心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

金剛杖の先に「花」が咲き始めました。

2020-01-27 11:31:23 | 四国遍路

 出発直前まで雨が心配された「歩き遍路」でしたが、またもや「晴れ男」の効果が現われたのか、薄日のさす歩き遍路日和となりました。今回、77番まで巡ったことになります。ということはあと11カ寺です。2、3か月に一度の区切り遍路ですから、ずいぶん時間がかかりましたが、ここまでくると金剛杖の先に「花」が咲きます。固い杖の先も長旅でささくれができるのです。今夏70歳を迎えるまでには結願したいと思っています。
 JR観音寺駅に到着すると、さっそく歩き始めます。市街地を歩くのは久しぶりです。半時間もすると、68番札所・神恵院の仁王門前に到着、同じ境内にあるお隣の観音寺を打ちました。ここで目を引くのは「千年楠木」です。岩盤の影響でしょうか。大きな根が幹回りに広がります。千年の間、人々の祈りをじっと見つめてきたと思うと自然の懐の大きさを思います。
 その後、財田川べりを歩いて1時間半。誰とも出くわすことのない川沿いの道をもくもくと歩きます。時々、小さい頃の風景とダブって見えてくるから不思議なものです。すると、友達の顔が浮かんできたり、母の顔が浮かんできたり.....。
 70番札所・本山寺に到着です。美しい五重塔が目に飛び込んできます。梅の花も咲き始めています。
 計画では、雨が降っていたら近くの本山駅から列車で移動しようと思っていましたが、大丈夫。71番札所・弥谷寺に歩いて向かいました。その距離なんと11.3キロ。国道11号線をひたすら歩きましたが、途中、国道と並行して伸びる旧遍路道をみつけて、少し気分転換もしました。
 3時間半ほどで、遠くの山の中腹にお寺らしきものが見えてきます。その近くに宿泊する「道の駅ふれあいパークみの(いやだに温泉)」もみえます。よし、もう一息と奮い立ちます。表参道登り口に来て「ここから先、本堂まで530段の石段」との掲示にびっくり。石段を登っては平地、また石段と騙され騙されしながら、やっと境内に到着した頃には足の裏にマメができていました。
 本堂に向かう途中、岩壁には摩崖仏阿弥陀三尊像がお出迎えです。大師堂は靴を脱いで上がっていくことになります。その奥にも獅子之岩屋という岩窟があり、なんと弘法大師空海が、幼少の頃お勉強をしたところだとか。.....その夜は、温泉に浸かって疲れを癒しました。
 翌朝、6時45分、宿を出発。まだ薄暗いなか弥谷寺の登り口横から遍路道に入ります。今回の「歩き遍路」で昔ながらの雰囲気をもった遍路道はここだけだったかもしれません。72番札所・曼荼羅寺、そして73番札所・出釈迦寺を打ちました。出釈迦寺では、弘法大師空海が7歳の頃断崖絶壁から身を投げたと伝えられる我拝師山を望むことができます。「紫色の雲が湧き、釈迦如来と羽衣をまとった天女が舞い降り、雲の中で弘法大師を抱きとめました」と紹介されていますが、さあてどうなんでしょうねえ。
 その後、74番札所・甲山寺を経て75番札所・善通寺に到着です。善通寺と言えば、弘法大師誕生の地と言われ、高野山、東寺と共に弘法大師三大霊跡のひとつです。境内は本堂のある東院、大師堂のある西院に分かれ、ご本尊は人間のあらゆる病気や苦しみを癒してくれる薬師如来です。リタイア直後の何年か前にお目にかかった際、なんともしれない「生きる力」をいただいた記憶があります。仏様の表情って良いですね。仏教のなんたるかも知らない私ですが、「歩き遍路」でお目にかかる仏様の表情は、私の心を癒してくれます。
 広い境内を散策したあと、76番札所・金蔵寺をめざしました。遍路道の矢印を見つけることがむずかしく自動車が行き交う広い道に沿って歩きました。計画では、ここでフィニッシュの予定でしたが、意外と足が進むので、次の77番札所・道隆寺もお参りして今回の「歩き遍路」は終了しました。

