心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

焼酎サーバー

2008-07-27 09:08:44 | Weblog
 毎朝、蝉の大合唱で叩き起こされます。一瞬、子供の頃の夏休みを思いますが、気力を振り絞って職場に向かう毎日です。ところで、少しでも涼しくありたいと、先週の更新時にブログの壁紙を変えてみました。青々と茂る葉っぱが陽の光を遮り、少しひんやり感のある風景です。いかがでしょう。木漏れ日を楽しみながら、長椅子に横たわって冷たいビールを味わう、そんな時間があっても良いかもしれません。
 暑い夏の昼下がりに、ハーブティーはいかがでしょうか。それも、環境に優しいエコティー、そう「サンティー」はいかがですか。ハーブ畑から幾種類かのハーブの葉っぱを摘んできて、ガラス製のティーポットに入れて水を注ぐ。あとは太陽にあてておきます。炎天下なら2、3時間もすれば、ハーブの香りと成分が溶け込んだ、ホットなハーブティーができあがります。自然の柔らかな甘みとコクがあって、わたしは大好きです。でも、飲み過ぎは禁物です。残ったら冷蔵庫に保存して、夕刻、焼酎に注いでいただくもよし。(^^♪
 焼酎といえば、陶芸を楽しむ家内が、焼酎サーバーと水差しとコップをつくってくれました。サーバーの木製台は、長女の旦那の工作です。サーバーは1.8㍑の容量で、1週間ごとに注ぎ足します。これまたコクのあるお酒に変身です。「これでお酌しなくて済む」というのが家内の本音なのでしょうが、手軽に注げるためか、ついつい呑み過ぎてしまいます。料理屋で食事をすると、家内はお皿に目がいって、今度はこんなのをつくると張り切るので、我が家の食器類はおそらく8割方がお手製の創作陶器に代わってしまいました。リタイアしたら、湖北の里に窯でも作ろうかと、少しだけ真剣に考えたりしています。
 そういえば先日の夜遅く、珍しく田舎の親友から電話がありました。いま京都にきている、明日、会えないか、との話。あいにく翌日は会議が目白押しで自由がきかないので、ずいぶんな長電話をしました。彼は、高校時代から農業に憧れ、北海道の酪農学園大学に進学すると、卒業後はちゃんと田舎に帰って跡を継ぎました。現在は、高級感あふれるお米のブランドづくりに成功し、数年前からは町会議員にもなり、セールスに余念がありません。そんな彼とは、若い頃よくお酒を呑みました。彼は北海道から田舎に帰るときは、いつも何冊かの本をリュックに入れて、のんびり鈍行列車を使っていました。必ず京都で途中下車をして、私の下宿に立ち寄ってくれました。時たま、ふいにやってくることがあって、下宿に帰ると3畳ほどの玄関の上り口で正座をして本を読んでいる姿を見つけることもありました。田舎では皆から慕われる有為の農村青年でした。人それぞれに、それぞれの生き方がある。本当に素晴らしいことだと思います。9月に上洛の折には、事前の日程調整をしようと約束して電話を切りました。 
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我が家の菜園

2008-07-21 11:56:13 | Weblog
 連休2日目のきょうは、あまりにも暑いので外に出る気にもならず、朝から部屋のお掃除をしていました。ベッドの枕元に散らかる多数の本・雑誌を片付けるのが目的です。私には、その日の気分で数冊を並行して読み進む奇妙な癖があって、枕元に無造作に置かれている本を時々整理しないと、とんでもないことになってしまいます。部屋の書棚もそろそろ一杯になりつつありますから、近いうちに蔵書の整理が必要です。特段に手元に置く意味を感じない本は、段ボールに詰め込んで、ネット上の古書店に送りつけることにしましょう。もちろん事前の予約を入れての話です。宅急便の宛先ラベルが届くので郵送料は書店もち。若干の売れ筋は少しはキャッシュバックしてくれる便利屋さんです。
 きょうはLPレコードの整理もしました。でも、途中でやめました。やり始めると、聴きたくなる。すると整理ではなくなってしまう、というわけです。こちらはもう少し余裕のある休日に手がけることにしました。といいながら、いまは、暑気払いを兼ねて、久しぶりにゲオルグ・ショルティー指揮の交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」(シカゴ交響楽団)を聴いています。良いですねぇ。
 ところで、本題が遅くなりましたが、今年は、我が家の菜園がなかなか頑張ってくれています。トマトがたくさん収穫できました。ピーマンも茄子も楽しむ程度に収穫できます。楽しいですね。新鮮野菜をもぎ取ってすぐに食することができるのですから。他に、ブルーベリーもたくさん採れました。無花果も、おいしそうに実っています。夏の太陽は、私たちに多くの贈り物をしてくれます。この自然の循環を断ち切るようなことがあってはなりません。自然を破壊して生活を楽しむようなことを続けていたら、いずれ痛い目にあうことになります。うまく「共生」する仕組みづくりが必要なんだと思います。きっと。
 お空がすこし曇ってきました。ひょっとしたら夕立ちがあるかもしれません。これも夏の風物詩でしょう。夕立ちが来る前に、ハーブを収穫して、新鮮なハーブティーを堪能しようと思っています。そうそう、読みかけの本を読みながら。
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暑い夏に消えた定年

2008-07-20 10:26:34 | Weblog
 午前の3時頃、カチッという音で目覚めます。そうです。足元の扇風機が止まる時間です。この時間になると、いくら熱帯夜といっても、ひんやりとした微風が身体全身を覆います。少しうとうとして朝を迎える日もあれば、そっと電気をつけて読みかけの本に手を差し伸べることも。そうこうするうちに、夏蝉の大合唱で街全体がお目覚めになるのです。
 そんな目覚めの良い日曜日の朝は、青空に白い雲が浮かぶ夏特有の風景が目の前に広がります。近所の子供たちは先日から夏休みですが、やはり少子化の時代でしょうか。子供たちの歓声は、あまり聞こえてきません。勉強中?ゲーム遊び?どうなんでしょうね。夏は、お外に出て思いっきり汗をかく習慣を身につける必要はないのでしょうか。お母さんに叱られても、泥んこになって原っぱを駆け抜ける経験って、人間の成長にとって必要ではないでしょうか。昨今の殺伐とした事件を思うと、心配でなりません。夏休みの頃の思い出って、とにかく遊んで、寝て、食べて、思い出したように「夏休みの友」を開く。縁側で良く冷えた西瓜を皆で頬張りながら、夜は夏祭りやら花火やら、とにかく毎日が楽しくてしようがなかった。.....そんな思い出があります。
 そう、私は今夏、58回目の誕生日を迎えます。まだ定年まで6年あります。いや、ありました。職場でのポジションの変化で、実は今月末で社員の職を辞することになりました。来月からは経営責任が問われる立場に変わります。目の前から急に定年という言葉が消えていったことに一抹の寂しさを思います。相応の足跡を残しながら、めでたく定年を迎えてリタイアすることを夢見ていましたから、何とも複雑な思いがしています。
 35年間、勤めたことになります。若い頃は、どちらかといえば広報関係の仕事をしていました。何の準備もなく配属命令が下りましたから、新聞社主催の社内報作成講座に出かけたり、広告関係のセミナーに顔を出したりしながら、右往左往しながら仕事をしました。その頃に知り合った同業他社の方々とは、いまも公私にわたってお付き合いが続いています。はっきりいって、文章を書くことが最も苦手だった私にとっては場違いな職場でした。上司から常に辞書を横において仕事をするようにとのアドバイスを受けました。それがいま、こうしてブログを書いているのですから、人間ってどうにもなるのだと改めて思います。
 40代になると人事労務関係の部署に変わりました。こういう仕事は私に向いていないと思いました。でも10数年いたでしょうか。一人ひとりの顔を見過ぎると、私情が入ったり、こちらがめげてしまいそうになりますから、がむしゃらに本を読んだ時期です。小説、思想、哲学、歴史、芸術など手あた次第に読み漁りました。それによって心の冷静さを保ちました。その後、いったん現場に異動になりました。それまで上から眺めていた仕事を皆と同じ目線で考えることの重要性に気づかされた、私にとっては非常に貴重な経験をしました。現場に活力がなければ、組織は成り立たないことを実感しました。もっと長く、できれば定年まで、そんな職場で頑張りたかったのに、昨年の4月に、再び人事労務部門に引き戻されてしまいました....。
 ふと、目の前に広がる空を見上げると、さきほどまで浮かんでいた白い雲が消え、一面、真っ青な夏の空に変わっていました。浜辺で眺める夏の空、山頂から眺める夏の空。その下に輝く夏の海、夏の山肌。砂浜に寝そべって、トーマス・マンの「魔の山」を読んだ大学時代のことを思い出します。夏生まれの私にとって、夏には様々な思い出があります。...今日は、あっちに揺れたり、こっちに揺れたり、留まるところを知らない私の生きざまを不安に振り替えることになりました。きょうは、先週に引き続いて本田奈美子さのCDを聴きながらの更新作業です。そうそう、最近、夏目漱石に傾注しています。「草枕」に続いて「こころ」。いまは「行人」を読んでいます。この夏にあと何冊かに目を通します。
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夏蝉と広辞苑

