの指に絡ませてつないできた。愛おしさが伝わってくる。
 慶がポツリポツリと続ける。

「おれと一緒にいるときは、おれのことだけ見てほしい」
「うん」
「おれのことだけ考えてほしい」
「うん」
「おれはお前のことしか考えてねえぞ?」

 拗ねたように言う慶。かわい過ぎる。

「お前はおれのもんだろ?」 
「うん」
「おれはお前のもんだしな」
「……うん」

 うなずきながらも、ちょっと笑ってしまい、慶が怒ったように振り返った。

「何笑ってんだよ」
「うん………慶がかわいすぎて」
「かわいくねえよ」
「かわいいよ」

 尖らせた唇に、軽く唇を合わせる。

「おれ、一緒にいないときも、慶のことしか考えてないよ?」
「だったら…………………、なんでもない」
「何?」
「なんでもない」
「けーいー?」

 水中で慶のものを探しだし、優しく掴む。柔らかかったものがすぐに硬くなっていく。慶がムッとして言う。

「触んな」
「言葉と体があってないよ?」
「うるせえ。もう上がる。ずっと入ってたからのぼせてきた」

 慶はザバッと音を立てて立ち上がり、湯船からでたが、

「慶?!」

 すぐにその場にしゃがみ込んでしまった。

「大丈夫?!」
「……あー……だからのぼせたんだって……」

 ジッと下を向いている慶……。

「なあ……」
「なに?」
「おれ、うるせえな」
「………うるさくないよ」

 いつもの慶と違いすぎて、痛々しい……。
 シャワーで上がり湯をかけてから、バスタオルで包み込む。慶はされるがままだ。

「慶?」

 おいで、というように両手を伸ばすと、慶がおれの首にしがみついてきた。そのまま横抱きにして、ベッドに移動する。

 リビングを通り過ぎるときに、おれの携帯をチラッとみた慶……。着信のランプがつきっぱなしだ。電源消しておけばよかったな……。

「携帯……」
 ベッドに下ろすと同時に、慶がボソッと言った。

「携帯、ランプついてた。見ていいぞ?」
「みないよ」

 耳から首筋にかけて唇を這わせると、慶がビクッと震えた。愛おしくてたまらなくなって、横に寝そべりぎゅうっと抱きしめる。

「慶……大好きだよ」
「………知ってる」

 さっきと同じことを言う慶。そしておでこをおれの肩口にぐりぐりと押しつけてくる。

「なあ……おれさっき変なこといったけど……別にいいからな? 携帯……」
「おれ、慶のことしか見てないから他のことなんて見ないよ」
「でも……」

 なおも何か言おうとする慶の唇をふさぐ。完璧な形をした唇が腫れてしまうほど強く吸い込む。舌を侵入させかき乱す。唾液が唇の端から流れでるのを、舌で舐めとると、慶が切なげに瞳を揺らして、再び唇を重ねてきた。掴まれた腕に爪が食い込んでくる。痛いけれど、求められていると感じられてゾクゾクする。

「こ……すけ」
「……ん?」

 キスの合間に慶がささやくように言う。

「はやく……」
「はやく、なに?」

 言わせたくてわざと分からないフリをする。いつもだったら「だからはやく入れろって言ってんだよっ」とかいって蹴られたりするのだけど……。慶、そうとう弱っている。いつもと反応が違う……。

 慶の腕がおれの背中に回され、強くしがみつかれた。頬と頬をすり寄せられる。

「慶?」
「………てほしい」

 かすれた声でささやかれた。

「え?」

 聞きかえしたおれの耳元で、慶が再びささやく。

「……痛く、してほしい。何も考えられなくなるくらい」
「!」

 驚いて慶の顔を見ようとしたけれど、見せたくないらしく、両腕で顔を隠してしまった。

「慶……」
「ごめん、おれ、変なこと言ってんな。忘れて……、っ!」

 そんなこと、言わせない。
 両足を押し開き、なんの準備もなく、慶の中に侵入する。

「う……ああっ」

 潤滑のものが何もない状態で無理やり押し込んだので、擦れ感が半端ない。
 相当痛かったのだろう。慶が悲鳴のような声をあげた。顔を隠していた腕が外れ、シーツを掴んでいる。

 苦痛に歪んだ慶の顔にそそられて、奥まで突き上げる。すべらない分擦られて、擦られて、痛さと快楽が混ぜ合わさる。

(たまんないな……)

