仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

菊江の佛壇 / 五街道雲助(六代目)

2018年02月16日 | エンタメ
落語『菊江の佛壇』五街道雲助(六代目)。
噺は、「茶屋遊びを覚えてからというもの、すっかり家に寄り付かなくなった若旦那。女房でも持たせれば少しは収まるかと嫁を迎えたものの、三月も経てばまた出かけるようになってしまった。そのうちに女房のおはなが病に倒れ、実家に帰って養生するようになってしまう。ところが、遊び呆けて病気見舞いにも行かない若旦那。いくら小言を言っても聞かないので、旦那さんは店を番頭に任せ、定吉をお供を連れて、おはなの病気見舞いに出掛けるのだが・・・」という内容。
昼間から酔って帰ってきて、"私は病気見舞いが嫌いでございます"と言い、さらには、自分のお茶屋遊びと人が入れるほどに大きな仏壇に買い替えた父親の信心を同じだとも言い放つ若旦那。
これにはすっかり呆れ果てる旦那さんだが、どれだけ怒られようとマッタク意に介さない若旦那は、ろれつの回らない口調で番頭に店の金から十両を無心する。
このあたりのくだりは、『山崎屋』や『よかちょろ』と同じなので、「あれっ!?」という感じだが、この噺の若旦那が一番酷い男だ。
(^_^;)
また、泊まり掛けで出掛けた旦那さんに後のことを頼まれた番頭も、若旦那に「この場は私が仕切らせていただきます」と店を早じまいして、今夜は無礼講だと宴会を始めてしまう。
若旦那が入れ込んでいる柳橋の芸者・菊江にお酌をしてもらって、「若旦那の酌より数段味が上がりますな」と、何とも調子の良い男だ。
若旦那に「向こう横丁に師匠を囲っているだけのことはある・・・」と言われてしまうと、返しようがないのだが、まぁ、どっちもどっち。
どうにも救いのようのない二人は、人情味溢れる旦那さんとの落差が大きい。
笑える噺ではないものの、なかなかに面白い演目だ。