鑿壁偸光 漢字検定一級抔

since 2006.6.11(漢検1級受験日) by 白魚一寸

【22-1】三点セットで解けない問題[高]

2011年02月27日 | 22-1(第52回)~22-3(第54回)

「辞典」に小熟語があるものは茶色字にします。

A 1級音読み問題 6点

(一)

3 尠少(せんしょう) 問154頁

 尠は新出です。尠も少も、訓は、「すく(ない)」で、同訓で構成された熟語です。尚、「漢字音符字典」に拠れば、甚の音符字で「セン」と読むのは、尠だけです。

9 懽呼(かんこ)

 懽も新出です。見出し語がなく、懽娯しか載っていませんので、△の漢字です。訓も見出し語はありませんが、「よろこ(ぶ)」です。

14 誠愨(せいかく)

 愨は、訓読み、愨(つつし)む18-2Yで出題されていました。音読み見出し語はありませんが、訓が出題されれば、音も出題される例です。

16 勖勉(きょくべん)

 勖も新出です。見出し語は、訓で【勖(つと)める】一つです。音熟語は全く載っておらず、音符冒をキョクと読むのも難しいです。「本試験型」5-(一)に勖(きょくれい)がありました。尚、「辞典」の勖の意味欄に、類義語として、懋(ボウ)が書いてありました。ここまで学習しておくと、次の問題が解けます。

(七)懋戒(ぼうかい)

 懋も新出です。「辞典」には音熟語がなく、また、音は、ボウとモがあり、どちらかわかりません。いくつか漢和辞典を見ましたが、ボウとモの読み分けが書いてある辞書は見つけられませんでした。ただ、「大漢和」に載っている懋から始まる熟語61語の内、60語は、ボウと読みます。ただ一つ「懋集」mao chiとあり、中国語のようですが、これがモと読むのかもしれません。しかし、極めて少ないので、懋はボウと読むと憶えておけばいいように思います。

(十)園囿(えんゆう)

 囿も新出です。「辞典」の見出し語は、訓の【囿(その)】だけです。園囿も、同訓で構成された熟語です。囿の音符は、有、有の音読みはユウとウですが、囿は、普通にユウと読んでおけばよいということです。

B 書き取り 4点

(九)凱風南よりして彼の きょくしん(棘心)を吹く。

 棘心は、見出し語にはありません。この故事諺は、6-2K 19-1Kで出題され、がい(凱)、がいふう(凱風)の方の書き取りが問われました。過去問の問題となっていないところが出題されたのは、「ほんしゃ(奔車)の上に仲尼無く、覆舟の下に伯夷無し」22-3Kと同じです。故事諺の過去問は、問われていない漢字も書けるようにしておくということでしょう。

(十)いつ(佚or逸)を以て労を攻むる・・

 見出し語に【佚を以て労を待つ】(出典「孫子 軍争篇」 )がありますが、少し変わっていますので、見出し語から解けない問題としました。見出し語にない一文字音の書き取りは、時々出題されます。上記見出し語の意味欄に、「佚」は楽にして休む、「労」は疲労の意とありますから、佚と労は、対義語の関係にあります。一文字音の書き取りは、前後の文章にヒントが含まれている筈です。


【22-1】三点セット、狭義で182点、広義で190点取れる

2011年02月21日 | 22-1(第52回)~22-3(第54回)

(24.3.4  (5)を追加訂正)

A 狭義の三点セット 182点

B 広義の三点セット +8点=190点

(1) 常用表外読み見出し語新出 1点

(十) 警(いまし)むる

() 準1級読み見出し語新出 1点

(十)董(ただ)して

(3) 準1級書き取り見出し語新出 2点

(十)ゆるが(忽)せ9-3Y 

 onlyな訓です。準1級でも、onlyな訓は、漢字表記は一つしかありませんので、書き取りに転化する例です。

(4)植物名の書き取り 2点

(二)薺(なずな)9-1Y 19-2Y

  以前、植物、菌類名は、書き取りで過去問に出たものだけ書ければよい、読み問題が書き取り問題に転化することは少ないと書きましたが、その例外です。まあ、新出書き取りは、あおかび(青黴)20-1K以来2年振りで、出題頻度は低いのですから、狭義の三点セットから外しておいていいでしょう。

(5)別読みの書き取り・熟字訓の書き取り

(九)焼け野の きぎす(雉・雉子)夜の鶴 19-3K

二年半程前の過去問からの再出題です。見出しの別読みの書き取りは、過去問の再出題でも狭義の三点セットから外していますので、広義の三点セットとします。


【22-2】三点セットで解けない問題[高] 