 自分の中にSの気があることには大昔から気がついていた。なるべくそれを出さないように気をつけてきたのだけれど……
 四半世紀近くも経って、まさか公認でしてもいい日がくるとは。
 今まで妄想でとどめていたあれやこれやが現実に……

(いやいやいやいや……)

 突っ走りそうになる自分を何とか留める。そういうことじゃない。そういうことじゃないだろ……。

 涙目の慶の目じりにそっと口づける。

「慶、大好き」
「………知…ってる」

 今日三度目の「知ってる」。涙声の「知ってる」

 慶の膝が胸の横に着くまで足をおり、腰をあげさせる。腿を強く掴みながら奥まで突き下ろす。

「んんんっ」

 痛さのためか、顎があがり、白い喉があらわになっている。その喉に食いつきたくて前かがみになると、ずるっと抜けてしまった。

「あ……」

 慶の……訴えるような目。止めるな、と言いたげな、強い視線。ゾクゾクする。

 喉に唇を這わせながら体を押し、背中を向けさせる。背中をずっと辿っていくと、慶がビクビクっと震えた。慶の性感帯がどこにあるかなんて、もう知り尽くしている。

 慶のものも、もう糸が引いている。でも、触らない。わざと触らない。

 腰を抱き、膝を立てさせる。昔、慶がバックをしたときに「犬の交尾みたいだ」と言っていたけれど……犬の交尾、結構じゃないか。動物の本能だけで交わりたい。

「………んんっ」

 再び、今度は後ろから慶の中に侵入する。先走りが少しは潤滑の役目を果たしたのか、さっきよりは痛くない。けれども、

「………あ、く……ああっ」

 容赦なく突き上げると、慶が苦痛の声をあげた。でも、ものはもう大きくはち切れんばかりになっている。苦痛と快楽の狭間の慶の声が堪らない。

「あ……っ、あ……んんっ」
 手を伸ばし、乳首を指で挟むと、慶の体がビクンっと跳ね上がった。

「やめ……っ」
「やめない」

 上半身を密着させ、腰を振りながら、乳首を強めに弄び続ける。苦痛に耐える声と喘ぎ声が混ざりあっている。わざと何にも触れないようにしている慶のものから、先走りが滴り落ちる。

「こ……、もう……、頭おかしくなる……っ」
「ん……」

 慶の色っぽいかすれた声。たまらない……

「こう……っ、だから……っ」
「ん。どうしてほしい?」
「ば……ばかっ言わせんなっ」
「言って?」

 言うと慶は、くそーっ後で覚えてろよっみたいなことを小さく言ってから、恥ずかしそうに絞り出すように、言った。

「触って、ほしい……っ」
「ん」

 かわいいかわいい慶。
 ようやく、その大きく膨張したものを掴むと、途端に慶がのけぞった。

「あ………ああっ」
 数回スライドさせただけで、ビクビクビクッと震え、慶の乳白色のものが吐き出される。
 挿入したままの状態で、後ろからぎゅうっと抱きしめる。ああ、かわいすぎる……


