虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

教育と学習方法について考えること (息子とおしゃべり) 2

2011-09-26 09:30:02 | 息子とおしゃべり(ときどき娘)

我が家の性格タイプを大きくふたつに分けると、ダンナと娘は似たところがずいぶんあって

私と息子は物を考えるときのプロセスや好きなものとの関わり方など

共通点がたくさんあります。

ダンナも娘の社会に適応するのが上手で、多数派と楽しく、一方できちんと自己主張しながら渡り合えるタイプで、

私と息子は人づきあいは苦手じゃないけど、たいがいが少数派に属していて、

マイペースで何でも自己流にするのが好きなタイプです。

 

ダンナも娘も目的や目標が決まると、その達成に向けて、

情報を集めて、それを見比べて、テキパキと選択していって、

そこで浮上した問題点について話し合い、

即座に判断して解決するやいなや、

実行に移すためにさっさとその場を立ち去る……という忙しい方々。

 

その素早い動きに噛み合ったためしがない私と息子は、

どう転んでも大差がないような話題で延々と議論しあって、

行き着く答えが、息子の言葉を借りると、

「あらゆる物事に、ファジーさとか柔軟さといった不確かさを含めておく態度が大事だと思うよ」

なんて、スパッと決断したい人々からすると『ふりだし』に戻ったような結論。

 

そんな不毛とも見える議論も、現代国語の成績アップにつながったというのなら

あながち無駄ではないのでしょう。

 

息子とわたしはユングのタイプ論で分類するなら、

おそらく内向的直観型と思われますが、

私はどちらかというと思考を使うよりも、感情で捉えたことを実践の場で使うのが得意なので、

内向的直観型の感情寄りなんじゃないかと思っています。

 

息子は物事を直観で捉えると同時に、

それらを思考で分析して、それを苦もなく言葉で言い表すことができるので、

おそらく内向的直観型の思考寄りの子ではないかと思っています。

 

息子が、「あらゆる物事に、ファジーさとか柔軟さといった不確かさを含めておく態度が大事だと思うよ」

と感じるようになったのは、

受験で地理の勉強を進めるうちに、強くそう思うようになったのだとか。

 

息子 「地理を勉強しているとね、ルワンダとかナイジェリアとか……

戦争が絶えず起こっている理由に、正しいか正しくないかひとつの答えを正しいもの

として決定してしまうこと、

つまりAの民族には得になるけれど、Bの民族には損することが確定するような

政策を正解として置いてしまうことにあると思うんだ。

正しさはある物差しを使えば確実に思えるものも、

視点や立ち位置が変われば、その正誤のほどがあいまいになるものだよ。

お母さんもそうだろうけど、たとえば、UFOについての大発見があったとして、

その情報の正しさに納得ができたとしても、それに対しての自分の考えはあいまいにしておきたい、

もう少し不安定がグラグラした部分で経過を眺めていきたいと思うんじゃないかな。

これはこうと決めつけずに、傍観者の立場でいたいときがあるんだよ。」

 

母 「それ、お母さんの仕事で今まさに感じていることよ。

お母さんは教育や子育てや療育の世界が、

個体能力を伸ばそうとする発達促進の考え方傾き過ぎているために

多くの問題が生じていると思っている側の人間よ。

関わりをキーワードにして、根本的な大人の子どもに対する構えや眼差しの見直しが

必要だと思っている。

でも同時に固体の発達促進や子どもの社会に出てからの幸福のために

真剣に悩みつつ仕事をしてこられた方々の考え方を尊敬しているし、

私自身が子どもと1対1で接するときには

その潜在的な能力が最大限に開花することを願ってもいるの。

そんなお母さんの態度は、どちらを支持する方にとっても優柔不断で

反対派と融合しすぎているように映るでしょうけど、

お母さんの中にはひとつの物事に対する自分なりの態度があって、

いつも相反するふたつのものを微妙な加減で調整をしているの。

可逆性ってわかる?」

 

息子 「うん、だいたい。矢印で言うと、こうでこう?」と息子は手で矢印を行き来させました。

 

母親 「お母さんは数学や物理の世界で、可逆性という言葉を捉えているわけじゃなくて、

メルロ・ポンティーの本で可逆性とか両義性って言葉に触れて、

想像を膨らませてその世界にひたっているとき、

あくまでも雰囲気で考えているんだけど、

物事のどちらかひとつに賛成して、それと同時に別の立場を全否定してしまう

ってどうなのかなって思えてくるのよ。

現実はそんなに簡単に線引きできることばかりじゃないから」

 

次回に続きます。


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