「辞典」に小熟語があるものは茶色字にします。
A 1級音読み問題 6点
(一)
3 尠少(せんしょう) 問154頁
尠は新出です。尠も少も、訓は、「すく(ない)」で、同訓で構成された熟語です。尚、「漢字音符字典」に拠れば、甚の音符字で「セン」と読むのは、尠だけです。
9 懽呼(かんこ)
懽も新出です。見出し語がなく、懽娯しか載っていませんので、△の漢字です。訓も見出し語はありませんが、「よろこ(ぶ)」です。
14 誠愨(せいかく)
愨は、訓読み、愨(つつし)む18-2Yで出題されていました。音読み見出し語はありませんが、訓が出題されれば、音も出題される例です。
16 勖勉(きょくべん)
勖も新出です。見出し語は、訓で【勖(つと)める】一つです。音熟語は全く載っておらず、音符冒をキョクと読むのも難しいです。「本試験型」5-(一)に勖(きょくれい)がありました。尚、「辞典」の勖の意味欄に、類義語として、懋(ボウ)が書いてありました。ここまで学習しておくと、次の問題が解けます。
(七)懋戒(ぼうかい)
懋も新出です。「辞典」には音熟語がなく、また、音は、ボウとモがあり、どちらかわかりません。いくつか漢和辞典を見ましたが、ボウとモの読み分けが書いてある辞書は見つけられませんでした。ただ、「大漢和」に載っている懋から始まる熟語61語の内、60語は、ボウと読みます。ただ一つ「懋集」mao chiとあり、中国語のようですが、これがモと読むのかもしれません。しかし、極めて少ないので、懋はボウと読むと憶えておけばいいように思います。
(十)園囿(えんゆう)
囿も新出です。「辞典」の見出し語は、訓の【囿(その)】だけです。園囿も、同訓で構成された熟語です。囿の音符は、有、有の音読みはユウとウですが、囿は、普通にユウと読んでおけばよいということです。
B 書き取り 4点
(九)凱風南よりして彼の きょくしん(棘心)を吹く。
棘心は、見出し語にはありません。この故事諺は、6-2K 19-1Kで出題され、がい(凱)、がいふう(凱風)の方の書き取りが問われました。過去問の問題となっていないところが出題されたのは、「ほんしゃ(奔車)の上に仲尼無く、覆舟の下に伯夷無し」22-3Kと同じです。故事諺の過去問は、問われていない漢字も書けるようにしておくということでしょう。
(十)いつ(佚or逸)を以て労を攻むる・・
見出し語に【佚を以て労を待つ】(出典「孫子 軍争篇」 )がありますが、少し変わっていますので、見出し語から解けない問題としました。見出し語にない一文字音の書き取りは、時々出題されます。上記見出し語の意味欄に、「佚」は楽にして休む、「労」は疲労の意とありますから、佚と労は、対義語の関係にあります。一文字音の書き取りは、前後の文章にヒントが含まれている筈です。