パピとママ映画のblog

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ハローグッバイ★★★

2017年10月19日 | アクション映画ーハ行

 

「ディアーディアー」で長編デビューを飾った菊地健雄監督によるデビュー2作目となる青春ドラマ。売り出し中の若手、萩原みのりと久保田紗友を主演に迎え、性格も境遇も対照的な女子高生2人が、認知症のおばあさんを介して近づき、衝突を重ねながらも次第に心を通わせていく姿を見つめる。共演はもたいまさこ、木野花、渡辺真起子。

あらすじ:はづきと葵は、同じクラスにいながらもまるで接点のない対照的な高校2年生。いつも多くの友だちに囲まれ、中心的存在のはづきに対し、いつも一人ぼっちでいる優等生の葵。しかし、それぞれに誰にも言えない秘密を抱えていた。はづきが元カレの子どもを妊娠したかもしれない不安に怯える一方、葵はやり場のない苛立ちから万引きを繰り返していた。そんなある日、ひょんなことから一緒に認知症のおばあさんを自宅まで送り届けた葵とはづき。やがて2人でおばあさんの初恋の人探しを始めるのだったが…。

<感想>友達ってなんですか?・・・心に残るメロディーが紡ぐ、淡く繊細な青春模様。若手女優の萩原みのりと久保田紗友がダブル主演し、同じクラスでも全く交わることのないタイプの異なる2人の女子高生が、ひとりのおばあさんとの出会いをきっかけに交流を持ち、ぶつかり合いながらも次第に認め合っていく姿を描いた青春映画。

認知症のおばあさんと知り合い、初恋の人にラブレターを渡したいというおばあさんのため、一緒に初恋の相手を探すことになる。ドラマ「表参道高校合唱部!」で注目を集めた萩原がはづき、NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」に出演した久保田が葵を演じ、2人が知り合うおばあさん役でもたいまさこが共演。自分のキャラクターをしっかりと演じている、このお二人さん、彼女たちは何と、5回も互いに立ち聞きをし、盗み聞きして相手の秘密を知るというこれにはびっくりです。1度目は偶然で、2度目はたまたま、3度目も偶然ですが、さすがにこの辺りからこちらも“立ち聞き”しているみたいな、頭にしっかり回数をメモしたりと。

いずれにしても、立ち聞きが不自然でないような場面を用意しているし、少女たちの演出も、認知症の老女のエピソードも悪くはないんですが、つまりは、この映画の友達になろうという言葉は軽い。

優等生の葵は、一人っ子で家では母親も医者で家にはいない。寂しさのあまりに、万引きでうさばらしをする。それを見ていたはづきが、彼女を責め立てるも、はづきも元カレの子供を妊娠しているかもしれないのだ。

教室で、生徒のカバンから盗みを働く葵、妊娠検査薬を盗んでしまう。それは、はづきが元カレとの間にできた子供かもしれないと、検査するため。女の子は、そういう男女関係の激しい女子は、特に妊娠をしてしまう。そして、悩み、相談する人もなく、葵が万引きをしたところを見て、金持ちの葵から中絶費用の10万円を脅し取るのだが、バカにされてしまうはづき。お互いに傷つき、本音を語れるともだちがいないことに気づくのだ。

ですが、認知症の老女の手助けをしようと、その家の承諾もなしに勝手に老女を引っ張り出すのはどうかと思いますね。確かに、昔の恋人へのラブレターを届けるのに手助けをする女子高生の二人ですが、認知症になると昔の思い出ばかりが気になり、現在の自分の年齢も忘れてしまう。

手紙の主の彼は、亡くなっておりその瓜二つの息子がいて、老女の想いでの曲をピアノで弾いてくれた。その旋律の調べにのせて、昔の親友宛に手紙をかいたもので、恋人ではなく、その恋人と思っていた淡い片思いの男性へ、しかし、手紙はその男性の妻、つまり老女のともだち宛に書いた手紙だったのだ。

最近は、他人と直接対面せずに、なるべく衝突を回避してと。SNSは容易に人間同士を繋げているかのように錯覚させるが、そのことを“ともだち”という言葉のニュアンスが象徴しているようだ。

だが、二人の女子高校生は、罵り合い、ぶつかり合う。それは“ともだち”でも何でもないからだ。そうすることで、接点のなかった二人がやがて、“ともだち”のような関係になり、「友達ってなんだろう?」とおもわせるようになる。

物言わぬ久保田紗友の存在感が素晴らしいし、主演ふたりの堂々たる演技に拍手したい。そして認知症の老女役のもたいまさこさんも、丁度いい年齢の役柄で、素で演じているようでした。

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