ピアノは音を出すだけであれば鍵盤を押せばいいと言う意味で、
容易いことかもしれませんが、
その分たくさんの役割をひとりで行っていると言えます。
特にプーランクやラフマニノフの曲は甘美なメロディが際立ちますが、
その裏では他のフレーズや声部にも凝っていて、
隠し味的な部分でたくさんのものが詰め込まれています。
それらはメロディをより引き立たせることに一役買っています。
ですから、ピアノ曲やピアノパートの演奏は易しくありません。
ただそれらを他の楽器にアレンジする際には、
その隠し味的なフレーズや声部を取り払って、
単純なメロディ、ハーモニー、ベースの構造だけになっていることがあります。
演奏する意味では容易でとっつきやすいかもしれませんが、
音楽の深さはなくなってしまいます。
全ての音を残してアレンジすると言う意味で、
ピアノ曲は数人のアンサンブルにすることができます。
ピアノソロをピアノ三重奏(Vn,Vc,Pf)にすると、
ヴァイオリンとチェロはフレーズを必要としますが、
やることがなく休符が増えそうな場合は、
違和感なくスタイルに合ったフレーズを付け足します。
そこがアレンジャーとしての腕の見せ所でもあります。
少し聴いただけでは付け足したとわからないほうがいいです。
そんな人気のピアノソロをピアノ三重奏にしたアレンジを聴いてみてください。
ヴァイオリン 髙橋沙織
チェロ 橋本総司
ピアノ 小林ゆずか
延原正生編曲 3つのノヴェレッテより第1、3曲
編曲のことをこれまでいろいろ言ってきましたが、
20世紀末は良かったさまざまなテレビで流れる音楽が、
今は何を意図しているのかとつかめないことがあります。
表現は自由だと言っても本当にいいのかと考えさせられます。