パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

カラスの親指  ★★★★

2012年11月30日 | アクション映画ーカ行
直木賞作家、道尾秀介のミステリー小説を「テルマエ・ロマエ」の阿部寛主演で映画化。2人のサギ師コンビの元に、3人の若者が転がり込んできたことをきっかけに巻き起こる騒動を、ユーモアを交えて描く。共演は「怪談(07)」の村上ショージ、「貞子3D」の石原さとみ。監督は「楳図かずお恐怖劇場 絶食」の伊藤匡史。

あらすじ:悲しい過去を背負ったままサギ師になったタケ(阿部寛)と、成り行きでコンビを組むことになった新米サギ師のテツ(村上ショージ)。そんな2人の元に、ある日ひょんなことから河合やひろ(石原さとみ)と河合まひろ(能年玲奈)の美人姉妹、それにノッポの石屋貫太郎を加えた3人の若者が転がり込んでくる。彼らもまた、不幸な生い立ちのもと、ギリギリのところで生きてきたという。これをきっかけに始まる他人同士のちょっと奇妙な共同生活。やがて、タケが過去に起こしたある事件が、彼らを一世一代の大勝負へ導くことになるが、この時は誰一人、それを知る由もなかった……。社会のどん底で生きてきた5人の一発逆転劇。そして驚愕の真実が明かされる……。(作品資料より)

<感想>小説は読んでいませんが、阿部ちゃん演じる作品は殆どと言ってくらい観ているので、予告を見て今回はコメディのような詐欺師の内容に興味がありました。しかし、160分は長いですね。最後にどんでん返しとやらがあるのですが、それは全編を通して見ていると、おのずと分かるのであまり期待して驚くほどじゃないです。
主人公タケを演じるのは阿部寛。この俳優さんは幅広い演技で定評のある役者さんで、今年初めから「麒麟の翼」のシリアスな刑事役や、「テルマエ・ロマエ」のコミカルな古代ローマ人までと、なんでも器用に演じる。阿部ちゃんがサラ金から金を借りて返せずがんじがらめになり、ボスに闇金の取り立ての仕事をさせられるわけなんです。しかし、阿部ちゃんって所詮悪役には成りきれない人なんですよ。見た目が正直者ってレッテル貼られているようで、やっぱこういう闇金取り立てはヤクザのような目つきが鋭くて、だみ声を聞かせて相手を威嚇するような風貌じゃないとダメですから。

それは無理としても、結局は闇金の取り立てでその家の奥さんを自殺に追い込み、火事騒ぎを起こした。タケの奥さんは亡くなっていたような、それは内容にはなかったが、一人娘をやはり火事で亡くしたようで、この一連の火事は全部闇金屋の仕業で、それを見て事務所の机にあった裏帳簿を警察に持って行き、闇金屋の幹部たちを一網打尽にしたという。
その後、闇金屋のボスが出所して自分を狙っていることを知らずに、どうやらサギ師のテツが自殺をしようとしているところを助けて、二人で詐欺を働くことになるんですね。最初の馬券売り場から始まる詐欺行為は、何もしらない観客にとっては巧い手口で騙されたと思いました。馬券が裏に貼り付けて2枚あって、後ろの馬券が当たり馬券だということは最後で知りました。その後の600円で買った香炉で質屋のオヤジを騙す手口は、見え見えでしたね。笑いどころはありました。

その後は、財布をする女がテツの娘だということは、一緒に住む前に出会ったときに絶対に分かることなので、最後にテツから明かされるのですが、いくら小さい時に別れた自分の子供たちを見分けることが出来ないはずがない。それに、あしなが小父さんとして姉妹にお金を送っていたタケのことも、タケは姉妹の住所を知っていても、二人の顔を知らなかったってことなの。
二人の姉妹の父親である村上ショージのテツ、この役者さんはいつもお笑い専門でしたが、実にこの映画の中では断トツに巧かったです。美人姉妹にはおっとりの姉に石原さとみと、しっかり者の妹には大型新人の能年玲奈が扮しています。姉の恋人の貫太郎に小柳友が、いい演技してます。それに、闇金屋のボスの鶴見辰吾さん、この俳優さんは眼力が鋭く、机をツメでカリカリという擬音効果が効いていてよかった。
しかしながら、一緒に住むことになった疑似家族なんですが、一軒家に住んでいる内に、次第に家族っていいなぁという気持ちにさせるのはいいと思います。でも、その間は、詐欺とかスリとかして生活費稼いでいたのかなぁ。タイトルの「カラスの親指」にちなんだテツの話に、なるほどと、とてもいい話が聴けたように感じましたね。そうか親指って、家族を見渡す大黒柱だったんですね。
みんなで闇金屋へ押しかけて、盗聴騒ぎを起こして金庫の金を奪う作戦が、そんな簡単に上手くいくとは思ってなかったので、これはコメディのドタバタ騒ぎでした。昔のタケを知っているボスが、みんなの顔を見つめるシーンでバレないかと冷や冷やもんでしたが、さすがの阿部ちゃん見事にその場を切り抜ける作戦に、思わず吹き出してしまう演技には驚いた。そのせしめた金を分け合って皆がバラバラになる。そして気が付くタケが、テツを捜して事情を知るという終わり方。最後のテツを捜す下りも、しんみりとした話になってよかったです。本当は詐欺師の腕は一流だったテツ、全部テツが仕組んだことで、騙されていたのはタケと観客ということ。でも、ノラ猫のトサカが無事で良かったです。
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