 そのあと丸亀駅前から大阪行きの高速バスに乗ります。出発時刻まで1時間余り。丸亀に来たら「丸亀うどん」だろうと駅周辺を探しますが、見当たりません。商店街はシャッター通りです。地方都市の現実を目の当たりにすることになります。
 でも、駅前で見つけました。「警察犬きな子」の銅像を。警察犬試験に何度も失敗し挑戦し続けるラブラドール・レトリバーの「きな子」と、訓練士をめざす少女の実話に基づいた映画がありました。そうです。きな子は香川県の丸亀警察犬訓練所に所属していたんです。と、スマホを見ると家内からLINEが届きました。孫娘の写真と動画です。生後2か月にもなると表情がほんとうに豊かになるものです。来月に再会することが楽しみになってきました。
 そんなことを考えながら、ぼんやりベンチに座っていたら、ニコニコ顔のおじさんがやってきました。「お疲れ様!どちらから?」と。「大阪からです」と答えると「私も大阪出身。仕事の関係で来ている」と。仕事の関係で全国を転々とされている様子でした。大阪と丸亀の歴史と人と文化の違いなどを面白おかしく分かりやすくお話しいただきました。待ち時間もあっという間でした。時間があったら一献傾けながら続きを聴きたいところでした(笑)。

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人と自然との共生を思う

2020-01-18 17:10:35 | Weblog

 昨夜アップした「【続々々報】WALTY Classical 中岡さん手づくりのアンプをご存知ですか」ですが、その後、ハタナカさんからお礼のメールをいただきました。現在、カナダにて中古レコード店を営んでいらっしゃるとのこと。中岡さんのアンプでジャズレコードを店内で演奏できればとお考えのようでした。諸遊さんとうまく連絡が付けばよいのですが.......。

 さて、話しはがらりと変わりますが、先日、大阪城を横目に大阪府庁前の歩道を歩いていたら、何本もの大きな街路樹が1メートルほどの高さで伐採されていました。こんなに大きく育ったのに何故?

 樹幹に貼られたポスターによると、「この木は、道路を通行する人や車の安全面に影響を与えていることから、撤去を行う予定にしております。また、撤去後は見通しの確保のため樹木の植え付けは行いません。ご理解のほどよろしくお願い致します」とありました。なんて勝手なことを。何かものの順序を間違えてはいないでしょうか。大きく育った樹木の幹が悲鳴を上げています。
 それでなくても緑の少ない大阪です。大阪の近代化とはこういうことを言うのでしょうか。残念なことです。もっと自然との共生の在り方を皆で真剣に考えるべきではないかと、淋しい思いがいたしました。
 昨日、Kindleで、鷲谷いづみ著「自然再生~持続可能な生態系のために」(中公新書)を読み終えました。生物の多様性、自然再生、共生、持続可能性....。古き良き時代の日本の原風景が消滅していく時代。人と自然環境との共生がテーマでした。私たちは子供たちに何を残し何を伝えていこうとしているのか。四国の遍路道を一人で、いやいやお大師さんと「同行二人」で歩きながら、いつも脳裡に浮かぶテーマでもあります。
 オーストラリアの森林火災は数カ月にわたって燃え続けています。コアラたちをはじめ動物たちも災難です。可哀そうです。原因はいろいろあるのでしょうが、そろそろ人間社会へのしっぺ返しが始まっているのかもしれません。続いてKindleで購入した本は、本川達雄著「生物多様性」でした。「私」から考える進化・遺伝・生態系というサブタイトルが付いています。今年は、こうした視点からものを見、考えていく年になる予感がします。
 タブレットで思い出しました。お正月休みのとき、Kindleで本を読もうとしたら、急に反応しなくなってしまいました。それに、設定もしていないのにパスワードが求められました。なぜ?どうして?いくらやっても動かない。初期化しようにも開くことができないのでダメ。
 何気なくネットで対処法を探していたら、右側の音量ボタンと電源ボタンを同時押しをすると設定画面が出てくるのだと。画面の指示に従って操作していったら、完璧に出荷時の状態に戻すことができました。ふぅ。こんな操作で元通りになるとは驚きです。一時は新品を購入しようという誘惑にかられましたが、やればできるものです。これで一件落着。シニアにとって電子製品は良く分かりません。原理原則を知らないので見様見真似で操作するしかありません。

 さてさて、来週は何やかやと立て込んでいます。明日の日曜日から金曜日まで出ずっぱり。その間に2回ほど新年会も入っています。なんとも落ち着きのない週になりそうです。なぜこんなことになってしまったのか。スローライフこそ私がめざすところではなかったか。いやいや、安請け合いをするからダメなんでしょうね。今になって反省しきりです。
 その勢いで来週土曜日の朝、新大阪から岡山経由で香川県観音寺に向かいます。天気予報をみると「曇り時々雨」。晴れなくてもよいから、雨が降らないでほしいと心のなかで願っています。

