パピとママ映画のblog

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鑑定士と顔のない依頼人 ★★★★.5

2014年02月20日 | か行の映画
名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督が、刺激的な謎をちりばめて紡ぐミステリー。天才鑑定士が姿を見せない女性からの謎めいた鑑定依頼に翻弄(ほんろう)されていくさまを、映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの音楽に乗せて描く。偏屈な美術鑑定士には、『シャイン』などのジェフリー・ラッシュ。共演には『アップサイドダウン 重力の恋人』などのジム・スタージェス、ベテランのドナルド・サザーランドらが名を連ねる。
あらすじ:天才的な審美眼を誇る美術鑑定士ヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)は、資産家の両親が遺(のこ)した美術品を査定してほしいという依頼を受ける。屋敷を訪ねるも依頼人の女性クレア(シルヴィア・フークス)は決して姿を現さず不信感を抱くヴァージルだったが、歴史的価値を持つ美術品の一部を見つける。その調査と共に依頼人の身辺を探る彼は……。

<感想>ジョゼッペ・トルナトーレ監督らしいストーリー運びを面白く観ながら、どんなふうに収束するのかな、と期待してわくわくしていた。超オタク愛に狂う、卓越した演技力を持つ素晴らしいキャスティングに、素晴らしいロケーション、素晴らしい美術品で魅せる、見せるのである。「2度観たくなる」という宣伝文句もわかる。

アダムとイヴを思わせる男女の彫像の陰から覗いている初老の男ヴァージル、覗かれているのは広場恐怖症の女クレア。美術品のように美しい女は青いバスローブだけを纏っている。割れたガラスを踏んだのか、足の裏に刺さった破片を取ろうとして椅子に腰を掛け、片足を抱え込むように持ち上げ親指を舐める。瞬間、ローブははだけて生々しい股間があらわになる。
女に免疫のない男はあたふたとして、買ったばかりのケータイ電話を落とし音を立ててしまう。急いで逃げるヴァージル。侵入者に気付いた女はパニックを起こして怯える。そして、彼に電話をして助けてくれと泣いてせがむ。ここは非常に印象的なシーンである。
人間不信で潔癖症のヴァージルは天才的な鑑定眼を持ち、世界の美術品を仕切るオークショニア。レストランでも手袋は外さす専用の食器を使う。高級ホテルのような自宅には、隠し部屋がある。

その部屋には無数の肖像画が、名立たる画家たちのミューズであったろう女の顔が、壁一面に飾られ、ヴァージルはここで至福の時を過ごす。このシーンだけでも観る価値はありますね。
モリコーネの曲も女の声のスキャットが無数に重なったもので、まるで肖像画の女たちが歌い、語りかけてくるような錯覚に陥る。そんな孤独な男の人生は、クレアと名乗る若い女の鑑定依頼を受けたことにより、変化し始める。
なかなか姿を見せないクレアへの好奇心と、彼女の屋敷で見つけたお宝(機械人形)への執着から、ヴァージルは深く彼女に関わることになる。

美術品修復の天才ロバートが協力者となり、恋愛指南までされる。巧みなストーリーにのめり込み、次第に気性の不安定なクレアの言動に翻弄され、初めての恋心に振り回される男は、今まで苦労して相棒のボビーとオークションで安く手に入れたコレクションを、失いつつある事態には気付いてはいない。
でも、ずるいですよね、構造が。ジェフリー・ラッシュは不幸や不運が似合う顔なので、もう少し違った形の意外な収束が欲しかったような気がした。修理屋のジム・スタージェスが胡散臭く、結果あまり意外性がなかったのには、やや失望しました。でも、ヒロインのクレア役であるシルヴィア・ホークスの美しいこと。男たちを虜にしてしまう魅力を持っています。

観はじめて早い段階で結末を予測してしまった。と言うのも、クレアの屋敷の向かいにあるカフェで、小さな女が機械人形のように一瞬で数を計算する。その小人女が、じつは伏線のような役割をしている。

最後に明かされる、クレアの本性を、そして相棒のボビーの魂胆も見抜けなかったとは。若い美人の生身の女に心酔し、今までの自分の人生を喪失してしまうとは。
これは、余計なことを考えずに楽しむべきだと実感しました。でもそれを差し引いても、全体的に鈍重な運びで、サスペンスなのか、官能性か、あるいは病的な状態かの、いずれかの表現にもっと切れ味があれば救われるのだけど、お互いの深部に分け入ろうとする試みを、「隠し部屋」なるものに置き換えて表現して伝えようとしているのは面白いですよね。

「ニュー・シネマ・パラダイス」のジョゼッペ・トルナトーレ監督が、初のデジタル撮影に挑んだ。音楽はお馴染みの、エンニオ・モリコーネの音楽で彩られている。
ラスト、プラハのクレアが言っていたカフェ、“ナイト&デイ”だが、機械仕掛けの古時計がたくさん展示しているカフェで、「たとえ何が起きようとも、あなたを愛しているわ」というクレアの言葉は真実であったと思いたいに違いないのだ。
覗き見る対象物だったものに、身も心も投げ打ってしまう愚かで幸せなヴァージル。こういう作品は語り口の手練手管が大事なので、私はもっとお洒落にと、思ったのだが、それは間違いであって、通俗とも言える展開と収め方が良かったのかもしれませんね。
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