虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 7

2011-07-28 13:27:53 | 子どもの個性と学習タイプ

「子どもの性格タイプについて考えることで、そんないいことがあるのか?」といえば、

「子どもの体験を、その子の心に響くより豊かなものにしてあげることができる」

という点が挙げられます。

たとえば、感覚が優れている子たちの多くは、一度やりはじめた活動を何度も繰り返すことを
好みますから、次々カリキュラムが変わって、
新しい課題が与えられるような場は嫌がるだろうし、成長があまり期待できないかもしれません。

制作活動をするにも、環境を美しい色の画材やさまざまな触感の素材やサイズや形を選べて、
五感から入る情報を日々洗練させていけるように整えて、
ものさしやコンパスや三角定規やテンプレートなどの扱いについて
何度もていねいにお手本を見せてあげると、すばらしい能力を発揮します。

前回の話の続きで、ニコニコママさんの娘ちゃんも、そうした感覚が優れている子特有の
活動を繰り返していました。
私は、「感覚が優れている子である子は確か……
内向的な子であることも確か……でも、この子の表情や言動からは、
ちょっと内向的感覚の子にはあまり見られない強い意志や激しさが感じられるな。
もしかして内向的思考の感覚寄りの子なのか、
内向的感覚の思考寄りの子の思考の部分が外に強く現れようとしているのかもしれない。
でも、それを外に表現しにくい状況にあるように見えるけど、なぜだろう?」
とも思っていました。

私は、そうした「なぜだろう?」を感じた時は、できるだけこちらから働きかけるのは控えて、
本人が自分から何かを発するのを
静かに待つようにしています。

子どもの気持ちや望みを理解するには、こちらの働きかけを控えて、自分の心の動きを抑えるのが
一番だと感じているからです。

今、子どもたちが集まる場はどこも、

空腹感にしても欠如感にしても、子どもが何か自分に足りないものを感じて、

それを欲する体験ができないほど、大人が先回りして本人の欲求を満たし続けて、
構い続けるために
子どもが何を望んでいるのか大人に伝わりにくくなっているだけでなく、

子ども自身が自分の気持ちに疎くなっているのもよく見かけます。

本来、子どもたちは、あまり忙しく構わずそっとしておくと、
必ず、「あんな風にできたらなぁ」という憧れや
「それ、私もほしい」「それぼくもしたい」という欲求を覚えて
まず熱い眼差しを何かに注ぎはじめるものです。

私は子どもがいったんそうして自分で望んだら、それが眼差しだけでも、
できるだけその望み通りにできるように手を貸してあげます。

大人から見ると、それは「自分が」「自分が」と主張する子だけ大事にされていて、
参加している一部の子は放っておかれてかわいそうに映るかもしれません。

でも、私はまず子どもの心に望みが生まれないうちに、無理矢理、なだめすかしたり、「ほらっほらっ」と背中を押したり、
「みんなが風船をもらっているからもらっておいで」と指示したりするのは、
できるだけ避けたいと感じているのです。

なぜなら、そうして望んでもいないうちに至れり尽くせりで世話されるほど、
何かを得て満たされる気持ちが味わえなくなり、
何をしたいのか、自分が何が好きなのか、何がうれしいのか、何が足りないのか、何を望んでいるのかわからなくなるし、
欲しいものを得るためにどのように動けばいいのか、誰に頼めばいいのかが
わからなくなるからです。

次回に続きます。









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2 コメント

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Unknown (あすきち)
2011-07-28 22:25:50
先生に「外交感情直感より」と言われた息子ですが、改めてそのタイプの記事を読みなおしても、そうなのかな?とピンとこないものがあり・・
自分の理想の子ども像と違うから、無意識に否定的に感じるのかな?と思ったり、普段の家での様子と日帰り科学クラブでの様子が違うのかな?と思ったり、私自身が子供をよく見ていないのかな?と思ったり・・・

いろいろ考えながら拝見しています。
一つ言えるのは、よく子供を観察するようになったということです。
いつも気づきや考えるきっかけを下さり、先生には大感謝です。



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あすきち様 (奈緒美)
2011-07-28 23:00:56
記事では感情タイプの子が環境といい関係にあるときの姿を書いているのですが、
感情タイプの子は愛情面で不安を感じるような時(きょうだいができた時など)に、
とても難しい態度を取ることがあるのです。
あすきちさんのところの息子は、本来の息子さんの性質からちょっと離れて、一時期の荒れている状態にあるようでしたから、今ははっきりとは、こういう性質とはわかりにくくもあります。
たぶん外向感情の直観寄りの子だとは思いますが、はっきりわかりません。
それと記事では女の子の外向感情型に多い性質を書いているので、男の子だとぴったり重ならないかもしれません。何タイプかというのは、働きかけの幅を広げるときにはいいですが、無理に何タイプかにあてはめるために利用しない方がいいかもしれません。
とてもわかりやすい子もいれば、わかりにくい子もいます。また、かなり大きくなってこないと、はっきりした性質が見えにくい子もいます。
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