「………」
 しばらくの沈黙のあと、慶は大きく大きく息を吐くと、

「…………くそおおおおっ」
 その可憐な容姿からは想像できない口調で叫び、勢いよくおれのものを引き抜いた。

「わわっ」
 いきなりのことでバランスを崩しかける。

「け、慶……っ」
「お前、調子に乗りすぎだっ」
「わわわっごめんっごめんなさいっごめ……っ」

 謝っている口をふさがれた。舌が侵入してきてかき回してくる。く……苦しいっ

「けい……っ」

 キスをしたまま、慶は器用におれのものを扱いてくる。おれが慶の性感帯を知り尽くしているのと同じで、慶もおれがどうしたら速攻でイってしまうのかよーく知っている……。

「………っ」

 歯を立てられ唇をかまれて、体中に電気が走る。もう、瞬殺だ。
 あっという間に、おれの中の熱いものが外に吐き出されてしまった。思わず、本気で文句を言ってしまう。

「早すぎるよっ。まだいきたくなかったのにっ」
「うるせーよっ」

 ガシッと蹴られた。……いつもの慶だ。

 慶はプリプリ怒りながら、汚れてもいいようにベッドの上に引いていたバスタオルをくしゃくしゃっと回収すると、

「もう一回、風呂入るぞっ」

 怒りながらさっさと行ってしまった。

「慶……」

 ……いつもの、慶だ。



「ねえ、慶」

 もう一度、今度は向い合わせに座って湯船に浸かったところで、思い出して聞いてみる。

「さっき、お風呂で何か言いかけたよね? あれなんだったの?」
「あー……何でもねえよ」

 ばちゃばちゃと水面をたたく慶。ジトーッと見つめ続けていたら、観念したように息をついた。

「あのな……」
「うん」
「ライン、やめてくれって言おうとした」

 慶……本当に嫌なんだな。そこまで嫉妬されるなんて……ちょっと嬉しい。
 顔がにやけてしまうのを隠せずにいると、慶が眉を寄せた。

「何ニヤニヤしてんだよ?」
「いや……なんか嬉しくて」
「……なんだそりゃ」

 慶はふっと息を吐くと、こちらに手を伸ばしてきた。絡めてつなぐ。

「でも、いい。やめなくていいからな」
「慶が嫌ならやめるよ? 全然やめるよ。速攻でやめるよ。なんの躊躇もなくやめるよ?」
「なんだそりゃ」

 慶はおかしそうに笑うと、ぎゅっぎゅっと手を握った。

「いいんだよ。気が変わった。おれもラインやる」
「え」

 やらないっていってたのに。

「なんかよく分かんねえから余計にイライラすんだよな。だったらおれもやってみる」
「慶……」

 でも……よく考えてみたら、慶は友達が多い。これであちこち繋がりはじめたら、おれの方がイライラすることになるんじゃないか?

「慶、やっぱりやめよう」
「なんだよ。人がせっかく」
「だめだめ。慶はおれのものだから、他の人と繋がらなくていいの」

 言うと、慶が首を傾げた。

「その繋がるとかいうのの意味がわかんねえ」
「分かんなくていいの。慶はおれとだけ繋がってればいいの」
「なんだそりゃ」

 クスクス笑いながら手をマッサージしてくれる慶。
 さっき一緒に入っていたときよりも、表情がずっと明るい。いつもの、慶だ。

「浩介……」
「ん?」

 慶の瞳がまっすぐにおれを見つめている。

「さんきゅーな。なんか……吹っ切れた」
「え………」

 瞬きをするおれの唇に、そっと慶の唇が重なる。

「おれ………もう大丈夫だから」
「…………」
「お前がいるから、おれは大丈夫だ」
「……うん」
「ずっと、ずっと、一緒にいような」
「うん」

 こっくりと肯く。慶。慶……。ずっと一緒にいよう。


「あ、でも、たまにはさー、弱気な慶もおいしいんだけど」
「は?」

 眉を寄せた慶にニッコリという。

「『痛くして』って、また言われたーい」
「…………」
「…………」
「…………」
「………痛っ」

 無言で蹴られた。

「そういえば、お前、さっき調子にのって色々言ってたよな」
「んー……慶が触ってほしいって……、痛い痛い痛いっ」

 狭い湯船の中で蹴ってくるから逃げ場がない。

「慶、本当に痛いってっ」
「うるせえ。……よし、もう一回やるぞ」
「え」
「お前、足腰立たなくしてやる。ほら、こい」
「け、慶……」

 慶様、元気になりすぎです……。

 まだまだ試練は続くのだろうけれど……でも、2人なら乗り越えられる、と信じたい。
 愛おしい慶を抱きしめて、おれは強く強く願う。

 どうか、誰にも何も言われず、二人で一緒にいられる日が来ますように。




-------------

以上です。

長っ!! 7610文字いってしまいました。

しかも、慶が普通の状態じゃなかったので、なかなか筆が進まず……
今週入ってからずっとちまちまちまちま書き足し書き足し、
後半のエッチするシーンからは一気に、今日午前中から用事の合間合間に書いておりました。

そして書き終わって……何やってんの私、と我に返ったところです。
ほんと、何やってんでしょう^^;


まあでも、慶が浮上してきてくれたので、次回本編の慶視点が書きやすくなったかも。
次回もまたよろしければお読みいただけると嬉しいです。

長々と読んでくださりありがとうございました!

そして、クリックしてくださった数人の方々、本当にありがとうございます!
皆様がいらっしゃらなければ、続き書くのやめていたかもしれません。
本当にありがとうございました!!

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