仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

リプリー

2006年09月22日 | ムービー
『リプリー(原題The Talented Mr. Ripley)』(1999年/アンソニー・ミンゲラ監督/アメリカ)を見た。
この原作は、『太陽がいっぱい』(1960年/ルネ・クレマン監督/フランス・イタリア)と同じく『The Talented Mr. Ripley』(1955年/パトリシア・ハイスミス著)という小説だが、アンソニー・ミンゲラ監督は、「この映画はリメイク作品ではない」と言っていたようだ。
確かに、映画の原題も小説と同じ『The Talented Mr Ripley』というようだから、『太陽がいっぱい』とは違って、原作に近い映画を作ろうとしていたのだろう。
しかしながら、主役のトム・リプリー(マット・デイモン)をはじめとする登場人物や、基本的な設定などは変えようもないので、どうしても『太陽がいっぱい』を知っている人はそれと比較して、「ここはあっちのほうがいいなぁ」「あれはそういうことだったのか」などと思ってしまうのではないか。
ディッキー・グリーンリーフ(ジュード・ロウ)の友人フレディ・マイルズ(フィリップ・シーモア・ホフマン)が太っちょキャラになってしまうのも、何しろ原作が一緒なのだから仕方がないし、同じところは変えようがない。
「リメイク作ではない」とはいえ、『太陽がいっぱい』を見ている人にとってはそれの補完的作品でしかなかったというのが正直なところではないか。
見始めて気がついたのだが、結末は忘れていたものの、この映画を見るのは2回目だった。
(^_^;)
初めて見た時は、『太陽がいっぱい』を見たことがなかったし、それが原作を同じくする映画だとも知らなかったので、純粋に楽しめたのだろう。
「もっと面白い映画のはずだった」と感じたのは、最近になって『太陽がいっぱい』を見てしまったからだろうか。
やはり、どうしても比較してしまうようだ。

太陽がいっぱい

2006年08月22日 | ムービー
『太陽がいっぱい(原題Plein soleil)』(1960年/ルネ・クレマン監督/フランス・イタリア)を見た。
画面に映し出される青い海や水平線が、この暑い夏に見るのにはピッタリの舞台設定だが、流れる音楽はなんとも切ないメロディーだ。
フィリップ・グリーンリーフ(モーリス・ロネ)の父親から息子の説得を依頼されたが、無碍な扱いをされて復讐を企てる貧乏青年トム・リプレー(アラン・ドロン)が主人公。
「上品に振舞いたいと意識すること自体が下品なんだよ」
金持ち坊ちゃんならではの台詞だが、こういった小さなやり取りが積もり積もって殺意までに至ったのか。
「契約した報酬をもらえなくなるから約束を守れ」と言いながらも、"人を殺してはいけない"という社会の約束事をいとも簡単に破ってしまうのも、やはり"お金"のためだ。
自分勝手な犯罪を続けて邪魔者を排除し、金と女を手に入れた彼はビーチでひとり悦にいり、「最高だ。最高の気分だよ」と何度もつぶやく。
『The Talented Mr. Ripley』(1955年/パトリシア・ハイスミス著)という小説を原作にしているようだが、映画と小説では内容が少し違うようだ。
1960(昭和35)年の製作ということもあって、交換手を介して電話をかけたりお札が異常に大きかったりと凄く古臭さを感じるのだが、面白い映画だった。