2011年02月20日 | 22-1(第52回)~22-3(第54回)

1,読みが確定できない熟字訓 1点

 如何許(いかばか)り

 「如何許り」は見出し語にありません。 【許り】は表外訓で見出し語もあり、6-3Y 13-1Yで出題されています。

  【如何】は、いかが、いか、いかん、どう、の読みがあり、確定できないので、見出し語から解けない問題とします。ただ、見出し語【如何様(いかよう、いかさま)】、【如何様師(いかさまし)】、【如何物食(いかものぐ)い】のように、如何○と、○のところに漢字がくるばあいは、全て「いか」と読んでいますので、「如何許り」も「いかばかり」と類推できます。

2,  常用書き取り 2点

 (十)絶大の景色に対する時に詩句全く尽くるは即ち「我」の全部既に ぼつりょう(没了)し去られ、恍惚としてわが此にあるか、彼にあるかを知らずなり行くなり。 (透谷「松島に於いて芭蕉翁を読む」

  没了は、まったくなくなるという意味(「日国」)です。この了は、おわるというより、「文末に用い、過去または完了の語気を示す助字」(「新字源」)でしょう。

 3,  準1級書き取り 2点

(九)ていわ(蹄窪)の内、蛟竜を生ぜず。

4,1級読み 1点

()窓櫺(そうれい) 

 櫺の音読み見出し語は、「辞典」にはありません。窓櫺は、小熟語で載っています。また、訓読みで櫺窓(れんじまど)12-3Y=征40頁が出題されていました。訓読みが出題されていると、見出し語がなくても、音読みも出題される可能性がある例です。

5,1級書き取り 4点

(八)顚蹶≒さち(蹉躓)20-1Y 

  読み問題から書き取り問題への転化です。ただ、蹉躓は、見出し語になく、見出し語にない熟語の読み問題が、書き取りに転化する例は少ないと思います。読み問題を、書き取り問題として解く方法は、1級学習の定番ですが、私は、見出し語だけでいいと思っていました。高得点のためには、見出し語の有無に拘わらず、全ての音熟語読み問題を書けるようにしておくということで、これはかなり大変です。

 尚、蹉も躓も、「辞典」の音訓索引「つまずく」にあり、蹉躓は、同訓で構成された熟語です。見出し語にはなくても、同訓で構成された熟語は、訓を憶えるためにも有益ですから、憶えていった方がいいのでしょう。


(十)無差別となり、虚無となり、模糊として そうせき(踪跡)すべからざる者となるあり。澹乎(たんこ)たり、りょうかく(寥(廖)廓)たり。

寥と廖は1級、廓は準1級です。

寥(廖)廓は、「辞典」の見出し語にはありません。「新字源」には載っており、「からりとして広い」という意味です。この熟語と意味を知っておれば、文脈から解けそうですが、「辞典」の見出し語に加えて、「新字源」の熟語(約6万)を学習することはとてもできません。

 寥の親字欄には、寥廓が小熟語で載っており、意味として、「ひろい。奥深く広い。」とあります。また、準1級の廓の親字欄にも、「大きい。ひろびろとしたさま」とあります。寥の訓読みは、さび(しい)、廓は、くるわですが、訓にはない意味まで憶えておけば、寥廓が想起できたかもわかりません。

また、見出し語には、 【廓寥】15-1Yがあり、意味は、「広大でがらんとして、もの寂しいさま。」とあり、廓寥≒寥廓です。ひっくり返し熟語ですから、廓寥→寥廓と想起する方法もありそうです。

尚、廖は見出し語のない△の漢字ですからここでは無視します。


6,纏め 読み2点 書き取り8点


【22-2】三点セット、狭義で179点、広義で190点取れる

2011年02月17日 | 22-1(第52回)~22-3(第54回)

 三点セットの点数数えを暫くさぼっていましたので、遡ります。22-3はだらだらと書いてしまいましたので、なるべく簡潔に。 

A 狭義の三点セット 179点

B 広義の三点セット +11点=190点

B-1 常用 8点
(1)表内読み見出し語新出 1点

   (十)井然(せいぜん) 

  (2)表外読み見出し語新出 1点

   (一)燥(はしゃ)ぎすぎ  onlyな訓です。

  (3)書き取り 見出し語新出 6点

   (五)車載とりょう(斗量) 3級四字熟語です。

   (八)倨傲⇔けんよく(謙抑)

