パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

おおかみこどもの雨と雪  ★★★

2012年07月21日 | アクション映画ーア行
アニメ界の未来を担う若手として注目される監督細田守。ヒット作「サマーウォーズ」から3年、細田守監督の最新作、今作の主人公は最愛の人を失くした女性と、その二人の子供たち。おおかみおとこを愛した女性が母親になり、おおおかみこどもの姉弟と共に成長していく物語だ。
「時をかける少女」では親友、「サマーウォーズ」では親戚とひと夏を描いた細田守監督。13年の月日を描く今作は、おおかみおとこを愛した女性の人生の長い時間経過そのものを、作劇の中心に据えて丁寧に描いています。それはお伽噺のような子育てストーリー。

描かれるのは、一人の女性が結婚。出産、子育てを通して成長する姿と、その子供たちの誕生から、それぞれ生きる自分の生きる道を見つけて行く過程。
明確にあらゆる世代の女性に向けて、特にシングルマザーを題材にしている内容にはとても感動しました。
今作のテーマは子育て、アニメ向きの題材なのかと思うかもしれませんが、監督はおおかみをスパイスに、日常の一瞬一瞬をドラマチックに切り取ってゆき、勝ち負けとか、悪を滅ぼすとか、明確に決着をつけるような結末をあえて作らずに、主人公たちの人生の続きを予感させつつ穏やかに終わる。後からジワジワときて、気持ちのいい後味なんですよね。

幼いころから数々の悲しみを乗り越えてきた主人公の花。愛した彼が不慮の事故で亡くなり、たった一人で我が子を育てようと奮闘するヒロイン像は、とても新鮮に映ります。“泣きたくなったら笑え”という父親の言いつけを守り続ける花の笑顔。その孤独に胸が締め付けられる。アニメの場合、子供を産むとヒロインになれない展開が多いのですが、そんなお約束を裏切っているのもいいですよね。

主人公花には宮崎あおいさんが、おおかみおとこには、大沢たかおさんが、そして都会から山間部へ引っ越して、そこで偏屈爺さんの菅原文太さんが上手い。もちろん子供の雪の幼少期には、大野百花ちゃん、大きくなって黒木華ちゃん。弟の雨の幼少期には、加部亜門くん、成長した雨には西井幸人と、子役の存在感にも圧倒される。
彼を亡くした花が、打ちひしがれながらも子供たちをしっかりと育てようとするが、彼らが成長するにつれ、人格が形成されと同時に遠吠えなどオオカミとしての習性も発揮し、二人の子供たちが興奮して走り回る姿は子犬のようだ。

だが、都会では暮らしにくくなり、山奥の古民家に引っ越しをする。自然に囲まれた生活の中で、雨の方は、学校に行っても虐めに遭い、登校拒否をするようになり、森の中へいき老キツネと仲良くなり、気弱だった弟の雨の野性の本能が覚醒する。
一方、お転婆だった姉の雪は人間の女の子らしく成長するが、転校生の男の子に獣臭いと虐められ、野獣の本性を現わして彼を威嚇し、男の子の耳を鋭い爪で引っ掻く。大怪我を負った少年の母親が学校に怒り心頭。それで雪は登校拒否をするようになる。でも、その少年は、雪が好きで近寄ってきただけ。雪もその少年に自分がおおかみの子だと本当のことを言うのだ。その少年、「知っていたよ」と、雪と親密になる。
人間だって大人になってゆくプロセスは、波乱万丈がつきもの。子供が自立して家を出て行く時は、親として誰にでも感じるものがあります。だから、花が息子の雨が森へ入って行くのを追い掛けて、「いつでも貴方を守って上げたい」と心配することは、どの親でも同じではないかと思うんですね。子離れできない親っていわれるけれど、何時かは巣立ってゆくのを温かい気持ちで見送ってやることも大事なんだと思いました。
今作の主な舞台は山間の小さな集落。四季を通して描かれる、雄大な自然描写も見どころの一つ。アニメの背景は静止画が多いですが、草花や木の枝がいつも揺れていたり、雪景色など何気ないところまで丁寧に描き込まれた映像美もさすがです。
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2 コメント

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久しぶりにアニメで号泣しました。 (健太郎)
2012-08-19 16:08:58
あんなにも泣けるとは思いませんでした。

子供の成長って早いんですね。
子供が欲しくなっちゃいました。

一つ一つの描写が細かく、「狼男/人狼」ではなく、「人と狼」として描いているのが新鮮でした。

親子の物語がこんなにも胸を打つとは思いませんでした。
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健太郎さんへ (パピのまま)
2012-08-20 12:14:50
細田守監督の作品は好きなので、必ず観に行っています。
いつもの派手な演出はなくても、いつにも増して大自然の景観が素晴らしい。
それに、物語も人間と狼が恋をして子供が生まれるお話。
その子供が成長して、人間として生きるか、狼となって森へ帰るのか?
父親の狼が早くに亡くなってしまい、子育てが全部母親という。
動物の世界では、母親が子育てするのは当たり前のことなのに、どうしても人間の母親なのでどうなることか心配でした。
それでも最後は子離れという、母親にはちょっぴり寂しい現実が待ってましたね。
そうですね、最後は私も泣きましたよ。
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