ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

13/05/27 歌舞伎座新開場五月公演第三部「京鹿子娘二人道成寺」菊之助と玉三郎の表裏一体

2013-06-07 23:59:30 | 観劇
歌舞伎座新開場杮葺落五月大歌舞伎を締めくくるのは、玉三郎と菊之助の「京鹿子娘二人道成寺」。冒頭は敬意を表して買ってしまったホログラムのしおりの表と裏。
前回は2009年2月に観ていて、その時の舞台がDVDにり、この4月に“歌舞伎名作撰"シリーズの第III期全17巻の一番最初に発売された(なんと商売がうまいのかと感心)。
2009年にはこれで玉三郎の道成寺は封印かと危ぶんでいたが、どうだろうかとちょっとドキドキしながら開幕を待つ。
<第三部>
【京鹿子娘二人道成寺】道行より鐘入りまで
白拍子花子=玉三郎
白拍子花子=菊之助
所化=團蔵、権十郎、宗之助、萬太郎、巳之助、尾上右近、米吉、廣松、隼人、虎之介

菊之助の花子が圧倒的に美しい。これまで化粧が下手だのなんだのといろいろと指摘してきてしまったが、この間、顔がうまくなっていると思っていたが、今回の花子で確信をもった。前回までのお人形のような顔から女の顔がうまくつくれるようになっていてその進化が嬉しかった。

長唄は十挺十枚というかつて見たことのない豪華な布陣。それでも三味線がピタッとあっているのは杵屋勝国社中だからだとさちぎくさんから教えていただく。うーん、新しい歌舞伎座の舞台客席の空間に響き渡る音の洪水。
桜と光の洪水の中を二人の花子が舞う。そして玉三郎の花子がスッポンから登場してピタッと寄り添う。そして二人の顔の表情を見ながら、今回は表と裏の花子だとひらめいた。

菊之助はずっと美しい表情、玉三郎はずっと屈託のある表情で踊っている。鐘への怨みを見せる場面で菊之助も顔に怨みを浮かべるがぐっと柔らかい。玉三郎の怨みは深い。これって、女の本心の部分を玉三郎が受け持って、菊之助は表に出す表情ではないかというようなイメージが湧いてきて、じーんと涙腺が熱くなったまま、目くるめく世界に身を委ねて観ることになってしまった。

今後はもう難しいかもと思える「毬つき」などの場面では、菊之助が低く舞台を大きく回り、玉三郎は無理をしないで高い位置で回るなど、二人の動きの組合せで美しく見せる。
「花笠」を菊之助、「恋の手習」を玉三郎と分担するだけでなく、今回「ただ頼め」のところを奇数日が玉三郎、偶数日が菊之助と分担するなど、玉三郎の負担を大きく軽減している。27日は玉三郎で拝見。

最後に鐘に上がったところも、菊之助を手前にして玉三郎は菊之助に隠れてから伸び上がるような動きを繰り返したようで、裏に隠れた女の本心の闇の深さを見せるようで唸ってしまった。
二人の組合せで見せる道成寺としての完成度は上がったなぁと感心した。これならば、あと何回かは見せてもらえることを期待できると思えた。

『演劇界』7月号の表紙は玉三郎と菊之助の花道での花子のツーショット。表裏一体の感じがよく出ている。

これで杮葺落五月大歌舞伎の感想も全てアップできた。安心して、明日からのソウル2泊3日旅行に行ってきます!

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7 コメント

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Unknown (さちぎく)
2013-06-09 00:23:45
そうそう演劇界の篠山紀信の写真、まるで一人の花子が二重写しになっているようで、感心してしまった。
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おかえりなさい♪ (ふぶき)
2013-06-15 17:18:26
こんにちは。きっと元気もりもりでお帰りのことと思います。 韓国はなし、楽しみに待ってますわ♪
ところで、
さちぎくさま、貴ブログにコメントできなかったので失礼します(ぴかさん、こちらでごめんね)
yaguraさんに予約する時にさちぎくさんのご紹介と言ってしまいました、宜しいですか? 事後承諾なんてごめんなさいませ。
またご一緒できること願っております♪
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どうぞどうぞ!ふぶきさま (さちぎく)
2013-06-16 00:29:28
もう話通してありますので、どんどん利用して下さい。有難うございます。
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皆様、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2013-06-17 01:29:46
★さちぎく様
>演劇界の篠山紀信の写真......本文中にリンクをつけておきましたが、まさに同感です。
★ふぶき様
yaguraさん予約の件、さちぎくさんからすぐに返事があって、一件落着ですね(笑)
名前のURL欄にyaguraさんのぐるなび情報のURLを入れておきますね。
またご一緒出来る月もあると思いますので、観劇予定でご確認いただけると嬉しいです(^_^)/
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玉三郎 (hitomi)
2013-06-17 14:41:34
ぴかちゅうさん、韓国旅行、いいですね。
娘道成寺、玉さんはもう一カ月公演しないと言ってたのに二人道成寺やってくれて至福の時でした。先日のテレビ放送の沖縄舞踊の最後の悲しい顔、謡、すごかったです。私は歌が好きなので昆劇牡丹灯篭も沖縄舞踊も好きです。歌舞伎だけやってほしいというファンもいますが。
今東映の監督だった沢島忠全仕事を読んでいますがとても面白いです、東映ヌーベルヴァーグ、時代劇ミュージカル…橋蔵の雑誌など取り出してみていると女形の化粧が玉さんと一寸似ていて、共演したこともあるとか。
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和楽 (hitomi)
2013-06-17 14:44:19
先月の「和楽」の楽屋での玉・菊さんのツーショットがいいですね。教えを素直に受けたまわってる感じの菊之助、後ろ姿の玉三郎!
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★「猫と薔薇、演劇、旅ファン」のhitomiさま (ぴかちゅう)
2013-06-18 01:54:47
TB&コメントを有難うございますm(_ _)m
新作組踊「聞得大君誕生」のオンエアもしっかり録画しました。ゆっくり観る余裕がなくて、DVDにダビングして後からゆっくり観ようと思うのですが、たまっていくばかりなのが歯痒いです。でも無理しないで時節を待とうという感じの今日この頃です。
六条亭さんの明治大学での玉三郎丈の講義レポ記事のご紹介も有難うございます。
玉三郎と菊之助の組合せで見せる道成寺としての完成度は上がったなぁと感心し、あと何回かは見せてもらえるのではないかという感触を得たのでひと安心した次第。
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