パピとママ映画のblog

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ジャッジ・ドレッド3D ★★★.5

2013年02月25日 | アクション映画ーサ行
スペインのカルロス・エズキエラと「ヒストリー・オブ・バイオレンス」の原作者ジョン・ワグナーが生み出したイギリス発の人気SFアクションコミック『ジャッジ・ドレッド』。秩序の番人ドレッドが正義を取り戻すために戦う様を描き、1995年にはシルベスター・スタローン主演で映画化された同作が、「バンテージ・ポイント」のピート・トラヴィスを監督に迎え生まれ変わる。

今回新たにドレッド役に挑むのは「ボーン・スプレマシー」のカール・アーバン。ほか、「300〈スリーハンドレッド〉」のレナ・ヘディが敵役を、「抱きたいカンケイ」のオリヴィア・サールビーがドレッドの相棒役を演じる。脚本は「わたしを離さないで」のアレックス・ガーランド。
あらすじ:政府も国家も消えたアメリカは荒廃しきり、東海岸沿いに広がるメガシティ・ワンという暗黒都市だけが残っていた。そこでは4億人以上が住む誰もが犯罪者となりえる可能性を秘めている。そんな悪環境の中、秩序を守るため陪審員、裁判官、刑執行の権限を持つ“ジャッジ”という集団がいた。エリートの集まりではあるが、1分間に12件、一日にすると17,280件もの膨大な犯罪が報告される中で彼らが対応できているのはたった6%に過ぎない。そんな“ジャッジ”達のトップに立つのが、ドレッド(カール・アーバン)という男だった。ある日、ドレッドは新米ジャッジのアンダーソン(オリヴィア・サールビー)とともに、悪名を轟かせているマーマ(レナ・ヘディ)一派が支配するピーチ・ツリーという200階建てビルに乗り込む。マーマはビルを封鎖し、75,000人にもおよぶビルの全住人に対してジャッジを見つけ次第殺害するよう命令。絶体絶命の危機に陥ったドレッドは、正義を取り戻すために戦うことを決意する……。 (作品資料より)

<感想>イギリスの人気コミック誌「2000AD」の看板作品で、「ジャッジ・ドレッド」が誕生したのは1977年。舞台は、核戦争後のアメリカに造られた塀に囲まれた巨大都市メガシティ・ワン。主人公は、悪党を逮捕したら、その場で判決を下し、処刑できる権限を持った究極の法の番人ジャッジ・ドレッド。
そんなジャッジ・ドレッドが95年に映画化された際に、なぜスタローンが演じたのか?・・・これ見ました、17年経っているんですね。私も年をとったわけだ。実は95年版は当初、シュワルツェネッガーのために立ち上がった企画だったそうです。しかし、シュワちゃんが断ったため「誰か似ている人いないかな?」というアバウトなチョイスでスタローンに舞い込んでしまった。
スタローン自身は、出演依頼が来るまで原作を知らなかったそうな。そのためかトンデモナイことを言いだした。「ドレッドに人間らしさを加味しようと思う。マスクを取れば奴だって俺たちと同じ人間さ」と、原作ファンもぶっ飛びの驚きに、傷ついたのはファンだけでなく監督のダニー・キャノンも、スタローンの我儘のせいで、最初に用意した脚本とまったく違う映画になってしまった!、と憤慨しきり。
そうりゃそうだ、必要のない人間味というかスタローン風味が、ドレッドに大量にスパイスされた結果。スタローンがストーリーが進むごとに薄着になり、最終的にはタンクトップ姿で破壊活動をする、大味なスタローン映画に変貌してしまった。しかも日本公開時には、チャゲ&飛鳥の片一方によるオリジナル主題歌が流れ、さらなる追い討ちをかけてくれた。

ちなみに、ジャッジ・ドレッドは正義のために造られたクローン人間で、そのため、法を犯した者はたとえ友人でも厳しく処罰する、というようなハードコアな人間味のなさすぎる男である。そして、トレードマークであるマスクを、連載開始から一度も外したことがないのだ。そんなブレーキの壊れた正義の味方っぷりを描く、どこかブラックユーモア溢れる物語は、「デス・レース2000年」から多大な影響を受けている。ちなみにドレッドのマスク&スーツのデザインも「デス・レース2000年」の主人公フランケンシュタインからインスパイアされている。
本作の予算は、スタローン版に比べると画期的に少ない。そのため、スタローン版で意外と楽しめたローマスターバイクによる空中戦、イカス戦闘ロボ、片腕サイボーグの殺人鬼ミーンマシーンなどは描かれていない。その代わり、第二次大戦中、ヒトラーの電動ノコギリと恐れられたドイツの機関銃MG34を、二丁装備しているので豪快な殺人ショーを披露してくれます。
制作陣たちが心血を注いだのはドレッドをドレッドらしく描くこと一点のみ。その期待に応えるべく2代目ドレッド役に選ばれたカール・アーバンは「俺は少年時代からのドレッドのファンなんだ。ヤツに人間味はいらない。だから俺の素顔を見せる必要はない」と、ドレッドに成りきった、心強い個性禁止宣言だけでも、十分合格です。それに、ドレッドの相棒として、サイキックの超能力者で、妙にエロイ、ジャッジ・アンダーソン(オリヴィア・サールビー)が参戦。

気になる物語の設定は、「ザ・レイド」と「ダイ・ハード」の最初の作品と一緒で、極悪犯罪者たちの巣窟となっている200階建ての超高層マンションに、足を踏み入れてしまったドレッドの戦いを描くんですが、不思議なことに「ザ・レイド」とはまったく別次元の作品に仕上がっている。
その理由は、「ザ・レイド」のイコ・ウワイスはボテ腹の嫁が家で待っている身。だからマンションに閉じ込められた時も、「この建物は犯罪者だらけ、それなら脱出しなきゃ」と焦ってしまった。しかし、この映画では、ドレッドは違うんですね。要塞マンションに閉じ込められた瞬間、「この建物は犯罪者だらけ、つまり全員逮捕、もしくは死刑」と、ビタ一文も焦ることなく判断して、館内アナウンスを使って業務連絡を披露。
「建物の住民に告ぐ、このマンションを支配した気になっているが、お前らにその権限はない。俺が法律だ。今からお前らのボスを処刑する。俺の職務を妨害するやつは共犯者とみなす。以上、警告はしたぞ」って。職務を淡々と実行するプロフェッショナルなんだもの、かっこいいはずだ。

皆さんアクション映画史、コミック映画史にとっては事故としか思えないくらい、まったく動揺しないヒーローの誕生です。本来アクション映画にとって、ヒーローの心の揺れを描くことでドラマを盛り上げていくはずなのに。その基本ルールを徹底的に無視してまでも、ドレッドらしさを追求した物語。この手の映画は見つくしているので、普通かなぁ、でも極悪非道の女ボスに、「ターミネーター:サラ・コナークロニカル」のサラ役と、「300」の王女を演じたレナ・ヘディが熱演しているので、結構面白かった。
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