教室・自然いろいろブログ

グループ彩雲の創作活動と身近な自然の観察記録

Uさんの水彩画3点(94-96)

2022年07月31日 | 教室風景

Uさんの新作水彩画を3点続けてご紹介いたします。


水彩画 F6

畦道をゆくと出会う向日葵たち。ふるさとの懐かしい光景を思い
浮かべながら描きました。かすかに見える森、花たち、道までも
しみじみと温かく、飛び交う蜜蜂の羽音が聞こえてきそうです。

近づいてみました。


繰り返し描いてきた向日葵。今作も水を多用し一輪一輪絵の具を
溜め、出来た染みの表情を見ながらぼかし、じっくり描きました。
とけあう形やにじむ淡い色は呼び起こされた記憶そのものです。

2点目です。


水彩画  F6

遥か彼方まで向日葵の咲く、前作とつなげて飾りたい作品です。
いつもより色鮮やかに描かれた世界は真夏の強烈な日射しの他に
Uさんの現在が表現されているよう。清々しい風が感じられます。

近づいてみました。


葉一枚ごとに水をひき絵の具を垂らし、用紙の凹凸に粒子が混ざる
様を味わい乾き具合を確かめつつ時間をかけ重なりを表現しました。
紙と水彩絵の具の特質を引き出し創作を心から楽しんでおられます。

3点目です。


水彩画  F6

嵐山の桜が咲き始めた頃、空を映す桂川は穏やかに流れています。
心ひかれ続ける渡月橋と全てを包み込む春の湿った大気をゆったりと
した筆遣いで表しました。見るほどに心が落ち着く優美な作品です。

近づいてみました。


鉛筆による下描きの線は細く着彩もごく淡く描いた世界は風情があり
渡月橋が夢の世界に誘ってくれるようです。紙の地の白と水の流れ
を活かした繊細な表現は詩情豊かでみずみずしく透明感があります。

様々な技法を試しながら情趣あふれる物語を紡ぎつづけるUさんの
過去の作品はHP「上郷森の家絵画教室及川みほクラス」の
作品集”の中のUさんのページに制作順に掲載されています。
ぜひこちらもご覧下さい。


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ツシマトリノフンダマシがモンクモバチに!

2022年07月26日 | 生き物

夕暮れ、前出のサラサヤンマを超える衝撃の出会いがありました。
ナナホシテントウにそっくりな真っ赤なクモがいたのです!

足元に広がるオオバコを何気なく見ていたら


低いところを黄色っぽい何かが飛んでいる。。

近づくと


クモバチらしき蜂が丸い朱色のものを運んでいました。


運んでいるのは大きめのテントウムシ?ひょっとしてオオキンカメムシとか!
でもクモバチの仲間なら運んでいるのはクモのはず。

走り寄ってよくよく見ると


赤いクモ!それもトリノフンダマシのような!

撮影画像を拡大して確かめた途端、初見の珍しい生き物だとわかり
このめったにない出会いに舞い上がりました。

でもクモバチに運ばれているということは
クモは毒を注入され麻痺して動けなくなっているはず。


葉から葉へ、クモバチは赤黒クモを引きずるように運んでいきます。


途中、獲物のクモを置いて触覚のメンテナンスをし始めました。

動きがとまったのをいいことに近づきながら撮影していると


不穏な空気。。ハチはこちらをじっと見つめ今にも飛びかかってきそう。。

クモバチに刺されると猛烈に痛い、と読んだことがあったので
今更ながら危険を感じ、数枚撮影後3mほど離れました。


それでもクモバチは気になるようで、獲物を葉の上に残したまま
飛び去りました。その際私の周りをグルグル飛んだので緊張しました。

ハチがその場から離れ、もうこんなチャンスはないと思い
赤いクモを接写することに。


おお。。ナナホシテントウのような赤地に黒の斑点!直径7㎜ほど。

嬉しくなり思わずその場で「赤黒 トリノフンダマシ」で画像検索。
すると〝ツシマトリノフンダマシ”がヒット。南方系の希少種だそう。
トリノフンダマシを捕らえたハチはモンクモバチのメスのようです。


葉を動かして横にしてみると、わずかに脚が動きました。
麻痺しているだけで生きているのですね。


腹側から。ツシマトリノフンダマシのメスで間違いないようです。

ふたたび羽音がしたのであわててその場を離れると


モンクモバチがツシマトリノフンダマシのもとへ舞い戻ってきました!


