虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 8

2011-07-28 21:05:38 | 子どもの個性と学習タイプ


ユースホステルでのレッスンで、子どもたちが描いて切り抜いた絵を使って
仕掛けのある絵本を作って遊びました。
画用紙に小さな穴を開けて
糸を通します。
糸の端っこと端っこにちょうちょと虫取り網を貼り付けると、
網を動かすとちょうちょが逃げる仕掛けができあがります。

花びらや風を描いた子がいたので、
フーッと息を吹きかけたらヒラヒラ動くように端を貼りつけました。

他にも、ストローで巻き上げ機を作って、カブトムシが巻き上げ機を回すと木を登っていく仕組みなどを
作って遊びました。

子どもは仕掛け作りがすっかり気に入って、
がんばって絵を描いては
「ぼくのも動くようにして!」「私のも」と自分の作品を差し出しました。
昨日から、男の子たちは動かす仕組みを学んで、自分がティッシュ箱などで作る作品に
習った方法を応用して工夫してみるのが
楽しくてたまらないようでした。


その間、ニコニコママさんの娘ちゃんはもくもくと画用紙いっぱいに自分の顔を描いていました。
何枚も何枚も。

順番に子どもたちの絵に仕掛けを作ってあげながら、「昨日のドールハウスのときも
娘ちゃんとじっくり関わる時間がなかったから、
今度はちょっと驚いて喜ぶような作った絵を動かす方法を教えてあげたいな」と考えていました。
それで、娘ちゃんが絵を描き終えるのを待っていて、作品を受け取りました。

そこに描かれている娘ちゃんの顔は、
のびのびと大きくていねいに描かれていて、髪の毛も髪飾りも一生懸命描きこんでいました。
「上手!」と言って、娘ちゃんの顔を覗くと、娘ちゃんの顔は、うれしそうに輝いていて、
自分の作りだした作品に心底満足していることがうかがえました。
その表情からは、それを他の子らがしたがっているように
加工して動かしたり、遊べるようなものにしたいという気持ちは読み取れませんでした。
そこで、私はにっこり笑って、そのまんま娘ちゃんに作品を返しました。
娘ちゃんは、すっかり私に打ち解けて、
親しみを抱いてくれているのが伝わってきました。

私はニコニコママさんから、
娘ちゃんが何度も同じ作品ばかり作りたがるので、
「それをどのように発展させてあげたらいいでしょう?」と質問をいただいていたものの、
それに対してきちんとしたお返事を返せずにいました。

というのも、娘ちゃんに対しては、
今している遊びをどのように発展させるといいのか、という枠組みを超えた部分で、
大事な働きかけがあるように感じていたからなのです。

それはちょっと言葉で表現しにくいことではありました。
ニコニコママさんは、愛情をかけて育児をする面でも、しつけの面でも、教育の面でも、
とても行き届いた子育てをしておられました。
ですから、娘ちゃんは根気よくさまざまなことに取り組んだり、人に自然な信頼感を抱くことができている
のだと思います。

でも、そんな風にとても行き届いているだけに、

次に必要になってくるのは、「娘ちゃんの遊びをどう発展させてあげようか」と考えるよりも、

親の側が、ちょっと手を抜いて、してあげることにしても、子どもへのまなざしにしても、

ちょっとゆるい部分を作って、娘ちゃんらしさが、

ばかばかしいことをやりたがることや失敗を繰り返すことや、自己中心的な態度とともに

あふれだす時間をたまに作ることのようにも思えたのです。

というのも、娘ちゃんの絵からも、娘ちゃんの態度からも、
「私が決めたいの!」「私が考えたいの!」「私がやってみたいの!」という
強い意志がみなぎっているのが伝わってきましたから。

でも、本当に娘ちゃんが何かを決めたり考えたりすることを自分でしようと思ったら、
自分のことをいつも懸命に考えてくれているお母さんに
子どもでもわかるような隙が必要になってくるのです。

