仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

ダイナマイトどんどん

2017年02月12日 | ムービー
『ダイナマイトどんどん』(1978年/岡本喜八監督)を見た。
物語は、「昭和25年の夏。小倉警察署管内ではやくざ組織の抗争が収まらず、物資の横流しもあったことから進駐軍北九州方面米軍司令官(ジャック・デービス)も無関心ではいられないほどだった。対立の中心は任侠一筋の岡源組親分・岡谷源蔵(嵐寛寿郎)とその縄張りを狙う新興やくざの橋傳組親分・橋本伝次郎(金子信雄)。北九州の親分衆を集めて顔合わせをさせた警察署長・岩崎(藤岡琢也)は、いざこざの民主的な解決を求め、やくざの親善野球大会開催を決めたのだった。親分からの召集で"岡源組ダイナマイツ"の結成を知らされた組員達。遠賀川の加助(菅原文太)は、"ばかたれ。わしは渡世人じゃ。棒振り競技に命は張りきらんわい"とまったく興味を示さなかったのだが・・・」という内容。
トーナメント大会開催にあたってのお披露目を街頭で行ったり、ポスターをやたらと張りまくってたり、"筑豊侠友会"というやくざの親睦会のわりには大掛かりなイベントで、ポスターを詳しく見てみると、開催は"豊楽園球場"、参加は"12球団"とも書かれているのが笑える。
ただ、ニコニコと笑顔でチラシを配布している組員ではあるが、いざチラシを受け取らない市民がいると殴りつける。
まぁやくざというのはニコニコ近づいてきたとしても、実態はそんなものなのだろう。
大会は市長が始球式を行い、優勝旗も市長から渡されるというが、リアル社会なら大問題だ。
(^。^)
その"豊楽園球場"というグラウンドは、スコアボードが設置されてはいるものの、内部では橋傳組による野球賭博が行われていて、これには警察署長も賭けているのだから困ったものだ。
また、グラウンドには芝生などというものはなくて土埃が凄い。
時には土埃のせいで画面にそれ以外何も映っていないこともあったほどで、それはゲームの激しさを表現するための演出の一つなのだろうと途中までは思っていたのであるが、映画の終盤になると、打って変わって土埃は一切たたなくなっていた。
どうやらグラウンドに水が撒かれたようなのだが、あまりの土埃の酷さに「役者が映らないんじゃどうしようもないよな・・・」と気が付いたということなのだろうか。
(^_^;)
戦争で負傷して野球ができなくなってしまった元職業野球選手・五味徳右衛門(フランキー堺)、酒にさえ溺れなければ稲尾や白木と投げ合っていただろうという芦刈の作蔵(田中邦衛)といった戦争のせいで人生を狂わされてしまった男達や、利き腕の人差し指を無くしてしまった橘銀次(北大路欣也)をひたすら待ち続けたお仙(宮下順子)等、少し悲しい登場人物が終戦直後の荒々しい社会で生きていく姿を幾分コミカルに描いてもいたナカナカに面白い作品だった。