   (十)ふそう(扶桑)第一の好風に遊びて
     (出典 透谷「松島に於いて芭蕉翁を読む」

 「奧の細道 松島」その儘です。ネットではこの問題は正答率が低かったようですが、芭蕉ファンとしては残念です。

「辞典」には、扶桑の意味として、昔の中国による日本の呼称とあり、歴史的な用語のように読めます。来歴はそうだとしても、近世、近代の日本人が、自国の呼称として使い、軍艦の名前にもなったのですから、「辞典」の説明は不十分でしょう。

B-2 準1級 3点

(1)           四字熟語から推知可能な読み 1点

  葵向(きこう)←兎葵燕麦(ときえんばく)   

(2)           書き取り見出し語新出 2点

  (八)鳥目≒あとぶつ(阿堵物)

  これは問題文の鳥目も難しい。9級鳥の親字欄にあり、「辞典」の音読み見出し語を総覧したときに●をつけてありましたが、全く忘れていました。鳥目は、政柄22-3Kが出てきた「高瀬舟」にありますね。


【22-3】三点セットで解けない問題(3) 1級書き取り[高]

2011年02月16日 | 22-1(第52回)~22-3(第54回)

(四)からまりつくこと てんじょう 纏繞

これも難しかった。「辞典」にはありません。纏は準一級、繞は一級です。

纏は、訓読みが多く、まと(う)7-3Y 16-1Yまつ(わる)、まとい、まと(める)6-2Yまつ(る)と5つもあります。まつわるという訓が、からまりつくという意味なので、纏はわかりました。しかし、繞は全く想起できませんでした。

1,「辞典」の意味欄から

繞は、囲繞(いじょうorいにょう)10-3Y 15-3Y 17-3Y 19-2Y 繞(めぐ)る20-2Yで出題されています。囲繞も、めぐらすという意味です。繞に「まつわる」という意味があることは、「辞典」の意味欄に載っているのですが、全く知りませんでした。

2,「まつわる」という意味の熟語から

繞を含む見出し語には、

【繚繞】①長いものがまつわるさま。②袖が長くまつわるさま(以下略)

があります。ジョウを含む熟語として、繚繞が想起でき、繚も繞も「まつわる」という意味があることがわかっていれば、繞が想起できたかもわかりません。でも、ジョウと読む熟語は一杯ありますので、なかなか難しいですよね。

3,「必携」から

繞について、「必携」の訓には、めぐ(る)以外に、めぐ(らす)、まと(う)、まつ(わる)が載っています。ここまで憶えておけば、繞が想起できるのかもわかりませんが、私にはとても憶えられそうにありません。

4,char様のブログ髭鬚髯散人之廬から

以前にも、最近も、纏繞は取り上げられています。char様のブログは、いつも通勤時に携帯電話で拝見しています。見るだけではなくて、厖大な熟語群を書けば力がつきそうですが、とてもそこまではできません。

(九)甘瓜くてい(苦蔕)を抱く。

これも「辞典」にありませんし、「成語林」にも載っていません。全く知らない故事諺でした。ネットでの情報だと、「故事成語名言大辞典」には載っているようで、「蹄窪の内、蛟竜を生ぜず」22-2Kに引き続き、この辞典からの出題です。以前は、故事諺は、「成語林」から沢山出題されていたように思うのですが、出題者の宗旨替えでしょうか。

問題については、甘瓜と「くてい」が対になっていること、甘いの反対語は苦い、瓜の対は蔕(へた)13-3K 18-3Kですので何とかわかりました。蔕の音読みは、テイだったかな? タイだったかな? と思いましたがどちらもあるのですね。

蔕の音読み熟語としては、

人生こんてい(根蔕(底・柢))無く、飄として陌上のちりのごとし 9-3K=征116

が出題されています。私は、複数の漢字があるときは、なるべく簡単な漢字で書ければいい、これは、根底でいいと思っていました。ただ、根蔕と書けるようにしておくと、蔕の音読みにテイがあることがすぐわかるのでしょう。尤も、蔕の見出し語には、 【芥蔕(かいたい)】もあり、タイとテイの読み分けは難しそうです。

合計4点

まとめ

1, 狭義の三点セット 169点

2, 広義の三点セット +13点=182点

3, 三点セット外 18点

(1)常用 7点 (2)準1級・1級の読み 7点 (3)1級書き取り 4点


【22-3】三点セットで解けない問題(2)準1級・1級の読み [高]

2011年02月15日 | 22-1(第52回)~22-3(第54回)

(23.11.6 若干訂正)

(一)