顔をツシマトリノフンダマシに近づけて何か確かめています。

その様子を離れた所から撮影していたのですが、ハチはやはりこちらが
気になるよう。またクモをその場に置いたまま飛び去り、オオバコの
葉の間をうろうろ。。

オオバコの葉陰のどこかに巣穴があって、そこに麻酔をかけた
ツシマトリノフンダマシを運び込み卵を産み付けたいのでしょう。
その様子を見届けたかったのですが、すでにかなり邪魔をしているので
諦めました。


後日この場所に行ってみるとモンクモバチが2匹飛んでいました。
このハチはコガネグモ科の中型種や大型種の未成熟個体を狩り
巣は草間など見えにくい場所に掘るそうです。

ツシマトリノフンダマシもまだこのあたりにいるにちがいない!
そう思うといつもの散歩コースがバラ色に見えてきました。


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Sさんの新作日本画(39-40)

2022年07月24日 | 教室風景

Sさんの新作日本画を2点続けてご紹介いたします。


日本画 F6

巧みにしつらえられた藁囲いのもと可憐に咲く寒牡丹。土、葉、
花びら、藁それぞれの質感を大切にしながら細やかに表現された
作品は凛として生命感に満ち、冬の澄んだ空気を感じさせます。

近づいてみました。


特に時間をかけたのは密にしげる葉。岩絵の具を根気よく重ねつつ
花の紅色が映える階調に整えました。藁や地面の小石も画面を明るく
華やかに演出しています。繊細な描写で趣深い作品となりました。

2点目です。


 日本画 F6

ほの暗い林で出会った新旧の竹のなかで注目したのは露出した根。
瑞々しい新葉や若竹、枯葉や切り株と対比させ伸びやかに構成し
大地をとらえ広がる竹の底知れぬパワーを鮮やかに表現されました。

近づいてみました。


竹林の奥深さと力強さが出るよう背景の濃鼠色をしっかり塗り重ね
堅牢な下地をつくりました。優れた観察眼で得たさまざまな気づきを
根気強く緻密に表した作品は静かで熱く、思わず引きこまれます。

どのモチーフを描いても明るく透明感あふれるSさんの過去の作品は
HP「上郷森の家絵画教室及川みほクラスの“作品集”の中の
Sさんのページに制作順に掲載されています。
ぜひこちらもご覧下さい。


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サラサヤンマ感激の出会い

2022年07月21日 | 生き物

少し前のことになりますが、ニイニイゼミが鳴きだした頃


夕暮れに散歩していたら、カラスのつがいに威嚇されたので
足早に杉林をぬけようとしていました。

すると突然、膝の高さでホバリングするトンボが現れました。


見たことのないヤンマです!
カラスに狙われていることも忘れピント合わせに集中♪


ヤンマにしてはかなり小さく、ホバリングする時間が長め。
薄暗い中でも美しい青緑色の輝きはわかりました。


目の前の杭に一瞬とまってくれましたがすぐ林の中へ飛び去りました。

帰宅してから調べると、このトンボはサラサヤンマのオス。
神奈川県では絶滅危惧ⅠB類に分類される珍しいトンボのようです。

メスにも会いたいと、この日以来気を付けて探していますが
発生時期が4月終わりから7月始めだそうなのでもう今年は無理かな?


近くではハグロトンボがよく飛んでいて


全体に色合いが渋めなメス


深い緑色が美しいオスにたびたび会えました。
昨年はほとんど撮影できなかったのに♪とウキウキしましたが
あまり外出していなかっただけなのかもしれません。

サラサヤンマに会えた日は諦めかけていた蝶にも出会えました。


クヌギの幹にウラナミアカシジミが!


