心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

大寒の季節に、大相撲に興じたり、読書に耽ったり

2023-01-27 20:59:00 | Weblog

 ここ数日雪がちらつく寒い日が続きます。今朝、庭に出ると霜柱で土が浮き上がり、その上を歩くとバリバリと音を立てました。懐かしい感触です。そして今夜も、小雪舞う寒い寒い夜になりそうです。
 
 さて、今日は相撲のお話から。先日幕を閉じた本場所ですが、久しぶりに13日目から千秋楽まで後半部分をテレビで観戦しました。相撲を観戦することは滅多にありませんが、3敗力士が並び誰が勝ち残るか手に汗握る熱戦が繰り広げられました。そして千秋楽、大関の貴景勝が三度目の優勝杯を手にしました。「静」と「動」が織りなす日本の国技、千五百年あまりも続く伝統文化です。


 最近、相撲を観戦することは滅多になく、力士の名前も関西出身の貴景勝、宇良。場所中に引退した島根県隠岐の島出身の隠岐の海を知っている程度ですが、娯楽の少なかった子供の頃は、場所が始まるとラジオに耳を傾けました。田舎の散髪屋さんにテレビが登場すると店の前に人だかりができた時代です。相撲が始まろうものなら、お店の前はお祭り騒ぎでした。千代の山、鏡里、栃錦、若乃花、朝潮などが活躍した頃です。当時は国技館も超満員の垂れ幕が下がるほどの賑わいでしたが、時代の変遷と共に陰りが見え始め、最近は少し寂しい感がしないではありません。
 秋祭りには街外れの神社の境内で相撲大会がありました。子供から大人まで急ごしらえの土俵の上でにらみ合いました。私はいつも序盤で敗退する弱い子でしたが楽しい思い出ではあります。
 場所に足を運んだのは何年か前に一度だけ大阪場所を観戦した程度。あとは、5年前の4月末に物見遊山で東京・両国界隈を散策したことぐらい。ちょうど両国にぎわい祭りの最中で、国技館内も公開されていましたから、興味津々で見学したことがありました。(2017年5月3日付き「お上りさんの『東京見物』(その2)」)


 この1週間は、寒さもあってお家で暖かくして読書に明け暮れました。NPOの帰りにジュンク堂書店から連れて帰ったのは、玉岡かおるの「われ去りしとも美は朽ちず」(潮出版社)でした。何気に玉岡かおるのブログを覗いたら、大塚国際美術館の創設プロジェクトに関わった群像の物語として新刊が紹介されてありました。また、先日読み終えた「帆神 - 北前船を馳せた男・工楽松右衛門 -」が第41回新田次郎文学賞、第16回 船橋聖一文学賞を受賞したとの記事もありました。おめでとうございます。


  大塚国際美術館には何年か前に孫君たちを連れて行ったことがありました。陶板名画千点あまりを所蔵する美術館ですが、単なるレプリカと見るか、それとも原画を忠実に再現した陶板名画と見るのかは人それぞれですが、何十年も前に現地の名だたる美術館で観たその絵画を徳島県鳴門市で再会できたのは不思議な喜びでもありました。(2019年8月7日付き「孫たちと陶板名画美術館「大塚国際美術館」を楽しむ」)


 この本は、大塚国際美術館開館に向けた関係者の並々ならぬ努力が描かれています。はしがきには「この物語は事実に基づき構成したフィクションであり、登場人物は実在する人々とは無関係です」とありますが、玉岡さんならではタッチで描かれています。寒い寒い夜のひととき、心温まるお話しを読み進んでおります。

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3回目の四国八十八カ所巡り

2023-01-20 00:09:11 | 四国遍路

 ものの本で知りましたが「お四国病」という言葉があるそうです。四国八十八カ所遍路の旅に出かけると、その後もなんとなく気になって何度も出かけてしまうのだそうです。どうやら私も、その病にかかったかも(笑)。

 先週末、第3回目のお遍路に行ってきました。といっても今回はバスツアーが主体ですが、久しぶりに訪ねた四国の風景に、なんとなく心安らぐ時間をいただきました。でも驚くなかれ、6番札所の安楽寺の門前に「四国遍路五百度満願記念」と記した石柱が立っていて、先達の福田何某という方のお名前が刻まれていました。上には上があるものですが、山あり谷あり海辺ありの1200キロの道のりを500回も歩かれたとは驚くしかありません。3回目で大騒ぎしている自分を恥じる思いがいたします。
 1番札所の霊山寺にお参りしたときは、あいにく小雨が降っていました。まずはいつも通り本堂の奥で高齢の尼さんから四国遍路に出かけるにあたっての心得、そして十善戒の講話を聴きます。