2 奎文(けいぶん)

 奎は、初出です。また、音読み見出し語も小熟語もありません。尤も、奎の部首は、大、音符は圭ですから、普通に読めば「けい」と読めます。

 文を「ぶん」と読むか「もん」と読むかですが、「辞典」の文の見出し語を見ると「ぶん」の方が多いので、普通に「ぶん」と読んでおけばいいのでしょう。ただ、「ぶん」と「もん」の読み分けの基準はよくわかりません。

 奎の見出し語としては、熟字訓の【奎宿(とかきぼし)】があります。ただ、巻末索引に載っていませんので、出題可能性は低いと考え、×をして無視していました。この意味欄を読むと、

「星座を構成する16の星の並び方が文の字に似ていることから、文章をつかさどる星とされる」

とあります。 奎が、文章(ぶんしょう)と関係があることがわかっていれば、奎文を「けいぶん」と読めるように思います。

5 厭飫(えんよ)

 厭は準一級、飫は一級です。

 飫は新出です。飫については、「辞典」に見出し語がなく。「四字熟語」に厭聞飫聴(えんぶんよちょう)がありますので、この四字熟語が読めれば、飫(よ)と読めます。尚、「漢字音符字典」によると、夭の音符字で「よ」と読むのは、飫だけです。

  また、「本試験型」第7回に、飫賜(よし)があります。「頻出度順」の方が最近の問題傾向には合致していますが、過去問が殆どなので、過去問未出漢字、熟語の学習には、「本試験型」が最適でしょう。

 厭飫は、見出し語にはなく、また、厭の音読み見出し語は、エンとオンとありますので、見出し語からは読みが確定できないので、「三点セット」から解ける問題からは 外しました。ただ、厭聞飫聴が読めれば、厭も「えん」と読めるでしょう。「辞典」の厭の音読み見出し語は、エンと読むものが多く、オンは呉音で、仏教語の厭離穢土(おんりえど)だけです。

 9 邨醸(そんじょう)

 邨は、村の異体字です。「必携」には載っていますが、「辞典」の親字欄にも、索引にもありません。村の親字欄に異体字として載っているだけです。異体字は14-1以降出題されていないので、憶えるべき漢字から外していました。今般、約9年振りに出題されました。異体字については、カミュ様が問題を作成してくれています

今後も出題予定であれば、常用追加の「辞典」改訂時に、索引には入れて欲しいですね。索引に載ってなければ、読めない字は探しようがありません。本当は出題して欲しくないけどね。

30 錮(ふさ)ぐ

 錮も新出です。「ふさ(ぐ)」という訓読みはありますが、見出し語にはありません。尚、音読み見出し語としては、「辞典」に【禁錮】、「四字熟語」に【党錮之禍】があります。


(七) 輟食(てっしょく)―輟(や)める

 輟も新出です。音訓とも見出し語はありません。「輟(や)める」は、訓読みにあり、輟食は小熟語であります。

 

(十)        傾欹(けいき)

 欹も見出し語はありません。音読みは、イとキがありますが、「辞典」には読み分けの基準の記載はありません。「新字源」によると、

イ ああ。感嘆する言葉=猗(イ) 欹歟(いよ)

キ そばだつ。かたむく。かたむける。

ですから、傾欹は、キです。問題集に載っていたかなあ? ここまで学習するのはしんどいですね。

 尚、欹については、欹(そばだ)てる13-3Yが出題されていますが、「辞典」にない訓ですから、まさか再出題されることはないでしょう。

これで7点。


【22-3】三点セットで解けない問題(1)常用漢字 [高]

2011年02月14日 | 22-1(第52回)~22-3(第54回)

 三点セットで解けない問題が18点分もあり、前代未聞です。まあ、三点セットで182点取れるのですから、三点セット外の問題は全て捨ててもよく、高得点狙いとしておきます。

 ただ、 「狭義の三点セット」の学習もなかなか大変ですので、これなら出来そうというものは、三点セット外でも学習していけばいいと思います。その分、「狭義の三点セット」の学習が少なくて済みます。尚、全て本試験の問題ですから、今後は、「狭義の三点セット」に含まれることになり、いつかわかりませんが、再出題の可能性は充分あります。先ずは常用漢字から。

A 常用漢字で見出し語にない読み 1点

(七)        ばんこん(槃(盤)根)を析(さ)くが如し

  析(さ)くは、「辞典」の訓にはありますが、見出し語にはありません。音訓索引には△を付けていましたが、出題されたので、▲にしました。


B 常用漢字で見出し語にない書き取り 6点

(九)

