心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

漫画「プリニウス」を読む

2024-05-10 21:19:08 | Weblog

 庭に植えたオリーブの木が3メールほどになりました。よく見ると、若葉の陰に蕾が見えます。今年も実がなるのでしょうか。オリーブと言えば、何年か前に旅したシチリアを思い出します。ギリシャ神殿が点在するアグリジェントの丘で樹齢千年のオリーブの木に出会ったことがありました。その木肌に手を添えて、オリーブの「いのち」をお裾分けしていただきました。
 ゴールデンウィーク後半はお天気もよく、我が家の小さな菜園のお手入れに汗を流しました。ピーマンの苗を植えたり、葉物野菜の種を撒いたり、ゴーヤの蔓棚を作ったり......。ミニトマトの枝先には早くも小さな実が見えます。
 そんななか、今週の水彩画教室の画材は「春の野菜」でした。出がけに、菜園からアスパラガスとサニーレタス、グリーンリーフの葉をもって教室に向かいました。本来なら描いた水彩画をここに掲載したいところですが、その日はうまく描けず、代わって庭先のブルーベリーの写真でお茶を濁すことにしました(笑)。

 そうそう。連休の昼下がり、新潮社のWEBマガジン「考える人」を開いたら「漫画で歴史を描くということ」と題する鼎談が載っていました。天文・地理、動植物の生態など森羅万象を網羅した百科全書『博物誌』を書き遺した古代ローマの博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥス(23~79年)の生涯を描いた、漫画『プリニウス』(全12巻=新潮社)です。ヤマザキマリさんと、とり・みきさんの合作ですが、先頃、第28回手塚治虫文化賞 マンガ大賞(年間のベスト作品)を受賞したとか。それにちなんで、8年前に出口治明さんと鼎談した記事が再録されていました。
 ちょうど、マルグリット・ユルスナールの「ハドリアヌス帝の回想」を読み始めて、少し文字に疲れていたこともあり、さっそくAmazon Kindle(kindle unlimited=月額980円で読み放題サービス)から漫画「プリニウス」をダウンロードしました。
 若い頃、塩野七生の「ローマ人の物語」(全43巻)を読んだことがありますが、漫画で見る古代ローマ史はもちろん初めてです。漫画とは言え、古代ローマ人が生き生きと描かれていて、なによりも大噴火に見舞われたポンペイの街など古代ローマの歴史風景が私の心を虜にしてしまい、ついつい4巻まで読み進んでしまいました。

 ところで、鼎談の中にこんなくだりがあります。
「南方熊楠(註1867~1941年。博物学者。粘菌の研究などで知られ、生涯在野の研究者であった)に似ていますよね」。「同時代を生きた知識人のセネカは、とても整った文章を書く。だから後世にも立派な著作集が残るわけです。プリニウスが南方熊楠だとしたら、セネカは柳田國男(註1875~1962年。日本の民俗学の泰斗。元は農商務省の官僚)かも」。

 なるほどね。今週受講した文化講座は「世界文学としての方丈記」の第二段、「南方熊楠」がテーマでした。この歳になると、ひょんなことから点と点が繋がって急に視界が広がります。それが私の好奇心をくすぐります。この性格、死ぬまで直らないのでしょうね。きっと(笑)。

 今夏も高野山夏季大学を受講する予定です。未だ、主催者である毎日新聞社からは社告はなされていませんが、先日、早々と2泊3日の宿を仮予約してしまいました。その前に、今月下旬には久しぶりにヨーロッパ旅行に出かけます。スペイン、南フランス、そしてイタリア。イタリアでは、フィレンツェとローマを再訪します。残り少なくなった人生に向かってギアチェンジの時を迎えています。

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