6月の限られた時期にしか会えない蝶♪
この日は7月の蒸し暑い日でしたから驚きました。


なんと別の日にもピカピカな個体に出会えました。

ウラナミアカシジミに会えたのは何年ぶりだろう?
近年ナラ枯れ病がまん延し半数以上のクヌギコナラが被害にあい
かなりの数の木が伐採されていたので生き物が減ってしまうのは当然だと
さみしく思っていました。

初見のサラサヤンマといい、住宅地にあるこの小さな緑地は
多種類の生き物を支えている奥深い場所なのだと思いなおしました。


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7月最後の教室 雨にけむる森

2022年07月16日 | 教室風景

雨がよく降った一日


森は白くけむって蒸し暑く、まるで梅雨のようでした。

7月最後の教室日でした。


この日で2022年の前期は終了、8月末まで長い夏休みとなります。
23年目にして初めて夏休みの課題!描いていただいたその小さな作品を
9月13日から始まる作品展に展示する提案をしたところやや不評でした。


どしゃ降りになってもウグイスやガビチョウの声が聞こえました。
休み明け前に新型コロナの第7波がおさまってくれるとよいのですが。

朝のうちは雨のやみ間もあり、ここぞとばかり虫たちが飛びまわりました。


花が少ない時期、オカトラノオの白が目立ちます。


大粒の雨が降り出してクズの葉にとまったジャコウアゲハのメス


クズにはシロコブゾウムシや


サナエトンボも。何サナエだろう?


ハラビロトンボや


ヤマトシジミもじっと雨をやりすごしていました。


ススキの葉の裏側にはクロコノマチョウの幼虫たち
今年は当たり年なのかこの幼虫たちによく出会います。


クロコノマチョウの成虫はこちら
蛹も美しいのですが今年はまだ会えていません。

雨が激しくなると辺りはかすみ歌っていたカエルさえ黙りこみました。
今年はどんな夏になるのでしょう。


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Aさんの新作日本画(019)

2022年07月14日 | 教室風景

Aさんは可愛らしい情景を描かれました。


 日本画 F8

お孫さんがボーイフレンドにしがみついています。幼い子の仕草、
お顔の表情、衣服の質感まで丁寧にとらえ生き生きとしています。
愛情をこめ表現された世界はあたたかく幸福感に満ちています。

近づいてみました。


お孫さんの表情に集中したあまり表面が荒れ、一旦全てを落とし
描き直す困難がありましたが見事克服。空間表現にも時間をかけ
優しく子供たちを包みこみました。希望と光にあふれた作品です。

幅広いテーマに取り組み納得がいくまで追求するAさんの
過去の作品はHP「上郷森の家絵画教室及川みほクラス
内の作品集のなかのAさんのページに掲載されています。
ぜひこちらもご覧ください。


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7月四回目の教室 日射し強まる

2022年07月12日 | 教室風景

風もなく暑い一日でした。


なごりおしいですがヤマユリはそろそろ見納め。
素晴らしい香りを覚えておきたくて胸いっぱい吸い込みました。

暗いところをゆるやかに飛んでいた黒いアゲハが
目の前にとまってくれました。


ジャコウアゲハのオスです。
素早く飛んでいるとわかりにくいですが赤い腹部が特徴的。
翅の形はオナガアゲハに似ていますが、ジャコウアゲハのオスの
翅色は艶消しの黒、煤けているような印象です。


前回出会ったオナガアゲハのオス。
オナガアゲハの翅の黒色はビロードのような輝きがあります。

7月4回目の教室日でした。


この時期らしく天窓からの光が眩しいほど。あまり強い光は
眼にも絵にも良くないので避けながら。地道にマイペースに描いてゆきます。


あと数回で記念作品展なので出品作、搬入出方法、時間の確認など
することがたくさん。何か大事なことを忘れているのではないかと心配です。

お昼休み。さらに気温が上がり立ち止まると汗が吹きだし
ハエなのかアブなのか小さな羽虫がまとわりつきます。


葉陰にオオシオカラトンボのメスが休んでいました。
傷ついた翅には蜘蛛の糸が。網から抜け出してきたのでしょうか。

いま池に一番多いのはオオシオカラトンボで


このようなペアがあちこちで見られました。


水面に産卵するメスをすぐ近くで警護するオス

少し前までいたクロスジギンヤンマやシュレーゲルアオガエルは
みあたりませんでした。

小さな毛玉のようなものが飛んだので追いかけると


アカネの葉にようやくとまってくれました。
角度によって青く光る部分があります。モモブトスカシバのようです。


モモブトスカシバの幼虫はこのアマチャヅルの茎に潜って成長するのだとか。


この茂みにどのくらいの生き物が息づいているのだろう。。
いつもの道でも歩くたび驚きがあります。


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Iさんの新作日本画(026)

