ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

08/10/26 十月歌舞伎座千穐楽の昼夜の舞踊三題

2008-11-13 23:57:48 | 観劇

明日は演舞場の11月歌舞伎夜の部の観劇予定。せめて一本は10月分を書いておこう。
歌舞伎座の芸術祭十月大歌舞伎は昼2本夜1本の計3本の舞踊あり。舞踊鑑賞が苦手の私がそれを千穐楽に昼夜通しで観てほとんど寝なかったのだから、まさに石の上にも3年という修行の成果が出てきた気がする。

【奴道成寺(やっこどうじょうじ)】長唄・清元
三津五郎が踊った「奴道成寺」を観てから一年。今回の配役は以下の通り。
白拍子花子実は狂言師左近=松緑
所化=松也 同=尾上右近、他
歌舞伎会の会報『ほうおう』での松緑の白拍子花子の写真はあまりに男顔だった。今回はどうだろうと紅白の幕を落として登場を待つ。能の壷折の衣裳で布で髪を覆って烏帽子を被っている顔はオオッこうきたか!眉のところまで布で覆ってお公家さんのような丸く薄墨の眉を描き、鼻筋も白く塗ってまるで人形のようなメイク。こういう拵えはありだな。花子のところの動きは足踏みのところでも感じたがわざと人形っぽく動いているように思え、コンセプトは狂言師左近が女人形的に舞う白拍子花子という感じ。ここでなかなか面白いと好印象を持ったので飽きずに見通すことができた。
三津五郎の「奴道成寺」の方が踊りは圧倒的に巧いが、今回の松緑もいろいろ工夫して元気に踊ってくれたという感じがした。good job!
「奴道成寺」の場合は男の狂言師と見顕された時に所化たちは「見つけたぞ見つけたぞ」と囃すのを確認。御馴染みの「とうづくし」は千穐楽バージョンで楽しかった。

【ご贔屓を傘に戴く 藤娘(ふじむすめ)】長唄舞踊
公式サイトより以下引用。「松の大木のもとに愛らしい娘姿の藤の精(芝翫)が現れると、男心のつれなさを語りながら艶やかに踊りはじめます。芝翫の傘寿を記念した、華やかな舞台をご堪能頂きます」
歌舞伎座で4年前に芝翫の「藤娘」を観たのが初見。あまり美しくないのでがっかりしてひたすら眠かった記憶がある。2年前に海老蔵で、今年の5月に福助でも観た。
今回はまた芝翫かぁと思って観たのだが、これがなかなかどうしてよかった。老いた女方を双眼鏡でしげしげと見るのは野暮だというし、なるべくはずして見たのもよかったのかもしれないが、とにかく可憐。子どもの頃や老いてからの方が色気よりもほんわかとした可愛さが出せるのかもしれない。
「藤娘」は笠を被っているし、途中で客席の三方を3階席まで見上げてお辞儀をする場面があるので、「ご贔屓を傘に戴く」として傘寿の記念舞踊にふさわしいのかなと納得した次第。その客席への感謝の笑顔がとても威儀を正した上品さ。しっかり目に焼きついてしまった。
芝翫の「藤娘」は六代目菊五郎写しだという。その辺はよくわからないが、最後かもしれないし見ることができてよかったと思う。

【英執着獅子(はなぶさしゅうじゃくじし)】長唄舞踊
先月は新橋演舞場で時蔵が「枕獅子」を踊った。女方の石橋物が2ヶ月続きとは何か意図があったのだろうか。どちらも初見だからまぁいいとして、公式サイトより以下引用。
「恋に悩む傾城(福助)が、間夫への思いを胸にしながら、華やかに踊ります。やがて獅子の精となって現れて、獅子の狂いを見せて舞い納めます」
前シテのところを姫で出るのと傾城で出るのと2つのやり方があり、今回の福助は傾城にしたとのことだが、紫の病鉢巻をつけて後に獅子になることを暗示しての大きな牡丹の花をあしらった打掛が美しい。

「枕獅子」と違って前半は一人で踊り、後半に獅子の精となってから4人の若手の力者とのからみもあった。石橋の下には「吉野川」のような水の流れも描かれていて、そういう装置を見ると今年7月の「吉野山」も連想してしまい、歌舞伎ってつくづく面白いなぁと思ってしまった。
さて、獅子の毛振りの回数をいつものように数えてしまったら・・・・・・30回超した(時蔵より多いな)、50回超した(女方なのにこんなにやるの?アレ勘三郎に対抗している?)、60回?70回?もしかしてもしかして?!80回超した~(82回くらいかな)!!

父親の芝翫の傘寿記念「藤娘」がかかった舞台の千穐楽の最後の演目で80回は振るぞと頑張ったのではないか思い当たった。女方としての優美さよりもそちらをとるというのがなかなか福助らしくてよいと思えた。
千穐楽だし、いいんじゃないかなぁ。写真は毎月恒例の千穐楽の赤い垂れ幕を開演前に撮影。


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4 コメント

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昼は一緒だったんですね (harumichin)
2008-11-14 02:23:54
10月千穐楽昼の部いっておりました。
それも千穐楽ってちっともわかっていなくて・・
劇場に行ってから今日千穐楽だったんだ!って知ったくらいです。
友達から、「千穐楽行くでしょ?」って聴かれた時に、「26日行くけど~」と答えたものの、まさがその日が千穐楽だったとは・・と逢ってから大笑いしておりました。
ちなみに11月の楽にはいきません(苦笑)
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★harumichinさま (ぴかちゅう)
2008-11-14 02:42:15
惜しかったですね。久しぶりに昼夜通しで観て堪能したのですが、やっぱり疲れました(^^ゞ平日の千穐楽の場合は当番でない日であれば夜の部は歌舞伎座にいることが多いです。今月は旅行も近いので23日には歌舞伎は観終ってしまいます。
舞踊の時間は睡魔との闘いということが多かったのですが、修行の甲斐あってか3本ともちゃんと観ることができました。石の上にも三年でしょうか(^^ゞ
他の演目も書けるといいのですが、明日は演舞場観劇だし、気力体力の調整に入っています。
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mayumi (mayumi)
2008-11-17 10:26:14
コメント & トラックバック ありがとうございました。
観られなかった夜の部も、こちらの記事で様子が分かり
嬉しいかぎりです。

なるほど、傘寿を祝っての 80回の毛振り...
さもありなんですね。
でも、やっぱり 自分の目で観たかったナ...。
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★「たまごのなかみ」のmayumiさま (ぴかちゅう)
2008-11-19 23:53:52
10月の歌舞伎座の感想が未アップでしたが、演舞場の11月歌舞伎前にかけこみで舞踊三題の分だけアップしたのでTBさせていただいた次題ですm(_ _)m
いやぁ、芝翫丈傘寿記念の「藤娘」を期待せずに観たらびっくり。可愛かったですよね。4年前にはちっともいいと思えず懲りたなぁと思っていたら、観る方の修行もすすんだし、芝翫丈も一世一代という感じの舞台だったんじゃないかと思います。今年5月の福助よりもずっと可愛かったし、さすがに芸の力の違いを見せつけてくれました。
>傘寿を祝っての 80回の毛振り......予想外でびっくりでした。けれど福助丈ならこれもありって思ってしまいました(笑)
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