5 大匠は拙工の為に じょうぼく(縄墨)を改廃せず(出典 「孟子 尽心上」

  これは2002年版「本試験型」(第13回)に載っていました。私が1級の学習を始めた頃に使った問題集です。「成語林」で意味を引いて、孟子先生は立派、その通りと思った記憶があります。こういう故事諺は憶えているものです。

また、カミュ様ご指摘のとおり、「本試験型」2007年版16回の故事諺では、問題は、拙射ですが、その前に、この故事諺が載っています。問題でないところも学習するとよいのは、過去問に限りません。

縄墨は、「辞典」の縄の意味欄、墨の下付欄に小熟語で載っています。見出し語にありませんので、「辞典」では意味がわかりません。小熟語の意味を他の辞典で調べて語彙を増やすという方法もありますが、大変ですね。

8 ほんしゃ(奔車)の上に仲尼無く、覆舟の下に伯夷無し

これは19-1に同じ故事諺が出て、覆舟の方が問われました。その際も難問と思い、拙ブログで取り上げました。今回は、以前とは違うところが問われました。これも、問題以外の漢字も学習するということです。また、ブログを書くと長期記憶に資するかもわかりませんよ。

(十)

 8此尤もせいへい(政柄)を執る者の

これ難問ですよね。政柄=政権です。「日国」の用例によると、 外が「高瀬舟」で使っており、伊藤博文の頃にはよく使われた言葉かもわかりませんが、全く知りませんでした。

伊藤博文が著者ですので、「せい」は政で合いましたが、「へい」が全くわからずです。こういう問題は、一文字だけでも正しく書ければ1点欲しいですね。

柄を権力(人を支配する力、強制し服従させる力)の意味で使う熟語として、「辞典」の見出し語には、

【柄臣(へいしん)】、【横柄(おうへい)】、【権柄(けんぺい)】

が載っています。横柄などは日常的に使いますが、横柄が、ほしいままの権力という意味であることはなんとなくわかっていても、柄=権力ということは分かっていませんでした。漢字一文字ずつの意味をきちんと押さえることが大事と思い、新しい熟語に出会ったときは、最近は、「辞典」の意味欄を確認しています。

尚、権柄については、がくぶんの問題集第5回195番に書き取りで出ています。こういうときに、ただ、書ければいいということではなく、漢字一文字ずつの意味を確認していけばいいのでしょう。でもやっぱり、知らない熟語は書けないかな。

C 小計 7点


【22-3】広義の三点セットで解ける問題(2)

2011年02月13日 | 22-1(第52回)~22-3(第54回)

(1)の続きです。

D 四字熟語を構成する二字熟語で見出し語にないもの 2点

(五)        その難きことばんこん(槃(盤)根)析(さ)くが如し

 「四字熟語」・「辞典」(盤の親字欄)の見出し語にある槃(盤)根錯節を構成する二字熟語です。ただ、槃(盤)根は、「辞典」の見出し語にありません。この文章題で、槃(盤)根を想起するには、「四字熟語」または「辞典」の説明にある、 「槃(盤)根」とは、地中で曲がりくねった根、はびこった木の根という意味を理解しておかなければなりません。

 盤については、「辞典」の意味欄に「わだかまる、まがりくねる、めぐる」という意味が載っています。しかし、槃については、「辞典」には、

①たらい、平らな鉢 
②たのしむ、たのしみ 
③梵語の音訳に用いられる 涅槃17-2K

 の意味しか載っていません。盤根と書ければいいと思いますが、槃にも「わだかまる、まがりくねる、めぐる」という意味があることは他の辞書で調べる必要があります。

 「辞典」には、槃の訓読みは「たらい」しか載っていませんが、「必携」には、他に、たの(しむ)、めぐ(る)、たちもとお(る)の訓(訓義)が載っています。たらいと読めればいいけど、「必携」の他の訓義も憶えておくといいのでしょうが、これは大変なことです。

 尚、槃(盤)については、ばんかん(槃(磐・盤)桓)7-1K=136という難しい熟語が過去問で出ています。徘徊の類義語ですね。


E 前記事の(1)11点と合わせて合計 13点

 「狭義の三点セット」と合わせて、182点となります。9割以上とれます。私は、見出し語だけでも、熟字訓も四字熟語も二字熟語も音訓読みもまだまだですので、矢張りこの三点セット中心学習にしようと思います。

