虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『地頭力』が育つ幼児期 6

2010-06-25 08:34:45 | 教育論 読者の方からのQ&A
幼稚園も学校も家庭も、
やたら教育的になる一方で、
大人が一丸となって汗水たらして、わざわざ
子どもの『地頭力』となるものを奪っているように感じているのは
私だけでしょうか。

少し話がそれますが、
十数年前、私が投稿と公募にはまっていた時期、↓のような文章を新聞の投稿欄に載せていただきました。
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<なぜチームが勝ち始めたか>

「ドッチボールでね、このごろぼくたちのチームが勝っているだよ」
4年生になる息子がうれしそうに打ち明けた。
聞くところによると、ずいぶん長い間、
息子のチームは、機敏で力のある子が多い相手チームに
連敗してきたらしい。
それが最近、勝ち始めた理由は、
「向こうのチームはね、下手な子が拾ったら、すぐに
うまい子にパスする作戦なんだ。
だから、いつも強くて速いボールが飛んできて、
負けてた。
でも、ぼくのチームの子は下手な子が拾っても
その子が投げていたんだ。」
「でも、何度も何度も投げるうち、下手だった子も
少しずつうまくなって、
今じゃ逃げていた女の子も、ボールを取りにいくぐらい
なんだ。
数人のすごく強い子より、皆のやる気!」
子どもは子ども同士、群れて遊ぶなかから、
さまざまなことを学ぶのだな、と実感した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どうして、こんな古い記事を引っ張り出してきたのかというと、

子どもの地頭力を育む上で、元凶となるのは、

「勝つ」ことや「成果をあげる」ことを子どもの世界に持ち込んで、
大人が割り振りした部分的な役割を、
全体が見えないまま、
子ども自身の欲望や動機の源に触れないままにやらせていることじゃないかな?

と感じているからです。

スタート地点から、合理的に、効率的に「勝ち」を目指していたら、
目標を決めるのも、
何をするか決めるのも、
選ぶのも、
段取りするのも、
大人になってしまいますよね。

子どもに残るのは、
タイムウォッチ片手に管理する親や先生のもとで、
100マスを埋めたり、
プリントの枚数をかせぐ時間を縮めていくことだけ……となりがちです。

そうやって、全国統一テストの点数が数点あがったところで、
それは本当の意味で、子どもの実力を伸ばしていることになるのでしょうか?

お仕事の現場で、「全体のストーリーがない」まま、「何らかの仮説や全体像もつかまない」まま
データーを集めてみたり、分析にのめりこんだりすることは、
効率の悪い問題のある行為のはずです。

けれど、いずれ、
社会に出て行く子どもたちに、
学習の一部分だけ関わらせて、
データー処理能力だけ……
計算力だけ向上させるというのはどうなのでしょう?

確かに、今既存の、海外や全国で子どもの知力を比べあうような
テスト上での数値はあがるのでしょうけど……。

話が硬くなってきて、しんどい……という方には、
近いうちにもう少し軽い話題を書かせていただきますね。
この話、もう少しだけ続きます。

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2 コメント

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はじめまして。 (ぱんぱんぱんだ)
2010-06-25 14:07:42
半年前、虹色教室通信&オンライン講座と出会い、それからこのブログを基に育児しています。
今回の地頭力の話で私の頭の中の回路が繋がったように思います。
今までは断片的にブログを参考にして育児してましたが、今回大きな視点からこのブログを見つめる事ができました。大きな視点ってこういうことなんだと初めて分かったように思います。
私は思考が劣勢なので上手く表現できなくてすみません。。


今娘は2歳3ヶ月です。
虹色教室は予約一杯なのは承知ですが、一度だけでも親子レッスン(というか私のレッスン)をしていただきたいです。
来年になっても構いません。お願いします。
返信する
Unknown (ここ)
2010-06-26 01:43:37
21日の記事で紹介して下さった「塩味の足りないスープ鍋」の記事の小塩先生。先生の女の子への関わりが、女の子の学びだけでなく、クラスの他の子ども達も、共に勉強を進めていく中で、成績では表せない、言葉でもうまく言い表せない、より大きな「何か」をつかみ、深い学びとなっていますよね。
学力だけに目を向けて注目し、サポートや個別指導が進みすぎると、こういった学びの機会が奪われてしまいますよね。
返信する

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