パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

悪の教典 ★★★.5

2012年11月13日 | アクション映画ーア行
貴志祐介の同名ベストセラー小説を原作に「十三人の刺客」の三池崇史監督が映画化。生徒から絶大な人気を誇る高校教師が、自身の目的のために殺人を重ねていく狂気を描く。出演は「海猿」シリーズの伊藤英明、「ヒミズ」の染谷将太、二階堂ふみ、「風が強く吹いている」の林遣都、「桐島、部活やめるってよ」の浅香航大、「ランウェイ・ビート」の水野絵梨奈。

あらすじ:蓮実聖司(伊藤英明)は、生徒から“ハスミン”という愛称で呼ばれ、絶大な人気を誇る高校教師。学校やPTAの評価も高く、いわば「教師の鑑」とも呼べる存在だったが、それはすべて仮面に過ぎなかった。
彼は他人への共感能力をまったく持ち合わせていない生まれながらのサイコパス(反社会性人格障害)だったのだ。蓮実は自らの目的のためには、たとえ殺人でも厭わない。学校が抱える様々なトラブルや、自分の目的の妨げになる障害を取り除くために、いとも簡単に人を殺していく。
やがていつしか周囲の人間を自由に操り、学校中を支配する存在になっていく蓮実。だがすべてが順調に進んでいた矢先、小さなほころびから自らの失敗が露呈し、それを隠蔽するために蓮実はクラスの生徒全員を惨殺することを決意する……。

これから鑑賞予定の方は、レビューの記事をネタバレで書いているのでご注意ください。

<感想>原作は未読ですし、「悪の教典―序章―」も見ないで鑑賞。だからというわけでもないが、主人公のハスミンを演じた伊藤英明さん、「海猿」のイメージが強すぎて、何だか拍子抜けした感じで、生徒に好かれる善い教師でありながら、サイコパス役との二面性を演じ分けるのには不満が残ります。
絶叫マシーンのようにショットガンを撃ちまくる伊藤さん似合わないって。見ていて悲しくなりましたよ。別の教師が生徒たちをショットガンで撃ち殺すのを、助けにくる正義の味方ってイメージでしょう。それに殺される生徒たちも誰が誰だかわからないうちに、もったいなくもどんどん殺されていく。

そうそう、生徒の中に「ヒミズ」の染谷将太が、ケータイでの集団カンニングの首謀者を演じて、二階堂ふみも作品の世界にハマってふさわしい演技を披露してくれる。それに原作者の貴志祐介が古典の先生役でカメオ出演してます。それがちょい役どころか、殺戮劇の張本人なんだから一番に殺されるべきでしたよ。

それと学校一嫌われ者の釣井教師の吹越満が、蓮実に不信感を抱き始めていく過程の面白さ、この映画の中では割とまともな人間に見えましたが、実際はトンデモないわけというのが「序章」を見るとよく分かるらしい。レンタルして見なくては。
その釣井を電車の中で一撃、吊革で首を吊っていかにも自殺を装ったように見せかける周到さ。美術の先生の男子生徒との肉体関係など、最後にこの美術教師を犯人に仕立て上げるという用意周到さだ。だがツメが甘かったよね。
その他にも、体育教師の山田孝之が万引きした女子生徒に肉体関係を強要するとか、あぁこいつは殺されるなと思いましたね。自分だって女子生徒と肉体関係を持っているのに、邪魔になり学校の屋上で石の入った袋で一撃、靴に遺書を添えて屋上から転落自殺したように見せかける。
殺人の理由はともあれ、地球に人間が生まれて以来、人は人を殺し続けてきたし、文明が発達してきて暴力や殺人が“悪”や“犯罪”だと強く認識されてきても、殺人は連綿と起きてきた。

だが、ハスミンの場合、殺しの意図や思考を理解しようとしても、あまりよく分からない。早朝ジョギングする彼にいつも吠える柴犬、吠えられてウザいと思いながらも決して表情には出さず、挽肉と刻み玉ねぎをこねたハンバーグを毎朝柴犬に与える。タマネギには犬が食べてはいけない成分(毒素)が含まれており、つまり彼は犬を真綿で首をジワジワと締め付けているようなもの。ハスミンが殺しを実行するとき何故か「マック・ザ・ナイフ」の歌が流れる。歌詞に意味があるからか。
それにオンボロ家の庭に現れるカラスにも同じことをする。油断させておいて、邪魔になった時に止まり木に電流を流して殺す。学校に自分の子供がいじめにあっていると怒鳴り込む父親の家に、猫よけペットボトルの中に灯油を詰め替えて、火事を起こして父親を殺す。
ハスミンは、そのために同僚教師や、生徒たちとも緻密で様々な側面から情報を、いかに入手していたかも描かれる。その合間に挿入されるアメリカの投資銀行時代のエピソード、蓮実にとって生きることとは、投資も殺人も同じ線上にある問題処理なのだ。このシーンは、まるで「冷たい熱帯魚」のような死体処理で見ていてエグかった。だからショットガンに悪魔の目がギョロギョロと出て、蓮実に殺戮の快感を促す。

ラストのクライマックスでは蓮実の大量虐殺場面が、まるでゲーム感覚のような生徒たちの死体を量産していくボディ・カウント映画のように映る。本当だったら至近距離で散弾銃で撃てば、おびただしい血肉が飛び散りいくらでも悲惨な場面が映し出されると思ったのだが、そんなにグロイ描写じゃないのが救いです。
といっても、生徒が全員死ぬのじゃなくて、二人が助かるのでこれは続編ありきと思った。やはり捕まったままじゃストーリーにならないので、蓮実が捕まっても司法制度の欠陥とか、いろんなドラマが生み出されるので、なんらかの方法で外に出てくるのを「バトル・ロワイアル」のように、映画のオリジナルの続編が作られるのを期待したい。
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