 尚、前記事のA~Cは、何れも準1級・常用ですので、準1級・常用の見出し語も学習したらいいのか、1級より簡単じゃんと思われるかもわかりません。

 ただ、1級を学習したことのある方なら、ご理解頂けると思いますが、1級の学習は、次から次へと1級配当漢字が出てきて、とても準1級・常用まで手が回らないのです。1級配当が約3000字、準1級・常用も約3000字ですから、新たな1級漢字を憶えるのに手一杯というのが実感だと思います。

 前記事のA~Cの問題は、孰れも準1級で出題されてもおかしくない問題ばかりですから、先ずは、準1級や2級以下の受験時に、なるべく沢山の語彙を学習しておくことが大事でしょう。1級学習時には、問題を解いて、出てきた準1級や常用漢字の他の訓読みや、熟語を合わせて憶えていくことでしょう。1級漢字と学習方法に差違はありません。「辞典」の準1級以下を取り敢えず読むというのも一方法ですが、私は途中で止めてしまいました。


【22-3】広義の三点セットで解ける問題(1)

2011年02月12日 | 22-1(第52回)~22-3(第54回)

A 常用漢字の「辞典」の見出し語 新出読み 1点

(一)      弓弭の調(みつぎ)を献上する。

  弓弭(ゆはず)は、「辞典」の索引にある熟字訓ですから、序でに憶えておこう。は、一文字でも「ゆはず」と読み、onlyな訓です。問題になっていないところにも気を配ることは、式神様が提唱されたところです。

 

B 常用漢字の「辞典」の見出し語 新出書き取り  6点

(二)      そよ(戦)ぐ

 戦については、文章題で戦(おのの)く8-1Y=征140頁が既出です。これを学習したとき、「辞典」をひいて、他の表外訓読み見出し語として、「そよぐ」もあることを確認します。また、音訓索引を見れば、onlyな訓ですから、書けるようにしておいた方がいいのでしょう。onlyな訓の一級漢字(書き取り用)は以前纏めたことがありますが、準一級や常用についても、onlyな訓は要注意なのかもわかりません。

(八)剴切18-2Y⇔しっとう(失当)

 出題者の遊び心が感じられる問題。推測だが、出題者は、当初、失当を問題文にして、剴切を問おうとしたような気がする。読み問題から書き取り問題への転化だし、剴は1級漢字で、剴切は、「辞典」の見出し語にもあるから、剴切は、剴切な問題だと思う。ただ、今回難しい問題を沢山作りすぎたので、ここは、逆にしちゃえということではないだろうか。

 (六)      ぞうじょうまん(増上慢)

 仏教由来語。「法華経」にも出てきます。仏教専門語は書き取りに出る確率は低いと思っていますが、これは、「辞典」にも「自分を過信し高慢になること。また、その人」とあり、一般的にも使われます。最近こういう人増えましたよね。法華経と同じく、五千人くらいにしておいて欲しい。

 尚、増上慢は、十年前に受験した準1級13-1で出題され、私にとっては懐かしい問題でした。最近の準1級のことはよくわかりませんが、語彙力増強には、準1級の問題を解くのも一計かもわかりません。

 

C 準1級の「辞典」の見出し語 新出書き取り 4点

 (二)昼になって朝顔の花が つぼ(窄)んだ。 

 1級漢字 蕾む(これも新出)と同訓異義語の書き取りで出題されました。窄については、いままで、すぼ(窄)める11-1K 16-2Kが出題されています。これも、「辞典」を引けば他の訓読み見出し語として、せま(い)、せば(まる)、つぼ(む)があることがわかります。

 また、「辞典」の音訓索引には、「つぼむ」として、窄と蕾の二つが載っています。この二つの意味を調べれば、意味が寧ろ逆で異義語であり、同訓異義語として狙われやすいものでした。異義語の場合は、音訓索引に仕切り線を入れ、見出し語【蕾む】には≠窄、【窄む】≠蕾むと書き込み、対照できるようにしておきました。

 (七)      大政の ぜんてつ(前轍)を変更し、

 準1級 轍については、故事諺で、てっぷ(轍鮒)の急8-1Kが出題されています。「辞典」の轍の親字のところには、意味欄にも下付欄にも前轍が小熟語で載っており、前の親字のところには、前轍が見出し語で載っています。私は、「辞典」の1級、準1級配当漢字の下付小熟語は、見出し語があるかどうかを調べて、あるものはK ないものはKに×をしています。

 ここまでで11点。狭義の三点セットと併せて、180点です。


【22-3】狭義の三点セットの学習法

2011年02月11日 | 22-1(第52回)~22-3(第54回)