2022年07月10日 | 教室風景

Iさんはもみがみで秋を表現されました。


「風にまけるな」 日本画 F3

エビヅルの実が熟す頃、乾いた秋風が葉を揺らしています。墨地に
銀の揉紙の表情が変化に富んで、周りの絡みつく植物や蜘蛛の巣などを
想像させます。鮮やかな秋から冬へ、移ろう季節が表現されています。

近づいてみました。


淡く複雑な色合いのエビヅルの葉が明暗の鮮烈な背景に埋没しない
よう岩絵の具を丹念に塗り重ね輪郭線を濃く太い線で強調しました。
サインは別の和紙に色箔をおしその上に書いて美しく仕上げました。

毎作さまざまな画材や技法を試し創作を楽しんでおられるIさんの
過去の作品はHP「上郷森の家絵画教室及川みほクラス」内の
作品集のなかのIさんのページに掲載されています。
ぜひこちらもご覧ください。


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7月三回目の教室 蝶飛びまわる森

2022年07月09日 | 教室風景

ニイニイゼミの合唱が力強くなってきました。
朝のうちは過ごしやすくセミの声も涼やかに感じられました。


青い空に白い雲!心が浮き立ちます。

暑さに体力を奪われないようゆっくり木陰をゆくと


またリスアカネに会えました。


アキアカネにも。
アキアカネは真夏の間は避暑のため高原や山に移動するそうです。
ここのトンボはどこへ飛んでいくのだろう?

7月3回目の教室日でした。


夏休みまであとわずか、9月には22周年記念展が控えています。
今回はじめてA4大のお知らせチラシを作成するなど気合十分!


午前中Uさんの水彩画作品、午後にSさんの日本画作品が完成しました。
順次ご紹介してまいりますのでお楽しみに☆

午後の部の皆さんより安倍元首相が銃撃されたというニュースを
知らされた時ショックのあまりしばらく呆然としてしまいました。

まだお昼休みはいつもの通りのんびりとして


アゲハ蝶が来ないかな~とムクゲの下で立ち止まったり


アカギカメムシがいればいいな~とアカメガシワをのぞいたり


オナガアゲハのオスなのかジャコウアゲハのオスなのか迷ったり


飛んだ時、後翅の前縁に白い線が見えたのでオナガアゲハのオスに決定


角度によって見え方が変わるテングチョウの彩りにあらためて感動したり


初々しいイチモンジセセリに見入ったり

あたりまえと思いこんでいることがどれだけ多いか
バランスがくずれたとき気づかされます。





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Iさんの新作2点(024-025)

2022年07月07日 | 教室風景

Iさんの新作を2点続けてご紹介いたします。


 鉛筆画 F6 

庭に実ったビワと長年使った竹笊。親しみのあるモチーフをバランス
よく組み合わせじっくり観察し描写されました。ゆがんだ縁、網目の
まばらな隙間が面白い効果を生みリズムよくビワを引き立てています。

近づいてみました。


厚みとツヤがあるビワの葉のゴワゴワした質感をやわらかい鉛筆で
濃く描き、淡色で汁気の多い実は細やかな線の強弱で表しました。
ザルの線と縁の表現も変化に富みしみじみとした味わいがあります。

2点目です。


 水彩画 F6

前出の鉛筆画とまったく同じモチーフと構図の下描きに色を付けたら
どのように自身の感じ方が変わるか。その疑問のもと描いた作品です。
Iさん独自の清々しく優しい作風はそのままに華やかさも加わりました。


同系色のザルからビワを浮き上がらせるため、実の下地から明るく
色鮮やかに、陰の色も工夫しました。色の持つ力を幅広く引き出し
実の熟し具合や葉の質感、笊の存在感をより強く表現できました。

対象と丁寧に向き合いやわらかなタッチで表現されるIさんの
過去の作品はHP「上郷森の家絵画教室及川みほクラス」内の
作品集の中のIさんのページに掲載されています。
ぜひこちらもご覧ください。


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