2008-07-13 10:18:12 | Weblog
 きのうは帰宅途上で夕立ちに遭遇してたいへんな目にあいましたが、きょう日曜日の朝は、何事もなかったかのような顔をして、夏空が私たちを天上から眺めておいでです。それに応えるかのように、私の街では本日、蝉の初鳴きです。愛犬ゴンタと散歩しているときには、弱弱しかったのですが、この時間帯にもなると俄然元気です。これから当分、夏蝉の大合唱で目覚めることになりそうです。
 きのうセッティングした、広辞苑第6版DVD版で「蝉」を検索すると、「カメムシ目セミ科の昆虫の総称。頭部は低い三角形で、両側に丸い複眼があり、その間に3個の赤い単眼がある。腹面の長い吻で樹液を吸う。雄は腹面に発音器を持ち、鳴く。雌は樹皮に産卵、孵化ふかした幼虫は、地中に入って植物の根から養分を吸収し、数年かかって成虫になる」とあります。数年間も地中で過ごし、陽の光に戸惑いながらも地上に這い出し、草木の上で脱皮して成虫になる。何を感じ何を思い生きてきたのか。地上に出るや、目一杯の力を振り絞って鳴き続ける。何を思う....。ひ弱な人間に比べてよほど根性が座っているのかもしれません。
 そんな蝉も、日本の夏の風物詩。広辞苑でさらに蝉を追っていくと、蝉時雨、蝉籠、蝉衣、蝉口、蝉声、蝉海老、蝉折、蝉茸といった言葉が出てきます。慣用句検索をすると「鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」(口に出す者よりも、口に出さない者の方がかえって心中の思いが切であるの意)、「蛍二十日に蝉三日」(盛りの短いことのたとえ)の2句が登場します。蛍との対比がおもしろく、しかし蘊蓄のある慣用句でした。
 パソコン上での広辞苑とのお付き合いは、第5版からです。なかなか重宝しています。日々、新しい出会いがありますから、ほぼ毎日使っています。今回の第6版は、旧版より1万語あまり増えて24万語を収録。言葉の意味の移り変わりに即して全項目を書き改めたそうです。図版を含む全データをハードディスクにインストールすることで、使い勝手が向上しました。最後に、「夏」を検索してみると、「(朝鮮語のnierym(夏)、満州語のniyengniyeri(春)などアルタイ諸語で「若い」「新鮮な」の原義の語と同源か。アツ(暑)・ナル(生)・ネツ(熱の字音)からなどともいう)四季の一つ」とあります。なにやら躍動感を思わせますが、それは長い夏休みを喜ぶ子供の気分。歳を重ねると、夏バテ防止策に関心がむいてしまいます。でも、こうして広辞苑と遊んでいると、日常、何気なく使う言葉の奥深さを思います。と同時に、言葉も生きていることを実感します。
 きょうは、本田美奈子さんの「AVE MARIA」を聴きながらのブログ更新でした。
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古書ブックフェア

2008-07-06 10:16:51 | 古本フェア

 そろそろ近畿地方も梅雨明けでしょうか。先日まで湿っぽい日が続いていたのに急に暑くなって、連日の熱帯夜。新調した扇風機が活躍しています。それでも朝は過ごしやすく、何種類かの鳥たちが順番にお目覚めです。床の中で、これはスズメ、これはヒヨドリ、シジュウカラ、カラス、これはなんだろうなどと考えていると、いつの間にか街が目覚めます。これに夏蝉の大合唱が加わると、夏本番です。そんな気持ちの良い休日の朝、愛犬ゴンタとお散歩したあと庭の小さな畑を覗いてみると、トマトが真っ赤に熟していました。今日の朝食は、自家製トマトが彩りを添えました。
 ところで、昨日の土曜日は、いつもどおり午前中は職場に顔を出し、午後には早々に退散して楽しいひと時を過ごしました。行き先は、大阪・天満のOMMビルで開催中の「古書ブックフェア:近畿ブロック連合大古書まつり」。大阪府内の35古書店が一堂に会した催しです。例年よりやや規模が小さかったような気もしないではありませんが、それでも古書ファンの方々が多数お越しになっていました。写真は、そのひとコマです。
 専門書より一般書籍の占める割合が増えたように思いましたが、そのぶん客層も広がったような気がします。ずいぶんお年を召した方々、私のような世代の方々、何かに拘っていそうな若い方々も。昭和の時代を懐かしむ方、大正の時代、明治の時代、それよりもずいぶん昔の古文書に思いを致す方々など、不思議な空間が広がっています。
 私も、2時間あまり会場をうろうろしました。手にしたのは、まずは性懲りもなく「グレングールド複数の肖像」(ギレーヌ・ゲルタン著、浅井香織・宮沢淳一訳)。ついで、本のデザインが気に入って「クラシック・現代音楽小辞典」。音から記号の方へ、音の整合から音の解放へ、常に実験の場へ、というメッセージが気に入りました。1974年7月1日発行とありますから社会人2年目の頃の出版です。縦25.5㎝、横9㎝の楽しい装丁でした。そして3冊目は、1994年発行の雑誌「現代思想」。「カオス」を特集した内容でした。山口昌哉氏と米沢富美子氏の対談「カオス・アモルファスの意味論」に惹かれました。わたしの手には負えない内容ですが、それでもアトミズム(要素還元論)には強い関心をもっています。
 人生も後半戦を迎えると、読書の対象も少しずつ絞られてきているように思います。それでも、まだまだ好奇心旺盛な私です。それがまた、明日の糧になるということなんでしょう。普段は仕方なく強制的に仕事関係の書籍・情報にたくさん目を通さざるを得ないのですが、休日ぐらいは勘弁してください。長椅子に横たわって、冷たい氷を浮かべたお手製月桂樹酒を味わいながら、ぱらぱらと本をめくる、そんな時間を過ごしたいと思います。

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