(23.2.12 167点→169点に訂正)

A 狭義の三点セットで解ける問題  169点

  狭義の三点セットだけで、合格点に達することは以前と同じですが、以前よりは、かなり点数が下がってきています。一部学習しなくてもいいと思うものもありますが、4-1からの過去問全部、「辞典」「四字熟語」の1級漢字のある見出し語を全部学習しても169点しか取れないということはかなり難化しています。問題集をただ解くだけでは絶対合格できないことは明らかです。


B 過去問既出1級漢字の学習

21-1 21-2の分析からは、今までに出題された1級漢字を含む熟語等が形を変えて出題されることが結構ありますので、 「辞典」「四字熟語」の見出し語を少しでも多く学習していくことが先ずは肝要と思います。具体的に書きますと

1、 国字については、満点を取る。(四)以外の書き取りで出る場合もある。

2、 出題された1級音読みについては、「辞典」の見出し語にある訓読みも学習する。

3、 出題された1級訓読みについては、「辞典」「四字熟語」の見出し語にある音読み、音熟語も学習する。

4、 出題された1級読み問題について、「辞典」「四字熟語」の見出し語にある場合は、書けるようにする。

5、 出題された見出し語については、 「辞典」で意味を調べて、他の小問(語選択書き取り、対義語・類義語、故事諺、文章題)で出題されても解答できるようにする。

6、 出題された1級漢字は、 「辞典」の他の見出し語(索引にある熟字訓の読みも含む)も学習する。

7、 出題された1級漢字は、 「四字熟語」の他の見出し語も学習する。(ただ、これをするには、1級四字熟語に含まれる1級漢字から、四字熟語が検索できるようにしておかなければなりません。私は、「四字熟語」の見出し語に1級漢字が含まれるものは、全て「辞典」の該1級親字欄に転記しました。「辞典」の1級親字欄を見れば、その1級漢字が含まれる四字熟語が参照できるようにしています。「四字熟語」の1級配当を全て書けるようにすることは至難ですが、一度は全部書いてみた方がいいと思います。)

 ただ、これを完璧にすることはかなり困難です。また、上記はあくまでも、出題1級漢字から語彙を拡げる方法ですので、新出には太刀打ちできません。従って、次には、


C 新出1級漢字の学習

学習した1級漢字については、私は、「辞典」や「必携」の親字欄にチェックをつけていきました。そして、チェックされていない漢字についても、「辞典」「四字熟語」の見出し語は学習するようにしました。過去問には出題されていなくても、問題集に載っているものもありますから、それらも、「辞典」「四字熟語」の見出し語を学習することでしょう。

また、過去問を入手していない方は、市販の問題集を解いていくことになりますが、最新の「頻出度順」が最近の問題傾向に一番合致していますので、先ずはこれでしょう。その後は、「征服」→「合格ノート」→「問題と解説」の順番でしょう。


D 1級漢字を含まない熟字訓の読み

 熟字訓は、過去問からかなり出ますので、先ずは過去問なのですが、最近は必ず新出がでます。22-3では、鬼頭魚(しいら)、高襟(ハイカラ)、狼煙(のろし)が新出でしょう。いずれも1級漢字は含まれておらず、上記の学習方法からは零れます。

 「辞典」の索引にある熟字訓を全て読めるようにすることも至難です。以前、同訓同義の熟字訓について、複数回出題されたもの1回だけ出題されたものを纏めたことがあります。今回新出の熟字訓の内、 「しいら」は、勒魚、「のろし」は、烽火もあり、同訓同義で複数の熟字訓があるものです。こういうのが出題されやすいのかもわかりませんが、これだけでも結構あります。


E 狭義の三点セットだけでは足りないか

ここまでやっても169点。しかも、学習したつもりでも必ずケアレスミスとか、思い出せないとかありまあすから、実際は合格点ぎりぎりでしょう。そうすると、22-3については、「狭義の三点セット」に絞ることなく、「広義の三点セット」や「三点セット外」も学習した方がいいということになりそうです。憶えるべきことを少なくする、そのために狭義の三点セットを学習するという当ブログのコンセプトもそろそろ曲がり角に来たようです。


【22-3】間違ったところと反省点

2011年02月07日 | 22-1(第52回)~22-3(第54回)

(22.2.12 訂正)

括弧内は、自己短評です。

(一)

2 奎文 ○けいぶん  ×けいもん (考えすぎ)

5 厭飫 ○えんよ ×おうよく (厭の字は厭)