隙なんていうと、わかりにくいかもしれませんが……。
ちょうど、いっしょにユースホステルのレッスンに来ていた4歳の★くんと★くんのお母さんの関係に
そのたとえになるような瞬間がたびたび見られました。

東京から参加してくれていた★くん。目ざとくて要領がよくて、実行力のある子です。
★くんのお母さんは、時折、★くんのしたいように任せてゆったりしているので、
★くんは、「これとこれは自分で決めてもいいんじゃないかな?」
「これはぼくができそうだ」という範囲を徐々に広げているようでした。

自信に満ちた様子で、お母さんのキャリーバックを引いて移動したり、
「ここはぼくがお母さんを助けてあげよう」と考えて行動したりしていました。

★くんは、子どもとして世話されたり、大事にされたりする一方で、
自分として、何ができそうか、何ならしても良さそうか、自由に外の世界に観察していました。
★くんのお母さんに隙があるというわけでもないのですが、
この★くんの性質とお母さんの性質の間に、ちょうどいい感じの隙ができているんだな……とも感じました。

何だかわかりにくい話になりましたが、
子どもの発達を促すにはふたつ方法があって、
ひとつはよりていねいに、子どもの本質に近づいて関わることと、
もうひとつはちょっと手を抜いて、あえて隙だらけで接する面も作って、
子どもが自分で自分を作り上げていくのを見守ることだと思っています。


「子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの?」という話題から少しそれていますが……
この話については、もう少し書きたいことがあるので、
またの機会に書き足しますね。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございました。 (ミルクココア)
2011-07-28 23:26:31
こんばんは~
娘のことを丁寧に記事にしていただいてありがとうございました。
娘への理解をより深めることができました。
先生からいただいたアドバイスをもとに、これからはもう少し私も肩の力を抜いて育児をしていこうと思います。

本当にありがとうございました。
返信する
このような場合・・・ (Unknown)
2011-07-29 23:16:27
いつも興味深く拝見しております。

娘は発達障害のグレーゾーンなのですが、その場合でも「隙」が必要と思われますか?

何事もしっかりとした道筋を叩き込まないと対応できない娘。
そのため、私はいつも先回りしてうるさい位に関わっているように思います。娘の良さを殺しているようにも感じ、そうしないと本人が戸惑うことも多いように感じ・・・難しいのです。

また健常児であろう下の子にも悪影響を与えてるように自覚しているのですが、年が近く生活もほぼ同じなので個々に対応するのが上手くできません。(←私の力不足ですが)

何度か先生に実際にお会いしたことがあるのですが、個人的に子どもを見ていただいていないので子どもたちのタイプもいまいち把握できないままでいます。(これも私の力不足ですね・・・)

個々によって違うとは思うのですが、発達障害児(アスペ傾向?)でもタイプを分けることができるのでしょうか?
できそうでできない?できなさそうでできる?読みにくいグレーちゃんなだけに接し方に本当に悩んでいます。

機会があれば、発達に不安がある子どもたちの集まりも開いていただければうれしいです。
宜しくお願いいたします。

返信する
unknowさんと同じく (ajuka)
2011-07-30 12:47:17
娘へのワークでコメントいただきありがとうございました。
娘は言語療法作業療法がいるので発達障害LDのグレーゾーンかな?と思ったりしてます。自閉的ではないと言われただけです。
姉妹で別々にいるときには接し方はかえれるけど、姉妹一緒にいるときの接し方や怒りかたなど難しいですね
子どもの気質や性格で接し方をかえるというのは保育園ではしていだけているよう感じますが、小学校でも接し方をその子の性格や気質を把握して受け入れて接していって欲しい。
発達障害など知れわたる前はみんな一緒の学級で発達障害などといわず当たり前にこの子はこの子と受け入れて学び遊んだ。発達障害だからと別々に学級をと言われずに
学習や社会性のフォローは今まで以上に対応策知れわたったんなら、普通学級だろうが理解と実施は必要と思うけど
小学校進学に望むことですね
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