滋の小中学校の学友で、大農家の長男でありながら、55歳まで会社勤めだった人がいる。
彼は農業では農家を維持継続出来ないので、あえて会社勤めを選択したのである。
しかし、父母が歳を取ってきたので10年前に退職して、今、農業を継いでいる。
今日、その彼が滋の仕事場に遊びに来た。お久しぶり!五年ぶりかも???
彼は今でこそ、いわゆる兼業大農家の長男なので経済的には裕福である。
相続税が重くなりそうで心配であると言うくらい裕福である。しかし、半世紀ほど前は
苦しい生活を強いられていた。農業では生計が維持出来なかったのである。
地方では今でもそうかもしれない。農業で年収600万円を稼ぐのはキツイ!?
彼は今、水耕栽培をハウスの中で行っている。インターネットを閲覧しながら
試行錯誤しているらしい。彼は滋と同じく千葉県流山市の住人である。千葉県流山市は
放射能のホットスポット地域なので、彼は農地の除染作業で大変苦労されている。
それでも、水耕栽培のハウスを増設して皆が見に来るくらい大規模化したいと張り切っている。
彼はTPPに賛成している。このままでは日本の農業は壊滅してしまうとの危機感を持っているからだ。
彼曰く。「オレンジが自由化されてから、日本のみかんは甘くて美味しくなった」と。
この因果関係は正しいと、滋も思う。TPPが現実のものとなれば、日本の農業は成長力を持つ。
TPPが発効する前の準備は用意周到に行わなければならない。当然のことである。
農業の成長力を阻害している「農協」は大胆な改革が必要である。
今の農協の現状は「金融と保険」を業とし、政治との利権を拡大することに精を出す始末である。
これを直さにゃどうにもならない。せめて、「金融と保険」は廃止させなくてはなるまい。
それから、県や市町村の農業委員会は既にその役割を終えたので、廃止又は他の部署と統合すべきである。
これで決まり!ここまで来れば、日本の農業は前途洋々である。ここまで来るのに一年がかり。
しかし、TPP発効まで、まだ時間がある。時間は充分にある。やる気のある農業者は力をつけている。
補助金漬けのやる気のない農業者??は去っていった。去るものは追わず。
日本の農業に光がさしてきた。日本の農業はいよいよ世界の農業となるのである。
しかも、農業を「自然農法」「自然栽培法」に変えていけば、世界を相手に競争優位を堅持できる。