9 邨醸 ○そんじょう ×とんじょう(「辞典」の見出し語にない異体字が出るとは! 邨=村)

15 糶売20-1Y ちょうばい ×ちょくばい(これ、よく間違える)

29 嚔(る) ○はなひ ×くさめ
 は今まで、音読みで打嚔(だてい)8-1Y、噴嚔(ふんてい)20-1Y  訓の書き取りで くしゃみ(嚏)14-1K 18-1Kが出題されており、5回目の出題です。「辞典」の見出し語には、くしゃみ以外にはなひ(る)もあり、 onlyな訓でした。過去問で出題された1級漢字について、「辞典」に複数の音訓見出し語があるときは、出題語以外の見出し語も学習することが肝要です。わかってはいるのですが、なかなかマスターしません。)

(二)3 風にそよ(ぐ) ○  ×靡  (最近万葉集で靡はよく出てきました。でも、万葉の時代も、靡は、そよぐとは読まないでしょう。)

(四) 1 からまりつくこと  てんじょう ○纏繞 ×纏嫋 (惜しい。)

(五) 
5 めいき鏤骨  ○銘肌  ×銘記
 どこかでやったんだが・・。 銘も肌も、2級で常用です。1級配当四字熟語にいて、1級漢字の方を問わず、常用漢字の方を問うことが偶にあります。けんま(肩摩)轂撃18-2Kなどです。

9 宵衣かんしょく ○旰食  ×旱食
 
縦と横の間違いです。この四字熟語も新出ですし、の字も新出だと思います。旰については、「辞典」の見出し語には、旰(く)れる一語しかなく、音読み見出し語はありません。旰をカンと読む見出し語は、「四字熟語」の宵衣旰食だけです。1級漢字の音読み見出し語が、「辞典」には載っておらず、「四字熟語」だけに載っているものは、要注意だと思います。例えば、充数12-1K  鬼哭啾啾、哀鳴啾啾など。

 (六)     
4 
鬼頭魚 ○しいら ×あんこう

9 高襟 ○ハイカラ ×ワイシャツ 

(孰れも「辞典」索引にあり。熟字訓は8割できればよしとしましょう。)

(七)      浹(し) ○あまね ×せま (いつやったっけ)

(九)      切羽はばきする ○ ×巾木 (国字の鎺が出てこなかった)

(十)   なお、下線部も問題です。 
A 3汝がれいぎょしっこく(桎梏) ○囹圄(圉) ×隷禦

 これも考えすぎ。 「れいぎょ」と言えば、草満囹圄(圉) 18-2K 21-1Kですよね。また、故事諺で、倉廩満ちてれいぎょ(囹圄(圉))空し16-3K  頻149頁にもありました。(「頻」は、頻出度順 漢字検定 合格!問題集 1級(新星出版社)の略称とします。) 
 四字熟語や故事諺だと難なく書けるのに、文章題で出題されると思いつかないことがよくあります。

C 
8此尤もせいへいを執る者の ○政柄 ×政兵 (惜しい。柄は権力の意。こういう柄の使い方は難しい。良問だと思う。)

9その難きことばんこん析(さ)くが如し) ○槃(盤)根 ×磐根 (槃(盤)根錯節をきちっと学習しておけば出来ますね。)

尚、(十)B 7皇国浮沈の機さんぜんたる上は ○燦然 正解でした。


【22-3】文章題書き取りが駄目でした

2011年02月06日 | 22-1(第52回)~22-3(第54回)

(23.2.12 若干追加)

 毎度同じく知人に問題を見せて貰って解きました。出題形式は変更ありません。答え合わせも、いつもながら2ちゃんに拠ります。その後、カミュ様のブログで、文章題の「燦然」は正解であることがわかりましたので、修正しました。

(一)音読み      16点/20点
(一)訓読み        9点/10点
(二)書き取り     28点/30点
(三)国字       10点/10点

(四)語選択       8点/10点
(五)四字熟語     16点/20点
(五)同 意味       10点
/10点
(六)熟字訓       8点/10点
(七)熟語と訓読み  9点/10点
(八)対義語・類義語 20点/20点
(九)故事諺      18点/20点
(十)文章読み     10点/10点
(十)文章書き     
14点/20点

計 176点

文章題の出典は、

A 森外 「即興詩人」

B 大久保利通文書「倒幕の宣旨降下の奏請書」 これは幕末でしょうね。最近幕末の出題多いです。

C 伊藤博文「教育議」

B、Cはかなり渋いですね。Aは有名ですが、私は読んだことありませんでした。