 「不殺生」「不偸盗」「不邪淫」「不妄語」「不綺語」「不悪口」「不両舌」「不慳貪」「不瞋恚」「不邪見」。文字を見ただけで何をしてはいけないかが一目瞭然です。こんな当たり前のことができないのが人の世の常です。改めて足元を見つめることになります。
 お話しをお聞きしながら、ぼんやりとウクライナのことを思い浮かべてしまいました。現在のロシアの為政者に十善戒のお話を聞いてほしいものです。
 2回目の結願の際に立ち寄った霊山寺の近くにあるドイツ村を横目に、2番札所の極楽寺では弘法大師お手植えと言われる樹齢千数百年の長命杉のお出迎えを受け、3番札所の金泉寺では覗き込んで水面に顔が写れば長寿という古井戸を今回も覗いてしまいます。でも、井戸の底は真っ暗でした(笑)。源平合戦の時に義経軍が屋島に攻め入る途中に立ち寄って束の間の休息をとった金泉寺です。そして4番札所の大日寺、5番札所の地蔵寺、そして最後は安楽寺と巡ってこの日の旅は終わりました。
 歩き遍路のときは、6番札所の安楽寺の宿坊で泊まりました。温泉に浸かって疲れを癒し翌朝藤井寺をめざしましたが、田圃の畦道などをひたすら歩いた記憶があります。それは、「遍路ころがし」と言われる焼山寺に登る前の静けさでもありました。今回はそんな苦労もよそに、バスの車窓から阿波の国の風景をぼんやりと眺めながら、日帰りの四国遍路の旅を終えました。

 帰阪した二日後、人間ドックを受けました。6年前はリタイア直後でもあり、夫婦そろってドック入りしたのですが、今回は「最近もの忘れがひどくない?」と婆さんに言われて脳ドック付きを単身受検です。癌検査もすべてこなしましたから、何もないことの方がおかしい年齢です。
 翌日、病院に進められていたCARADA検診サポートなるスマホアプリをインストールしてみました。すると過去に受けた検査結果がずらずらと出てきました。今回の結果もいち早くスマホで確認できそうです。さきほど覗いてみたら、既に「血液検査速報値」なるものがアップされていました。あとでゆっくり眺めてみますが、便利になったと思う反面、ここまで個人情報が一括管理されている時代の到来を思いました。でも超高齢化時代です。備えあれば患えなし、ということなんでしょう。

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戦争と音楽芸術 ~ ウクライナ国立歌劇場

2023-01-13 11:08:21 | Weblog

 旧暦ではこの時季、「水泉動」と言われ、地中の凍った泉が春に向けて動き始める時季なのだそうですが、ここ大阪は春を思わせるぽかぽか陽気に包まれています。でも、週末からお天気は崩れそう.......。
 早咲きのクリスマスローズが5輪だけ咲いています。花弁が下を向いているので、そのお顔を拝見することが適いません。というわけで2輪だけいただいて小さな器に入れてみました。やっと室内の環境に馴染んだのか、元気な姿が私の心を和ませてくれます。


 さて、日曜日には、ウクライナ国立歌劇場の公演「KARMEN」を見に中之島のフェスティバルホールに出かけてきました。少し早く着いたので、英国パブのHUBでホットワインをいただきながら開演時間を待ちます。


 メリメの原作「カルメン」の舞台はスペインのセビリア。素朴で真面目なフォセが、自由奔放で情熱的なカルメンに振り回されてしまうというお話しです。以前、フランス文学講座でメリメのお話しを聞いたことがありますが、どちらかといえば私はビゼーの曲そのものに心惹かれます。この日はジプシーの女性カルメンをイリーナ・ペトロヴァ、竜騎隊の伍長ドン・ホセをオレグ・ズラコマンが演じました。


 戦時下にあるウクライナです。今も砲撃を避け地下のホールで公演を続けているようですが、そんな環境にもめげず、ウクライナ国立歌劇場の皆さん、管弦楽団、合唱団、バレエの皆さんの熱演は休憩を挟んで3時間半にも及び、久しぶりに歌劇の素晴らしさを堪能しました。