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【続々々報】WALTY Classical 中岡さん手づくりのアンプをご存知ですか

2020-01-17 23:31:51 | Weblog

第一報の「WALTY Classical 中岡さん手づくりのアンプをご存知ですか」を掲載してから、もう3年が経過しますが、きょう新たな動きがありました。以下、時系列に振り返ってみます。

2015-07-18
「WALTY Classicalさん、閉店へ」
店主の中岡さんが体調を崩され、大阪駅前第一ビル地下の中古CD店WALTY Classicalさんが閉店になったことを伝えました。

2017-01-28
WALTY Classical 中岡さん手づくりのアンプをご存知ですか
「WALTY Classicalさん、閉店へ」の記事をアップ後1年半も経って、20年ほど前からワルツ堂閉店までアルバイトをされていたハタナカさんという方から「中岡さんが製造された手作りのアンプを御持ちの方を探しております」というコメントをいただきました。さっそくこのブログで紹介しました。

2017-08-08
【続報】WALTY Classical 中岡さん手づくりのアンプについて
あれから半年が経過した夏、諸遊さんという方から1通のメールが届きました。そこには「中岡の兄ちゃんとは40年前の知り合いでした、第二店でお世話になりました。一度自宅に訪問をしモニターレッドを譲り受けアンプもあの時買わされました。今となればおいておけばと後悔しています」とありました。手元にはないけれども「譲り渡した先は大切に使われているようです」と書き添えてありました。そこで、「続報」として再度紹介し、今度はハタナカさんの連絡を待ちました。これに対して、杉本さんという方からコメントをいただきました。

2019-05-22
【続々報】WALTY Classical 中岡さん手づくりのアンプについて
中岡さんがお亡くなりになって3年が経過した頃、再掲という形で同種の記事を掲載させていただきました。

2020-01-17
そして本日、2015-07-18「WALTY Classicalさん、閉店へ」への記事に、「手作りアンプ (ハタナカ)」と題するコメントがハタナカさんご本人から届きました。「大変遅くなりました。情報宜しくお願い致します。hisa.hisanorihatanaka@gmail.com」とあります。

これでやっと繋がりました。ところがです。残念なことに、私は1年ほど前にメールソフトが壊れ以前のメールが読めなくなってしまいました。せっかくハタナカさんの連絡先が判明したのに、今度は諸遊さんのアドレスを確認することができません。諸遊さん、もしこのブログをご覧になっていらっしゃいましたら、ハタナカさんからいただいたコメントにあるアドレス宛てに直接連絡を取っていただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。

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今年も衰えることのない好奇心をもって

2020-01-11 11:02:31 | Weblog

 次男君一家を横浜にお見送りしたあと、ひっそりとした我が家はいつも通り老夫婦だけの静かな生活に戻りました。この年末年始の騒々しさ。その陰で家内の奮闘ぶりは相当なものでしたが、「今年はうまく行った」と満足気です。やはり母親は強い。
 その慰労も兼ねて、先日、なんばの松竹座で公演中の『壽初春大歌舞伎』を観劇しました。昼夜二部制ですが、私たちは夜の部の「義経千本桜」「夕霧名残の正月」「大當り伏見の富くじ」を楽しみました。開場前の松竹座玄関には多くの方々が詰めかけていました。やはり能や狂言とは違う人気があるようです。
 といっても二人とも歌舞伎は初めてです。最初はストーリーが良く分からなかったのですが、次第に歌舞伎の世界にのめり込みます。舞台照明のなんと美しいことか。回転舞台で場面転換も楽しいものでした。帰りには片岡愛之助さんのご夫人(藤原紀香さん)のお見送りをいただきました。
 その日は少し早く家を出て、家内の希望でIKEA鶴浜に寄り道しました。年に一二度しかいくことはありませんが、イケアといえばスウェーデンが発祥の地。4月の北欧旅行が楽しみでもあります。
 北欧といえば、昨年末から読売新聞に掲載されている特集「時代の証言者」は、今回、照明デザイナーの石井幹子さんです。
 石井さんには、15年も前のことでしょうか。新規事業立ち上げに向けたシンポジウムを中之島の中央公会堂で開いたとき、基調講演をお願いしたことがありました。聡明な方で物腰が柔らかいという印象があります。その後、石井さんが照明を担当された舞台鑑賞にご案内いただき東京まででかけたこともありました。
 そんな一瞬の出会いに過ぎませんが、石井さんは日本における照明デザイナーの草分け的な存在です。大阪万博、東京タワー、横浜ベイブリッジ、そして「歩き遍路」の際利用する明石海峡大橋など、橋や建物のライトアップを通して新しい光の世界を楽しませていただいています。
 記事では、幼い頃から今日に至る石井さんの歩みが紹介されています。物怖じしない進取の精神の持ち主であることがわかります。やはり時代に足跡を残す方は違いますね。いつもこういう記事を読むと、私がもっと若かったら、と思ってしまいますが、後の祭りです(笑)。その石井さん、東京芸大を卒業後、北欧のフィンランド、ドイツで研鑽を積み、帰国後東京で独立されています。もちろんご活躍の場は世界各国に広がります。

