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ギャング・オブ・ロンドン シーズン1 【感想】

2021-03-06 07:07:15 | 海外ドラマ


圧巻。こりゃ、スゲーわ。
TVドラマの尺でアクション映画を撮ってみた、的な海外ドラマ。TVドラマ界に新たな新風を吹き込んだといっても過言ではないのでは。。。そのボリューム、緻密さ、秀逸さ、残忍さ、製作陣の熱量がほとばしる。傑作ドラマシリーズの誕生か。

昨年末より、一部の海外ドラマフリークを賑わせていたドラマだ。
Amazonチャンネルに加わったSTARZPLAYより、計9話、久々のイッキ見にて完走した。

ロンドンを牛耳るギャングのボスが殺害されたことで起きる、抗争を描く。アメリカ同様、移民国家のイギリス。本国、アイルランド、アルジェリア、パキスタン、クルド、ジプシーなど、多様な民族のギャングが存在する設定で、一部の対立関係はあるものの、それぞれが連携し、和平的均衡が保たれていた状況が、事件をきっかけに崩れていく。

暴力で制し、暴力は暴力で返すギャングの所業だ。
「血で血を洗う」これほどしっくりくる言葉はない。



原案・監督は何せ、「ザ・レイド」で名を馳せたギャレス・エヴァンスだ。本作がTVドラマデビューとなるが、やることは彼が手掛ける映画そのものだ。肉弾アクションとガンアクションの高次元の融合に魅せられる。彼が実際に監督としてメガホンをとったのは、1話と5話。1話の尺は90分近くあり、シリーズの方向性と成功を決定づける見事なオープニングだ。アクションのコーディネートも勿論だが、空間の使い方が唸るほどの巧さ。その1話目があまりにも素晴らしかったので、以降、パワーダウンすることも十分想定されたが、最終話まで同じ熱量のまま駆け抜けた。

ハズレ回が見当たらず、全話が神回といってよいが、中でも独立したエピソードの色が濃い5話目が白眉な仕上がり。穏やかな田舎の1軒家で起きる壮絶な「戦争」。命からがら逃れてきた男たちと、そこに住まう女と子どもたち。武装集団が容赦ない銃撃の雨を降らせる皆殺しの絵から、反撃の火が灯され、その行方を見届けるなか、興奮と緊張で体が硬直し釘付けになった。これらのアクションは、裏方のスタントマンたちの仕事によるものであり、彼らへのギャレス・エヴァンスの愛を感じる。



決して痛快ではない。本作のアクションに常にあるのが、生と死を分ける瀬戸際の攻防であり、そこに慈悲という足かせはない。銃弾で瞬殺される場合も、しっかり肉片が飛び散り、痛覚を刺激する。本作の残酷描写は奇をてらったものでなくて、暴力を描くことの誠実さに見える。

何かとアクション描写に注目が行きがちだが、連続モノとして見せきるTVドラマの必要条件もハイレベルでクリアしている。ギャングの抗争のベースにある「家族」というコミュニティの強固な絆。抗争の間に割って入る潜入捜査官が生み出すスリル。ギャングが表社会も牛耳っているという大見栄のスケール。複数のキャラクターを通して描かれる異形だが、貫かれる母性。ギャング抗争の裏にあった大いなる陰謀。。。主人公演じる不敵なジョー・コールや、GOTの悲劇の母親から一転、狂母を演じたミシェル・フェアリーもめちゃくちゃいい。

シーズン2の製作が決まっているとのこと。「凄いものを見た」後の、シーズン2への期待と不安が入り混じる感覚は、ドラマ「ファーゴ」の時に近い。物語として一定の区切りがついたなか、シーズン2はいったいどんな展開になるだろう。

あと、内容があまりにもシリアスなため、視聴後、キャスト陣が温和な姿で本作を振り返るインタビュー映像をYoutubeで漁った。

【90点】
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