 ロシアにもボリショイ歌劇場ほかいくつもの歌劇場があります。芸術、文化としての歌劇の世界に国境はないはずです。しかしロシアは今、軍事施設だけでなく民間施設はもとより歌劇場など多くの文化施設にも爆撃を繰り返しています。戦争だから仕方ない?長い年月を費やして作り上げてきた芸術、文化、人の「心」まで焼き尽くそうとする、いやなかったものにしてしまう人間の性。末恐ろしさを思います。
 かつて法学部政治学科に学んだ私です。みずから戦争を始めない、国家間のいかなる戦争にも参加せず中立を守る「永世中立」の先頭に立った田畑忍先生の講義を思い出します。この世に新人類が誕生しておよそ4万年。日々進歩し続ける人類ではあっても、「戦争」から逃れることができていません。これが生存競争ということなんでしょうか?。残念なことです。下の写真はフェスティバルのロビーで手にしたウクライナ支援チャリティーハンドタオル(大阪・泉州タオル)です。


 さあて、明日は3回目の「四国八十八カ所お遍路の旅」の第1回目です。年度末を迎えてNPOも仕事が輻輳しつつありますが、ここで少し場面転換を図ってこようと思います。 

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玉岡かおる「帆神」を読む

2023-01-07 21:01:28 | Weblog

 第67候 小寒 初候 「芹乃栄」(せりすなわちさかう)。冷たい沢の水辺で芹が盛んに生える頃を言います。そんな季節を思いながら、きょうは七草粥をいただき今年1年の無病息災を願いました。ものの本によれば、お節料理で疲れた胃を休めるという意味合いもあるのだとか。そうかもしれません。

 お正月を終えてひと息ついたところで、年末に読み始めたあと机の上に置いていた玉岡かおるの小説「帆神~北前船を馳せた男 工楽松右衛門」を一気に読みました。さすがに玉岡さんの小説です。ぐいぐいと引き込まれてしまいます。
 播州高砂の漁師の子として生まれながら、大胆不敵な船乗りとして名を挙げた松右衛門の一生を綴った長編歴史小説です。玉岡さんのこれまでの作品は、女性の生き様を追うものが多かったのですが、今回初めて男性が主人公でした。久しぶりの玉岡作品だったことに加えて、去年「近世海運の隆盛と工楽松右衛門」をテーマにした歴史講座があったので、ついついのめり込んでしまいました。

 少年時代を綴った「金毘羅船 播磨高砂浦の巻」、番所の役人に逆らい高砂に居られなくなって兵庫津に向かった「唐船 兵庫津の巻」、唐船に憧れて大阪で千石船の造船に関わった「千石船 浪速の巻」、その船に乗って西廻り航路で東北、北陸に向かった「北前船 越後出雲崎の巻」、さらに北をめざし蝦夷地、択捉まで向かった「異国船 恵土呂府の巻」、そして晩年、命尽きるまで社会に尽くした「蒸気船 鞆の浦の巻」。

 「金毘羅船 播磨高砂浦の巻」では歩き遍路で琴平に行った時のことを、「千石船 浪速の巻」では川(堀)が都市交通の手段だった江戸大坂の街のことを思い浮かべ、「北前船 越後出雲崎の巻」では14年も前のことですが富山に出張したあとプライベートで糸魚川まで足を伸ばし相馬御風記念館を訪ね、そこで見た日本海を思い出したりもしました。(2009年5月24日付「相馬御風を尋ねて」)

 歴史講座のテキストをみると、当時の高砂は姫路藩の外港で人口八千人。一方の兵庫津は人口2万人の港湾都市で、工楽は20歳の頃、兵庫津の廻船問屋、御影屋兵衛に奉公し、のちに北前船の沖船頭になります。40歳の頃に独立し御影屋松右衛門として活躍、千石船で蝦夷地の松前から日本海沿岸、瀬戸内、江戸にかけて、米、材木、木綿、海産物の運送に奔走します。工楽の凄いのは、当時の船の帆を特別に太い木綿糸を使い丈夫でしなやかな画期的な帆布を発明したこと、そればかりか港湾の築造、修築など大規模な土木工事など幅広く手掛けます。ただし残念ながらその後、海外から蒸気船が入ってきて帆船はその任務を終えます。