 さて、今週は兵庫県伊丹市にある柿衞文庫にもお邪魔しました。来月の校外学習のための下打ち合わせです。かつてこの界隈は酒蔵が立ち並ぶ街でした。80以上あった酒蔵はその後、海辺に近い灘に移っていきました。柿衞文庫は、当時栄えた俳諧の文化、芭蕉直筆の「ふる池や」の句短冊や軸物、和本など約9500点を所蔵する日本三大俳諧コレクションの一つと言われています。この日は見学先の酒蔵屋敷なども確認しました。
 2020年のお正月は、ざっとこんな感じで過ぎていきました。今年も、衰えることのない好奇心をもって時代を見つめていこうと思います。それにしても今日の記事はベースに北欧が見え隠れしています。それもそのはず。部屋には館野泉さん奏でるピアノ曲「北の調べ~フィンランド・ピアノ名曲集」が流れています。

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今年の御神籤は「小吉」

2020-01-03 15:18:07 | Weblog

 新年あけましておめでとうございます。2020年、皆さまには麗しい年をお迎えになったことと思います。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さてさて、いつもは老夫婦2人で静かに暮らしている我が家も、このお正月は子と孫を含めて総勢14名。てんやわんやの大騒ぎで、年末まで静かに暮らしていた孫娘も周囲の騒々しさに驚いた様子でした。
 そんなお正月も、第一陣が今日の午後帰途につき、やっと静かになりました。我が家の居間には、手づくりのミニ門松の横に、長男の末っ子が持ってきてくれた作品が飾ってあります。
 元旦の日は皆で近所のお不動さんに初詣に行ってきました。境内は大勢の参拝客でごった返し、本堂に辿り着くまで40分もかかりました。その後ももみくちゃにされながら、お守りをいただいたり、御神籤を引いたり.....。
 今年の御神籤、「小吉」と出ました。「彩」と題する前文には「汗にまみれ 泥にまみれ 這いつくばっても良いじゃないか あなたの人生を彩るのは 楽しく華やかな日々の色だけではない もがき苦しみ抜いたあの日々の涙の色です」とあります。そして健康は「消化器系のトラブルに注意」、旅行は「自然から人生を変える学びがある」と続きます。開運招福お守りは「招き猫」でした。
 帰りがけ、境内に貼り出してあった「今年の運勢」もみてみました。私の数え年から探していくと、「月曜星・半吉・五黄」の欄にたどり着きます。こちらも同じような運勢に巡り合いました。「運気開ける年。新事業よし。貴人の引き立てありて成功する」「3.6.7月は不信心なれば末運となる」とあります。運勢なんてと思いつつ、気にはなります。年に一度のことですから、素直に受け止めておきましょう。
 ということで、年初にあたり「旅行」の計画を立ててみました。まずは「歩き遍路」。今月の下旬に68番札所・神恵院から76番札所・金蔵寺までお参りすることに。でも、3日以上あけることが難しく、またもや1泊2日の強行軍となります。とりあえず、きょう帰りの高速バスと宿の予約を入れておきました。
 2月半ばには、格安JALパックで3泊4日の日程で上京する計画もあります。長男宅におじゃまするほか、次男宅では孫娘の「お食い初め」に立ち会います。その間に「世界らん展2020」に行くほか、お上りさん丸出しの旅行企画をただいま家内が立案中です。.......そして4月下旬、年に一度の海外旅行は今年「北欧」に決めました。
 何やかやと行き当たりばったりの珍道中になりそうです。来週後半から講座運営を再開しますが、その前に健康チェックも怠りなく。来週はがん検診もあります。忙しくもあり楽しくもある、そんな1年になりそうです。

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