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KANO ~1931海の向こうの甲子園~★★★★★

2015年02月08日 | アクション映画ーカ行
日本統治下の1931年に台湾代表として見事甲子園出場を果たし、決勝まで進出した台南州立嘉義農林学校の実話を基に描く感動作。『セデック・バレ』2部作などを手掛けたヒットメーカーのウェイ・ダーションが製作総指揮を務め、野球を通して友情と強い絆を育む監督と部員たちの熱いドラマを活写する。永瀬正敏が鬼監督を熱演し、彼の妻を坂井真紀が好演。民族の壁を越え、一丸となって戦う球児たちのひたむきさと純真さに心打たれる。
あらすじ:1929年、日本統治下にあった台湾で、近藤(永瀬正敏)は弱小チーム嘉義農林野球部の新監督に就任する。日本人、台湾育ちの漢人、台湾原住民の混成チームは新監督の導きでそれぞれの能力をフルに発揮し、猛特訓にも必死で食らいついていく。それまで連敗続きだったチームは少しずつ成長を遂げ、部員たちは甲子園を夢見るようになる。

<感想>ここのところ野球の映画を良く観るようだ。それでもこの作品だけはハズレなしで、観てよかったと言える。というのも、台湾の映画で、物語の舞台が台湾であるし台詞の八割は日本語で、台湾では日本語の台詞の場所は、字幕が出たのだろうし、漢民族や台湾先住民族などの片言の日本語も聞き取りにくい点もある。

それでも3時間、日本が軍国主義へと向かう時代の台南を、永瀬正敏が熱演する監督のもと、嘉義農林学校が甲子園に出場するのと平行して、美しい田園を背景に大沢たかお演じる八田興一の灌漑事業も描かれるので、日本人には居心地よく観られた。
実話としての映画化なので、余計に感慨深く感動シーンもあり、キャスティングも作劇もまるで日本の大予算映画のようになっている。台湾の日本統治下時代というシリアスなテーマを、娯楽作品として成立させているウェイ・ダーションが、製作と脚本を手掛けており構成が二重三重に複雑になっている。

永瀬正敏演じる近藤兵太郎は、鉄血監督と呼ばれた伝説のコーチで、日本では松山高校の野球監督をしていた。印象的なシーンでは、冒頭で、どこからか急に飛んで来たボールを素手でキャッチする登場の仕方が、これはただものではないことが観てとれた。

それに、坂井真紀が二人の幼い娘のいる妻役に扮して熱演している。
厳しいが筋の通った指導でチームを鍛え上げ、監督自身もまた内面の葛藤を乗り越えていく人間味ある男ぶりを好演している。監督の厳しい叱咤激励を、素直に受け止めて猛練習に励む野球部員たち。

特にピッチャーの呉君は、甲子園で指の皮が剥がれて血だらけになりながらも続投し、まさにこれこそ“一球入魂“である。

その根性を見た他の部員たちも、「変化球でなく直球を投げろと、どんな球が来ても俺たちは捕って見せると」豪語するシーン。見事なファインプレイを見せる試合に、まるでプロ野球のようなそんな感動を呼び起こすシーンに、アッパレと拍手を送りたい。

その彼の初恋の相手が医者と結婚することになり、失恋の悲しみのシーンも間にあります。

そして、もう一人大沢たかお演じる八田興一である。あまり出番は少ないが、台湾の水利事業の父と呼ばれた八田のエピソードが物語に組み込まれたことで、台湾における日本人の立場というか、誇れる日本人として観ていて感動しました。
だが、本作では少し、日本の植民地支配を美化しすぎてしまって、歯がゆいところもあるが、それでもこの時代に農林高校が、野球で甲子園を目指して決勝まで勝ち進むという偉業を成し遂げる話はそうざらにはあるまい。その後も3回甲子園に出場したというから、近藤監督の采配が冴えわたる。

「蕃人は足が速い、漢人は打撃が強い、日本人は守備に長けている。こんな理想的なチームはどこにもない」という台詞は、まるで見る者の歴史観を問うような作品でもあると思う。いやはや、毎年夏の甲子園球場で行われる高校野球は楽しみに観ておりますが、これほどまでに感動した野球少年たちの物語はないと思います。

セデック・パレ第1部 太陽旗」  「セデック・パレ第二部虹の橋


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