仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

誰も守ってくれない

2010年07月03日 | ムービー
『誰も守ってくれない』(2008年/君塚良一監督)を見た。
物語は、「4課の刑事・勝浦卓美(佐藤浩市)は申請していた休暇を取り消され、殺人事件の捜査応援に駆り出される。勝浦が与えられた任務は加害者の家族の保護。"犯罪者の家族なら迫害されるのも当たり前"と主張する新聞記者・梅本(佐々木蔵之介)の扇動から、インターネット上では加害者本人や家族、保護に当たる刑事や家族の情報が晒される状況になる中、容疑者の妹・船村沙織(志田未来)をマスコミ等の追跡から守ることだった」という内容。
自分勝手な正義を振りかざし、したり顔で刑事や関係者の自宅にやってくる新聞記者や、やり場の無い怒りを自分を守ってくれている刑事にぶつけ、そのせいで自らも窮地に陥る女子中学生。
勝浦の上司も含めて何となく嫌な感じの登場人物が多いのだが、演技以前にその役者が持っているイメージが配役と妙に合致しているような気がして面白い。
勿論演技も上手だが。
劇中、行き場を失った勝浦が「すがる思いで頼みに来ました」とやって来る場所は、過去のいきさつと相まってその後厳しい展開が始まる場面だ。
それだけに「すがる思いで・・・」という台詞が実に重く感じられるのだった。
加害者の家族を描いた作品は、他に『手紙』(2006年/生野慈朗監督)を見たことがあるが、この『誰も守ってくれない』で描かれているのはほんの始まりに過ぎなくて、台詞にあるように「一生追いかけてくる」のだろう。
なかなかに重い題材を扱った見ごたえのある内容で、面白かった。

手紙

2009年07月21日 | 映画サークル
『手紙』(2006年/生野慈朗監督)を見た。
原作は2003年に刊行された東野圭吾の小説である。
物語は「二人きりの兄弟・武島剛志(玉山鉄ニ)と武島直貴(山田孝之)。剛志は直貴の学費を稼ぐため懸命に頑張ったが、いつしか無理がたたって腰を痛め、重労働ができなくなってしまった。ある日、切羽詰まって盗みに入った留守宅で、帰宅した家人を殺害してしまう。人殺しの弟とレッテルを貼られた直貴のもとへ、服役囚となった剛志から毎月手紙が届くのだが・・・」という内容。
身内に犯罪者がいるということは、こんなにも辛いことなのか。
ようやく努力が報われる頃になると兄の事件が明るみに出て、その都度それまで築いてきたものが無に帰してしまう。
直貴が由美子(沢尻エリカ)には身内に犯罪者がいることをあっさり話してしまうものの、自分の芸を理解してくれる朝美(吹石一恵)には事実を話すことができなかったのは、巡ってきたせっかくの機会を逃したくなかったからだろう。
「ずるいな」とも思ったが、やはりそれが人間だ。
たくさんの挿入歌が使われているようだが、小田和正の♪言葉にできない♪がやはり効果絶大である。
これは良い物語だった。