パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

Zアイランド ★★★.5

2015年05月23日 | アクション映画ーサ行
芸能生活30周年を迎えた哀川翔を主演に迎え、『サンブンノイチ』などの品川ヒロシが監督を務めたアクション。組同士の抗争に敗れた主人公が10年の歳月を経て、とある島でかつてのライバルたちと再び対峙(たいじ)し、想定外のバトルを展開する姿を活写する。哀川演じる元組長の弟分を鶴見辰吾が演じ、その元妻を鈴木砂羽が好演。本気度満点のアクションはもとより、笑いに涙に家族ドラマ満載の内容に圧倒される。
あらすじ:ある雨の晩、宗形組組長の博也(哀川翔)は、武史(鶴見辰吾)や信也(RED RICE)らと共に高級クラブに繰り出していた。そこを対立する竹下組組員に襲われ、博也は足に深い傷を負い、武史は服役することに。10年後、武史が出所したときにはすでに宗形組は解散しており、博也は運送業を営みつつ武史の娘日向(山本舞香)の世話をしていた。

<感想>日本映画における極めて本数の少ない、和風ゾンビ・スプラッターものの映画というべき、ものにしては成功作といっていいでしょう。これほど生き残り人間サイドのキャラの多才さと描き込みがあり、規模が大きいものも他にないと思う。
ゾンビと細胞レベルの感染が、等身大レベルで展開するのだが、これを描くには作り手の映画的体力が試されるようだ。ヤクザだから麻薬の売買で島へ来て、その赤い薬がウイルス感染と一緒になって、ゾンビになった男が次の人間を襲って、襲われた人間が感染してゾンビになるという。しかし、芸人さんたち、島人に扮したエキストラのゾンビたち、体力ありまくりですから。

哀川翔に鶴見辰吾という立役者を中心に、アホなおまわりの窪塚洋介、決まっていたヤクザの木村祐一、バーのママさんに鈴木砂羽、RED RICEといった人気ミュージシャンと、いずれも濃い味の俳優陣が、マジにゾンビ相手に奮闘するのが面白いのだ。

おまけに風間俊介のやりたがりエロ医者による、楽屋おち的のゾンビ解説など、どうみても警官の制服が似合わない茶髪の窪塚と、ゾンビの存在を本気にしない漁師の般若とのやりとりには、「ドッキリか」と茶化されて、110番への電話など、抜かりなく笑いも仕込んでいることなど、よく細部にわたって工夫している。

ゾンビたちがわらわらと現れるのには、怖いというより面白いのだ。ホラー映画そのものが全然怖くなくて、ホラーというよりもコメディとして捉えているところもあり、同時多発するアクシデントの躍動感と、興奮にいやはや驚いた。
警察にゾンビが現れたことを電話で通報するシーンにしても、実際どうやってこの極限状況を説明するのかを考えたら、「一度死んだやつが生き返って」とか言われても、嘘つき悪戯電話だと思われてしまう。最後に「ゾンビが現れた!」と言っても、そんなこと誰も信じるはずもない。リアルにやればやるほど不可思議なおかしさが込み上げてくるのだ。

ゾンビに立ち向かう哀川翔アニキたちが、日本刀、ショットガンなど様々な武器を駆使して迫力満点の殺陣や、バイク&カーチェイスを披露している。そして、刑務所帰りの鶴見辰吾演じる父親と娘・日向との親子愛や、ヤクザ同士の男の友情に胸が熱くなります。

ヤクザにゾンビに女子高生、泣きに笑いにカーチェイスと、一見無秩序に何でもかんでも詰め込んで、その実しっかりと計算された隙のなさが何とも憎いですね。
そして、ゾンビだけでも速い方も遅い方も、共存させねば気が済まない品川監督の、映画への貪欲さに脱帽です。

驚いたのが、山本舞香ちゃんと水野絵梨奈ちゃんの格闘技です。カンフーやら回し蹴りに、男を相手に派手な立ち回りする女子高生VS島の若者たちの格闘には唖然とした。それと、哀川翔VS鶴見辰吾のまるでガキの喧嘩にも。

何と言ってもゾンビの仕草とかメイクには、やたらと動きの速いゾンビ発症1号の、宮川大輔の突如ゾンビ化と、主人公の前に現れる、作業着姿のおばちゃんゾンビのメイクにもびっくりした。ヤクザ役の野生爆弾・川島&千鳥・大悟のエロネタには大笑い間違いなしですから。
ゾンビメイクの徹底ぶりには、シシド・カフカのナース姿のゾンビに、篠原ゆき子の美形のゾンビメイクに容赦なしですから。二人がトラックの下から一気に飛び出してくるシーンには、思いっきりがよくていい。

また、芸人らしからぬ剣さばきを見せるキム兄と、哀川翔アニキとの壮絶なる一騎打ちにハラハラしました。
ゾンビたちが大きな音に反応するので、船にスピーカー付けている漁師の般若が、船を操縦して海からゾンビたちをおびき寄せるラストシーン。泳いで溺れて終わりかなと思ってたのに、島にまた這い上がってくるというラストには、ハリウッドのゾンビと同じような気がした。
またタイトルに入っているアイランドという語句で分かったのだが、ゾンビ映画に於いて、島というロケーションも重要なポイントになっている。その他にも、勢いがあって結構楽しめた。
2015年劇場鑑賞作品・・・103映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング