仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

タイム・トゥ・ラン

2018年09月04日 | ムービー
『タイム・トゥ・ラン(原題HEIST)』(2015年/スコット・マン監督/アメリカ)を見た。
物語は、「元軍人のヴォーン(ジェフリー・ディーン・モーガン)はポープ(ロバート・デ・ニーロ)が経営するカジノで働く古株のディーラー。重病に苦しむ娘の治療費に困り、ポープに借金を申し込んだが、手酷く断られ、さらにはクビを言い渡されてしまう。金を工面する手立てがなくなったヴォーンは、同じカジノの警備員コックス(デイヴ・バウティスタ)に持ち掛けられていた現金強奪計画に参加することを決めたのだった。決行は深夜3時30分。犯行を発見され、カジノ内での銃撃戦になった時、外で待機していたドライバーのミッキーは、銃撃の音に恐れをなし、一人逃げ出してしまう。金の強奪には成功したものの、予定の逃走手段を失ってしまったコックス達は・・・」という内容。
コックスが連れてきたダンテとミッキーという二人がどうにも酷く、この二人が加わったことによって計画の成功率はグンと低くなってしまったのではないだろうか。
おまけに、リーダーを自任するコックスの判断も間違ってばかりで、これもとてつもないマイナス要因。
どうせ覚悟を決めたのなら、ヴォーンが誰か3人を探してきたほうが良かったのではないかと思えるほどだった。
(^。^)
彼等の逃走中に何かと関わることになるバホス巡査(ジーナ・カラーノ)は、犯人グループの自称リーダーであるコックスではなく、ヴォーンと交渉することになるのだが、確かにヴォーンの判断は的確で、バホスだけではなく、巻き込んでしまった10人以上の一般市民達からの信頼も得たようだった。
この辺りの感じはもしかすると、
狼達の午後(原題Dog Day Afternoon)』(1975年/シドニー・ルメット監督/アメリカ)や、『とらわれて夏(原題Labor Day)』(2013年/ジェイソン・ライトマン監督/アメリカ)と同様、"ストックホルム症候群"に該当するものかもしれないと思った。

12人の怒れる男

2010年07月06日 | ムービー
『12人の怒れる男(原題12 Angry Men)』(1957年/シドニー・ルメット監督/アメリカ)を見た。
物語は、「ある夏の日の午後。無作為に選ばれた陪審員12人が、少年の父親殺しの罪を問う裁判で評決を出そうとしていた。6日間に及ぶ裁判の内容から、ほぼ全員が少年の有罪を確信していたものの、1人の陪審員だけが少年の無罪を主張して・・・」という内容。
陪審員の評決次第では、被告の少年は死刑になってしまうのだから、彼らの決定はとても重い。
しかし、人種への偏見、住んでいる地域への差別等、被告にとって圧倒的に不利な証拠と相まって、いとも簡単に評決が出されようとする流れがとても怖い。
野球観戦の予定があるからという理由で、早く終わらせてしまいたい人もいるのだ。
面白いのは、裁判を扱う内容でありながら法廷の場面は殆ど無く、被告人も裁判官も登場しないこと。
物語のすべてが陪審員のやり取りだけで進行していくのだが、その陪審員についてさえ名前も素性も解らないままだ。
まぁそれについてはさほど必要のないことなのだけれど、そんな中でもある種の人間関係が構築されていって、それが評決にも影響していくことになる。
裁判所内の一室のみで展開されるとても面白い映画だった。

