趣味の日記

観劇・歴史・小説・漫画などなど、思いつくままの語り日記

今年もこの日に

2021-07-21 20:38:52 | いろいろ
今日は7月21日。
ともみんのお誕生日です。
昨年に引き続き、お元気でおられるかなぁと静かに想いを馳せるばかり。
コロナが終息して、友人たちとまた集まって思い出話をできる日が、1日も早く来てほしいと思います。
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南北朝ファンとしては

2021-07-10 22:32:31 | 観劇
今日は、宝塚月組の東京公演初日でした。おめでとうございます!
この公演は、たまきちくんとさくらちゃんのトップコンビ退団公演ですが、南北朝ファンとしては見過ごせない、楠木正行を主人公に描かれた日本物作品でもあります。
コロナの渦中ではありますが、5月の宝塚大劇場での公演を観に行きまして、南北朝ファン視点での感想をちょっと書いてみたいと思います。
宝塚ならではの創作、演出だとは承知しつつ、歴史ファンの辛口感想ですがご容赦ください(苦笑)。

そもそも、脚本演出のウエクミ先生とは、私は相性が悪い。
涙に濡れる佳作と評判だった「月雲の皇子」も、「星逢一夜」も、私はちっとも泣けずに終わりました(汗)。むしろ、なんでそうなる!?という疑問符が込み上げるばかり。
ウエクミ先生の描く物語の方向性なのか、それともメインに置きたいポイントやアンテナの違いなのか、私のツボにこれほど届かない先生も珍しいというか。
洋物、芸術家主人公の作品(「翼ある人々」=ブラームスとか、「fff」=ベートーベン)などは、それなりに観れるのですけど、日本物、それもウエクミ先生の描く武士武将はとにかく苦手です。

そして、今回の「桜嵐記」。
タイトルからして、まず嫌な予感はしました。桜…なのか、と(笑)。
楠木正行は、言わずと知れた南朝の武将。南朝=吉野=桜、というイメージなのでしょうが、20年来の正行ファンである私からすると、正行は、雪。
そもそも四條畷の戦は、1月5日。旧暦だと考えても、今の2月初旬。
正行の戦ぶり、その奮戦と討死を彩るのは、静かに降り積もる純白の雪のイメージなんです。
あああ、最初からツボが外れてる(泣)。そして案の定、舞台の上は、華やかに桜舞い散るシチュエーションとなったのでした。

一般的には馴染みの薄い、南北朝を描くということで、今回の舞台では本編に入る前に、プロローグとして時代背景の説明場面があります。
いやまぁ、そのやり方を否定するわけではないですけど、それがいかにも教科書的で、しかも長い。物語の中で、登場人物たちに絡めながら描いた方が、それぞれの人物像も見え、よりドラマチックに個々を魅せられたのになぁと思うと、何やら勿体ない。
だってウエクミ先生、先日の「fff」では、ベートーベンやナポレオンやフランス革命の説明なんてしなかったじゃないですか。それでも物語は見られるんだから、南北朝は難しいから説明しないとわからない、という思い込み(つまり先生自身がわからないと思ってる)じゃないのかなぁと、思ってしまいました。
実際、南北朝でもさらに複雑な時代を取り上げた大野先生の「更に狂はじ」や「睡れる月」なんて、説明はほとんどなかったけど、人物たちが濃厚に描かれてて、その中で背景や意味がわかるようになっていたので、物語も面白かった。詳しい歴史は、パンフ読んでね、というばかりに凝った説明付きでしたが(笑)。ある意味、それが歴史ファンとしては正しい姿なのかもしれません(笑)。