 テキストの最後には「利益を得ること自体が目的ではなく、その利益を次世代のための発明に投資することこそが大切であるという、思想の持ち主」だったとあります。まさにそんな工楽像が描かれた玉岡さんの歴史小説でした。もちろん、工楽にとってみぢかな存在となる千鳥、小浪、津祢、八知という女性との心の触れ合いは、小説の醍醐味といってよいかもしれません。450頁もの大作を簡単に言い尽くすことはできませんが、史実に基づきながらお話しを大きく展開していく玉岡さんの世界にまたもや引きずりこまれてしまいました(笑)。

 さあて、明日はお待ちかねのウクライナ国立歌劇場(旧キエフ・オペラ)の歌劇「KARMEN」を観てきます。

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新しい年を迎えて想うこと

2023-01-02 21:25:05 | Weblog

 皆様には2023年の清々しい年をお迎えになったことと思います。本年もどうぞよろしくお願いをいたします。
 我が家では年末年始にかけて家族14名が勢揃いしてお正月を迎えることができました。家の中を孫6人が走り回っていましたが、Uターンが本格化する前に今日3家族全員が帰っていきました。今夜は久しぶりに爺婆ふたりで、まったりとしたお正月を過ごしています。


 それにしても孫たちはよく遊びました。小学2年生と4年生と5年生、それに3歳の孫娘が加わって楽しいお正月を楽しみました。一方で、少し距離をおく中学2年、3年生の孫は大人のお付き合いでした。東京や横浜に帰る一家をお見送りしたあと、近所に暮らす娘宅の孫次男君(小学4年)はあまりの寂しさに泣き出してしまいました。思えば私も小さい頃、遠くからやってくる甥たちが帰っていくとき、もの凄く寂しい気持ちになったことがありました。孫たちの純真な心に安堵しています。

 こうして賑やかなお正月を楽しむのは、ひと昔前の大家族制の名残です。年末には実家の義姉から御餅やら何やらと出雲のお正月の品々がどっさり届きました。御礼の電話を入れると、80センチ余りの積雪で雪下ろしが大変だと。広大な屋敷を支えている義姉の苦労を思います。本来なら私が継ぐべき家を義姉にお願いしています。今年はなんとか帰省したいと思っています。

 さて、3年ぶりに行動制限が緩和されたお正月。近くのお不動さんでは、本堂に辿り着くまでに30分あまりもかかる賑わいでした。護摩木をお供えし、開運厄除け・諸願成就の「魔除利剣守」をいただき、大師堂では天国宝剣による無病息災・災難魔除けの特別お加持をいただき、新しい年のスタートラインに立つことができたました。

 今年の御御籤の運勢は二十三番「大吉」と出ました。「躍」の文字が添えられ「どんな舞台でもあなたなら活躍できる」「大きな夢をもったなら小さなことにくよくよせずひたすら進みなさい」とあります。
 願望:夢は大きく、叶えようとする心が大切です。
 仕事:熱心に働くことで収入も信頼も上がります。
 健康:新しい運動に挑戦すると体力運気も上がります。
 金運:出費が増え節約をする生活になりそう
 旅行:いつもと違う手段で出かけると良い旅に
でもねぇ、この歳になって「進め」と言われてもねぇ。歳相応に前を向いて歩むことしかできません。

(上の写真は本堂前の列です。交通整理よろしく、この後ろに500人余りの参拝者が順序良く並んでいます)

 とりあえず今年は3度目の四国八十八カ所お遍路の旅に出かけます。寄り道が多くて中途半端になっている水彩画も、今年はもう少し丁寧に取り組んでみたいと思っています。晴耕雨読を夢見つつ、あとはフェーズダウンに向けて心の準備に入ることにいたしましょう。知らんけど(笑)。

 いま、今年初めてステレオのスイッチを入れています。ビゼーの歌劇「カルメン」DVDです。メッゾ・ソプラノはアグネス・バルツァ、テノールはホセ・カレーラスです。メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮はレヴァインです。次の日曜日にウクライナ国立歌劇場の公演を聴きに行ってきます。その前にNPOの関係で、明後日は来年1月の音楽講座の施設予約のため公的施設予約のための抽選会に行って来なくてはなりません。これが今年の聴き始めであり、仕事始めになります(笑)。

 では、ぼちぼち行動を開始することに致します。皆様もご健康にご留意いただき新しい年に第一歩を記されますように。

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