オリエント急行殺人事件

2010年05月08日 | ムービー
『オリエント急行殺人事件(原題Murder on the Orient Express)』(1974年/シドニー・ルメット監督/イギリス)を見た。
物語は、「イスタンブール駅からオリエント急行に乗りこんだ著名な私立探偵エルキュール・ポアロ(アルバート・フィニー)は、乗客ラチェット・ロバーツ(リチャード・ウィドマーク)から身辺警護を依頼されたが、興味がわかなかったことから、これを断った。しかし、大雪で列車が足止めされた夜、ロバーツは何者かに殺害されてしまう。列車を所有する会社の重役ビアンキ(マーティン・バルサム)から事件の捜査を依頼され、これは引き受けざるを得なくなったポアロは、犯人が逃亡した痕跡が無いことから、1等車の乗客12人に対する尋問を開始した」という内容。
「1930年におきたアームストロング家の誘拐事件」
その悲劇がこの物語に大きく影響しているのであるが、その模様は何とも複雑に絡み合っているうえ、良くできている。
ところで、"オリエント急行"といわれる列車は、航空機での移動が増えるに従い路線を縮小する一方で、ついに2009年にはすっかり廃止されてしまったとのことであるが、この物語は上流階級に属する乗客達でまだまだ賑わっていた頃が舞台となっている。
時代背景としては相当古臭いのだが、人間の本質、心情というのはどんな時代でもさほど変わりはしないのだろう。
それ故か、最後まで飽きることなく見ることができた。

12人の優しい日本人

2008年02月09日 | ムービー
『12人の優しい日本人』(1991年/中原俊監督)を見た。
12人の怒れる男』(1957年/シドニー・ルメット監督/アメリカ)という映画があるが、ほぼ同様の密室劇であり、それをモチーフに・・・というよりは、盗作みたいな話だ。
物語は、「ある殺人事件を扱う裁判の陪審員として集められた12人が、評決の一致を目的として議論する」という内容。
他人を見下したような人や如何にも自己主張できなさそうな人、つい仕切りだしてしまう人等様々な人物像が描かれていて面白い。
これを見たのは初めてではなかったのだが、「あぁいるいる、こんな人」と思いながら見てしまったし、後半の場面はグングンと引き込まれて見入ってしまったのだった。
(^_^)
劇中、形容詞をふんだんに織り交ぜた証言が出てくるが、人物の描写や事件の状況を表現する台詞の積み重ねで、実際には登場しない目撃者のおばさん、被告人や被害者の雰囲気も何となく想像できてしまう。
言葉の威力(マジック)というのは凄い。
なかなか面白い作品だった。

狼たちの午後

2006年03月15日 | ムービー
『狼たちの午後(原題Dog Day Afternoon)』(1975年/シドニー・ルメット監督/アメリカ)を見た。
アル・パチーノ(ソニー役)、ジョン・カザール(サル役)らが演じる銀行強盗と人質たちの"ストックホルム症候群"という奇妙な関係がテーマだとの事前情報があったのだが、これは『ダイハード』(1995年/ジョン・マクティアナン監督/アメリカ)の中のワンシーンで"ヘルシンキ症候群"として紹介されていたのを覚えていたので、「ん!?スゥエーデン?フィンランド?どっちなんだ?」と思い調べてみたら、"ストックホルム症候群"が正しいようだった。
1973年にストックホルム(スゥエーデン)で起きた銀行強盗事件の解決後に、犯人の一人と人質の一人が結婚したという実際の出来事の後、この名前で呼ばれるようになったらしいのだが、2000(平成12)年に発覚した"新潟女性長期監禁事件"も、この"犯人と被害者の心的相互依存症"なのだと紹介しているウェブサイトもあったりもした。
その点に関してはかなり疑問を抱かざるを得ないのだが、"ストックホルム症候群"という言葉自体は一部の創作者が作り出した架空のものではないらしいということが分かったのだった。
『ダイハード』の中でわざわざ間違った名前で紹介されていたのは、おそらくギャグなのだろう。
(^_^;)
何にしても、そういう映画なのだと思って見ていたら、警察が犯人を説得していく過程の中で少し物語の様子が変わっていった。
なんともアメリカらしさ(?)を表現しているようで、思わず笑ってしまう。
この犯人のどこが"狼たち"なんだと思っていたら、原題は『Dog Day Afternoon』というらしい。
"狼"じゃなくて"犬"じゃないのか。