そのほか、歴史ファンとしては細かい突っ込みどころが多すぎて、あーうーと気になってしまい、物語に集中できない弊害もありました。
悪役である高師直。足利家の家臣であり尊氏の執事たる師直が、主君に向かって「尊氏どの」と呼びかけるなんてあり得ない!師直の傍若無人をアピールするにしても、尊氏と師直の主従関係からは絶対ダメでしょ。←尊氏師直主従好きの信念
将軍たる尊氏が、楠木正成のことを「正成公」と呼んだり、ましてや目の前の正行に向かって「正行公」なんて絶対言わない。「公」は後世の人々が正成や正行を尊称して呼んだだけであって、あまりに違和感ありまくりで、物語そっちのけで心の中で違うー違うーと叫びまくってました(汗)。
そして、全体に漂う江戸時代の武士道精神のような違和感。いや、南北朝時代ですけど?と突っ込みたくなることしばしば。
武士→欲得で動き、戦を起こす悪人。正行→欲のない高潔で立派な人物。という図式。そりゃあ時代劇の正義と悪でわかりやすい物語なのでしょうが、そうじゃないのが南北朝という時代。もっと正行も、尊氏も、師直も、欲望や利害に忠実に、足掻いて苦悩してぶつかってこそ、誰もが自分の正義と信念で生きている時代らしく、ドラマチックで面白いのになぁと、思いました。

細かいことを書き出すとキリがないのですが。
北畠顕家が一瞬しか出てこなかった(泣)。親房卿との父子関係をもう少し見せられたら、親房がなぜ正行に辛く当たるかの背景も見えるのに。
後醍醐天皇の亡霊が、後村上天皇に向かって、「後村上よ!」と呼びかけたのには、ええええ!?!?
楠木家臣団が、ひとまとめでしかなくて勿体なさ過ぎる。一から十二までの名前をつけるんじゃなく、実際の家臣たちからつけられなかったのか。四條畷の記録にある名前だけで20数名いるはず。有名な和田賢秀も、大塚惟正も、和田行忠、和田助氏、開住西阿などなど個性的な人物も多いので、若手さんたちも役のつくり甲斐がありそうなのに。
正時が正行と最期に刺し違えなかった…。退団公演のトップさんを立てる演出だから、兄弟、よりも、孤高で魅せる、もありなのは重々わかります…けど。残念…。
花一揆は、娘役さんたちを並べるのも、役数や出番を思うと仕方ないのかもですが(そもそも娘役の出番があまりない)、でも饗庭氏直まで出すなら、若手男役で観たかった…。切れ者美少年、幼名命鶴丸くん…イメージは、森蘭丸といえばなるほどと思っていただけるかな?そこは若手男役の花形ポジだろう。

アレコレ文句ばかり書いてすみません。
言いたいことは山ほどあれど、演じているスターさんたちは、それぞれに綺麗で、個性を出して、いろいろ工夫して演じておられます。
絵面は、本当に美しいです。楠木三兄弟の戦装束が、色違いのお揃いで、並ぶと本当に綺麗。ちゃんと着物には流水模様が入ってて、楠木の菊水がモチーフだとわかりますし。
末弟の楠木正儀の描き方だけは、納得の演出。まぁ、史実の人物像からも、一番描きやすいとは思います。かなとくんもよく応えてました。

南北朝という、マニアックな時代を取り上げてもらっただけでも、その時代のファンとしてはありがたいこと、とは思ってます。実際、楠木正行関連の歴史本が、突然売れて出版社もビックリ、というネット記事も見かけました(笑)。
正行と弁内侍のロマンス、という南北朝では王道な宝塚ネタなので、私も20年前から、いつかは…と暖めてたくらい。当時は、彩輝さんで観たい…と夢見てました。ちなみに、正時はゆうひさんがいい。
望んだ形とは違いましたが、これをきっかけに、南北朝に興味を持つ人が増えてくれたらいいなと思います。そして、正行が義経みたいにいろんな作品になったり、南北朝のほかのネタにスポットが当たったり、したらいいのになーと思います(笑)。
北畠顕家、足利直冬、足利尊氏直義兄弟、などなど、ネタの宝庫のこの時代♪

私としては、直冬をぜひ、大野先生に描いてもらいたい。実父尊氏に疎まれ、叔父の直義に引き取られながらも、父への愛憎から反乱を起こす、という。ラブロマンスはないけど、よりマニアックで、だからこそ大野先生向き?(笑)

最後にもうひとつだけ。
やっぱり正儀が正行に呼びかけるときは、兄貴、じゃなく、兄者、にしてほしかった!(笑)
コメント (2)
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