King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

心にふと落ちるとは

2016年10月02日 23時55分09秒 | ライブ・コンサート・展覧会
今日はバスケットの大会とその後に地元ピアニストの
演奏会と色々と盛りだくさんな一日でした。

そんな一日でも何かとても落ち着いて気分がすっきりとした
一日となりました。

その最大の原因は私のずっと思っていた疑問ががあり
それがそういうことかと理解が付き、とても落ち着いた
気分にさせたのです。

それはなぜ、世界標準の弾き方でなく
譜面指示通りの弾き方にこだわったのか
です。

曲はバッハのゴルトベルク変奏曲です。

多くの演奏家が名盤というものを残していますが、
それはグレングールトだったり、ケンプなどいくつもの伝説と
名演奏が語られてきました。

シュシャオメイが
再録音したとして今年注目を集め、なんと北京で
凱旋コンサートのようなことまでして話題にもなりました。

その世界的名演奏の録音から来日する演奏家ののほとんどが
みな現代のピアノを使い現代風に弾いた50分ほどの演奏なのです。

さらにサラ・デイビス・ブュックナーのプゾーニ編曲の
ものだと30分程度です。

演奏会ではこういったものが主流なのです。

ところが、地元ピアニスト高橋望氏のものは楽譜指示通りの
80分に及ぶ演奏であり、私にはなぜ世界標準とは違う弾き方に
こだわるのかという疑問がふつふつと募るのでした。

つまり、今の楽器では当時の二段鍵盤でないと再現不可能であり、
どこかで省かれたり、何等の処理をして音作りをしなくては
ならないのです。

となると他の演奏家がやるように削っていいところはある
はずです。

なのにそこを忠実にできる限り限界に再現し、なおかつそれに
付けるべきものは付けてみるというのが彼の姿勢です。

そんな彼の手法を彼が引用したTSエリオットの詩と彼の
手の動きを見た時になるほどこういうことだったのかと
演奏が終わる時には深く理解させられ、心に落ちるよう
にしみたのでした。

そしていつもと違う行動をとらせました。
それは本人に直接言葉をもって伝えることです。

演奏後ロビーで捕まえてなるほどこうだったのですねと
語りかけたのでした。

全部お膳立てされて詳しく勉強会と称して本人自ら
解説までしてもどれだけ同時に体験した人に
伝わっただろうかという気がしたのであえて余計な行動を
したのですが、私としてはとても充実した一日で、深く
心落ち着き気分も一新するという体験でした。
コメント
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